ロボットは、今やビジネスにおいてなくてはならない存在となりつつあります。
事業拡大や生産性の向上を図るだけでなく、人材不足問題の解消やAIの発達に合わせて、社会で活躍するロボットが増加することは容易に想定できます。
しかし、ロボットを導入するとなると高額な費用がかかります。その際に活用できるのが補助金です。
この記事ではロボット導入に使える補助金と、補助金を活用するメリット・デメリット、注意点を紹介します。
補助金で導入できるロボットには以下のような種類が挙げられます。
産業ロボットとは工場での搬送・加工・組立・洗浄など、人間に代わって様々な作業の自動化を行うロボットのことです。生産性の向上や人員削減、品質不良の改善などにつながります。
主な産業ロボット |
|---|
・垂直多関節ロボット ・スカラロボット(水平多関節ロボット) ・パラレルリンクロボット ・円筒座標ロボット ・協働ロボット など |
サービスロボットとは、小売店や飲食店などサービス業界で使用されるロボットの総称です。人手不足を解消し、顧客の利便性を高められるとして注目されています。
主なサービスロボット |
|---|
・配膳ロボット ・配送・運搬ロボット ・医療ロボット ・警護ロボット ・清掃ロボット など |
介護ロボットとは、介護が必要な人と介護する人の双方の支援ができるロボットのことです。
高齢社会を迎えた日本において介護ロボットの導入は不可欠となっており、病院や老人ホーム、高齢者施設などさまざまな場所で導入されています。
主な介護ロボット |
|---|
・見守りシステムの介護ロボット ・自立支援型介護見守りロボット ・電動アシスト付き歩行支援機器ロボット ・服薬支援ロボット ・入浴介護ロボット など |
物流ロボットとは、物流における「ピッキング」や「仕分け」といった単純業務をオートメーション化するためのロボットのことです。
手作業での運搬や仕分けをするより、圧倒的に効率が高く、人によるミスを失くすことから多くの物流会社に導入されています。
主な物流ロボット |
|---|
・搬送系ロボット ・自律走行ロボット ・ソーターロボット ・棚流動型ロボット ・棚卸ロボット など |
農業ロボットとは、ITやAIなどの最新技術を用いて農作業の効率を図るためのものです。
スマート農業ともいわれ、情報やデータ技術を利用して生産システムと品質向上に役立てることを目的に導入されています。
主な農業ロボット |
|---|
・農業用ドローン ・収穫ドローン ・衛星リモートセンシング ・トラクター型ロボット など |
ロボットの導入に活用できる補助金には、新製品・新サービスの開発を支援する制度や、人手不足の解消・業務効率化を目的とした制度などがあります。ここでは、ロボット導入を検討する企業が活用できる主な補助金を紹介します。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、革新的な新製品・新サービスの開発や、新市場・高付加価値事業への進出、海外市場の開拓に向けた設備投資などを支援する制度です。
申請枠は、主に「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つに分かれており、それぞれ補助上限額や対象となる事業が異なります。
革新的新製品・サービス枠:補助上限額750万~2,500万円(賃上げ特例の適用時は最大3,500万円)
新事業進出枠:補助上限額最大7,000万円(賃上げ特例の適用時は最大9,000万円)
グローバル枠:海外市場の開拓に向けた国内体制の強化などを支援
例えば、AIや画像認識技術を活用した自動組立ロボットを導入し、新たな製品の開発につなげる取り組みや、ロボットを活用した新サービスを開発する事業などが、活用を検討する例として挙げられます。
ただし、既存業務の効率化を目的にロボットを導入するだけでは、対象にならない場合があります。申請する枠の目的に合った事業計画を策定することが重要です。
制度の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?対象者・補助額・対象経費をわかりやすく解説
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者などが取り組む販路開拓や、それと併せて行う業務効率化を支援する制度です。ロボットの導入についても、事業の目的や経費の内容によっては活用できる可能性があります。
一般型・通常枠の補助上限額は原則50万円で、インボイス特例や賃金引上げ特例などの適用により上限額が増額される場合があります。補助率は原則2/3です。
例えば、飲食店が配膳ロボットを導入して接客業務を効率化し、従業員が顧客対応や販路開拓に注力できる体制を整える取り組みなどが考えられます。ただし、ロボットの購入費が補助対象となるかは、申請する事業の内容や公募要領に基づいて判断されます。
小規模事業者持続化補助金は、ロボット導入だけでなく、広告宣伝や店舗改装などの販路開拓にも活用できる制度です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考:小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業などの業務効率化や生産性向上を目的に、ITツールやAIなどの導入を支援する制度です。旧「IT導入補助金」が名称変更された制度で、申請枠ごとに対象となるITツールや補助額が異なります。
主な対象経費には、対象として登録されたソフトウェアの購入費やクラウド利用料、導入関連費用などがあります。
例えば、ロボットと連携する生産管理システムや、製造工程を管理するソフトウェアなどが活用を検討する対象となります。ただし、配膳ロボットや製造ロボットなどの機械本体が、一般的に補助対象となるわけではありません。 対象となるITツールや経費、申請枠の要件を事前に確認する必要があります。
デジタル化・AI導入補助金については、以下の記事も参考にしてください。
参考:デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消や生産性向上を目指す中小企業などに対し、ロボットや省力化設備の導入を支援する制度です。「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型があります。
カタログ注文型は、あらかじめ登録された省力化製品を選んで導入する方式です。一方、一般型は、個々の企業の業務や現場に合わせた設備導入・システム構築などを支援します。
カタログ注文型の補助上限額は、従業員数に応じて200万~1,000万円で、大幅な賃上げを行う場合は300万~1,500万円に引き上げられます。 補助率は1/2以下です。一般型は、従業員数や申請要件などに応じて補助上限額が設定され、最大1億円となっています。
例えば、次のようなロボット導入が考えられます。
製造業:ロボットによる部品の搬送や組み立ての自動化
物流業:無人搬送車(AGV・AMR)による荷物の搬送
宿泊業:清掃ロボットによる清掃業務の省力化
飲食業:配膳ロボットによる配膳業務の効率化
ただし、カタログ注文型では、補助対象として登録された製品を選ぶ必要があります。一般型でも、事業計画や省力化効果などの要件を満たさなければなりません。
制度の詳細については、以下の記事で解説しています。
参考:中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?カタログ注文型との違いや活用例・申請手順も解説
地方自治体でも独自のロボット導入補助金を設けているケースもあります。
一例ではありますが、自治体の補助金を紹介します。
東京都では、高齢者施設において、施設外からの遠隔操作を行うことができる分身ロボットなどの機器導入費に対して補助金が交付されます。
対象となるのは、東京都内に所在する特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅などです。
導入にあたり、1施設当たり30万円〜240万円の補助金が交付されます。
令和7年8月末までの申請期限と定められているため、気になる方は「高齢者施設における分身ロボット等活用支援事業」をご確認ください。
神奈川県では、「さがみロボット産業特区」の取組で商品化されたロボットの導入経費を補助します。
神奈川県内に在住している個人や事務所を有する法人に対して、最大100万円まで交付されます。
対象となるロボットには制限されておりますが、清掃ロボットやリハビリ用歩行トレーニングロボット、運搬する協働運搬ロボットなど、さまざまな商品が含まれています。
神奈川県に事務所がある方で気になる方は、「【受付中】ロボット導入支援補助金のご案内 - 神奈川県ホームページ」をご確認ください。
大阪府では、介護現場での人材不足を解消するため、介護ロボットを導入する事業者へ補助金が交付されます。
対象となる介護ロボットには、移乗介護(装着型・非装着型)ロボットや見守り・コミュニケーションロボット、入浴支援ロボットなどさまざまなものがあります。
補助額も導入するロボットによって異なりますが、最大で500万円交付されます。
大阪府介護ロボット導入支援事業について詳しく知りたい方は、「大阪府介護ロボット導入支援事業」をご確認ください。
補助金を活用すれば、資金面で大きなメリットがあげられますが、それ以外にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、ロボット導入に補助金を活用するメリットを3点紹介します。
ロボット導入に補助金を利用する最も大きなメリットは、負担する費用を抑えられる点です。
ロボットは、導入する機器によって異なるものの、数十万円〜数千万円と幅広いです。生産性の向上が見込めるとはいえ、大きな金額を投資して導入するというのは、簡単に決断できるものではありません。
しかし、補助金を活用すれば、導入資金を最小限に抑えられます。
また、本記事で紹介した補助金では、従業員や資本金などに制限が設けられています。大手企業などは、すでにロボットを導入していることも多く、補助金の対象外となるケースも多いです。
中小企業や小規模事業者だからこそ、ロボットを導入して補助金による資金確保を行うことができます。
ロボット導入時に補助金を受けておけば、金融機関からの融資調達がしやすくなるメリットがあります。
本記事で紹介した補助金には、すべて厳密な審査があり、クリアされなければ採択されません。
採択されれば事業計画に対する信頼性があることを意味するため、金融機関からの融資審査が通りやすくなるメリットがあります。
ロボット導入に関する補助金を受ければ、事業内容の評価が得られます。
補助金の交付を受けるためには、認定経営革新等支援機関などの専門家による厳しい審査を通過しなければいけません。
補助金の交付を受けた企業は、国や公的機関のお墨付きであることも意味するため、事業内容の評価を得られることになるでしょう。
事業評価が得られれば、取引先の幅も広がり、次第にはユーザーへの信頼度も高まります。その結果事業として成功する可能性が大いに高まるメリットが挙げられます。
一方、ロボット導入に補助金を活用する際には、デメリットも生じます。
ここでは2点紹介するため、事前に確認してから活用しましょう。
ロボット導入に関する補助金には、すべて審査があります。そのため、申請したからといって必ず採択されるわけではありません。
国や公的機関の厳しい審査を受け、認可されるためには、あらかじめ要件を満たし、担当者を納得させる事業計画書の作成が求められます。
万が一、審査が落ちてしまうと、それまでの書類作成や申請準備などが無駄となってしまうことになるデメリットがあります。
補助金を申請するためには、さまざまな必要書類を用意し、適切な手続きを行わなければいけないという手間がかかります。
さらに、補助金は申請しても、ロボットなどを導入したのちに実績を報告してから交付されます。時間と労力がかかることから、初めて申請される方には難易度が高いことでしょう。
そのため、補助金の申請をする際は専門家の手を借りることを強くおすすめいたします。
補助金を活用してロボットを導入する際は、以下の3点に注意してください。
補助金には、それぞれ申請期間や公募回が定められています。また、予算や審査の状況によって、募集が終了したり、次回の公募が実施されなかったりする場合もあります。
そのため、ロボットの導入を検討する際は、各補助金の公式サイトで最新の募集状況を確認しましょう。次回の公募が予定されている場合でも、募集時期や申請要件が変更される可能性があるため、過去の情報だけで判断しないことが大切です。
なお、補助金によっては、交付決定前に発注・契約した設備が補助対象外となる場合があります。申請前に対象経費や事業着手のタイミングに関する要件も確認してください。
補助金は、申請に関する手続きだけでなく、交付決定を受けたあとの手続きや補助事業の実施など、さまざまな事務処理が発生します。
申請時には、「gBizIDプライム」アカウントの取得や製品の選定、交付時には交付申請、運用実績を報告する事業実績報告など手続きが複雑なため、補助金支援者などの専門家に相談した方がスムーズに進められます。
補助金は、原則として事業を実施し、必要な支払いと実績報告などを済ませた後に交付されます。そのため、ロボットの購入費や設置費用などは、補助金を受け取る前に自社で用意しておく必要があります。
例えば、ロボットの導入費用が500万円で、補助率が1/2の場合、補助対象経費として全額認められれば、補助金額は最大250万円です。ただし、導入時には原則として費用を先に支払い、補助金が交付されるまでの資金を確保しなければなりません。
また、補助金によっては、交付決定前に発注・契約した設備が補助対象外となる場合があります。申請前に公募要領を確認し、交付決定後に発注・契約するなど、定められた手順に従いましょう。
なお、補助金の交付時期や手続きは制度によって異なります。導入費用を自己資金だけで賄うことが難しい場合は、金融機関からの融資なども含め、事前に資金計画を立てることが重要です。
ここでは、補助金を利用したロボット導入事例を紹介します。
実際どのような形でロボットを導入するか悩んでいる事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

三星刃物株式会社は、岐阜県に事務所を構える鍛冶屋です。
明治6年に創業し、現在では5代目となる渡邉隆久社長が、その歴史と伝統を受け継ぎ続けています。
自社ブランド「和NAGOMI」の国内販売を開始して間もなく、関市のふるさと納税の返礼品として採用されると、一躍注目されるようになり注文数も上がりました。
しかし、包丁やナイフなどの持ち手の部分も全て手作業で行っていたため、社員によって品質にも違いがあり、工程上大きな時間がかかることがネックとなっていました。
そこで、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を利用し、手作業で行っていた部分を機械で対応すべく、ハンドル研磨用ロボットを導入します。
この結果により、ベテランの職人への作業負担が減り、若手技能者への指導に時間が取れるようになりました。
現在では若手の育成はもちろん、自社ブランドの価値向上と、顧客満足度の充実を目標としているとのことです。
参考:グッドプラクティス集_事例紹介.indd (monodukuri-hojo.jp)

株式会社ハルディンは、花と野菜の苗の生産を中心に農業生産を行う会社です。
千葉県印西市に計8万30,000㎡の農場を展開しており、新品種の試験や新商品の開発、野菜などの播種を行っている会社です。
長野農場は1989年に開設し、その後中国国内向けへの生産へシフトチェンジします。
生産量も多くなることに対し、農家の高齢化や後継者不足が問題となっておりました。
そこで、ものづくり補助金を活用し、接木ロボットを導入します。
接木ロボットとは、木本作物の接ぎ木を自動化し、苗床の効率と精度を高めるものです。
これにより、印西市と長野農場でのリレー生産が可能となり、気温差を活かしたさまざまな商品を作り上げることに成功します。
また、中国やベトナムなどから実習生を受け入れ、その後研修を終えた人材を現地に戻して活躍させる仕組み作りも行い始めました。
参考:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
ロボット導入に使える補助金を6つ紹介しましたが、どの補助金も審査をクリアしなければいけません。
また、手続きも複雑なうえ、必要書類も多いことから、初めて申請される方には難易度が高い補助金でもあります。
しかし、ロボットを導入して生産性を上げたい、人材不足を解消したいと考えている事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。
その際は、数多くの補助金申請のサポートを行ってきた補助金コネクトへご相談下さいませ。
補助金申請の準備はもちろん、本記事以外でも利用できる補助金のご紹介なども行っております。
まずは、ご相談から始めたいという方は、下記のお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

