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働き方改革推進支援助成金とは?制度内容から申請の流れやポイント、事例まで詳しく解説

助成金
|
更新:2026/02/06

長時間労働の是正や生産性向上が強く求められる中、中小企業にとって働き方改革への対応は避けて通れない課題となっています。しかし、人手不足や資金面の制約から、制度整備や設備投資に踏み切れない事業者も少なくありません。 そのような課題を支援するために用意されているのが、働き方改革推進支援助成金です。この助成金は、労働時間の短縮や休暇取得の促進、業務効率化に取り組む企業を対象に、設備導入費や外部専門家の活用費用などを支援する制度です。 本記事では、働き方改革推進支援助成金の制度概要から各コースの特徴、申請の流れ、申請時の注意点、さらに具体的な活用事例までを分かりやすく解説します。自社で活用できるかを判断するための実務的なポイントも整理していますので、助成金活用を検討されている方はぜひ参考にしてください。

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働き方改革推進支援助成金とは

働き方改革推進支援助成金とは、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備等に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。

具体的には、従業員や労務担当者に対する研修や外部専門家のコンサルティング、労務関係のソフトウェア導入費用などが対象となります。

働き方改革推進支援助成金の受給要件は4つのコースにより異なりますが、原則以下の資本金又は常時使用する労働者数を満たした中小企業が対象です。

業種

資本金

常勤従業員数

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他(建設業・運送業・病院等・砂糖製造業など)

3億円以下

300人以下

上記の他にも、申請するためには以下の3つの条件を満たす必要があります。

【対象者要件】

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること

  • 成果目標の設定に向けた条件を満たしていること

  • 年5日の有給休暇取得の整備をしていること

働き方改革への対応が遅れていると認識している企業は、本助成金を活用して進めるのがおすすめです。

働き方改革の効果

アンケートによると、働き改革が進んでいる企業は実際に業績が向上したと感じる回答が多いとの結果があります。

働き方改革とデジタル化をうまく組み合わせた取り組みがよく見受けられ、例えばテレワークを導入している企業は50%近い値となっています。

image

出典:令和6年通信利用動向調査の結果

テレワークやフレックスタイム制の導入、オフィス以外の業務拠点の設置など、労働環境の見直しが広まっていることから、今後はワークライフバランスを考慮した企業運営が求められます。

本助成金は、単なる労働者の負担を軽減するだけでなく、生産性の向上や業績向上にも貢献しますので、業績を伸ばしたい企業は活用しない手はないでしょう。

働き方改革推進支援助成金の4つのコース

働き方改革推進支援助成金は取り組み内容によって4コースが設けられています。

それぞれ支給要件や給付額が異なるため、ひとつずつ確認していきましょう。

業種別課題対応コース 

業種別課題対応コースは、旧適用猶予業種等対応コースに相当します。ここでは目的と対象者、申請要件、支給額について紹介します。

目的

令和6年4月1日より、建設業や運送業、病院などにも時間外労働の上限規制が適用されました。これらの業種の事業者に対して、生産性を図るためのシステムや機器を導入し、なおかつ働きやすい職場づくりを目指す取り組みをサポートすることを目的としています。

対象者

支給対象の要件は、業種により異なります。詳しくは以下をご覧ください。

例として建設業では、労働基準法(昭和22年法律第49号)第139条第1項に定める工作物の建設の事業その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業を主たる事業として営む事業主が対象になります。

業種別の対象者の定義については、「働き方改革推進支援助成金  (業種別課題対応コース)  申請マニュアル」をご確認ください。

申請要件

申請要件として、支給対象となる取り組みの実施と成果目標の設定が必要となります。

支給対象となる取り組みの例として、研修や外部専門家によるコンサルティング、就業規則や労使協定等の作成や変更、人材確保への取り組み、ソフトウェアや機器の導入など幅広く設定されています。

成果目標は、以下の項目から1つ以上を目指します。(建設業の例)

① 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時 間数の縮減

② 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入

③ 時間単位の年次有給休暇制度と、交付要綱で規定 する特別休暇を1つ以上新規導入

④ 9時間以上の勤務間インターバルの導入

⑤ 4週における所定休日を1日から4日以上増加

上記①から⑤の成果目標に加えて、指定する労働者の時 間当たりの賃金額を3%以上5%以上または7%以上引き上げることを成果目標に加えることができます。

支給額

支給額は成果目標の達成状況に応じて支給されます。以下のいずれかの低い方の金額です。

  • 成果目標の上限および賃金加算額の合計

  • 対象経費の合計額×3/4(※)

(※)労働者が30人以下で以下の支給対象を実施し、所要額が30万円を超えた場合は補助率が4/5になります。

・労務管理用ソフトウェアの導入・更新

・労務管理用機器の導入・更新

・デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

・働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

賃上げの割合や労働者数によっても上限が変わりますので、詳しくは「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース) |厚生労働省」をご確認下さい。

また、業種によっても助成額の上限額が変動するので、以下の業種別のリーフレットも確認しておきましょう。

労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間短縮・年休促進支援コースでは、労働時間や休暇に関する見直し政策をする事業主に助成金が給付されます。目的や申請要件などを確認しましょう。

目的

労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援することを目的としています。

「新たに機械・設備を導入して、生産性を向上させたい」「手書きでの労務管理を失くしてミスや時間効率を上げたい」「外部の専門家に相談して業務改善を図りたい」という企業に向いています。

対象者

対象者は労災保険の適用を受けており、就業規則等を整備している事業者になります。詳細は以下のページをご覧ください。

参考:令和7年度「働き方改革推進支援助成金」労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内

申請要件

申請要件としては、支給対象となる取り組みと成果目標の設定が必要です。

支給対象に関しては、研修の実施や外部専門家によるコンサルティング、就業規則や労使協定等の作成や変更、人材確保への取り組み、ソフトウェアや機器の導入などになります。

支給額

支給額に関しては業種別課題対応コースと同様です。

ただし、成果目標の達成状況ごとの加算額が異なります。

  • 成果目標1:150万円~250万円

  • 成果目標2:25万円

  • 成果目標3:25万円

勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバル導入コースは、2019年4月より導入が努力義務化されました。目的や対象者などを確認していきましょう。

目的

勤務終了後、次の勤務までの休息時間を設け、過重労働や健康保持などを図ることを目的としています。勤務間インターバルとは、終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているものを指します。

つまり、労働者の健康などを考慮するため、しっかり休む時間を確保する企業を支援する制度ということです。

対象者

対象者は労災保険の適用を受けているほか、36協定の締結などが必要です。詳細は以下をご覧ください。

参考:令和7年度「働き方改革推進支援助成金」勤務間インターバル導入コースのご案内

申請要件

支給対象に関しては、他コースと同様に研修や就業規則の変更等が必要となります。

成果目標に関しては、以下の目標を目指して実施する必要があります。

1. 労災保険の適用事業主であること 労働者災害補償保険の適用を受けている事業主である必要があります。

2. 次のいずれかに該当する事業場を有していること 以下のアからウのいずれかに該当する事業場が対象となります。

  • 勤務間インターバル制度を導入していない事業場

  • 休息時間が9時間以上の勤務間インターバルを既に導入しているものの、対象となる労働者が当該事業場の労働者の半数以下である事業場

  • 休息時間が9時間未満の勤務間インターバル制度を導入している事業場

3. 36協定の締結・届出がされていること 全ての対象事業場において、交付申請時点および支給申請時点の両方で、36協定が適切に締結・届出されている必要があります。

4. 時間外労働の実態があること 全ての対象事業場において、原則として過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があることが求められます。 ※一定の例外が認められる場合があります。

5. 年次有給休暇取得のための制度整備がされていること 全ての対象事業場において、交付申請時点で年5日の年次有給休暇取得に向けた就業規則等の整備が行われている必要があります。

詳細は対象事業者によって異なるため、事前に社労士等の専門家へ相談しましょう。

支給額

支給額は、対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額です。

ただし、休憩時間や新規導入に該当するかによって上限額が定められています。

休憩時間

新規導入に該当する取組がある場合

適用範囲の拡大又は時間延長に該当する取組がある場合

9時間~11時間未満

100万円

50万円

11時間以上

120万円

60万円

また、賃金額の引上げ目標を達成した場合には支給の上限額が引き上げられます。

団体推進コース

団体推進コースは各企業ではなく、中小事業主の団体が対象となるコースです。

目的

中小企業事業主の団体や、その連合団体が、その傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組を実施した場合に、その事業主団体等に対して助成するものです。

インターバル制度を導入するために必要な機器設備の導入や労務管理機器やソフトウェアの導入などの助成金を活用できます。

対象者

対象者は3者以上で構成される団体で、1年以上の活動実績が必要となります。

参考:令和7年度「働き方改革推進支援助成金」団体推進コースのご案内

申請要件

申請要件としては、支給対象となる取り組みと成果目標の設定が必要です。支給対象となる取り組みとして、市場調査、新ビジネスモデルの開発など全10項目から1つ以上を実施する必要があります。

成果目標に関しては、時間外労働の削減又は賃金引上げに向けた改善事業の取組を行い、構成事業主の2分の1以上に対してその取組又は取組結果を活用することです。

支給額

支給額は成果目標の達成状況に応じて、以下のいずれかの低い方の金額です。

・対象経費の合計額

・総事業費から収入額を控除した額

・上限額500万円(要件を満たした場合は1,000万円)

働き方改革推進支援助成金の申請の流れ

ここでは働き方改革推進支援助成金の申請の流れを紹介します。

交付申請書・添付書類を提出する

はじめに、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に交付申請書と添付書類を提出します。

提出方法は、直接持ち込みか郵送、電子申請ができます。

交付申請書と添付書類は各コースによって異なるので、間違えないように注意しましょう。

事業を実施する

申請が完了し、審査が行われ、1か月ほどで結果が通知されます。

無事採択された後は、提出した事業計画書に沿って事業を実施します。

支給申請書を提出する

事業完了後、支給申請書を提出し、助成金を受け取る流れです。

働き方改革推進支援助成金を申請する際の5つのポイント

働き方改革推進支援助成金は、コースごとに細かく要件が定められているだけでなく、支給までタイムラグがあるなど注意しなければいけない点が多々あります。

ここでは働き方改革推進支援助成金を申請する際の5つのポイントを紹介します。

条件を満たしているか確認する

はじめに申請要件や対象者の条件などを満たしているのか確認しましょう。

働き方改革推進支援助成金には、支給対象となる取り組みや中小企業の定義に加え、各コースごとに申請要件が定められています。

条件を満たした事業者でなければ助成金は交付されないため、事前にチェックしておくことが大切です。該当しているか分からないという方は、社労士等の専門家に相談しましょう。

申請期間の期限内に提出する

働き方改革推進支援助成金のコースによって申請期間が設けられています。

加えて、支給申請は、事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日、または各コースごとの期日の早い日までと定められているため、期日管理を行っておきましょう。

本記事執筆時点(2026年2月)では、令和8年度のスケジュールは未確定です。公表があり次第更新しますが、本助成金は国の予算額に制約されるため、予告なく受付を締め切る場合があることから早めに申請することをおすすめします。

事業の実施期間に注意する

働き方改革推進支援助成金の審査をクリアしても、事業の実施期間が経過しなければ支給されません。

助成金は審査さえクリアすれば支給されるのが一般的ですが、働き方改革推進支援助成金は提出した事業計画書通りの実績が求められるため注意が必要です。

申請数に上限があるため、余裕を持って計画を立てる

働き方改革推進支援助成金は、申請数に上限が設けられているため、余裕を持った計画を立てましょう。

特に申請期限が近づくにつれて、助成金が予算に達してしまい、打ち切られる可能性もあります。

働き方改革推進支援助成金を検討している方は1日でも早く申請するようにしましょう。

支給までにはタイムラグがある

働き方改革推進支援助成金は、交付が確定しても支給されるまでタイムラグがあるため注意しましょう。

特に資金繰りで苦労している企業様は、他でも資金調達ができないか調べておくのも一つの選択肢です。

具体的な活用事例

ここでは、働き方改革推進支援助成金を活用した事例を3つほど紹介します。

出展:働き方改革推進支援助成金 活用事例

治療用装置の導入による施術の効率化

東京都練馬区にある歯科医院(小児歯科)では、患者の口腔内の型取りに時間と労力を費やしており、労働時間が長くなっていました。

そこで、働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースを活用し、口腔内スキャナーを新たに導入します。

これにより施術効率が大きく高まり、作業時間が30分以上だったところ、13分まで短縮します。

加えて施術作業をサポートするスタッフも3名から2名に減少させることができ、他の患者への対応にも充てられる成果が得られた事例です。

勤怠管理システムの導入による効率的で適正な労働時間管理の推進

東京都中野区にある社会福祉や介護事業を行う企業では、従業員の出勤簿をすべて手作業で

行っていたため、労務担当者の負担が大きい状況でした。

そこで勤怠管理システムとICカード機器を導入し、集計時間を大きく圧縮します。

これにより、月平均20時間かかっていた作業を5時間に短縮でき、労働能率がアップしたこ

とで時間外労働の削減ができた事例です。

自動精算機の導入による効率化

東京都中億の医療機関では、外来患者の会計処理を電卓を用いた手計算で行い、金銭授受を行っており、多大な労力がかかっている状態でした。

そこに自動精算機を導入し、会計処理を自動化します。その結果、会計の作業ミスもなくなるうえ、レジ閉め作業も1か月あたり23時間削減できました。

また、その結果、11時間以上の勤務間インターバル制度の導入に成功した事例です。

まとめ

働き方改革推進支援助成金は、時間外労働の上限規制が適用された昨今、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備等に取り組む中小企業事業主に対して助成する制度です。

本助成金には4つのコースがあり、それぞれ対象要件や支給額に違いがあります。活用を検討している方は、社労士等の専門家に要件を満たしているのかチェックしてもらうことをおすすめします。

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