人手不足や賃上げ対応、社員の定着、人材育成、働き方改革など、企業を取り巻く労務課題は年々複雑になっています。
特に中小企業では、「採用した人材を定着させたい」「パート・契約社員を正社員化したい」「従業員のスキルアップを進めたい」「賃上げや職場環境の整備に取り組みたい」といった課題を抱えている事業者も多いのではないでしょうか。
こうした取り組みに活用できる制度として、厚生労働省では雇用・労働分野に関するさまざまな助成金を用意しています。
厚労省の助成金は、設備投資や新規事業を支援する経済産業省系の補助金とは異なり、主に「雇用の維持」「人材採用」「非正規雇用労働者の処遇改善」「従業員の能力開発」「仕事と家庭の両立支援」「職場環境の改善」などを目的とした制度です。
この記事では、中小企業が活用を検討しやすい厚労省の主な助成金について、対象者・対象経費・上限額・助成率を中心にわかりやすく解説します。
人手不足や賃上げ対応、社員の定着、人材育成、働き方改革など、企業を取り巻く労務課題は年々複雑になっています。
特に中小企業では、「採用した人材を定着させたい」「パート・契約社員を正社員化したい」「従業員のスキルアップを進めたい」「賃上げや職場環境の整備に取り組みたい」といった課題を抱えている事業者も多いのではないでしょうか。
こうした取り組みに活用できる制度として、厚生労働省では雇用・労働分野に関するさまざまな助成金を用意しています。
厚労省の助成金は、設備投資や新規事業を支援する経済産業省系の補助金とは異なり、主に「雇用の維持」「人材採用」「非正規雇用労働者の処遇改善」「従業員の能力開発」「仕事と家庭の両立支援」「職場環境の改善」などを目的とした制度です。
この記事では、中小企業が活用を検討しやすい厚労省の主な助成金について、対象者・対象経費・上限額・助成率を中心にわかりやすく解説します。
※本記事は令和8年度の厚生労働省公式情報をもとに作成しています。助成額・助成率・申請要件は年度途中で変更される場合があるため、申請前には必ず最新の公式情報をご確認ください。
厚労省の助成金とは、主に雇用保険の適用事業主などを対象に、雇用維持、採用、人材育成、職場環境整備、賃上げ、育児・介護との両立支援などの取り組みを支援する制度です。
経済産業省系の補助金が、設備投資や新サービス開発、販路開拓などを対象とすることが多いのに対し、厚労省の助成金は「人」に関する取り組みを対象とする点が特徴です。
たとえば、以下のような取り組みで活用できます。
有期雇用労働者やパート社員の正社員化
非正規雇用労働者の賃上げ
従業員への研修・リスキリング
高年齢者の雇用継続
育児休業や介護休業を取得しやすい職場づくり
外国人労働者の就労環境整備
生産性向上のための設備導入と賃上げ
働き方改革や労働時間短縮に向けた環境整備
厚労省の助成金は、要件を満たして適切に申請すれば受給できる可能性がある一方、就業規則、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿、労働保険・社会保険の加入状況など、労務管理面の整備が非常に重要になります。
厚労省の助成金は、制度ごとに対象者が異なりますが、多くの場合、雇用保険の適用事業主であることが前提となります。
また、労働関係法令を遵守していること、必要な帳簿類を整備していること、対象となる取り組みを実施する前に計画届を提出することなどが求められる制度もあります。
項目 | 内容 |
|---|---|
主な対象者 | 雇用保険の適用事業主、中小企業事業主など |
主な対象分野 | 雇用維持、採用、正社員化、賃上げ、人材育成、育児・介護との両立支援、職場環境改善など |
主な確認書類 | 就業規則、雇用契約書、労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿、雇用保険・社会保険関係書類など |
注意点 | 制度によって、事前の計画届提出、就業規則の整備、賃金要件、雇用維持要件などが必要 |
申請前には、制度の要件だけでなく、自社の労務管理体制が整っているかを確認することが重要です。
中小企業が活用を検討しやすい主な厚労省の助成金は、以下のとおりです。
主な助成金 | 活用できる取り組み |
|---|---|
雇用調整助成金 | 休業、教育訓練、出向を通じた雇用維持 |
特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者、障害者、母子家庭の母などの雇入れ |
トライアル雇用助成金 | 職業経験が不足している求職者等の試行雇用 |
人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度の整備、職場環境改善、外国人労働者の就労環境整備など |
65歳超雇用推進助成金 | 定年引上げ、継続雇用制度の整備、高年齢者の雇用管理改善 |
キャリアアップ助成金 | 正社員化、賃金規定改定、賞与・退職金制度導入、社会保険適用時の処遇改善 |
両立支援等助成金 | 育児休業、介護休業、男性育休、育休中の業務代替体制整備 |
人材開発支援助成金 | 職務関連訓練、リスキリング、定額制研修、教育訓練休暇制度の導入 |
業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引上げと設備投資 |
働き方改革推進支援助成金 | 労働時間短縮、年休取得促進、勤務間インターバル導入など |
雇用調整助成金は、景気変動や経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために活用できる制度です。
売上減少や受注減少などにより、一時的に従業員を休業させざるを得ない場合でも、休業手当等を支払いながら雇用を守る取り組みが支援対象となります。
対象となる取り組みには、休業のほか、教育訓練や出向も含まれます。人員削減ではなく、事業の回復まで雇用を維持したい事業者に向いている助成金です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた雇用保険適用事業主 |
対象経費 | 休業手当 教育訓練に係る賃金相当額 出向に係る賃金負担額など |
上限額 | 休業・教育訓練:1人1日あたり上限8,870円 受給日数:1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分 教育訓練加算:1人1日あたり1,200円 |
助成率 | 中小企業:2/3 大企業:1/2 教育訓練の実施率等により加算・助成率が変動する場合あり |
一時的な業績悪化や受注減少に直面しているものの、従業員の雇用を維持したい場合に検討しやすい制度です。
ただし、事業活動の縮小理由や休業実績、賃金台帳、出勤簿などの確認が必要となるため、申請前に必要書類を整理しておくことが重要です。
参考:雇用調整助成金
特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者、障害者、母子家庭の母など、就職が困難な方を継続して雇い入れる場合に活用できる制度です。
採用活動においては、経験や年齢、家庭環境、障害の有無などにより、就職機会が限られてしまう方もいます。本制度は、そうした求職者をハローワーク等の紹介により雇い入れ、継続雇用につなげる事業主を支援するものです。
人手不足への対応として、幅広い人材の採用を進めたい事業者に向いています。特に、高年齢者や障害者など、多様な人材の雇用を進めたい企業では、採用計画とあわせて確認しておきたい制度です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | ハローワーク等の紹介により、対象となる求職者を継続して雇い入れる事業主 |
対象経費 | 対象労働者の雇入れに対する助成 |
上限額 | 【特定就職困難者コース】 高年齢者・母子家庭の母等:中小企業60万円、大企業50万円 身体・知的障害者:中小企業120万円、大企業50万円 重度障害者等:中小企業240万円、大企業100万円 短時間労働者の高年齢者・母子家庭の母等:中小企業40万円、大企業30万円 短時間労働者の障害者等:中小企業80万円、大企業30万円 |
助成率 | 定額助成 |
対象労働者の区分や労働時間、企業規模によって支給額が異なります。
また、原則としてハローワーク等の紹介を通じた雇入れであることが重要です。通常の採用後に後から申請できる制度ではないため、採用前の段階で制度の活用可否を確認しておきましょう。
参考:特定求職者雇用開発助成金とは?制度概要や対象、支給額から申請方法まで
トライアル雇用助成金は、職業経験や技能、知識などの不足により安定的な就職が困難な求職者を、一定期間試行的に雇い入れる場合に活用できる制度です。
「採用したいが、実務に適応できるか不安がある」「未経験者を育成前提で採用したい」といった場合、一定期間のトライアル雇用を通じて、企業側・求職者側の双方が適性を確認しながら雇用を進められます。
未経験者採用や若年層の採用、長期離職者の採用などを検討している事業者にとって、活用しやすい制度です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | ハローワーク等の紹介により、対象となる求職者を試行的に雇い入れる事業主 |
対象経費 | 対象労働者の試行雇用に対する助成 |
上限額 | 一般トライアルコース:月額最大4万円、最長3か月 母子家庭の母等または父子家庭の父の場合:月額最大5万円、最長3か月 障害者トライアルコース:対象者・雇用形態により異なる |
助成率 | 定額助成 |
トライアル雇用は、通常の採用とは異なり、対象者や紹介経路などに要件があります。
助成金を前提に採用する場合は、求人を出す段階でハローワーク等に相談し、対象となる雇用形態や期間を確認しておくことが大切です。
参考:トライアル雇用助成金とは?制度の仕組みと助成金の要件、受給額を解説
人材確保等支援助成金は、人材の確保や従業員の職場定着を目的に、雇用管理制度の整備や職場環境改善に取り組む事業主を支援する制度です。
人手不足が続く中、採用だけでなく「入社後に長く働いてもらう仕組みづくり」が重要になっています。本制度では、賃金規定制度、諸手当制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度など、従業員の定着につながる雇用管理制度の導入が支援対象となります。
また、作業負担を軽減する機器等の導入など、職場環境の改善に活用できる場合もあります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 人材確保や職場定着に向けた雇用管理改善に取り組む事業主 |
対象経費 | 賃金規定制度 諸手当等制度 人事評価制度 職場活性化制度 健康づくり制度 作業負担を軽減する機器等の導入など |
上限額 | 【雇用管理制度】 賃金規定制度:50万円(40万円) 諸手当等制度:50万円(40万円) 人事評価制度:50万円(40万円) 職場活性化制度:25万円(20万円) 健康づくり制度:25万円(20万円) 複数制度導入時の上限:100万円(80万円) 【雇用環境整備】 作業負担を軽減する機器等の導入:上限225万円(150万円) |
助成率 | 雇用管理制度:定額助成 雇用環境整備:62.5%(50%) ※括弧内は賃上げを行った場合以外 |
離職率を改善したい、評価制度や手当制度を整えたい、従業員の身体的負担を軽減したいといった企業に向いています。
制度導入後の離職率要件などが設定される場合があるため、単に制度を作るだけでなく、実際に定着につながる運用を行うことが重要です。
参考:人材確保等支援助成金とは?各コースの受給要件や受給額、申請の流れを解説
外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人労働者が働きやすい職場環境を整備し、職場定着を図るための制度です。
外国人材を採用する企業では、就業規則や社内ルールの理解、相談体制、コミュニケーション面のサポートが重要になります。制度やマニュアルが日本語のみの場合、本人が内容を十分に理解できず、トラブルや早期離職につながることもあります。
本コースでは、雇用労務責任者の選任、就業規則等の多言語化、相談体制の整備、一時帰国のための休暇制度整備、社内マニュアルや標識類の多言語化など、外国人労働者の就労環境を整える取り組みが支援対象となります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 外国人労働者の就労環境整備に取り組む事業主 |
対象経費 | 雇用労務責任者の選任 就業規則等の多言語化 苦情・相談体制の整備 一時帰国のための休暇制度整備 社内マニュアル・標識類の多言語化 通訳費、翻訳料、翻訳機器導入費、専門家への委託料など |
上限額 | 雇用労務責任者の選任:20万円 就業規則等の多言語化:20万円 苦情・相談体制の整備:20万円 一時帰国のための休暇制度の整備:20万円 社内マニュアル・標識類等の多言語化:20万円 1事業所あたり上限80万円 |
助成率 | 定額助成 |
外国人材の採用を進めている企業では、採用後の定着支援が重要になります。
就業ルールの理解不足やコミュニケーション面の課題を減らし、長く働いてもらうための環境整備に活用できます。
参考:人材確保等支援助成金とは?各コースの受給要件や受給額、申請の流れを解説
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けられる職場づくりを支援する制度です。
人手不足が続く中、経験豊富な高年齢者に長く働いてもらうことは、中小企業にとって重要な選択肢です。定年引上げ、定年廃止、継続雇用制度の導入などを行うことで、熟練人材の雇用継続や技能承継につなげることができます。
また、高年齢者向けの雇用管理制度の整備や、高年齢の有期契約労働者の無期雇用転換なども対象となる場合があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 高年齢者の雇用環境整備に取り組む事業主 |
対象経費 | 65歳以上への定年引上げ 定年の廃止 66歳以上への継続雇用制度の導入 他社による継続雇用制度の導入 高年齢者向け雇用管理制度の整備 高年齢の有期契約労働者の無期雇用転換など |
上限額 | 【65歳超継続雇用促進コース】 65歳への定年引上げ:15万円~30万円 66~69歳への定年引上げ(5歳未満):25万円~46万円 66~69歳への定年引上げ(5歳以上):40万円~135万円 70歳以上への定年引上げ:45万円~140万円 定年の廃止:60万円~240万円 66~69歳への継続雇用制度導入:20万円~90万円 70歳以上への継続雇用制度導入:36万円~130万円 他社による66~69歳への継続雇用制度導入:16万円~70万円 他社による70歳以上への継続雇用制度導入:30万円~105万円 【高年齢者評価制度等雇用管理改善コース】 職業能力評価制度・賃金人事処遇制度等の導入改善:中小企業60万円、中小企業以外45万円 その他高年齢者向け雇用管理制度の導入改善:中小企業30万円、中小企業以外23万円 機器等の整備:中小企業は支給対象経費の60%、中小企業以外は45% |
助成率 | コースにより定額助成または経費助成 |
定年引上げや継続雇用制度の見直しを検討している事業者は、就業規則の改定とあわせて確認しておきたい助成金です。
単に制度を作るだけでなく、高年齢者が無理なく働ける業務設計や職場環境の整備もあわせて進めることが大切です。
参考:65歳超雇用推進助成金
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。
パート社員や契約社員を正社員化したい場合、または非正規雇用労働者の賃金制度、賞与制度、退職金制度などを整えたい場合に活用しやすい助成金です。
中小企業では、人材確保のために正社員化や待遇改善を進めたい一方で、人件費の増加が負担になるケースもあります。本制度を活用することで、処遇改善に取り組む際の負担軽減につながる可能性があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者等のキャリアアップに取り組む事業主 |
対象経費 | 正社員化 障害者正社員化 賃金規定等改定 賃金規定等共通化 賞与・退職金制度導入 短時間労働者の労働時間延長支援など |
上限額 | 【正社員化コース】 有期→正規:中小企業80万円または40万円、大企業60万円または30万円 無期→正規:中小企業40万円または20万円、大企業30万円または15万円 【障害者正社員化コース】 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者:中小企業最大120万円、大企業最大90万円 上記以外の障害者:中小企業最大90万円、大企業最大67.5万円 【賃金規定等改定コース】 3%以上4%未満:中小企業4万円、大企業2.6万円 4%以上5%未満:中小企業5万円、大企業3.3万円 5%以上6%未満:中小企業6.5万円、大企業4.3万円 6%以上:中小企業7万円、大企業4.6万円 【賃金規定等共通化コース】 1事業所あたり:中小企業60万円、大企業45万円 【賞与・退職金制度導入コース】 1事業所あたり:中小企業40万円、大企業30万円 賞与・退職金制度を同時導入:中小企業56.8万円、大企業42.6万円 【短時間労働者労働時間延長支援コース】 1年目:小規模企業50万円、中小企業40万円、大企業30万円 2年目:小規模企業25万円、中小企業20万円、大企業15万円 |
助成率 | 定額助成 |
キャリアアップ助成金は、原則として取り組みを行う前に「キャリアアップ計画」の作成・提出が必要です。
正社員化や賃金改定を実施してからでは対象外となる可能性があるため、対象者の雇用形態、雇用期間、賃金規定、就業規則などを事前に確認しておきましょう。
両立支援等助成金は、育児や介護、不妊治療などと仕事を両立しやすい職場環境づくりに取り組む事業主を支援する制度です。
従業員が育児や介護を理由に離職してしまうと、企業にとっては採用・教育コストの増加につながります。育児休業や介護休業を取得しやすい環境を整えることは、従業員の定着や企業イメージの向上にもつながります。
特に中小企業では、育休取得者や介護休業取得者が出た際の業務代替体制をどう整えるかが大きな課題です。本助成金では、男性の育児休業取得支援、介護離職防止、育休取得・職場復帰支援、育休中等の業務代替体制整備などが対象となります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 育児・介護等と仕事の両立支援に取り組む中小企業事業主など |
対象経費 | 男性の育児休業取得支援 介護離職防止支援 育児休業取得・職場復帰支援 育休中等の業務代替体制整備 柔軟な働き方選択制度の整備 不妊治療・女性の健康課題への対応制度整備など |
上限額 | 【出生時両立支援コース】 1人目:20万円 2・3人目:10万円 【介護離職防止支援コース】 介護休業:40万円 介護両立支援制度A:20万円 介護両立支援制度B:25万円 業務代替支援・新規雇用:20万円 業務代替支援・手当支給等A:5万円 業務代替支援・手当支給等B:3万円 介護休暇制度有給化支援:30万円 【育児休業等支援コース】 育休取得時:30万円 職場復帰時:30万円 【育休中等業務代替支援コース】 手当支給等・育児休業:業務体制整備費最大20万円、業務代替手当最大240万円 手当支給等・短時間勤務:業務体制整備費最大20万円、業務代替手当最大108万円 新規雇用・育児休業:9万円~81万円 |
助成率 | 定額助成または対象経費の一部助成 |
両立支援等助成金は、制度整備だけでなく、実際に対象者が育児休業や介護休業を取得し、職場復帰することなどが要件となる場合があります。
就業規則や育児・介護休業規程の整備も重要になるため、制度活用を検討する場合は、労務管理体制を事前に確認しておきましょう。
参考:両立支援等助成金とは?各コースの申請要件、受給額と対象者
人材開発支援助成金は、従業員に対して職務に関連する知識や技能を習得させるための訓練を実施する事業主を支援する制度です。
新規事業への対応、DX化、業務効率化、専門スキルの習得など、従業員のスキルアップを進めたい企業に向いています。外部研修、eラーニング、定額制研修サービス、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練など、さまざまな教育訓練が対象となる場合があります。
近年は、デジタル人材の育成や、事業展開等に伴うリスキリングに関するニーズも高まっています。将来的な人材不足に備え、社内人材の能力開発を進めたい事業者は、確認しておきたい制度です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 従業員に対して職業訓練やリスキリングを実施する事業主 |
対象経費 | 職務関連訓練 OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練 有給教育訓練休暇制度の導入 デジタル人材・高度人材育成訓練 定額制訓練 事業展開等に伴うリスキリング訓練など |
上限額 | 【人材育成支援コース】 1事業所・1年度あたり:上限1,000万円 1労働者1訓練あたりの経費助成限度額:10時間以上100時間未満は中小企業15万円、大企業10万円 100時間以上200時間未満は中小企業30万円、大企業20万円 200時間以上は中小企業50万円、大企業30万円 【認定実習併用職業訓練】 OJT実施助成:中小企業20万円、大企業11万円 賃金要件等達成時:中小企業25万円、大企業14万円 【有期実習型訓練】 OJT実施助成:中小企業10万円、大企業9万円 賃金要件等達成時:中小企業13万円、大企業12万円 【中高年齢者実習型訓練】 OJT実施助成:中小企業10万円、大企業9万円 賃金要件等達成時:中小企業13万円、大企業12万円 【教育訓練休暇等付与コース】 制度導入助成:30万円 賃金要件等達成時:36万円 |
助成率 | 経費助成・賃金助成あり コース・訓練内容・企業規模により異なる |
訓練開始前の計画届提出が必要となる場合が多いため、研修実施前に対象訓練や申請手続きを確認することが重要です。
また、通常業務に必要な教育と、助成対象となる職業訓練の線引きが重要になるため、研修内容、時間数、対象者、実施方法を事前に整理しておきましょう。
参考:人材開発支援助成金とは?人材開発支援助成金のコース内容や申請から受給の流れなどを解説
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
単なる賃上げだけでなく、賃上げとあわせて業務効率化や生産性向上に取り組む点が特徴です。たとえば、POSレジ、券売機、予約システム、業務効率化設備、機械装置、システム導入などが対象となる場合があります。
最低賃金付近の従業員がいる事業場で、賃上げと設備投資を同時に進めたい企業にとって、活用しやすい助成金です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 事業場内最低賃金を引き上げる中小企業・小規模事業者 |
対象経費 | 生産性向上に資する設備投資等 機械装置、システム、POSレジ、券売機、業務効率化設備など |
上限額 | 【50円コース】 1人:30万円、事業場規模30人未満は40万円 2~3人:40万円、事業場規模30人未満は70万円 4~5人:70万円 6~7人:90万円 8人以上:110万円 10人以上:130万円 【70円コース】 1人:40万円、事業場規模30人未満は50万円 2~3人:50万円、事業場規模30人未満は100万円 4~5人:130万円 6~7人:180万円 8人以上:230万円 10人以上:300万円 【90円コース】 1人:90万円、事業場規模30人未満は100万円 2~3人:150万円、事業場規模30人未満は240万円 4~5人:270万円 6~7人:360万円 8人以上:450万円 10人以上:600万円 ※10人以上の区分は、特例事業者が対象 |
助成率 | 事業場内最低賃金1,050円未満:4/5 事業場内最低賃金1,050円以上:3/4 |
業務改善助成金は、賃金引上げ額と対象労働者数により上限額が変わります。
また、設備投資の内容が「生産性向上に資するもの」として説明できる必要があります。単なる更新や汎用品購入では対象になりにくい場合があるため、導入によってどの業務がどの程度効率化されるのかを整理しておくことが重要です。
働き方改革推進支援助成金は、労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル導入など、働き方改革に向けた環境整備を支援する制度です。
労務管理用機器やソフトウェアの導入、外部専門家によるコンサルティング、就業規則の作成・変更、労働能率を増進する設備・機器の導入などが対象となります。
長時間労働の削減や、時間外労働の上限規制への対応が必要な事業者にとって、活用を検討しやすい助成金です。特に、運送業、建設業、医療機関など、労働時間管理が重要な業種では確認しておきたい制度です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 労働時間短縮や働き方改革に取り組む中小企業事業主、事業主団体など |
対象経費 | 労務管理用機器 労務管理用ソフトウェア 外部専門家によるコンサルティング 就業規則の作成・変更 労働能率を増進する設備・機器など |
上限額 | 【労働時間短縮・年休促進支援コース】 月60時間超80時間以下を月60時間以下へ短縮:上限100万円 月80時間超を月60時間以下へ短縮:上限150万円 月80時間超を月60時間超80時間以下へ短縮:上限50万円 年休取得促進・特別休暇導入等:各上限25万円 【賃金引上げ加算】 3%以上引上げ:1人あたり最大6万円、上限60万円 5%以上引上げ:1人あたり最大8万円、上限240万円 7%以上引上げ:1人あたり最大12万円、上限360万円 【割増賃金率引上げ加算】 月60時間以内の時間外労働に係る割増賃金率を5%以上引上げ:25万円 月45時間超60時間以内の割増賃金率を5割以上にし、時間外労働を削減:75万円 【団体推進コース】 上限500万円 【取引環境改善コース】 上限100万円 |
助成率 | 原則3/4 一定要件を満たす場合4/5 交付額は「成果目標ごとの上限額・加算額の合計」または「対象経費×助成率」のいずれか低い額 |
働き方改革推進支援助成金は、単に設備を導入するだけでなく、労働時間短縮や年休取得促進などの成果目標を達成することが重要です。
勤怠管理システムや業務効率化設備を導入する場合でも、それによってどのように労働時間を削減するのか、どの成果目標につながるのかを整理しておきましょう。
参考:働き方改革推進支援助成金とは?制度内容から申請の流れやポイント、事例まで詳しく解説
厚労省の助成金では、取り組みを実施する前に計画届の提出が必要となる制度が多くあります。
たとえば、正社員化、賃金改定、研修実施、育児休業制度の整備、職場環境改善などは、実施後に申請しても対象外となる可能性があります。
「すでに正社員化した」「すでに研修を実施した」「すでに設備を購入した」という場合は対象にならないケースがあるため、必ず事前に確認しましょう。
厚労省の助成金では、補助金以上に労務管理書類の整備が重要です。
主に以下のような書類が確認されます。
就業規則
雇用契約書
労働条件通知書
賃金台帳
出勤簿
雇用保険・社会保険関係書類
36協定
賃金規定
育児・介護休業規程
これらに不備がある場合、制度要件を満たしていても申請が難しくなる可能性があります。
厚労省の助成金は、労働者の雇用環境改善を目的とした制度であるため、労働基準法、最低賃金法、雇用保険法、労働安全衛生法などの遵守が前提となります。
未払い残業代、最低賃金割れ、雇用保険未加入、就業規則未整備などがある場合は、助成金申請前に改善が必要になることがあります。
厚労省の助成金は、年度ごとに支給額、助成率、対象要件、申請様式などが変更されることがあります。
特に、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金、業務改善助成金などは、年度ごとの改正が比較的多い制度です。
申請を検討する際は、必ず最新のパンフレット、支給要領、申請様式を確認しましょう。
厚労省の助成金は、雇用維持、採用、正社員化、賃上げ、人材育成、育児・介護との両立支援、職場環境改善など、「人」に関する取り組みを支援する制度です。
特に中小企業では、パート・契約社員の正社員化、賃金制度の見直し、社員研修、リスキリング、育児休業取得支援、高年齢者雇用、外国人労働者の定着支援、業務効率化と賃上げなど、さまざまな場面で活用を検討できます。
一方で、厚労省の助成金は、就業規則や雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの労務管理書類が厳しく確認される傾向があります。また、取り組みの前に計画届の提出が必要となる制度も多いため、実施前の準備が非常に重要です。
「人材を採用したい」「社員を定着させたい」「正社員化や賃上げを進めたい」「研修やリスキリングを実施したい」と考えている事業者は、厚労省の助成金を活用できる可能性があります。
まずは自社の労務管理状況を確認し、どの制度が活用できるかを早めに整理しておくことが大切です。
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