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資本性劣後ローンとは?対象者とメリットデメリット、注意点を解説

融資
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更新:2026/06/24

スタートアップや新事業展開・事業再生に取り組む中小企業が、自己資本比率を維持しながら資金調達できる手段として「資本性劣後ローン」が注目されています。

ローンと聞くと抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、資本性劣後ローンは毎月の元本返済がなく、利息も経営状況に合わせて調整されるため、返済負担を抑えながら借入することが可能です。

本記事では資本性劣後ローンの概要とメリット・デメリット、注意点を解説します。資本性劣後ローンについて知りたい方はぜひ参考にしてください。

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資本性劣後ローンとは

資本性劣後ローンとは、借入しても自己資本と見なされる劣後ローンのことを指します。

劣後ローンとは、他の債券などより支払い順位の低いローンのことです。例えば会社が倒産した時は資産整理を行い、従業員の給与や税金などを支払います。支払った後は「資産が減少している」もしくは「ほとんど残っていない」という状況になるケースが多いでしょう。劣後ローンは優先順位が低いため、回収できない可能性も高いローンのことです。その分利子も一般的なローンより高めに設定されている点が特徴です。

劣後ローンは負債ではなく自己資本の一部とみなされます。自己資本にみなされるということは、債務が増えず、資本比率が上がることから、財務規模が大きいと判断することもでき、他の融資を受けられる可能性も高くなります。これを資本性劣後ローンといいます。

資本性劣後ローンの名称

資本性劣後ローンは金融機関によって名称が異なります。

提供機関

名称

日本政策金融公庫(国民生活事業)

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

日本政策金融公庫(中小企業事業)

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

民間金融機関

資本性ローン・資本性劣後債など

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は、スタートアップや新事業展開・海外展開・事業再生等に取り組む企業の財務体質強化や、ベンチャーキャピタル・民間金融機関などからの資金調達の円滑化を図るために資本性資金を供給する制度です。

なお、以前は「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」という名称で、コロナ禍の影響を受けた事業者向けの特例制度が設けられていましたが、コロナ対策特例は終了しており、現在は通常の「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」として利用できます。

対象者

対象となるのは、以下の融資制度の対象であり、かつ地域経済活性化にかかる事業を行う法人または個人企業です。

  • 新規開業・スタートアップ支援資金(技術・ノウハウに新規性がある者、VCから出資を受けている者等に限る)

  • 新事業活動促進資金

  • 海外展開・事業再編資金

  • 事業承継・集約・活性化支援資金

  • 企業再建資金

  • ソーシャルビジネス支援資金

また、税務申告を1期以上行っている場合は所得税等を完納していることが必要です。

資本性劣後ローンと通常の融資の違い

ここでは資本性劣後ローンと通常の融資の違いについて、以下の表にまとめました。

項目

資本性劣後ローン

通常の融資(事業用ローン・プロパーローン等)

対象者

スタートアップ・新事業・事業再生等に取り組む中小企業

特に制限なし(事業内容・経営内容により異なる)

返済期間

5年1ヵ月、7年、10年、15年、20年のいずれか

5年~35年など金融機関によって異なる

返済方法

期限一括返済(利息は毎月払)

毎月返済

利率

赤字期間:年0.50%

黒字時:返済期間に応じて年3.25〜3.95%(※変動あり、要確認)

0.9~3.5%(事業内容や企業規模によって異なる)

担保・保証人

無担保・無保証人

保証人または連帯保証人または担保の設定が必要

その他

・債務は金融機関の資産査定上自己資本とみなす

・倒産が裁判所によって行われた場合は劣後する

・融資後5年間は返済できない

・資本金とみなされず、債務となる

・倒産しても劣後しない(自己破産申告するケースが多い)

・期限に関係なく繰り上げ返済可能

対象者を見てわかる通り、経済産業省のJ-Startupプログラムに選定された方または、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けた方などが対象者と限られているように見えます。

ただ実際は、事業計画書を策定し、民間金融機関等による支援を受けられる等の支援体制(融資後おおむね1年以内に民間金融機関等からの出資または融資による資金調達が見込まれること)も対象者であるため、一般的に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業であれば適用可能です。

融資上限額は7,200万円です。まとまった資金調達を行いたい方におすすめのローンと言えるでしょう。

資本性劣後ローンのメリット

資本性劣後ローンには以下の5つのメリットが挙げられます。

月々の返済負担が減る

資本性劣後ローンは月々の返済が利息のみとなります。例えば2,000万円を期間10年・金利2.6%で借入した場合、通常の元本+利息払いでは毎月約189,450円の返済が必要ですが、利息のみであれば毎月約43,333円で済みます。

赤字期間中は金利0.50%が適用されるため、さらに返済負担を抑えられます。

融資が受けやすくなる

資本性劣後ローンは借入した金額が自己資本に含まれるため、企業が他の融資を受けやすくなる特徴があります。資本金が多いということは、会社への信用力が上がることを意味します。

支払い能力も高いと判断されることから金融機関からの融資を受けやすくなるメリットがあります。

利息負担を抑えられる

毎月の利息負担はあるものの、他の融資と比べて赤字期間は金利が安い傾向にあるメリットがあります。借入するローンの内容によるものの、資本性劣後ローンは税引後の純利益額が0円未満であれば、金利0.5%で借入できます。この金利はどのローンでもほとんど見られない低い金利です。

ただし、黒字経営が出た際は高い金利にもつながるため、後ほど詳しく解説します。

無担保・無保証人で申請できる

無担保・無保証人で借入できる点は、資本性劣後ローンの特徴です。本来借入する場合は、万が一返済が滞った時の対策として、資産価値のあるものを担保に設定します。また保証人をつけ、債務者に代わって弁済してもらうのが一般的です。

担保・保証人が設定できなければ受けられない融資が多い中、不要な点は大きなメリットと言えるでしょう。

法的倒産時に返済が劣後する

法的倒産手続きが裁判所によって開始された際、全ての債務が完了した後の資産で返済します。従業員の給与などの方が優先順位が高いため、社員を最低限守ることが可能です。

資本性劣後ローンのデメリット・注意点

5つのメリットを紹介しましたが、デメリットもあります。また借入するためには適用条件を満たす必要があるため、詳しく解説します。

黒字化後は利率が高くなる

黒字決算の場合には、返済期間に応じて年3.25%〜3.95%の利率が適用されます。融資後5年間は原則として期限前返済ができないため、黒字化後は高い利率での返済が続くことになります。

分割払いができない

元本は期限一括返済のため、借入期間前に返済資金を用意しておく必要があります。返済時に多額の資金が必要となるため、計画的な資金管理が求められます。

事業計画書の提出と報告義務がある

資本性劣後ローンを受ける方は審査時に新型コロナ対策資本性劣後ローン専用の事業計画書を提出しなければいけません。

また融資実行後の資金繰りを含む報告をする義務もあります。融資を受けた後、「経営状況が黒字に向かっているか」「融資した金額が適切に使用されているか」をチェックするためです。資本性劣後ローンを借入する際は、毎期の経営状況の報告等を含む特約を締結しなければいけません。

まとめ

に取り組む中小企業が、自己資本比率を維持しながら資金調達できる有効な手段です。

特に赤字期間中は金利0.50%という低金利が適用されるため、資金繰りが厳しい時期でも返済負担を抑えられる点が魅力です。一方で、黒字化後は利率が高まること、元本の一括返済が必要なことなど、注意すべき点もあります。

利率は業績・時期によって変動するため、申し込みにあたっては必ず日本政策金融公庫の窓口に最新情報をご確認のうえ、専門家にも相談しながら検討することをおすすめします。

一方で、黒字経営になった際は高い金利となるため、専門家に相談しながら利用するか検討することをおすすめします。

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