物価高や人材不足、コロナ後の売上減少など、飲食店が抱える問題は数多くあります。
そんなときに活用したいのが補助金です。補助金を活用することで、顧客拡大や事業転換のための投資費用を賄うことができます。
この記事では、飲食店におすすめな補助金5選を紹介します。実際に補助金に採択された事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店が活用できる補助金には、ITツールの導入や販路開拓、新商品・新サービスの開発、事業承継、省力化設備の導入などを支援する制度があります。
主な補助金は以下の5つです。
補助金名 | 補助金の概要 | 補助額 |
|---|---|---|
デジタル化・AI導入補助金 | ITツールやソフトウェアの導入による業務効率化を支援 | 通常枠は5万円~450万円 |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援 | 通常枠は上限50万円。特例による上乗せあり |
事業承継・M&A補助金 | 事業承継やM&A、経営資源の引き継ぎなどを支援 | 申請枠により異なる |
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新市場への進出や革新的な製品・サービスの開発を支援 | 申請する事業の類型や従業員数などにより異なる |
中小企業省力化投資補助金 | 人手不足の解消につながる設備・システムの導入を支援 | カタログ注文型・一般型で異なる |
※補助額や補助率、対象経費は申請枠や事業者の要件によって異なります。また、補助金は申請すれば必ず受給できるものではありません。最新の公募要領を確認してください。
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールを導入し、業務効率化や生産性向上を図る際に活用できる補助金です。従来の「IT導入補助金」から名称が変更され、2026年度も実施されています。
飲食店では、POSレジや会計ソフト、予約管理システム、顧客管理システムなどの導入が検討対象となります。対象となるITツールや申請枠の要件を満たせば、注文や会計に関する業務の効率化にも役立てられます。
飲食店では、人手不足が経営上の課題となっています。帝国データバンクが2023年10月に実施した調査でも、飲食店では人手不足が深刻な状況にあることが報告されています。
例えば、セルフオーダーシステムを導入すれば、従業員が各テーブルを回って注文を取る作業を減らせます。また、POSレジと会計システムを連携させることで、売上集計や経理業務の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、セルフレジや券売機などのハードウェアが、すべての申請枠で補助対象になるわけではありません。対象となるITツールや機器、導入方法は制度の要件によって異なります。
通常枠の補助額は5万円以上450万円以下で、補助率は原則2分の1以内です。一定の賃金要件を満たす場合は、補助率が3分の2以内となることもあります。
飲食店のデジタル化を進めたい場合は、自店の課題を明確にし、対象となるITツールを選定しましょう。
詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画に基づいて取り組む販路開拓や、それに伴う業務効率化などを支援する補助金です。
飲食店では、新規顧客の獲得や認知度の向上、新商品の販売促進などを目的とした取り組みに活用できる可能性があります。
例えば、新メニューの開発に伴う販促活動や、チラシの作成、看板の設置、販路開拓につながるWebサイトの制作などが考えられます。ただし、対象経費は公募要領で定められており、すべての広告費や設備購入費が補助対象になるわけではありません。
一般型・通常枠の補助上限額は50万円です。インボイス特例や賃金引上げ特例などの要件を満たす場合は、補助上限額が上乗せされます。補助率は原則3分の2ですが、適用する特例などによって異なる場合があります。
なお、飲食店が小規模事業者に該当するかどうかは、常時使用する従業員数などによって判断されます。商業・サービス業に該当する飲食店では、原則として常時使用する従業員が5人以下であることが要件のひとつです。
申請を検討する際は、従業員数だけでなく、事業者の要件や対象経費、申請手続きについても確認しましょう。
小規模事業者持続化補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aを契機とした経営革新、経営資源の引き継ぎなどを支援する補助金です。後継者への事業承継に伴う設備投資や、M&Aに必要な専門家への相談費用など、申請枠に応じて補助を受けられます。
飲食業界では、経営者の高齢化や後継者不足などにより、長年営業してきた店舗が廃業を余儀なくされるケースもあります。事業承継・M&A補助金は、こうした事業の引き継ぎや、承継後の経営基盤の強化を検討している事業者にとって選択肢のひとつです。
例えば、親族や従業員への事業承継に伴って厨房設備を更新する場合や、M&Aによる事業の引き継ぎに際して専門家を活用する場合などに、対象経費の補助を受けられる可能性があります。
補助上限額は申請枠によって異なります。2026年度の第15次公募では、事業承継促進枠は原則800万円で、一定の賃上げ要件を満たす場合は1,000万円に引き上げられます。専門家活用枠やPMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠にも、それぞれ補助上限額が設けられています。
ただし、事業承継やM&Aを予定していれば、必ず利用できるわけではありません。申請枠ごとに対象者や対象経費、事業承継の要件などが定められています。
事業承継・M&A補助金 について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
参考記事:事業承継・M&A補助金とは?制度概要や対象者、補助額、申請方法などを解説
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、新たな市場への進出や革新的な製品・サービスの開発などに取り組む中小企業等を支援する制度です。
2026年度には、従来の新事業進出補助金とものづくり補助金に関連する制度が統合され、この名称で公募が実施されています。そのため、旧制度を別々の補助金として紹介するのではなく、統合後の制度として検討する必要があります。
飲食店では、既存の店舗運営とは異なる新たな市場への進出や、新商品の開発、独自のサービスを提供するための設備投資などが活用例として考えられます。
例えば、これまで店内飲食を中心に営業していた飲食店が、新たに高付加価値な冷凍食品を開発して広域販売に取り組むケースや、独自の製造技術を生かして新たな顧客層を開拓するケースなどです。
ただし、既存店舗の単なる改装や厨房機器の買い替えだけでは、制度の要件を満たさない可能性があります。新市場への進出や製品・サービスの革新性など、申請する事業の類型に応じた要件を確認することが大切です。
補助上限額や補助率は、申請する事業の類型や従業員数、適用する特例などによって異なります。旧制度で公表されていた補助額を、そのまま現在の制度に当てはめないよう注意しましょう。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
参考記事:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?対象者・補助額・対象経費をわかりやすく解説
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消や業務の効率化を目的として、省力化につながる設備やシステムの導入を支援する補助金です。飲食店においても、業務の自動化や従業員の負担軽減に役立つ設備投資を検討する際の選択肢となります。
本補助金には、あらかじめ登録された省力化製品から選んで導入する「カタログ注文型」と、事業者ごとの業務内容に合わせた設備導入やシステム構築を支援する「一般型」があります。
飲食店では、配膳ロボットや自動精算機などを活用して業務負担を軽減したり、調理や店舗運営の工程を効率化したりする取り組みが考えられます。ただし、具体的な対象製品や導入方法は申請する類型によって異なります。
一般型の補助上限額は、従業員数に応じて750万円から8,000万円です。大幅な賃上げに関する特例が適用される場合は、上限額が1,000万円から1億円に引き上げられます。補助率は、中小企業では原則2分の1、小規模事業者などでは3分の2です。一定の要件を満たす場合は、補助率が引き上げられることもあります。
なお、一般型は個別の事業内容に応じた設備やシステムの導入を支援する制度であり、飲食店であればどのような機器でも対象になるわけではありません。導入する設備の省力化効果や事業計画などが審査されるため、公募要領を確認したうえで申請を検討しましょう。
参考記事:中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)とは?制度概要や対象者、補助額、申請方法などを解説
ここでは飲食店が実際に補助金に採択された事例を2つ紹介します。
株式会社ノースコーポレーションは埼玉の地元食材にこだわった料理を提供する会社でしたが、コロナ禍における緊急事態宣言や時短・会食自粛の影響で、売上7割減という店舗も現れる厳しい経営状況でした。
そこで、テイクアウトと宅配形式による小売業に進出するため事業再構築補助金を利用しました。さらに第1号店舗を地産地消セレクトショップを行う拠点にし、地元食材を開発・販売する店舗へ改装します。
その結果、新メニューの開発や既存店舗のセントラルキッチンへ整備することができ、生産性の向上につながりました。
現在では補助事業終了後5年目で新規事業の売上比率20.7%、従業員一人あたりの付加価値額24.1%増を計画しています。
参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases/case002.html
株式会社ナチュールプロビジョンは、オリジナルプリンの製造、web通販や直営店での販売、カフェを経営している青森県の会社です。
過去にはコンクールで受賞実績もある人気店でしたが、コロナ渦によって売上が低迷する厳しい状況となりました。
そこで、レトルト食品事業への進出を目指すことを決断し、事業再構築補助金を活用して販売までをワンストップで提供できるOEM事業を開始しました。この事業は青森県産の食材の付加価値を高め、地域活性化にも繋がりました。
補助事業終了後4年目で売上78.7%(増新分野比率33.0%)を計画しています。
参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases/case001.html
この記事では、飲食店向けおすすめ補助金5選を紹介しました。
会社に合った補助金を活用すれば、飲食店の継続や成長につながります。また、補助金を活用して新規事業への参入に成功している飲食店も多いです。一度検討してみてはいかがでしょうか。
一方で補助金は綿密な事業計画が必要で、必ず交付されるものではありません。
「採択率を高めたい」「採択される事業計画書を作成したい」とお考えの方は、補助金申請代行業者に相談してみましょう。

