物価高や人材不足、コロナ後の売上減少など、飲食店が抱える問題は数多くあります。
そんなときに活用したいのが補助金です。補助金を活用することで、顧客拡大や事業転換のための投資費用を賄うことができます。
この記事では、飲食店におすすめな補助金5選を紹介します。実際に補助金に採択された事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店が活用しやすい補助金は以下の5つです。
補助金名 | 補助金の概要 | 補助額 | 採択率 |
---|---|---|---|
IT導入補助金 | ITツール導入にかかる経費の一部を対象とする補助金 | 5万円~350万円以上 | 75.21% |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者を対象に事業を継続、成長させるための補助金 | 50万円~200万円 | 47.5% |
事業承継・引き継ぎ補助金 | 中小企業や小規模事業者が事業承継する際に契機として新しい取り組み等を行う際、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う起業を支援する制度 | 150万円~800万円 | 67.1% |
ものづくり補助金 | 新商品や新サービスの開発を行う企業をサポートする補助金 | 100万円~8,000万円 | 50.1% |
事業再構築補助金 | 新商品やサービスの開発、新しい分野への進出、業種の変更などの付加価値を高める中小企業の事業を支援する補助金 | 1,500万円~5億円 | 46.5% |
※採択率の計算方法については、採択率の高い補助金ランキングTop7!主な補助金と採択率を紹介をご参照ください。
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に利用できる補助金のことです。
飲食店においては「セルフレジ」や「券売機・タブレット」など、無人化対応できるハードウェアやソフトウェアなどの導入費用に関して補助金が交付されます。
飲食店では、人材不足と答えている企業が約6割以上あります(引用:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査)。
正社員はおろかアルバイトの確保さえも難しく、人材不足を懸念している飲食店などであれば、セルフオーダーシステムなどを導入することで、従業員が注文を取る必要がなくなります。
また、キャッシュレス決済などを導入すれば、会計ミスもなくなるうえ、時代に合わせた支払方法が可能となり、従業員の負担も軽減されます。
そのため、飲食店においてIT導入補助金は深刻な人材不足の解消ができる補助金の一つでもあります。
IT導入補助金は、申請枠によって対象のITツールと補助額、補助率が異なります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
IT導入補助金とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者を対象に事業を継続、発展させてもらうことを目的とした補助金制度です。
事業を継続するうえで必要なソフトウェアなどの購入費用や、新商品開発費用、チラシなどの広告制作費などが該当します。
小規模事業者持続化補助金は、5つの申請枠に分かれており、最も補助上限額が低い通常枠であっても50万円が交付されます。
しかし飲食店の場合、常時雇用する従業員の数が5名以下でなければ小規模事業者持続化補助金の対象者とならないため、従業員の数には注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。
小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説
事業継承・引継ぎ補助金とは、後継者が見つからない中小企業や、廃業を検討している経営者が事業継承やM&Aにて継続させる時にかかる費用を補助する制度です。
老舗の飲食店や人気のある飲食店であっても、次の後継者が見つからず、廃業を余儀なくされている方も多いという傾向にあります。これらの状況を防ぐため、国が事業継承を支援するために制定された制度の一つです。
事業継承・引継ぎ補助金は、、新商品の開発や新たな顧客層の開拓、他社への事業継承などを行う場合に適用され、最大800万円まで交付されます。
事業継承・引継ぎ補助金について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
事業承継・引継ぎ補助金とは?制度概要や対象者、補助額、申請方法などを解説
ものづくり補助金とは、新商品や新しい生産方式の導入を行う企業や新サービスの開発などを行う中小企業などに対して交付される補助金です。飲食店においては、機械設備やシステムの導入時に利用することができます。
例えば、カフェなどの飲食店では「大型と小型のコーヒー焙煎機」や「焼き菓子製造機」などや、そば屋などでは「製麺設備」や「真空包装機」などの導入をする際に補助金が使えます。
機器導入することで、新商品の開発ができ、新規顧客の獲得や単価アップなど、売上の工場に期待ができるでしょう。
ものづくり補助金は4つの申請枠に分かれ、その中の「省力化(オーダーメイド)枠」では、従業員が5人以下であっても、100万円〜750万円の補助金額が交付されます。そのため小さな飲食店であっても利用できる特徴があります。
ものづくり補助金の詳細は以下の記事をご覧ください。
ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説
事業再構築補助金とは、新商品やサービスの開発、新しい分野への進出、業種の変更など、企業の事業を再構築して付加価値を高める企業を支援する補助金のことです。
飲食店として本補助金を利用するためには、新商品を開発し、新たなマーケットに進出したり、別業種へのチャレンジなどに利用できます。
事業再構築補助金は、最も低い補助金額で3,000万円と、本記事で紹介した補助金の中で最も高額です。
さらに、海外で製造し、国内に回帰させる場合などは、最大で5億円まで補助金が交付されます。
事業再構築補助金は「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5つのうち、いずれか一つに該当していなければいけません。
事業再構築補助金の詳細は以下の記事をご覧ください。
事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説
また、飲食店で利用できる補助金・助成金については、以下の記事もご覧ください。
参考:飲食店を開業したい!利用できる補助金・助成金まとめ( 東京居抜き物件ニュース)
ここでは飲食店が実際に補助金に採択された事例を2つ紹介します。
株式会社ノースコーポレーションは埼玉の地元食材にこだわった料理を提供する会社でしたが、コロナ禍における緊急事態宣言や時短・会食自粛の影響で、売上7割減という店舗も現れる厳しい経営状況でした。
そこで、テイクアウトと宅配形式による小売業に進出するため事業再構築補助金を利用しました。さらに第1号店舗を地産地消セレクトショップを行う拠点にし、地元食材を開発・販売する店舗へ改装します。
その結果、新メニューの開発や既存店舗のセントラルキッチンへ整備することができ、生産性の向上につながりました。
現在では補助事業終了後5年目で新規事業の売上比率20.7%、従業員一人あたりの付加価値額24.1%増を計画しています。
参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases/case002.html
株式会社ナチュールプロビジョンは、オリジナルプリンの製造、web通販や直営店での販売、カフェを経営している青森県の会社です。
過去にはコンクールで受賞実績もある人気店でしたが、コロナ渦によって売上が低迷する厳しい状況となりました。
そこで、レトルト食品事業への進出を目指すことを決断し、事業再構築補助金を活用して販売までをワンストップで提供できるOEM事業を開始しました。この事業は青森県産の食材の付加価値を高め、地域活性化にも繋がりました。
補助事業終了後4年目で売上78.7%(増新分野比率33.0%)を計画しています。
参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases/case001.html
この記事では、飲食店向けおすすめ補助金5選を紹介しました。
会社に合った補助金を活用すれば、飲食店の継続や成長につながります。また、補助金を活用して新規事業への参入に成功している飲食店も多いです。一度検討してみてはいかがでしょうか。
一方で補助金は綿密な事業計画が必要で、必ず交付されるものではありません。
「採択率を高めたい」「採択される事業計画書を作成したい」とお考えの方は、補助金申請代行業者に相談してみましょう。