補助金コネクト
支援検索コラムAIチャット無料相談お役立ち資料顧問
Menuアイコン

医療機関で使える補助金とは?活用目的別おすすめの補助金・助成金と申請の流れ、注意点を解説

助成金
補助金
|
更新:2024/11/14

医療機関の運営には、設備投資や人材育成、DXなど多岐にわたるコストが発生します。特に新しい機器の導入や施設の改修などは大きな負担となるため、補助金や助成金の活用を検討しているクリニックや診療所も多いのではないでしょうか?

本記事では、医療機関が利用できる補助金・助成金を活用目的別にご紹介します。公募要領をもとに、どのようなケースが対象となるか、または対象外となるかを整理しているため、申請を検討している方はぜひ参考にしてください。

補助金コネクトがわかる資料(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする

クリニック開業時に活用できる補助金・助成金

医療機関は特有の制約により、補助金や助成金の申請対象外とされることが少なくありません。一方で、個人経営のクリニックや診療所は対象となることがあります。また、申請できる機器や事業内容にも条件が設けられており、社会保険診療に用いる医療機器は補助の対象外である場合もあります。

以下では、一般に、創業時に活用できる補助金・助成金制度がクリニック開業時に活用できるかどうかを解説します。

創業助成金

創業助成金は、新規事業を始める人々を支援するために国や地方自治体が提供する助成制度で、幅広い経費に対応しているのが特徴です。

例えば、東京都は中小企業振興公社の創業助成事業を行っており、都内で創業を予定されている方や創業後5年未満の中小企業や個人を支援しています。対象経費は、設備導入やホームページ作成、事務所の賃借料などになります。

なお、個人開業医や医療法人などの医療機関は助成対象から外れる可能性が高いです。そのため、創業助成金の活用を検討する際は、それぞれの公募要項を必ず確認してください。

例えば、東京都の創業助成事業の公募要領には以下のように記載されています。

  • 医療法人は対象外

  • 個人開業医の方(医師または歯科医師等)が、病院や診療所等で患者に対して医業を行う事業として申請を行うことはできません

なお、創業助成金については以下の記事で詳しく紹介しています。

参考記事:創業助成金とは?対象者、要件から手続き、メリット、デメリットまで解説

また、お近くの自治体で創業時に活用できる補助金、助成金を調べる際は、以下の検索ページをご利用ください。

補助金コネクト支援検索ページ【全国の創業に関する支援制度一覧】

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、原則として、中小企業者等を対象としたものであるため、医療法人については利用できません。一方、「資本金(出資金)または従業員の基準を満たせば、医者(個人開業医)は中小企業者等に含むものとする」と定められており、事業承継・引継ぎ補助金を利用することができます。

項目

内容

対象者

事業承継によって新たな取り組みを始める方や、事業の再編や統合により経営を引く継ぐ中小企業者や個人事業主

対象事業

・経営革新枠:事業承継およびM&Aによって新商品の開発や新たな顧客層の開拓などの経営革新等にチャレンジする中小企業等(自由診療に関する設備投資のみ対象)

・専門家活用枠:M&Aを活用し、経営資源を他社からもしくは他社へ引き継ぐ中小企業等(親子や親族間の事業承継は対象外)

・廃業・再チャレンジ枠:事業承継およびM&Aにより廃業し、新たな事業を開始しようとしている中小企業等

補助金額

補助上限額:50万円~800万円

補助率

1/2もしくは2/3

事業承継・引継ぎ補助金について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

参考記事:事業承継・引継ぎ補助金とは?制度概要や対象者、補助額、申請方法などを解説

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)は、医療機関(医療法人、開業医)でも利用可能な助成金です。地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)に申請する事業主が、中小企業事業主に該当していれば、助成金を受け取ることができます。ここで中小企業事業主とは、医療法人の場合、常時雇用する労働者の数が300人以下の事業主のことを指します。

項目

内容

対象者

指定された11つの要件を全て満たしていること

求人の少ない過疎地域などに新たに事業所を置くなどし、地域の人を従業員として雇う中小企業者や個人事業主等

対象事業

「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」は、下の33つのような雇用情勢の厳しい地域等で、事業所の設置・整備に伴い地域の求職者等を雇い入れた事業主に対して支給する

同意雇用開発促進地域(求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域)

過疎等雇用改善地域(若年層・壮年層の流出が著しい地域)

特定有人国境離島等地域

補助金額

・設置・整備費用300万円以上

3(2)人~4人:50万円

5人~9人 :80万円

10人~19人:150万円

20人以上 :300万円

・設置・整備費用1,000万円以上

3(2)人~4人:60万円

5人~9人:100万円

10人~19人:200万円

20人以上:400万円

・設置・整備費用:3,000万円以上

3(2)人~4人:90万円

5人~9人:150万円

10人~19人:300万円

20人以上:600万円

・設置・整備費用5,000万円以上

3(2)人~4人 120万円

5人~9人 200万円

10人~19人 400万円

20人以上 800万円

補助金

地域雇用開発助成金の受給には、事業主がまず次の4つの要件を満たしている必要があります。

  • 指定地域において、雇用を拡大すべく事業所の新設や増改築などの整備を行うこと

  • 事業所の設置・整備にあたり、事前に計画書を各都道府県の労働局長に提出すること

  • 対象となる労働者(詳しくは後述)を3人(創業時は2人)以上雇い入れること

  • 雇用保険の被保険者数を、計画日前日より3人(創業時は2人)以上増やしていること

その他にも細かな要件が定められているため、地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)について知りたい方は、以下のリンクを参考にしてください。

参考:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

医療機器の導入で活用できる補助金・助成金

医療機器を導入する際に活用できる補助金・助成金には、対象となる事業者や用途が異なるものがあります。例えば「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」は個人事業主や中小企業が対象ですが、医療法人は申請できません。一方、「医療施設等施設整備費補助金」は、特定地域の医療機関に限り医療法人でも申請が可能です。各補助金の詳細や申請要件を以下で確認しましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、個人事業として開業しているクリニックや歯科医院は申請可能ですが、医療法人は対象外です。

さらに、公的医療保険が適用される事業には使えず、自由診療用の機器や設備がものづくり補助金の補助対象となるので、申請時には注意してください。

項目

内容

対象者

新たな製品やサービスを開発する中小企業者や個人事業主等

対象事業

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援

補助金額

補助上限額750万円~8,000万円

補助率

1/2もしくは2/3

ものづくり補助金について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説

事業再構築補助金

事業再構築補助金は診療所、クリニックも申請が可能です。医療法人は、医療法に基づき、社会医療法人が収益事業を行う場合のみ対象です。

項目

内容

対象者

新商品や新サービスの開発、新しい分野への進出や業種の変更などの、企業の付加価値を高める取り組む中小企業者や個人事業主等

対象事業

対象事業は以下の類型のいずれかに該当していること

・新市場進出(新分野展開、業態転換):新たな商品・サービスで新市場へ進出する

・事業転換:主となる業種を変えず、事業を転換する

・業種転換:新たな製造を行い、主たる業種を変更する

・事業再編:事業再編を通して新市場進出・事業転換・業種転換のいずれかを行う

・国内回帰:海外で製造している製品を国内生産拠点で整備する

・地域サプライチェーン維持・強靱化:地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠であり、その供給に不足が生じ、又は、生ずるおそれのある製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備する

補助金額

補助上限額:500万円~5億円

補助率

【中小企業】:1/2(2/3)

【中堅企業】:1/3(1/2)

※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

事業再構築補助金について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説

医療施設等施設整備費補助金

医療施設等施設整備費補助金は、主にへき地医療や過疎地域の医療環境改善を目的としており、地域の医療機関における施設設備の新築・改修を支援する制度です。開業医や医療法人も申請可能ですが、以下の要件を満たすことが必要です。

医療施設等施設整備費補助金は、医療機関が地域医療の維持・向上を図るための有力な補助金制度ですが、申請前に対象要件と補助率を十分に確認し、申請書類を整備することが重要です。

なお、医療施設等施設整備費補助金について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

項目

内容

対象者

個人開業医、医療法人、地域医療に貢献するへき地診療所、過疎地域等特定診療所、臨床研修病院など。

対象事業

・研修医のための研修施設整備事業

・臨床研修病院施設整備事業

・医師臨床研修病院研修医環境整備事業

補助金額

・へき地診療所1ヶ所につき100万円

・過疎地域等特定診療所1ヶ所につき250万円(ただし、改修については100万円)

・へき地保健指導所1ヶ所につき166万円(ただし、沖縄県については250万円)

・研修医のための研修施設1ヶ所につき100万円

・臨床研究病院1ヶ所につき100万円

・へき地医療拠点病院1ヶ所につき250万円

・産科医療機関施設整備事業1ヶ所につき66万6,000円

・医師臨床研修環境整備研修医環境整備

・離島等患者宿泊施設施設整備事業

・死亡時画像診断システム施設整備

補助率

1/2もしくは1/3

なお、医療施設等施設整備費補助金について知りたい方は、以下のリンクを参考にしてください。

参考:医療施設等施設整備費補助金交付要綱

医療機関DX化に活用できる補助金・助成金

医療機関がデジタル化や働き方改革の推進を行う際には、IT導入や勤務環境の整備に対して補助金や助成金を活用することが可能です。例えば、IT導入補助金を使って電子カルテや患者管理システムを導入することや、働き方改革推進支援助成金を用いて労働環境の改善を行うことができます。ただし、保険診療に関連する機器や設備には制約があるため、申請内容を精査し、条件を確認することが重要です。医療機関DX化の推進に向け、各制度の要件をよく理解した上で、適切な補助金・助成金を活用しましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や個人事業主が自社の業務効率化や生産性向上を目的として、ITツール(ソフトウェア、ハードウェア、役務など)を導入する際の費用を一部補助する制度です。医療機関においても、デジタル化やDX推進を行うための有効な手段として活用できます。

IT導入補助金は、医療機関がデジタル化を進める上で大きな助けとなる制度です。電子カルテの導入や患者情報の一元管理、オンライン診療の導入など、幅広い分野で利用可能なので、申請条件を満たしているか確認の上、積極的に活用していきましょう。

項目

内容

対象者

ITツールを導入して生産性の向上を図る中小事業者や小規模事業者等

対象事業

・通常枠:自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポート

・インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入し労働生産性の向上をサポート

・インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業を支援

・セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃の増加に伴う潜在的なリスクに対処するため、サイバーインシデントに関する様々なリスク低減策を支援

補助金額

・通常枠

1. 1プロセス以上5万円以上150万円未満

2. 4プロセス以上150万円以上450万円以下

・インボイス枠(インボイス対応類型)

1. インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト:50万円超〜350万円以下

2. PC・ハードウェア等:10万円以下

3. レジ・券売機等:20万円以下

・インボイス枠(電子取引類型):350万円以下

・セキュリティ対策推進枠:5万円以上100万円以下

・複数社連携IT導入枠:10万円~3,000万円以下

補助率

1/2もしくは2/3

詳細を知りたい方は、IT導入補助金に関する記事を参考にしてください。

参考:IT導入補助金とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、企業が働きやすい職場環境を整備し、労働生産性の向上を図ることを目的として、厚生労働省が実施している助成金制度です。医療法人や開業医も申請対象となるため、医療機関でも勤務環境改善のための取り組みに対して助成金を活用できます。

項目

内容

対象者

支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主です。(医業に従事する医師が勤務する病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院については常時使用する労働者数が300人以下の場合は、中小企業事業主に該当します。)

(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。

(2)交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。

(3)全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。

対象事業

・勤務間インターバル制度の導入(例:夜勤と次の勤務の間に一定時間の休息を確保する)

・労働時間管理システムの導入や残業時間削減に向けた体制整備

・年次有給休暇の取得促進や特別休暇制度の導入(例:育児休暇、介護休暇など)

・テレワーク環境の整備やバックオフィス業務の効率化を図る取り組み

補助金額

取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給

以下のいずれか低い方の額

(1)成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額

(2)対象経費の合計額×補助率3/4

(※)常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取組で6から9(を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新

7.労務管理用機器の導入・更新

8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

9.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

ただし、医療機関で助成金を申請する際は、以下の点に注意が必要です。

医療機関で申請する際の注意点

1.保険診療に直接関連する取り組みは対象外

「健康保険法」「国民健康保険法」「労災保険」「自賠責保険」の対象となる医療行為を支援する事業や、診療報酬請求システムの改善など、保険診療に直接関連する取り組みは助成対象外となります。そのため、例えば診療システムの導入や医療機器の改善に対する費用補助は申請できません。

2.公的医療保険の適用を受ける事業の支援には注意

助成金の申請内容が公的医療保険の適用を受ける事業に該当する場合、その取り組みは支援対象から除外されることがあります。例えば、労災保険が適用される職場環境改善や自賠責保険の適用範囲内で行う施策は助成対象外となる可能性があります。

働き方改革推進支援助成金について知りたい方は、以下のリンクを参考にしてください。

参考:働き方改革推進支援助成金交付要綱(労働時間短縮・年休促進支援コース)

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業場内で働く従業員の賃金引き上げと、それに伴う業務の効率化を目的として、設備投資等の経費を補助する制度です。主に中小企業や小規模事業者が対象であり、従業員の最低賃金引き上げや生産性向上に向けた取り組みを行う際に支給されます。

項目

内容

対象者

対象事業者となるには以下の3つの要件を満たすこと

(1)中小企業・小規模事業者である(医療に関しては資本金5,000万円以下、もしくは常時使用する労働者が100人以下である事業者が対象です)

(2)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である

(3)解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない

対象事業

生産性向上につながる設備投資など(機械設備、コンサルティング導入、人材育成・教育訓練など)、または事業場内最低賃金の引き上げ(50円以上)を行った場合に、その費用の一部を助成

補助金額

・30円コース

1人30万円(事業場規模30人未満の事業者は60万円)

2人~3人50万円(事業場規模30人未満の事業者は90万円)

4人~6人70万円(事業場規模30人未満の事業者は100万円)

7人以上100万円(事業場規模30人未満の事業者は120万円)

10人以上120万円(事業場規模30人未満の事業者は130万円)

・45円コース

1人45万円(事業場規模30人未満の事業者は80万円)

2人~3人70万円(事業場規模30人未満の事業者は110万円)

4人~6人100万円(事業場規模30人未満の事業者は140万円)

7人以上150万円(事業場規模30人未満の事業者は160万円)

10人以上180万円(事業場規模30人未満の事業者は180万円)

・60円コース

1人60万円(事業場規模30人未満の事業者は110万円)

2人~3人90万円(事業場規模30人未満の事業者は160万円)

4人~6人150万円(事業場規模30人未満の事業者は190万円)

7人以上230万円(事業場規模30人未満の事業者は230万円)

10人以上300万円(事業場規模30人未満の事業者は300万円)

・90円コース

1人90万円(事業場規模30人未満の事業者は170万円)

2人~3人150万円(事業場規模30人未満の事業者は240万円)

4人~6人270万円(事業場規模30人未満の事業者は290万円)

7人以上450万円(事業場規模30人未満の事業者は450万円)

10人以上600万円(事業場規模30人未満の事業者は600万円)

補助率

900円未満:9/10

900円以上950円未満:4/5(9/10)

950円以上:3/4(4/5)

※()内は生産性要件を満たした事業場の場合

医療機関でも、以下の条件を満たすことで「業務改善助成金」を申請できます。

医療機関における利用条件と注意点

医療機関でも、以下の条件を満たすことで「業務改善助成金」を申請できます。

1.賃金引き上げの実施

助成金の申請には、事業場内の最低賃金を地域の最低賃金よりも30円以上引き上げることが条件となります。賃金引き上げは、すべての従業員または特定の従業員を対象とすることが求められます。

2.業務改善や生産性向上の取り組み

賃金引き上げに合わせて、業務の効率化や生産性向上に繋がる設備投資などを行うことが条件です。具体例として、診療所内の業務管理システムの導入や業務改善に役立つソフトウェア・機器の購入、スタッフの労働環境を改善する設備導入などが対象となります。

3.保険診療の範囲外の業務改善

「業務改善助成金」は、保険診療に直接関わらない取り組み(例:バックオフィス業務の効率化、医療機関の管理業務の改善など)が対象です。保険診療に関する設備や業務改善については、助成の対象外となる可能性があるため、申請内容を精査する必要があります。

業務改善助成金について知りたい方は、以下のリンクを参考にしてください。

参考記事:業務改善助成金とは?上限額や助成率、申請方法を解説

補助金・助成金申請の流れ

補助金・助成金を活用することで、クリニックや医療機関の運営をより効率的かつ経済的に運営することが可能です。しかし、申請の流れや要件を正しく理解していないと、手続きが煩雑になり、せっかくの機会を逃してしまうこともあります。

ここでは、補助金・助成金の申請から事業報告までの具体的な手順を詳しく解説しますので、医療機関の皆さまがスムーズに申請できるよう参考にしてください。

目的に合った補助金・助成金をさがす

補助金や助成金には、それぞれ目的や支給要件が定められており、事業内容に合ったものを選定することが重要です。医療機関向けには、例えば「IT導入補助金」「医療施設等施設設備費補助金」「キャリアアップ助成金」など、業務効率化や施設の改修、人材育成などに活用できるものがあります。これらの制度を確認し、自院の経営方針や事業計画に合ったものを選びましょう。

また、補助金には審査があり、募集期間も限られているため、募集開始時期を逃さないように常に最新情報をチェックすることが大切です。特に医療機関の場合は保険診療の対象外となる事業や設備が補助対象となるケースが多いため、各制度の細かい要件を確認し、申請する補助金や助成金が適しているかどうかを慎重に判断しましょう。

事業計画書と申請書類を作成する

目的に合った補助金・助成金が決まったら、次は申請に必要な書類を作成します。補助金や助成金の申請には、多くのケース、事業計画書の提出が求められます。この事業計画書は、申請者が計画している事業の概要や目的、達成目標、資金計画、事業の具体的な実施内容を示す重要な書類です。計画書を作成する際は、次のポイントを意識して内容を充実させましょう。

  • 事業の目的や背景

なぜその事業を行う必要があるのか、どのような課題を解決するためのものなのかを明確に記載します。

  • 具体的な取り組み内容

どのような設備やツールを導入するのか、具体的な手順やスケジュールを示すことで、事業の実現可能性を高めましょう。

  • 成果指標

補助金や助成金を活用することで、どのような効果や成果を期待しているのか、具体的な数値目標を設定します。例えば、患者満足度の向上やスタッフの業務効率の改善などです。

さらに、事業計画書以外にも、申請書や見積書、法人登記簿謄本などの書類が求められる場合があるため、申請する補助金・助成金の要項を事前に確認し、不足のないように準備を行いましょう。

初めて補助金を申請される方は、専門家へ相談してから準備することをおすすめします。

専門家へ相談することで、事業計画書の作成サポートを受けられるうえ、書類の不備を失くすことが可能です。

申請書類を提出する

必要書類がすべて揃ったら、各補助金や助成金の所管団体へ提出します。提出方法はオンライン申請、郵送、持参など様々ですので、提出方法や期限をしっかり確認しましょう。なお、提出時に求められる書類が全て正確に揃っていないと、受理されない場合や審査が通らない可能性があります。

また、申請後に書類の不備や内容確認の問い合わせがある場合もあるため、申請時には必ず控えを保管し、問い合わせ対応ができるように準備しておくことが大切です。特に、医療機関での申請の場合、医療法人や個人開業の事業形態、保険診療の有無などによって条件が異なるため、細かな部分での確認が必要です。

事業を開始する

申請が受理され、交付決定通知を受け取った後に、実際の事業を開始します。交付決定を受ける前に事業を開始すると、その部分については補助対象外となるため注意が必要です。例えば、IT導入補助金や医療施設等施設設備費補助金を利用する際は、交付決定後に初めて機器の発注や設備の設置を行うことになります。

事業開始時には、事業計画書に記載したスケジュールに従って、計画通りに事業を実施することが求められます。計画書に記載した通りの設備やツールを導入し、業務改善や生産性向上を図ると同時に、必要な証拠書類(契約書、納品書、写真等)を準備し、後の報告書作成に備えましょう。

事業の報告をする

事業が完了したら、交付決定を受けた機関に対して、事業完了報告を行います。事業完了報告では、補助金・助成金の適正な使用を証明するために、領収書や納品書、写真などの証拠書類を提出します。また、事業の実施結果や効果についても記載し、当初の計画通りに事業が行われたことを説明します。

医療機関で申請した場合は、医療機器の導入により業務がどのように効率化されたか、患者満足度の向上やスタッフの労働環境の改善が実現されたかなど、具体的な成果を示すことが重要です。また、補助金によっては導入後の効果報告を複数回にわたって行うことが求められる場合もあるため、事前に報告スケジュールを確認しておきましょう。

医療機関で補助金・助成金を活用する場合の注意点

医療機関が補助金・助成金を活用する際には、いくつかの注意点を事前に理解しておくことが非常に重要です。医療機関向けの補助金や助成金は、医療の質を向上させるために多くの支援制度が設けられていますが、その一方で医療機関特有の条件や手続きが必要となるケースも多々あります。ここでは、医療機関が補助金・助成金を申請する際に留意すべきポイントを詳しく解説します。

対象要件を確認

補助金や助成金を申請する前に、まず確認すべきは「対象要件」です。これは申請者が補助金・助成金の受給資格を満たしているかどうかを判断する重要な基準となります。多くの補助金・助成金では、申請できる事業者や事業内容が細かく定義されており、医療機関の場合、個人開業医、医療法人、あるいは社団法人などの形態によって申請できるかどうかが異なることがあります。

例えば、「IT導入補助金」は中小企業や個人事業主向けの補助金であり、個人開業医は申請できますが、医療法人の場合は対象外となるケースがあります。また、社会保険診療の範囲内で行う事業は補助対象外となる場合もあるため、自由診療に該当する設備投資やシステム導入でなければ申請ができないこともあります。このように、補助金や助成金の対象となるかどうかは、事業の形態や内容、申請者の資格に依存するため、各補助金の募集要項を詳細に確認し、自身の医療機関が適しているかを慎重に判断しましょう。

事務処理が必要

補助金・助成金を申請する際には、必要な書類の準備や提出における事務処理が発生します。これには、事業計画書や見積書、労務管理に関する書類などが含まれ、申請書の不備があった場合は審査に通らない、もしくは書類の差し戻しを受けてしまう可能性が高くなります。特に医療機関で申請する場合、法人登記簿謄本や資格証明書など、医療機関特有の追加書類が必要になることも多いため、必要書類のリストを事前に確認し、提出漏れがないようにしましょう。

さらに、補助金・助成金の申請プロセスは、計画書の作成から申請書の提出、採択後の事業実施、そして最終的な報告書提出に至るまで、複数のステップを経て進行します。そのため、各プロセスで発生する事務処理を事前に把握し、期限内に確実に対応できるような体制を整えておくことが不可欠です。場合によっては、申請書類の作成を支援してくれるコンサルタント会社や専門家(社会保険労務士、税理士など)と連携することも検討するとよいでしょう。

原則後払い

ほとんどの補助金・助成金は「後払い」が原則です。これは、申請した事業を先に自費で実施し、事業完了後にその経費の一部を補助金や助成金として受け取るという仕組みです。例えば、医療機関が「医療施設等施設設備費補助金」を申請した場合、機器の購入や施設の改修をすべて自己資金で行った後、事業完了報告書と共に補助金を申請することになります。

このため、申請前に全額を自己負担できる資金を用意しておく必要があります。また、補助金の支給が遅れた場合や、審査結果により全額が補助されないことも考慮し、余裕をもった資金計画を立てておくことが重要です。事業完了後においても、支給申請を行ってから補助金の入金までに一定の期間を要するため、資金繰りが厳しい場合には、金融機関からの短期融資などを活用することも検討すると良いでしょう。

審査がある

補助金や助成金の申請には、多くの場合、審査が行われます。これは、申請内容が補助金の趣旨や要件に適合しているか、事業計画が現実的であり、実施される事業が確実に効果を発揮できるかを判断するためです。特に「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」のような制度では、提出された事業計画書を基に、事業の実現可能性や新規性、地域社会への貢献度などが評価され、これにより採択・不採択が決定されます。

審査に通過するためには、事業の目的や内容をしっかりと明記し、補助金を受けることによる具体的な効果(例えば、患者へのサービス向上や医療業務の効率化など)を数値目標などで示すことが求められます。また、審査は書類上のチェックに加えて、面談やプレゼンテーションを求められる場合もあるため、事前に十分な準備を行いましょう。審査基準や採択の傾向は、年度や募集回ごとに異なることがあるため、最新の情報を確認し、事業計画書の内容を適切に見直すことが大切です。

医療機関における補助金・助成金の申請は、一般企業と比べると、事業形態や提供するサービスが特殊であることから、対象要件や事業内容の認識に齟齬が生じやすいです。そのため、申請を行う前にしっかりと準備を行い、制度の理解を深めることが重要です。適切に活用すれば、医療機関の成長や発展を後押しする大きな支えとなるため、注意点を把握した上で、積極的にチャレンジしてみてください。

まとめ

本記事では、医療機関向けの補助金・助成金制度について、申請のプロセスや留意すべきポイントを解説いたしました。

医療法人が対象外となるケースが多い一方で、個人診療所やクリニックにおいては、複数の制度が活用可能です。制度ごとに対象経費や条件が異なるため、出せる制度がないか公募要領をチェックしてみてください。

使える補助金制度の診断や具体的な申請の手続きについてご質問がございましたら、以下のご相談フォームにご記入ください。確認次第、担当者よりご連絡させていただきます。

メルマガ登録
資金調達に関する情報やおすすめの補助金の公募開始をメールでお知らせします。
本記事に関連するサービス
補助金コネクトは、補助金申請の支援パートナーです。資金調達をご検討中の方は、お気軽にご相談くださいませ。
関連記事
もっと記事を見る >
使える補助金が一瞬でわかる
AI診断
今すぐ試してみる
とっても簡単!入力約3分

会社(個人の方は自宅)の所在地を選択してください

都道府県
市区町村
購入する商品から補助金を調べる
商品を検索
都道府県で絞り込む
種類で絞り込む
キーワードで絞り込む
ご相談・お問い合わせ
お客様の資金調達をサポートします。お気軽にご相談ください。
メルマガ登録
資金調達に関する情報やおすすめの補助金の公募開始をメールでお知らせします。
補助金コネクト
東京都渋谷区神宮前六丁目23番4号 
桑野ビル2階
TEL:050-3613-3538
© 補助金コネクト
補助金申請のポイントがわかる!
無料相談資料をもらう