スタートアップ企業は他の中小企業者に比べ、急成長を目指している点でどうしても「人やお金などのリソースが足りない」という特徴があります。
ですので、経営者の方でなるべく手間をかけずに資金調達をしたいと考える人は多いと思います。
資金調達の方法は銀行からの融資やベンチャーキャピタルからの出資など様々なものが挙げられますが、スタートアップ企業でもリスクなく活用できるのは返済義務がなく資本の希薄化もしない補助金や助成金ではないでしょうか?
本記事ではそんなスタートアップ企業が活用できる補助金や助成金についてわかりやすく解説していきます。
どのような制度があるのか?
申請はどうやって行うのか?
そもそもどこから探せばいいのか?
スタートアップ企業でも活用しやすい補助金や助成金は多数用意されています。
上記の疑問をお持ちのスタートアップ経営者の方はぜひご活用ください。
補助金と助成金の違いについて確認しておきましょう。どちらも返済義務がない点では似ていますが、それぞれ目的や団体等が異なります。
特徴を理解し、自分のニーズに応じて選択していきましょう。
運営主体として以下の4つが挙げられます。
経済産業省
厚生労働省
地方自治体
民間団体
経済産業省は、高額な補助金を取り扱っています。国が主体となることで、上限額も3,000万円などまとまった支援が欲しい人向けの運営主体です。ただ申請者数も多くなりますので、採択を受けて応募者の中から選ばれなければ受給できません。誰でも対象となるわけではないことを念頭に置いておきましょう。
厚生労働省は雇用に関する支援を多く行っている特徴があります。助成金を中心として取り扱っており、人材の採用や雇用環境の改善に関して支援を受けたい人は厚生労働省の支援金を受けることになります。
地方自治体は、対象者がそれぞれの地域に限定されるため個性豊かな補助金が用意されています。こんなものが補助対象なのか、という意外性のある支援を行っているのが特徴です。ただし経済産業省や厚生労働省に比べ予算に限りがあるので、いつも支援を行っているわけではありません。また募集期間が短いため、常日頃から自治体の支援金について確認しておく必要があります。
民間団体でも補助金が用意されています。民間企業や財団法人などがあるものの、見つけづらく少ないという特徴があります。こちらの探し方は地方自治体へ問い合わせることで確認が可能です。地方自治体の支援金などを検討している際は、合わせて確認してみてはいかがでしょうか。
補助金と助成金の違いは、何に対する支援を目的としているかで大きく分けられます。
補助金は経済産業省が運営主体となり、事業内容に対して支援を行っています。つまり「新規事業で使う経費を削減したい」などの目的がある方は、補助金を申請することになります。
なお前述したように採択によって受給が決定するため、助成金より難易度が高い分もらえる金額も高くなります。
助成金は厚生労働省が運営主体となって、人に対して支援を受けることができます。つまり「新しい従業員を確保したい」「従業員のスキルアップを目指したい」「定着率を高めたい」などの目的がある方は助成金を選ぶことになるでしょう。要件を満たせば誰でも受給できる強みがあります。
ただし補助金よりも額が少なくなる傾向があり、労働環境に関するものしか支援を受けられないので注意をしておきましょう。
目的別にまとめると、以下の通りになります。
補助金 | ・事業に関する支援をしてほしい ・少々難易度が高くなっても、なるべく多く資金調達したい |
助成金 | ・採用コストを削減したい ・額が少なくてもいいからなるべく確実に資金調達したい |
補助金交付までの流れは主に以下の通りです。
1.申請する補助金の選定
申請する補助金を決めていきます。経済産業省のサイトや地方自治体へ問い合わせながら決めていきましょう。
2.申請
補助金が決まれば申請を行います。必要書類を揃え、不備がないように確認して郵送や電子申告などで申請していきましょう。
3.採択
申請締め切り後、おおよそ2ヶ月程度で採択結果が発表されます。結果は補助金の事務局の公式サイト上で公開されるのがメインとなっています。
4.事業の実施
無事に採択されたら、事業を実施していきましょう。事業でかかった経費は後ほど請求するので、領収書や納品書等入金の記録式の出入りがわかる書類を残しておくことを忘れないでください。
5.請求
あらかじめ事業期間が決められているので、期間終了後にかかった経費を事務局側へ交付申請をしていきます。
6.交付
無事に交付申請が受理されれば、補助金が交付されます。
補助金は後払い制となっています。
事業実施、つまり経費を払ってから請求して交付されるため、最初は支払いコストが発生します。
そのため、先払いする資金の確保が難しい場合は銀行などから先に融資を受けておく必要も出てくるため、注意をしておきましょう。
助成金交付は補助金交付とほぼ同じ流れで進んでいきます。
大きな違いとしては採択がないので、申請をすぐに実施をし、請求して交付されるという流れになっています。
1.助成金の選定
こちらは厚生労働省のサイトから確認して決めていきましょう。
2.申請
事業計画書などを合わせて作成して、申請書とともに提出します。
3.計画の実施
採択がありませんので、すぐに計画を実施していきましょう。期間は助成金の制度ごとに異なるので、すぐに終わることもあれば数か月先まで実施しなければならないものもあります。
4.請求
計画完了後、事務局側へ助成金の交付申請をしていきます。
5.交付
無事に交付申請が受理されれば、交付されます。
こちらも後払い制なので、資金をあらかじめ確保しておく必要があります。
ここではスタートアップ企業が活用できる補助金、つまり事業拡大のための支援金制度を説明していきます。
事業再構築補助金は、新市場進出、事業・業種転換、事業再編などを行う中小企業を支援する大型補助金です。
補助金額が大きい上に対象経費も幅広く、最もメリットの大きい補助金といえるでしょう。
興味のある方は以下の記事も参考にしてみてください。
参考記事:事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説
ものづくり補助金は、新商品や新サービスの開発、もしくは生産性の向上を図る取り組みを中小企業庁が支援してくれる制度です。
製造業以外にもサービス業や小売業、旅館業も含まれていて、最大3,000万円の支援が可能となっています。
システム導入や外注費、クラウドサービス利用費のなどを含めた設備投資を進めてもらいたいという意図があります。
ものづくり補助金については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説
IT導入補助金は、ITツールを使って生産性向上させてほしいという目的のある補助金制度です。
会計ツール、受発注システム以外にパソコンやタブレットなどのハードウェア系も補助対象に含まれています。
特に資金投入ができない内はITツールを効率的に使っていくことも多くなるかと思います。
その際には活用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考記事:【最大450万円】IT導入補助金とは?2022年度の対象とスケジュール、申請方法
スタートアップチャレンジ推薦推進補助金とは、大企業の人材がスタートアップ企業へ一時的に出向してもらい、労働力不足を解消するような働きを支援する制度です。
大企業:労働力はあるが、専門性が身に付かない
スタートアップ:専門性はあるが、労働力が足りない
上記のようにそれぞれの抱える問題にアプローチできる制度です。
参考記事:スタートアップチャレンジ推進補助金
スタートアップが活用できる人に関する支援を行う助成金は以下の通りです。
スタートアップは成長過程で大量に雇用を行う可能性があります。
そこでこのキャリアアップ助成金を上手く活用することで、従業員の待遇改善を行いつつ助成金を受け取ることができるのです。
知っておくだけでメリットが大きい制度ですので、念頭に置いておきましょう。
キャリアアップ助成金は、非正規労働者を正社員へ転向させたり、就労規則を改正して賃金アップや賞与を設定したりすると支援を受けられます
なお有期契約労働者は正社員へ転向した際は1人あたり57万円から72万円、無期契約労働者なら28万5,000円から36万円が支給されます。
キャリア形成推進助成金とは、人材育成制度を導入して従業員のキャリアアップを狙う取り組みを行う企業を支援する制度です。
従業員の賃金や経費の一部を支援してくれますので、人材育成をしたい事業主は活用してみてはいかがでしょうか。
OJT付き職業訓練や、雇用契約締結後5年以内かつ35歳未満の若者向け職業訓練など様々な訓練が対象です。
コースは8つ以上設けられており、1人1本あたり7万円から50万円、1事務所あたり500万円の支給限度額が設定されています。
スタートアップ企業が活用できる補助金や助成金はたくさん存在しています。
一方で、日々の業務に追われて、制度を細かく調べる時間はなかなか取れないと思います。
しかしながら、事業を伸ばしたいなら補助金、雇用関係なら助成金といった形で、カテゴリ別に理解しておくだけでも、会社の成長に役立つタイミングはきっとあるはずです。
まずは活用できる補助金や助成金を確認していきましょう。
補助金コネクトでは、スタートアップ企業が活用できる補助金、出資案件などの一覧をまとめていますので、合わせてご活用ください。