くるみん認定は、社員に対して子育てサポートを十分に行っている企業が得られる厚労省の認定の1つです。社会からのイメージがアップしたり、優秀な人材を確保しやすくなったりするメリットがあります。
求職者の中には、将来的な出産などに備えてあらかじめ子育てを支援してくれる、くるみん認定を受けている企業を探す方も多いです。くるみん認定は、少子化時代において企業に求められる重要な認定制度となります。
この記事では、くるみん認定の種類とメリット、取得方法を紹介します。
くるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てサポートに積極的に取り組み、一定の基準を満たした企業が厚生労働大臣から受けられる認定制度です。
くるみんという愛称は、一般公募から決まりました。くるみんは包む(くるむ)を表し、会社ぐるみで子供を優しく包むという意味があります。

くるみんマークは、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定・実施し、計画に定めた目標を達成したうえで、一定の認定基準を満たした企業に対して付与されます。
認定を受けるためには、一般事業主行動計画に定めた目標を達成するとともに、男性労働者の育児休業等取得率30%以上、女性労働者の育児休業等取得率75%以上など、厚生労働省令で定める基準を満たす必要があります。また、女性の有期雇用労働者についても、育児休業等取得率75%以上が基準に追加されています。
くるみん認定を受けた企業は増加しており、厚生労働省では2026年7月末時点の認定企業一覧を公表しています。(参考:くるみん認定、プラチナくるみん認定及びトライくるみん認定企業名都道府県別一覧|厚生労働省 )
くるみん認定には、「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」の3種類があります。また、それぞれに不妊治療と仕事の両立に取り組む企業を対象とした「プラス認定」があります。
くるみん認定には以下の3タイプあります。
くるみん
プラチナくるみん
トライくるみん
それぞれの特徴について紹介します。

くるみん認定の最も基本となる基準をクリアしたことを表すマークです。
認定を受けるためには、一般事業主行動計画を策定・実施し、計画に定めた目標を達成したうえで、育児休業の取得状況や労働時間の状況などについて、厚生労働省が定める認定基準を満たす必要があります。
主な認定基準 | くるみんの基準 |
|---|---|
行動計画 | 一般事業主行動計画を策定し、計画に定めた目標を達成していること |
男性労働者の育児休業等取得率 | 30%以上、または育児休業等取得率と育児目的休暇取得率の合計が50%以上 |
女性労働者の育児休業等取得率 | 75%以上 |
女性の有期雇用労働者 | 育児休業等取得率75%以上 |
労働時間 | フルタイム労働者の法定時間外労働・法定休日労働の月平均が30時間未満、または25~39歳のフルタイム労働者の月平均が45時間未満 |
働き方の見直し | 男性の育児休業等の取得期間の延伸、年次有給休暇の取得促進、多様な労働条件の整備などから、成果に関する具体的な目標を定めて実施 |
法令違反 | 法令などに違反する重大な事実がないこと |
2025年4月の改正で、男性の育児休業等取得率は10%から30%へ、育児休業等と育児目的休暇の合計は20%から50%へ引き上げられています。なお、2025年4月から2027年3月31日までは経過措置があります。

プラチナくるみんは、くるみん認定を取得した企業のうち、より高い水準で仕事と子育ての両立を支援する取り組みを行っている企業を表すマークです。
認定を受けるためには、くるみん認定の基準を満たしたうえで、育児休業の取得状況や労働時間の状況、働き方の見直しなどについて、厚生労働省が定めるプラチナくるみんの認定基準を満たす必要があります。
主な認定基準 | プラチナくるみんの基準 |
|---|---|
くるみん認定 | くるみん認定を受けていること |
男性労働者の育児休業等取得率 | 50%以上、または育児休業等取得率と育児目的休暇取得率の合計が70%以上 |
女性労働者の育児休業等取得率 | 75%以上 |
女性の有期雇用労働者 | 育児休業等取得率75%以上 |
労働時間 | フルタイム労働者の法定時間外労働・法定休日労働の月平均が30時間未満、または25~39歳のフルタイム労働者の月平均が45時間未満 |
働き方の見直し | 所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、柔軟な働き方の導入など、仕事と子育ての両立を支援する取り組みについて、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること |
能力向上・キャリア形成 | 子育てをする労働者の能力向上やキャリア形成を支援するための取り組みを実施していること |
法令違反 | 労働関係法令などに違反する重大な事実がないこと |
2025年4月の改正では、プラチナくるみんの男性労働者の育児休業等取得率に関する基準が変更されました。男性労働者の育児休業等取得率は「50%以上」、または育児休業等取得率と育児目的休暇取得率の合計が「70%以上」とされています。
また、プラチナくるみんでは、くるみん認定よりも高い水準で子育て支援に取り組んでいることが求められます。特に、子育てをする労働者の能力向上やキャリア形成を支援する取り組みなど、継続的な職場環境の改善が重要です。
なお、2025年4月から2027年3月31日までの2年間は、一定の条件を満たす場合に認定基準の経過措置が適用されます。認定を申請する際は、申請時点で適用される最新の基準を確認しましょう。

トライくるみんは、くるみんよりも取得しやすい基準が設定された認定制度です。2025年4月の改正により、男性労働者の育児休業等取得率などの基準が見直されています。
主な認定基準 | トライくるみんの基準 |
|---|---|
男性労働者の育児休業等取得率 | 10%以上、または育児休業等取得率と育児目的休暇取得率の合計が20%以上 |
女性労働者の育児休業等取得率 | 75%以上 |
女性の有期雇用労働者 | 育児休業等取得率75%以上 |
労働時間 | フルタイム労働者の法定時間外労働・法定休日労働の月平均が45時間未満 |
2025年4月改正後は、トライくるみんの男性育休取得率も7%から10%へ、育児休業等と育児目的休暇の合計も15%から20%へ引き上げられています。
2022年4月から、くるみん、プラチナくるみん、トライくるみんの各認定に「プラス認定」が設けられています。
プラス認定とは、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備に取り組む企業を認定する制度です。くるみん等の認定に加えて、プラス認定の基準を満たすことで「くるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」「トライくるみんプラス」の認定を受けられます。
認定を受けると、マークも以下のように変わります。

プラス認定を受けるためには、3つのくるみんのいずれかの認定基準を満たすこと、および次の項の要件を全て満たす必要があります。
①不妊治療のための休暇制度または、不妊治療のために利用することができる、半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークなどの制度を設けていること |
②不妊治療と仕事との両立に関する方針を示し、講じている措置の内容とともに社内に周知していること |
③不妊治療と仕事との両立に関する研修その他の不妊治療と仕事との両立に関する労働者の理解を促進するための取組を実施していること |
④不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者(両立支援担当者)を選任し、社内に周知していること |
プラス認定を受けると、不妊治療と仕事との両立をサポートする企業であることもPRすることができ、より人材確保に繋がるメリットがあります。
くるみん認定の取得によって得られるメリットは以下の4点です。
くるみん認定を受けた企業は、くるみんマークを自社の商品や名刺、パンフレット、広告などに使用できるようになり、企業イメージの向上につながります。
仕事優先だけでなく、労働者の子育てにも取り組んでいる企業であることを社内外にアピールできます。求職者にもアピールできるため、女性や主婦、などの人材確保にも繋がるメリットがあるのです。
くるみん認定などを受けた企業は、日本政策金融公庫の融資制度において一定の要件を満たすことで、金利の優遇を受けられる場合があります。
利用できる融資制度や金利、適用条件は変更される可能性があるため、申請時点の最新情報を確認しましょう。
くるみん認定を受けた企業は、国などが実施する公共調達において、ワーク・ライフ・バランス等推進企業として加点評価の対象となる場合があります。また、補助金・助成金についても、公募要領に応じて加点措置や優遇措置が設けられる場合があります。
補助金については、制度ごとに加点要件が異なるため、申請する年度の公募要領を確認する必要があります。特に、くるみん認定を含む「えるぼし」「ユースエール」などの認定が加点対象となる制度もあるため、申請前に確認しておきましょう。
・事業承継・M&A補助金 など
補助金による資金調達を検討している方は、くるみん認定を取得することで有利に働くことでしょう。
ただし、加点措置が受けられるからといって、必ず採択されるわけではありません。採択率を高めたい方は、補助金コンサルタントなどの専門家に相談しましょう。
「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラス認定」などの認定を受けた中小企業は、一定の要件を満たすことで「くるみん助成金」の対象となります。
助成金の対象となる認定区分や企業規模、対象経費などには要件があります。申請する際は、年度ごとの助成要領を確認しましょう。
さらに1回の認定につき1度の助成を受けることができますが、「プラチナくるみん」と「プラチナくるみんプラス」に関しては、1年ごとに1回受けることができます。
申請は「くるみん助成金ポータルサイトの申請フォーム」より可能です。
令和9年2月まで実施していますが、予算の上限に達した場合は期間内でも終了することがあるため、早めに申請してみましょう。
くるみん認定は、一般事業主行動計画の策定・届出、計画の実施、目標の達成、認定申請という流れで取得します。
自社の現状や従業員のニーズを把握する
一般事業主行動計画を策定・周知する
一般事業主行動計画を都道府県労働局へ届け出る
行動計画を実施し、目標を達成する
くるみん認定を申請する
厚生労働省もこの流れで一般事業主行動計画の策定から認定までを案内しています。
くるみん認定を目指す場合、まずは自社の仕事と子育ての両立に関する現状を把握しましょう。
たとえば、育児休業の取得状況や、妊娠・出産を理由とした退職者の有無、子育て中の従業員が抱えている課題などを確認します。あわせて、育児休業や子の看護休暇、柔軟な働き方などの制度がどの程度利用されているのかを調べることも大切です。
従業員へのアンケートなどを実施し、仕事と子育ての両立で困っていることや、会社に導入してほしい制度などを把握するのもよいでしょう。
なお、2025年4月からは、常時雇用する従業員が101人以上の企業について、育児休業等の取得状況や労働時間の状況を把握し、改善すべき事情を分析することが義務付けられています。
自社の現状や従業員のニーズを把握したら、その内容をもとに一般事業主行動計画を策定します。
一般事業主行動計画には、仕事と子育てを両立しやすい職場環境を整えるための「計画期間」「目標」「目標達成のための対策と実施時期」などを定めます。
目標は、育児休業の取得率向上や時間外労働の削減、柔軟な働き方の整備など、自社の課題に合わせて設定しましょう。くるみん認定を目指す場合は、認定基準を確認したうえで行動計画を作成することが重要です。2025年4月からくるみん認定の基準も変更されているため、最新の基準を確認しておきましょう。
策定した行動計画は、一般に公表するとともに、従業員にも周知します。公表・周知は、原則として計画策定日からおおむね3か月以内に行います。
一般事業主行動計画を策定したら、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ届け出ます。
届出には「一般事業主行動計画策定・変更届」を使用し、郵送、持参、電子申請のいずれかの方法で提出できます。原則として、行動計画を策定した日からおおむね3か月以内に届け出ます。
なお、行動計画そのものを届出書に添付する必要はありません。2025年4月以降の届出には、最新の様式を使用しましょう。
行動計画を策定・届出した後は、計画に沿って具体的な取り組みを進めます。
たとえば、育児休業を取得しやすい職場環境の整備や、育児と仕事を両立するための制度の利用促進、長時間労働の削減などが挙げられます。
くるみん認定では、行動計画に定めた目標を達成することに加えて、育児休業等の取得状況や労働時間に関する基準など、複数の認定基準を満たす必要があります。そのため、単に行動計画の目標を達成するだけでなく、認定基準を満たしているかを計画期間中から確認しておくことが大切です。
行動計画の期間が終了し、くるみん認定に必要な基準を満たしたら、管轄の都道府県労働局へ認定を申請します。
申請には「基準適合一般事業主認定申請書」を使用し、必要書類を添えて提出します。提出方法は、郵送、持参、電子申請から選択できます。
申請時には、策定・実施した一般事業主行動計画や、計画に定めた目標を達成したことを確認できる書類、公表・周知を行ったことが分かる資料などが必要になります。
申請内容が認定基準を満たしていると認められれば、くるみん認定を取得できます。
くるみん認定とは、子育て支援を積極的に取り組んでいる企業に対し、厚生労働大臣から受けられる認定のことです。
労働者の中には、子育てと仕事の両立で悩んでいる方も多いでしょう。認定を受ければ、そのような人材をサポートする企業として、採用力の向上につながり、企業PRにも役立ちます。
ただし、簡単に受けられる認定ではないため、取得を目指す企業は専門家に相談しながら検討するようにしましょう。
