創業時に融資を受ける際、多くの方が気になるのが金利(利率)です。創業融資は、一般的な事業融資と比べてどの程度の金利で借りられるのでしょうか。
創業期の事業者向け融資には、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」や自治体の制度融資など、さまざまな選択肢があります。また、一定の要件を満たすことで、通常の利率から引き下げを受けられる制度もあります。
この記事では、創業融資の金利について、主な融資制度との違いや金利を抑えるための方法を解説します。創業融資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
創業融資の金利は、利用する制度や資金使途、返済期間、担保の有無などによって異なります。特に日本政策金融公庫の国民生活事業では、税務申告を2期終えているかどうかによっても適用される利率が区分されています。
2026年9月時点、日本政策金融公庫の国民生活事業における無担保融資の主な利率は以下のとおりです。
区分 | 基準利率 | 特別利率A | 特別利率B | 特別利率C | 特別利率E |
|---|---|---|---|---|---|
税務申告を2期終えている方 | 3.80~5.40% | 3.40~5.00% | 3.15~4.75% | 2.90~4.50% | 2.40~4.00% |
税務申告を2期終えていない方 | 3.75~5.35% | 3.35~4.95% | 3.10~4.70% | 2.85~4.45% | 2.35~3.95% |
※2026年9月1日現在。実際の適用利率は、融資制度、資金使途、返済期間、担保の有無などによって異なります。
引用:金利情報|日本政策金融公庫 (2026年9月1日現在。実際の適用利率は、資金使途、返済期間、担保の有無などによって異なります。)
創業期の方は、原則として無担保・無保証人で利用できる融資制度が用意されているほか、創業支援貸付利率特例制度によって利率が引き下げられる場合もあります。
以下では、代表的な創業向け融資制度について詳しく紹介します。
中小企業経営力強化資金は、認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けながら、経営力の強化に取り組む中小企業などを対象とした日本政策金融公庫の融資制度です。
国民生活事業と中小企業事業があり、それぞれ融資限度額や適用される利率などが異なります。
項目 | 国民生活事業 | 中小企業事業 |
|---|---|---|
融資限度額 | 7,200万円 | 直接貸付7億2,000万円 |
主な対象 | 経営力の強化に取り組む中小企業など | 経営力の強化に取り組む中小企業など |
利率 | 特別利率など | 基準利率または特別利率 |
返済期間 | 制度・資金使途などにより異なる | 設備資金・運転資金などにより異なる |
基準金利や特別金利については、「中小企業経営力強化資金|日本政策金融公庫」をご確認ください。
実際に適用される利率は、融資制度や返済期間、信用リスク、担保の有無などによって決まります。中小企業経営力強化資金については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。
参考記事:中小企業経営力強化資金とは?メリットや注意点、利用の流れなどを解説
新規開業・スタートアップ支援資金は、これから事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした日本政策金融公庫の融資制度です。
なお、2025年3月に「新規開業資金」から現在の「新規開業・スタートアップ支援資金」へ名称が変更されました。
制度の概要は以下のとおりです。
項目 | 新規開業・スタートアップ支援資金 |
|---|---|
対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内 |
据置期間 | 5年以内 |
利率 | 基準利率など |
資金使途 | 設備資金・運転資金 |
新規開業・スタートアップ支援資金では、一定の要件を満たす場合に特別利率が適用されることがあります。また、創業支援貸付利率特例制度を利用できる場合は、さらに利率が引き下げられます。
金利については、「新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫確認ください。
新規開業・スタートアップ支援資金については、以下の記事で詳しく紹介しています。
参考記事:日本政策金融公庫の創業融資制度とは?新規開業・スタートアップ支援資金など3つの制度を解説
挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は、創業・新事業展開・事業再生などに取り組む事業者を対象とした融資制度です。
一般的な融資とは異なり、金融機関の資産査定上、一定の条件のもとで自己資本とみなすことができる点が特徴です。
また、業績に応じて利率が変動する仕組みとなっており、通常の融資とは金利の決まり方が異なります。日本政策金融公庫の現在の金利情報でも、資本性ローンについては「毎年の業績に応じた利率」が適用されるとされています。
そのため、単純に「金利が何%」と比較するのではなく、資本性ローンの特徴や返済条件を含めて検討することが重要です。
なお、資本性ローンについては以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:資本性劣後ローンとは?対象者とメリットデメリット、注意点を解説
制度融資(信用保証協会の保証付き融資)とは都道府県や市町村などの地方自治体、信用保証協会、金融機関の三者が連携して提供する融資制度のことです。
信用保証協会の保証付き融資に加え、地方自治体の利息を補填してくれるため、低コストで資金調達ができます。
制度融資の金利は地方自治体ごとに異なるため、気になる方は問い合わせしてみましょう。なお、信用保証協会については以下の記事でも詳しく解説しています。
参考記事:信用保証協会とは?利用するメリットと注意点、信用保証制度を解説
創業時には、日本政策金融公庫の融資だけでなく、地方銀行や信用金庫・信用組合、ビジネスローンなどを利用する方法もあります。
ただし、民間金融機関の融資は商品や審査条件によって金利が大きく異なるため、一律の金利で比較することはできません。
主な融資方法の特徴を比較すると、以下のとおりです。
融資の種類 | 特徴 | 金利の決まり方 |
|---|---|---|
日本政策金融公庫の創業融資 | 創業期の事業者向け制度がある | 融資制度、返済期間、担保の有無などによって決定 |
制度融資 | 自治体・信用保証協会・金融機関が連携 | 自治体・制度ごとに異なる |
地銀・信金信組の融資 | 地域の金融機関から事業資金を調達 | 金融機関の審査や融資条件などによって決定 |
プロパー融資 | 信用保証協会の保証を付けず金融機関から直接借り入れる | 金融機関の審査などによって決定 |
ビジネスローン | 比較的スピーディーな資金調達に利用できる商品がある | 商品・審査条件によって異なる |
カードローン | 契約限度額の範囲内で繰り返し借り入れできる | 商品・借入条件によって異なる |
プロパー融資とは、信用保証協会の保証をつけずに、金融機関が直接融資する方法のことです。
保証がない分、金融機関としては貸し倒れリスクを負うことにもなるため、創業時には多少難易度は高い融資です。その分信用保証協会の保証料が不要となるため、コストをかけずに資金調達ができます。
保証協会付融資に比べ、プロパー融資の方が返済期間は短くなるケースが多い傾向にあります。
メガバンクのビジネスローンには、一般に固定金利と変動金利の2種類の商品が用意されています。
固定金利は、3年や5年などの期間の金利が固定されている商品であるのに対し、変動金利は1年や2年ごとに金利の見直しが入る商品です。一般的に変動金利の方が低い傾向にありますが、将来的に金利が上昇した場合、固定金利の方が低くなるケースもありますので、一長一短といえます。
メガバンクによって金利は異なるだけでなく、借入期間や借入額に応じて変動します。相場としては、2.49%〜15.00%前後の金利ですが、金利幅が広いため、各社に相談してみることをおすすめします。
カードローンとは、金融機関が提供する融資サービスの一つです。契約時に設定した借入上限額まで何度でも借入することができます。
カードローンは、他の融資制度より金利が高く設定されており、借入上限額も低いという特徴があります。創業時に利用する際は、他の融資の不足分を補う目的で利用するのがおすすめです。
創業融資は他の融資に比べ金利が低い傾向にありますが、誰でも審査をクリアできるというわけではありません。
審査をクリアするためのポイントを3つご紹介します。
創業融資を申し込む際は、自己資金を準備しておくと審査が通りやすくなります。「自己資金が多い=借入額が少なくなる」ことになるため、審査が有利になる傾向にあるためです。
もちろん創業時は売上もないことから自己資金を用意できない方もいらっしゃることでしょう。しかし、自己資金を賄うために借入など行うと、返済比率が上昇し、審査が不利になるため注意が必要です。
自己資金の準備については、以下の記事もご覧ください。
事業計画書は、創業融資の審査を申し込む際の重要な入口です。事業内容がよくわからず、収益性も再現性も低い計画書では、もちろん承認されることはないでしょう。
創業融資では、申込企業の将来性を考慮して審査が行われます。そのためにも、日本政策金融公庫の担当者を納得させる事業計画書の作成が求められます。
しかし、初めて創業融資を申し込む方にとっては、どのような点に注意して事業計画書を作成すればよいのかわからないことでしょう。そのため、次の項で紹介する「専門家の支援を受ける」方法からスタートするのもおすすめです。
創業融資を申し込む前に、専門家の支援を受けるようにしましょう。中小企業診断士や行政書士、税理士などの専門家に相談することで、事業計画書や資金繰り表の作成、必要書類の準備などをサポートしてもらえることがあります。
補助金コネクトでもご支援しておりますので、詳細ご希望の方はお問い合わせください。
民間の金融機関と比較して、創業融資の金利は低い傾向にありますが、なお金利を下げるためのポイントを3点紹介します。
返済期間を短くすると、金利も下がる傾向にあります。
また、融資希望額が多ければ、万が一返済が難しくなった場合に金融機関側が負うリスクも大きくなるので、金利も高く設定されるため、自己資金を増やすと金利も抑えられます。
日本政策金融公庫の国民生活事業では、担保の有無によって適用される利率が異なります。
2026年9月1日現在、無担保で融資を利用する場合の基準利率は3.75~5.35%(税務申告を2期終えていない方)であるのに対し、有担保の場合は2.80~5.00%です。
ただし、担保を付ければ必ず金利が下がるというわけではありません。融資制度や返済期間、信用リスクなどによって適用利率は異なるため、担保を設定するメリットと負担を総合的に確認しましょう。
創業時に金利を抑えたい場合は、「創業支援貸付利率特例制度」を確認しましょう。
この制度は、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を対象とした特例制度です。
各種融資制度に定める利率から0.65%引き下げられ、雇用の拡大を図る場合は0.9%引き下げとなります。なお、一部利用できない融資制度があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方 |
利率 | 各種融資制度に定める利率-0.65% |
雇用の拡大を図る場合 | 各種融資制度に定める利率-0.9% |
注意点 | 一部利用できない融資制度あり |
創業期に日本政策金融公庫の融資を検討している場合は、自分がこの特例制度の対象となるか確認しておくとよいでしょう。
従業員を雇用する事業者の場合は、「賃上げ貸付利率特例制度」も確認しましょう。
日本政策金融公庫では、一定の要件を満たす事業者について、各種融資制度に定める利率から0.5%引き下げる特例制度を用意しています。適用期間は貸付日から2年間で、一定の要件を満たす必要があります。
創業支援貸付利率特例制度など、ほかの特例制度との併用可否は、利用する融資制度によって異なるため、事前に確認しましょう。
創業融資を比較するときは、表示されている金利だけで判断しないことが重要です。
同じ「年○%」という表示でも、融資期間や担保の有無、特別利率の適用条件などによって実際の負担は変わります。
比較するときは、次の項目を確認しましょう。
比較項目 | 確認するポイント |
|---|---|
金利 | 基準利率か特別利率か |
融資期間 | 何年で返済する必要があるか |
据置期間 | 元金返済の開始時期 |
担保・保証人 | 必要か、不要か |
融資限度額 | 必要な資金を調達できるか |
手数料・保証料 | 金利以外の費用が発生するか |
特例制度 | 金利引き下げを利用できるか |
返済額 | 毎月の返済額が無理のない水準か |
特に創業時は、金利を下げることだけを優先すると、自己資金や手元資金が不足して資金繰りが厳しくなる可能性があります。
「金利が何%か」だけではなく、「毎月いくら返済するのか」「返済後も事業を継続できる資金が残るか」という視点で融資条件を比較しましょう。
ここでは、創業融資に関するよくある質問を紹介します。
創業融資の金利は融資制度や返済期間、担保の有無などによって異なります。
日本政策金融公庫の国民生活事業では、2026年9月1日現在、税務申告を2期終えていない方が無担保融資を利用する場合、基準利率は年3.75~5.35%です。一定の要件を満たす場合は、特別利率が適用されることがあります。
日本政策金融公庫では、創業期の方について、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できる仕組みが用意されています。
ただし、融資制度ごとに条件が異なるため、申込時に確認する必要があります。
自己資金が少ない場合でも利用できる創業融資制度はありますが、自己資金があることは、創業に向けて計画的に準備してきたことを示す材料の一つになります。
融資を申し込む際は、自己資金の金額だけでなく、その資金をどのように準備してきたのかも説明できるようにしておきましょう。
融資条件によって異なります。
日本政策金融公庫の金利情報では、金融情勢などによって利率が変動することがあるとされています。一方、実際に借り入れた後の適用金利については、融資条件を確認する必要があります。
創業融資の金利は、利用する融資制度や返済期間、担保の有無、適用される特別利率などによって異なります。
日本政策金融公庫の国民生活事業では、創業期の方を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」などの融資制度が用意されています。また、新たに事業を始める方や事業開始後に税務申告を2期終えていない方は、「創業支援貸付利率特例制度」によって各種融資制度の利率から0.65%、雇用の拡大を図る場合は0.9%引き下げられる場合があります。
金利を比較するときは、金利の数字だけでなく、融資限度額、返済期間、据置期間、担保・保証人の有無、特例制度の適用条件なども確認しましょう。
創業融資の申請では、事業計画や資金使途、創業後の収支見込みなどを具体的に説明することが重要です。融資を検討している場合は、早めに必要資金を整理し、自社に合った融資制度を確認しておきましょう。
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