特定の就職困難者を雇用する事業主の支援を目的とした特定求職者雇用開発助成金(※以下、特開金)の制度をご存知でしょうか。
ウクライナ避難民への支援を行っていることでも有名で、就職が難しい労働者を雇用する事業者が取り組みやすい制度です。
今回は、そんな特開金について制度の概要や対象者、申請方法など基本的な内容を解説します。
就職困難者に当たる労働者を雇用している事業者の方はぜひ参考にしてください。
特開金は、高齢者や障害者などの就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主を支援する制度です。
ウクライナ避難民の雇用に対しても支給が可能など、一部の外国人についても支援の対象となるのが特徴です。
特開金の対象者は、事業主側も労働者側でそれぞれ要件があります。
ここでは、対象となる事業者、労働者に分けて必要となる要件を紹介します。
要件から外れると原則として補助が受けられないため、事前によくチェックしておきましょう。
まず、事業者が満たすべき要件について紹介します。
すべての事業者がクリアすべき要件は以下の7つです。
雇用保険事業者であること(助成金申請と雇用保険加入が同時でもOK)
労働者の紹介時点で「特定困難者コースに該当する」と通知されていること
雇用保険の一般被保険者として継続して雇用すること(労働者が希望する限り雇用契約を更新できる、労働者が65歳以上になるまで又は2年(重度障害者は3年)以上の期間雇用する)
基準期間(雇入れ日の半前から1年)の間に事業主都合で労働者を離職させていない
過去3年間に特定就職困難者コースを利用して雇用した労働者を、事業主都合で離職させていない
基準期間に倒産、事業縮小などの事業主都合で労働者を離職させた割合が一定以下(計算式があり)
対象労働者の出勤簿、賃金台帳など必要書類を保管していること
また一部の事業者は以下の要件も満たす必要があります。
障害者の生活面を含めて支援する事業主で既に特定困難者コースを利用した労働者が5人以上いる場合、離職率が一定以下であること
障害者の就業支援を行う事業主で既に特定困難者コースを利用した労働者が5人以上いる場合、離職率が一定以下であること
※それぞれ細かい計算方法や例外などもあるため、分からない点は都道府県ごとに問い合わせてみましょう。
次に、対象となる労働者の要件についてまとめます。助成の対象となる労働者の条件をよくチェックしましょう。
また、特開金の対象は、原則として失業中であることが条件ですが、以下の労働者は例外的に離職前でも対象となります。
重度身体障害者・重度知的障害者
精神障害者
45歳以上の身体障害者、知的障害者
ここでは、特開金の支給額について紹介します。
会社規模による支給額の違いや支給期間が異なるケースもあるので、事前にチェックしておきましょう。
支給期間は半年ごとに1期、2期、3期(最大6期)として分割で支給されます。
なお、助成金の支給額が賃金の総額を上回る場合は、賃金の総額が支給額となるので注意しましょう。
支給期間の途中で労働者が退職してしまうと全額支給されない点も注意点です。
また、表にある中小企業の基準は以下の通りです。
助成金を利用する際には、スムーズに手続きできるよう申請方法をよく確認しておきましょう。
ここでは、特開金を申請する流れと必要書類について紹介します。
まずは、申請の流れです。
支給期間が半年ごとに最長6期まである特開金は1期ごとに申請書を提出する必要があります。
支給までの基本的な申請の流れは以下の通りです。
ハローワーク等から労働者の紹介をうける
雇用、労働者の雇用保険加入手続き。郵送にて特定就職困難者コースについての通知と申請書が届く
1期分の申請書を提出(※提出期限:雇入れ日から6ヶ月を経過した翌日〜2ヶ月以内)
審査
支給もしくは、不支給が決定し通知書が郵送で届く
1期分の助成金が支給される
※2期目以降は、「1. ハローワーク等からの紹介」を除き、申請の流れは同じです。
※通知分と申請書は、期ごとに郵送で届きます。
また、仮に何かの理由で1期目の申請ができなかった場合、2期目以降からの申請も可能です。
その場合には、支給要件に該当する事業者であるか確認が必要なため、1期目の申請書も合わせて提出する必要があります。
次に、申請に必要な書類について紹介します。
必要書類は全部で7種類あり、それぞれ5年間の保存が必要になるので注意しましょう。
その他、場合によって就業規則や総勘定元帳など他の書類についても提出が求められる可能性があります。
特開金をはじめ助成金を利用するためには、審査の必要書類を整理・保管し、いつでも提出できる状態にしておきましょう。
最後に、特開金を利用する際の注意点について紹介します。
はじめて申請する際に間違いやすいものをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
まず、期日を正確に確認します。
特開金の場合、「申請書提出期限の起算日」と「支給期間の起算日」が違う点に注意しましょう。
申請書提出期限の起算日は雇入れ日であり、雇入れ日から6ヶ月が経った翌日〜2ヶ月以内に申請書を提出します。
そして支給期間の起算日は賃金締切日の翌日です。
特に、雇入れ日と賃金締切日が違うケースでは、申請書提出期限の間違いに注意が必要です。
例えば、1月1日に雇入れて賃金締切日が15日、賃金支給日が末日の場合、1月末の賃金は半月分であるため、支給対象期間に該当しません。
この場合、翌月15日の翌日から支給期間(1期)がスタートします。
不支給要件の確認も大切なポイントです。
例えば、過去に他の雇用関係助成金で以下のような不正などがあった事業者には助成金が支払われません。
平成31年4月1日以降で不支給要件に該当し、不支給もしくは、支給取り消しとなってから5年を経過していない
他の事業所で不正受給に関与した役員がいる
過去の労働保険料を納付していない
申請前1年間に、労働関係法令の違反をした
性風俗関連営業、暴力団との関わりがある
詳しくは、以下の不支給要件を確認してください。
申請する内容を漏れなく確認し、不正受給に気を付けることも大切です。
虚偽申請などで不正受給になった場合は、詐欺罪等の刑事罰を受けるリスクもあるので注意しましょう。
今回は、特開金の制度概要や対象者、申請方法など基本的な内容について紹介しました。
特開金は、就職困難者の就労支援だけでなく事業者においては、労働力不足の解消につながる制度です。
解説した注意点なども参考に興味がある方は、ぜひ一度利用を検討してみてください。