中小企業の生産性向上につながる補助金の代表格に「ものづくり補助金」があります。
ものづくり補助金は、これから新規事業を始める事業者に対し、設備導入費などの経費に対して交付される補助金です。
実際どのような活用事例があるのか、事前に確認しておきたい方もいらっしゃることでしょう。
そこで、この記事ではものづくり補助金を活用した新規事業の事例と申請の流れ、注意点を紹介します。
以下のようなお悩みを抱えていませんか?
投資を行う予定だがコストを削減したい
補助金について詳しい人が周りにいない
使える補助金がないか知りたい
新規事業などでまとまった経費を予定されている方は、補助金申請でコスト負担を軽減することができます。
しかし、自社に合った補助金を見つけるためには、相当の時間と手間が必要になります。
もし事業投資をお考えの方は、補助金の診断から申請サポートまでをワンストップで対応している補助金コネクトにお問い合わせください。
ものづくり補助金とは、生産性向上に向けた取り組みを行う中小企業等が、新製品・新サービスの開発、生産プロセスの向上などに必要な設備投資等を支援する補助金のことです。
現在(2025年5月時点)では20回目の公募がスタートしており、多くの中小企業や個人事業主が活用しています。
ここではものづくり補助金の対象事業や対象経費、補助額などの概要を紹介します。
ものづくり補助金の対象となる事業は、業種によって異なります。
対象となる事業者は後ほど紹介しますが、ここでは中小企業者と小規模事業者について紹介します。
ものづくり補助金の対象となる中小企業者は、業種ごとに下図の通り資本金や常勤従業員数に制限が設けられています。
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(20次締切分)
ここでの中小企業者は、「中小企業等経営強化法第2条第1項」に規定するものが対象です。
上記の要件を満たした事業者が、設備投資による生産性向上や試作品開発、デジタル技術の導入などを行う際に活用することができます。(ただし申請枠ごとに別途要件有り)
また、小規模企業者・小規模事業者に関しても同様に、下図の通り業種ごとに常勤従業員数の制限が設けられています。
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業その他 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
商業・サービス業 | 5人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
上記の他にも組合や特定事業者、特定非営利活動法人、社会福祉法人なども含まれます。詳しく知りたい方は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(20次締切分)をご確認ください。
ものづくり補助金の対象者は以下のとおりです。
・中小企業者(資本金または常勤の従業員数が、規定の数字以下である会社または個人)
・企業組合・協業組合・商工組合などの組合・法人
・特定事業者の一部(業種ごとに定められた常勤従業員数を下回る会社・個人のうち、資本金の額または出資総額が10億円未満であるもの。また生活衛生同業組合・酒造組合・内航海運組合・技術研究組合なども該当する)
・特定非営利活動法人
・社会福祉法人 など
補助対象者であっても、経済産業省または中小企業庁から補助金の指定(指名)停止措置を受けている事業者は補助対象外です。
また、大企業や同一法人・事業者が、同じ締切回で複数申請をしている場合、過去の助成制度と重複・類似した内容の事業で申請している場合も対象外であるため注意が必要です。
ものづくり補助金の対象となる経費は下図の通りです。
対象となる経費は幅広くありますが、本事業の経費としての必要性と金額の妥当性が求められます。
つまり、領収書などの証拠書類によって確認できるようにしなければいけないため、購入した際の書類は保管しておきましょう。
ものづくり補助金の対象経費に関しては以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参考:ものづくり補助金の対象設備とは?対象経費の判断の際の条件や、申請時の際の注意点、や活用事例について詳しく解説!
ものづくり補助金には、大きく3つの申請枠が設けられており、それぞれ補助金額と補助額が異なります。
申請枠 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 100万円~2,500万円 | 1/2~2/3 |
グローバル枠 | 100万円~3,000万円 | 1/2~2/3 |
補助額は常勤従業員数によって変わります。補助率も中小企業か小規模事業者によって変動するため、事前にしっかり確認しておきましょう。
また、申請枠ごとに基本要件に加えた追加要件が設けられているため、事業者の方はどの申請枠を活用するのかをしっかり検討することが大切です。
2つの申請枠の概要と補助額については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参考:ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説
ここではものづくり補助金を活用した新規事業の事例を4つ紹介します。
島根県にある仁摩電器株式会社は、パナソニックエレクトロディバイス株式会社の共栄会社として、自動車向け雑音防止用コンデンサ等を製造する電気機械器具製造業の会社です。
ものづくり補助金を活用し、電動ロータリーストリッパーや全自動電線切断皮剥機、高精度画像寸法測定器などを導入してワイヤーハーネス加工を行う新規事業を開始します。 これにより、関西のワイヤーハーネスやハーネス加工用機械・部品などの製造販売を行っている大手メーカーから受注を獲得し、ガス警報器部品の生産委託を請け負うことになった成功事例です。
参考:新事業拡大に向けたワイヤーハーネス生産体制のプロセス改善計画
北海道のリサイクルファクトリー株式会社は、作業廃棄物収集・運搬・処分業を行う優良産業廃棄物処理事業者です。
近年の労働人口の不足は、廃棄物処理業界にも押し寄せてきており、労働力の確保は同社にとっても大きな課題となっていました。
そこで、ものづくり補助金を活用して手作業で行っていた工程をすべて機械化へ移行します。
これにより搬出作業の効率向上と従業員の身体への負担を軽減させることができ、一日当たりの生産量は1.5トンから24トンと約16倍にUPします。
大幅な生産性の向上と、今後はさらなる量産化に向けて第二工場の建設も視野に入れるほど安定した企業の成功例です。
参考:自動包装機・移動機の導入による生産効率の向上と作業環境の改善
株式会社エーエム工業は、島根県でバルブの開閉を操作する空圧・油圧アクチュエーターの加工・組み立て、工作機械用部品の加工などを行う会社です。
近年では人員不足と従業員の高齢化によって、従業員への作業負担が大きくなっていました。そのため人手不足をカバーするために、ものづくり補助金を活用して立型マシニングセンタを導入します。
エーエム工業にはもともと3台の立型マシニングセンタがあったものの、導入した製品は当時最新鋭であり、作業時間も30%短縮される効果となりました。
従業員の負担を大幅に減少することができ、なおかつ新規取引にも取り組めた成功事例です。
参考:立型マシニングセンターを活用した複合多工程品の高度工程集約による試作開発
株式会社橋本清文堂は、地元金融機関・鉄道機関・地元企業などを中心に、機密性の高い重要印刷全般を取り扱っている印刷屋です。
しかし、昨今の電子化が進む時代に当社の存在価値も問われてきました。
そこでものづくり補助金を活用してデジタル印刷システムを導入します。この製品はフルカラーの4色に加え、白色、透明色、蛍光3色(黄・赤・ピンク)、金、銀の7つの特色を装備し、コピーなどで復元できない偽造防止技術を有します。
さらに、AIやIoT技術を取り入れた印刷業務管理システムを搭載しており、業務全体を管理、業務プロセスの効率化、作業の自動化ができ、安定供給が可能となりました。
偽造防止技術は想定していた鉄道機関の機密製品の提供を超えて、入場チケット、名刺、証明書など少量の幅広い製品で利用され、新規受注が増えた成功事例です。
参考:偽造防止・個別化印刷を自動化実現するデジタル印刷システム
ものづくり補助金の活用事例を紹介しましたが、これから活用を検討されている方に向けて、ここでは申請の流れについて紹介します。
ものづくり補助金は、すべて電子申請システムで受け付けています。
申請するためには、GビズIDプライムアカウントが必須となり、取得するには2週間ほどの日数がかかります。
GビズIDプライムアカウントを取得しておけば、IT導入補助金の申請や各行政サービスの利用もできるため、下記のURLから取得しておきましょう。
参考:GビズID | Home
次に、下記の事業計画書と申請書類を作成します。
・事業計画書
・補助経費に関する誓約書
・賃金引上げ計画の誓約書
・決算書等(直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細書、個別注記表など)
・従業員数の確認書類
・労働名簿
・その他応募枠に応じた書類
誓約書などは「公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト」からダウロードできます。
また、事業計画書はものづくり補助金の審査に用いられ、採択に大きく左右されるため、専門家と相談しながら作成することをおすすめします。
この時点で導入する設備等の見積もりを2社以上から取得しておくと、交付申請もスムーズに進みます。
事業計画書と必要書類の準備ができた後は、電子申請で補助金の交付申請を行います。
ものづくり補助金総合サイトから電子申請のタブをクリックして進めます。
また、必要書類もファイルとして申請する流れです。
詳しくは「電子申請システム操作マニュアル_18.0版」を確認しておきましょう。
申請した後は、応募期間が終了と同時に事業計画書の審査期間に入ります。
おおよそ2ヶ月ほどで採択結果が発表され、通知されます。
採択を受けた事業者は実際に交付手続きを始めますが、入金は事業の実施と報告後になるので注意しましょう。
交付申請が終了し交付決定が決まったら、交付決定通知書が送られてきます。その後は事業計画書に従い、補助事業を実施します。
事業は交付通知書を受け取ってから10か月以内にスタートしなければいけないため注意が必要です。
また、事業の実施期間は発注や請求関係の書類や、かかった経費の金額などを管理しなければ実績報告できないため、忘れないように注意しましょう。
補助事業が完了したら、補助事業に関する実績報告を行います。Jグランツ(デジタル庁が運営する、国や自治体の補助金の電子申請システム)にて事業終了日、補助事業に使用した経費、補助対象経費の報告や根拠となる各種資料を提出・申請します。
申請後は事務局の確定検査を受け、問題なければ精算請求し、補助金が交付される流れです。
ものづくり補助金はさまざまな業種に活用できるうえ、対象となる経費の幅も広いです。
しかし、新規事業にものづくり補助金を使う際は、注意しなければいけない点もあるので、ここでは3つ紹介します。
ものづくり補助金は、補助事業が終了後の請求によって入金される後払い方式です。
補助金と聞くと、先に支払われるというイメージを持つ方も多いですが、本補助金は事業の実施を行い、報告後に支払われます。
そのため、導入する設備費用などは自社で先に負担することになるため、資金面では注意が必要です。
さらに、採択前に導入した設備に関しては経費対象外です。
誤って先に設備の購入などを行わないように注意しましょう。
事業計画の内容は無理のない計画であり、会社規模に応じた現実的な数値で記載することをおすすめします。
ものづくり補助金は、事業計画通りに実施できたかを報告しなければいけません。
当然ながら無理な事業計画を組んでしまうと、事業自体が困難となったり、採択の取り消しにつながるリスクもあります。
事業計画が抽象的であり、実現可能性が低い事業計画や財務状況に合わない過剰投資や不適切投資などの内容で申請しても、不採択になる可能性も高いため、専門家に相談しながら事業計画書を作成しましょう。
本補助金を活用する際はプロジェクトの進行管理を徹底し納期を遵守しましょう。
ものづくり補助金には申請の締切期日を始め、実績報告や補助事業終了後の事業状態や収益、知的財産権などの状態を報告する期日が定められています。
これらの期日は事業を行っていると忘れがちになってしまう方も多く、申請のチャンスを逃しているケースも多く見受けられます。
期日管理ができない、もしくは難しそうと思う事業者は、専門家に相談して申請のサポートを受けることをおすすめします。
ここではものづくり補助金に採択されるためのポイントを紹介します。
補助金申請を行ったことがない方は特に注意しなければいけないポイントなので、一つずつ確認していきましょう。
当然ながら、書類に不備があると採択率を低くする要因となるため、完全な状態で申請するようにしましょう。
特に補助金の申請を行ったことがない方は、どのような書類を用意すればよいのかわからず、しっかり準備ができていない傾向にあります。
また、申請の締め切り前に書類の準備をすると、いざ不備があった場合は次回の公募まで待つことにもなりかねないため、余裕をもって準備することが大切です。
事業計画書は補助金の審査において重要なポイントなため、完成度を高めて提出する事で採択率を高めることができます。
補助金の審査は事業計画書が最も大切と言っても過言ではありません。
補助対象事業としての適格性や新製品・サービスの技術面、事業化面や政策面など、審査はさまざまなポイントを考慮して行われます。
どこかひとつでも事業としての不安要素があると、採択される可能性が低くなってしまうため、事業計画書の完成度を高めた状態で申請することが大切です。
加点項目の要件を満たすと事務局から採択を受けやすくなります。
参考:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
上記のグラフは、加点項目がものづくり補助金の採択率にどれほど影響を与えるかを表したものです。
加点項目を2個獲得するだけで、採択率は50%以上になることがわかります。
加点要素は大きく分けて以下の15点です。
経営革新計画
パートナーシップ構築 宣言
再生事業者
DX認定
健康経営優良法人認定
技術情報管理認証
J-Startup J-Startup地域版
新規輸出1万者支援プログラム (グローバル枠に申請 する場合のみ対象)
事業継続力強化計画/ 連携事業継続力強化計画
賃上げ
被用者保険
えるぼし認定
くるみん認定
事業承継/M&A
成長加速 マッチングサービス
ただし、基本的には最大6項目の加点項目の取得までです。詳しくは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(20次締切分)を確認しておきましょう。
加点内容を満たして申請すると、採択率も大幅に引き上げられますが、どの項目であれば該当しているかは専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
ものづくり補助金の採択率を高めるのに最も効率的なのは、専門家のアドバイスを受けることです。
専門家であれば、採択率を高める事業計画書の作成から加点のチェックまで行ってくれるため、スムーズに申請できるうえ、高い確率で採択されます。
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相談件数も1年間で1,000件以上あり、支援総額も1年間で5億円以上補助金採択率9割以上となる実績があります。相談料も無料なため、ものづくり補助金を検討している方はぜひ一度ご相談下さいませ。
ものづくり補助金を活用すれば、新規事業をおこなう設備導入費などの費用に充てることができます。
本記事でも紹介した通り、ものづくり補助金を活用した事業主は多いです。
一方で、必ず採択されるわけではないため、正しい手順と書類の準備が求められます。
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