建設業界は、労働人口の減少や生産性向上への要請など、急激な環境変化に直面しています。こうした中、最新の建設機械(建機)や重機導入による効率化・省力化は、事業成長の必達要件となっています。とはいえ、高額な建機の購入費用がネックとなる中小企業も多いのが現実。そこで強い味方となるのが国や自治体による補助金です。
本記事では、建機に使える最新の補助金制度を紹介し、どの補助金をどの場面で活用すべきか、申請時の注意点から採択アップのコツや、具体的な事例まで解説します。「自社に合った補助金は?」「申請は難しい?」そんな疑問に答えていきますので、ぜひ最後までご覧いただき、次のアクションにお役立てください。
建設機械(建機)は、土木工事や様々な現場作業で不可欠な存在ですが、その導入には多額の資金が必要となります。ここ数年、国や自治体は、中小建設業の生産性向上・安全対策・脱炭素への対応支援を目的に補助金制度を拡充してきました。
補助金の最大の特徴は“返済不要”という点です。これは通常の銀行融資やリースでは得られないメリットで、企業の財務基盤強化にも大きく寄与します。2025年には国の制度刷新、対象となる機器や要件の変更も多く、「どの補助金をどのように選び・申請するか」がポイントになります。
多くの現場で混同されがちな「補助金」と「助成金」ですが、実際には以下のような違いがあります。
補助金:国・自治体の政策目的に沿った事業計画に対して、公募により審査・採択される。返済不要だが、競争率と事務負担が高い。
助成金:主に厚労省の雇用・人材対策策が中心。条件を満たせば幅広く受給可能。用途が限定される場合が多い。
一般には、事業が異なれば複数の補助金は併用可能です。一方で、同一の事業内容で重複して複数の補助金・助成金を同時利用することはできないため、あらかじめご注意ください。
参考:補助金と助成金の違いとは?それぞれの特徴、活用方法、代表的な制度を解説
2025年の建機関連の補助金では、「GX(グリーントランスフォーメーション)」や「安全装置義務化」、「DX・生産性向上」など時代の要請を反映した支援へと進化しています。主な活用メリットは次の通りです。
返済不要な資金調達でキャッシュフローが改善する
公的審査を通過することで企業の社会的信用が得られる
最新技術・省エネ建機の導入で他社と差別化できる
経営計画・投資計画見直しのきっかけになる
困難な市況の中でも、補助金を活用できた企業は「新規受注」「現場の省人化」「安全向上」と複数のメリットを手にしています。
建機に使える補助金制度には、国・自治体の大型公募(ものづくり補助金・新事業進出補助金)や、業界団体・省庁による特化支援(高度安全機械等導入支援補助金、商用車等の電動化促進事業)など多様な選択肢があります。以下、それぞれの概要を紹介します。
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業の生産性向上・新製品・サービス開発など、設備投資全般をサポートする代表的な制度です。建設業でも、ICT建機や省力化重機、新工法向けロボット等の導入に幅広く活用可能です。
補助上限額:100万円~最大2,500万円(高付加価値化枠など。大幅賃上げ特例ありで最大4,000万円)
補助率:中小企業1/2、小規模企業2/3
主な対象経費:機械装置費、システム構築費、技術導入費、関連経費ほか
旧式重機のみでは採択困難です。ICT建機や自動化システム、環境対応型設備、協働ロボット等「革新性」が重視されます
賃上げ(給与総額・最低賃金)目標達成が前提となります
事例:ICTブルドーザー導入で青森県の企業が採択、木くず工程の効率化重機への投資など実績多数(参考:ものづくり補助金)
ものづくり補助金については以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
参考:ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説
高度安全機械等導入支援補助金は、労働災害防止・現場の安全性強化目的で、特定の安全装置(自動減速装置・多カメラ監視システム等)を搭載した建設機械の導入を支援します。申請のハードルはやや低めで、中小企業の中でも特に「安全意識の高い企業」には最適です。
補助率:メーカー希望小売価格の1/2
上限:安全装置1機当たり最大100万円(種類による)
申請対象:建設業許可を有し、資本金や従業員規模の条件を満たす企業
対象機種:油圧ショベル、ホイールローダー、積載形トラッククレーンなど
申請のポイント:交付決定通知書を「受領後」に購入する必要がありみあす。予定納期にも注意しましょう。
いわゆる「GX(グリーントランスフォーメーション)建機」に特化した補助金です。CO2排出の少ない電動建機・充電設備の導入を支援し、2025年から本格拡充されました。GX建機認定とは、国土交通省による環境基準をクリアした建設機械で、公共工事での需要も高まります。
補助率:(GX建機)購入差額の2/3、充電設備購入費用1/2
上限額:特に上限なし(国の予算・公募時注意)。
申請要件:GX建機認定の機械であること。交付決定後の購入必須。
申請システム:jGrants等オンライン申請&gBizID必須
その他建機に使える主要な補助金には以下のようなものがあります。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都):都内に事業拠点があれば建機導入への大型助成金も利用可能
中小企業新事業進出促進補助金:新規事業分野への進出(例:ドローン測量業など)時に建機投資も支援対象
その他、地域ごとの自治体助成・国土交通省案件などもありますので、建機の導入予定のある方は是非チェックしてみてください。
以下のようなお悩みを抱えていませんか?
投資を行う予定だがコストを削減したい
補助金について詳しい人が周りにいない
使える補助金がないか知りたい
新規事業などでまとまった経費を予定されている方は、補助金申請でコスト負担を軽減することができます。
しかし、自社に合った補助金を見つけるためには、相当の時間と手間が必要になります。
もし事業投資をお考えの方は、補助金の診断から申請サポートまでをワンストップで対応している補助金コネクトにお問い合わせください。
補助金申請には共通の流れと、押さえておきたい「成否を分けるポイント」が多数存在します。初めての方も「これだけは外せない」要点を具体的に見ていきます。
補助金申請には主に以下のような作業が必要です。各ステップの概要は以下のとおりです。
自社事業計画・補助金要領との照合
どんな建機を、どんな目的(生産性向上、安全性アップなど)で導入するのかを整理
補助金要項・申請要領を確認
必要書類の準備
申請書(電子フォームが主流)
事業計画書(経営課題の分析・投資根拠・賃上げ計画など明確に)
見積書、会社登記簿謄本、決算書(数期分)、印鑑証明ほか
gBizID取得&電子申請準備
多くの国補助金は「gBizID」事前取得必須。申請に2週間以上かかるため要注意!
オンライン申請または郵送(自治体により異なる)
採択・交付決定→購入実行→実績報告→補助金入金
申請書類の中で最も重要かつボリュームが多いのは事業計画書です。事業計画書の完成度により採択可否が決定すると言っても過言ではありません。
とはいえ、難しく考える必要はありません。採択される事業計画書には特徴や、作成のコツがあります。以下に主要なものを紹介します。
「自社ならでは」の課題・強み・導入効果を“数字”や“地元産業への波及”をまじえ具体的に記載します(例:〇〇%の省人化、事故発生率の○割減目標 など)
賃上げ・働き方改革等、時勢を意識した計画(国方針との一貫性)を盛り込みます
建機の導入効果は“定性的”“定量的”双方で伝えましょう
「ICT建機」「GX建機」「AI・自動化」など最新技術投資は加点評価されやすい傾向にあります
必要に応じて銀行や商工会議所、認定経営革新等支援機関のサポートを活用しましょう
ものづくり補助金や新事業進出補助金など、採択難易度の高い補助金の場合、他社はほぼ専門家を雇って執筆していると考えてください。自社事業のブラッシュアップと同時に、補助金申請書としての完成度を高めて行くために、専門家の登用を積極的にご検討ください。
「どんな企業が実際に補助金を活用しているのか?」「補助金を活用するとどのような改善があるのか?」は気になるところと思います。公開事例に基づき主なポイントを紹介します。
建機の導入に関しては、ものづくり補助金公式サイトなどから以下の事例があります。
事例1:青森県 総合工事業・ICTブルドーザー導入で工期短縮&技術者教育を加速
事例2:木質飼料開発企業・特殊重機(スキットフォーク付きホイールローダー)を補助金で導入、作業効率アップ
事例3:油圧ショベルの自動減速装置設置で現場事故ゼロを実現(高度安全機械等導入支援補助金)
事例4:GX建機を導入し、自治体の公共工事受注で同業他社と差別化(電動建機導入助成)
単純な作業効率アップだけでなく、事故防止や、先端機器の導入による競合との差別化など、幅広いメリットが報告されています。
建機の導入に使える補助金ですが、単なる財務改善のほか、以下に代表される様々な副次効果が見込めます。
事業計画・設備投資方針全体を見直すことで、将来の成長ビジョンを策定できます。
資金負担の軽減だけでなく“企業の信用力向上”や、公的支援による取引先からの評価アップにつながります
人手不足対策・安全対策・省人化設備導入を総合的に進める事で利益体質の改善を図れます
補助金活用にはメリットが多い半面、ルール・制約の理解とリスク管理が不可欠です。
補助金交付後には「年度ごとの実績報告」「導入設備の管理」「台帳整備」など義務が課されていることが多いです。購入して終わりではありませんので、前向きに取り組むようにしましょう。
また、補助金で購入した機器は一定期間、設備の売却・転用・リースが禁止となります。万が一不要になったからといって転売をしてしまうと補助金の返還を求められる場合がありますので注意してください。
その他、不適切な使途や虚偽報告が発覚した場合は重いペナルティが課されることもあります。知らなかったでは済まされませんので、公募要領をよく読み対応するようにしてください。
補助金には独特のルールがあります。以下によくあるトラブルと対策をまとめましたので参考にしてください。
交付決定前の機械発注・購入は補助対象外となります。契約は発注は必ず交付決定後に行うようにしてください。
申請内容と現実が食い違った場合、補助金支給が認められないことがあります。軽微なものであれば計画変更が可能な場合がありますが、計画を大きく変更する場合には再審査となったり、場合によっては交付が取り消されることもあります。申請時の計画は入念にチェックするようにしてください。
その他、補助金ごとに細かなルールが定められています。必要な場合は事務局に直接確認するか、専門家に早めに相談するようにしてください。
補助金コネクトでサポートした企業様の成功事例をご紹介します。
事例①サービス業
BLUE ONION(ブルーオニオン) | 事業再構築補助金の成功事例
補助金で他業種へ新規店舗を出店し、集客力アップとリピート率の向上を達成。
事例②製造業
生産ラインの自動化に必要な設備導入費用を補助金でカバーし、生産効率が大幅に向上。
事例③人材紹介業
新サービス開発の資金調達に成功し、市場拡大に伴う売上増を実現。
建機導入に活用できる補助金は進化を遂げ、建設業の課題解決と成長への最適ルートとなっています。ものづくり補助金、高度安全機械等導入支援補助金、商用車等の電動化促進事業など、それぞれ特徴・要件が異なりますので、自社の強みや今後のビジョンにフィットするものを選ぶことが大切です。
本記事で紹介した事例・ノウハウ・最新制度を活かし、ぜひ積極的なチャレンジをご検討ください。
困ったときは「申請サポート・無料相談」もご利用いただけます。補助金活用で、次世代の建設業を共に切り拓いていきましょう!