国内のIT人材不足やシステム開発費の上昇を背景に、海外の企業へシステム・アプリ開発を委託する「オフショア開発」を活用する企業が増えています。
一方で、「どの国・どの会社に依頼すればよいのか」「ラボ型と請負型はどう違うのか」「価格だけで選んでも問題ないのか」など、委託先の選定に悩む企業も少なくありません。
本記事では、オフショア開発を検討している企業に向けて、主要な開発国の特徴や費用相場、企業選びのポイントを解説します。さらに、代表的なオフショア開発企業16社や、開発を進める際の流れ、補助金を検討する際の注意点についても紹介します。
システム開発やDX推進を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ここでは、国内外に開発拠点を持ち、日本企業向けにオフショア開発を提供している企業を中心に16社紹介します。
企業によって得意分野や開発体制が異なるため、候補を絞り込んだうえで、自社の案件に近い実績や見積もりを比較することが重要です。
日本とフィリピンなどの海外拠点を活用し、Webサービスや業務システム、ECなど幅広い開発に対応している企業です。海外エンジニアを活用した開発体制を整えており、サーバー・データベース構築や予約システム、営業・顧客管理システム、大規模ECなどの開発にも対応しています。
ベトナムをはじめとする海外拠点を活用し、DX支援や新規事業開発、Webサービス・アプリ開発などを幅広く支援しています。企画やデザインなどの上流工程から開発まで一貫して対応する体制を特徴としています。
国内外の複数拠点を活用して、Webサービスやスマートフォンアプリ、デジタルサービスなどの開発を支援する企業です。海外を含むグローバルな開発体制を構築している点が特徴です。
ベトナムを中心とした海外開発体制を活用し、スマートフォンアプリやWebシステム、AI、Unityなどの開発に対応しています。日本側のPM・SEと海外エンジニアを組み合わせた開発体制を構築しています。
ベトナムを中心としたオフショア開発を展開し、業務系システムやWebシステムなどの開発を手掛けています。日本語でのコミュニケーションを重視した開発体制を整えている点も特徴です。
日本とベトナムの開発体制を活用し、Web・アプリ開発やDX支援などを行っています。ラボ型と受託型の双方に対応しており、開発内容やプロジェクトの状況に応じた体制を組みやすい点が特徴です。
ベトナムのIT企業グループを母体とする日本法人で、オフショア開発に加えて、クラウド、AI、セキュリティ、システム開発など幅広いITサービスを提供しています。ベトナム側の技術人材を活用した大規模な開発にも対応しています。
ベトナムを開発拠点とし、ソフトウェア開発だけでなく、ソフトウェアテストや品質保証などにも対応しています。開発工程だけでなく、品質管理を重視するプロジェクトで検討しやすい企業の一つです。
Webシステムや業務システムを中心とした開発に対応し、PHP、Java、Pythonなどの技術を活用した開発実績を持つ企業です。AWSなどのクラウド環境を利用した開発にも対応しています。
ベトナムを中心にWebシステム、業務システム、スマートフォンアプリなどの開発を行っています。日本企業向けのオフショア開発に対応し、幅広い開発案件を扱っている点が特徴です。
ベトナムを活用したラボ型開発を展開している企業です。WebシステムやWebサイト、EC関連など、Web領域の開発を検討している企業が候補に入れやすいでしょう。
ミャンマーやモンゴルに開発拠点を持ち、ラボ型オフショア開発や業務アウトソーシングを提供しています。Webアプリ、スマートフォンアプリ、業務システム、EC、AI開発など幅広い分野に対応しています。日本語によるコミュニケーションを特徴としている点も確認しておきたいポイントです。
ベトナムの開発拠点を活用し、ECサイトやWebシステムなどの開発を手掛けています。フルスクラッチのEC開発などを検討している企業の選択肢となります。
日本・ベトナム・ミャンマーなどのグローバルな開発体制を活用し、業務システム、Web、AI、組込み、データエンジニアリングなど幅広い領域に対応しています。2026年には生成AIを活用したAI駆動開発とオフショア開発を組み合わせたサービスも展開しています。
ベトナムを中心とした大規模なグローバル開発体制を持つ企業です。オンサイト、ニアショア、オフショアを組み合わせる「ベストショア」の体制を提供し、要件定義やプロジェクト管理から開発、保守までグローバルな人材を活用して支援しています。2026年1月時点で世界31カ国・地域、92拠点、3万3,000人以上の人材基盤を掲げています。
ベトナムを中心にオフショア開発を展開し、業務システム、Webシステム、スマートフォンアプリ、AIなど幅広い開発に対応しています。2026年6月時点でグループ全体811名を擁し、PM・BrSE・開発・QAなど800名以上の開発人材を抱えています。AI駆動開発にも対応している点が近年の特徴です。
このほかにも、グローバルイノベーションコンサルティング、リッケイ、NTQジャパンなど、さまざまな企業がオフショア開発を提供しています。
候補企業を探す際は、企業規模だけでなく、開発国、対応言語、得意技術、過去実績、ラボ型・請負型などの契約方式、日本側のPM・BrSE体制などを確認しましょう。
詳細・最新情報は各社公式HPや比較サイトオフショア開発.comなどもご参照ください。
オフショア開発とは、システムやアプリの開発、保守・運用などを海外の企業や海外拠点へ委託する開発手法です。
日本国内よりも人件費を抑えられる国のエンジニアを活用することで、開発コストの削減やIT人材不足への対応につなげられる点が特徴です。
国内ではIT人材の需要が高まっており、経済産業省の調査では、2030年時点でIT人材が16万人~79万人程度不足する可能性があると推計されています。
調査自体は過去の推計であるため現在の需給状況を直接示すものではありませんが、IT人材の確保が中長期的な課題となっていることを示す資料の一つです。
オフショア開発は1990年代から中国などを中心に利用されてきましたが、現在ではベトナム、フィリピン、インド、バングラデシュ、ミャンマーなどにも開発拠点が広がっています。
現在は、単純なプログラミング業務だけではなく、Webシステムやスマートフォンアプリの開発、クラウド移行、AI・DX関連の開発、保守・運用まで幅広い業務で利用されています。
また、スタートアップだけでなく、中小企業や大企業が専用の開発チームを確保する目的でラボ型開発を利用するケースもあります。
オフショア開発を導入する際は、「海外だから安い」という理由だけで判断するのではなく、自社の開発内容や必要な技術、人員体制、コミュニケーション方法まで含めて委託先を比較することが重要です。
参考:オフショア開発とは?メリットやデメリット、オフショア開発会社に委託する際の注意点を解説
ここではオフショア開発のメリットとデメリット、課題について紹介します。
オフショア開発の代表的なメリットは、国内と異なる人材市場を活用できることです。
海外のエンジニアを活用することで、国内だけでは確保が難しいIT人材を補いながら、開発体制を構築できます。また、国によっては日本より人件費水準が低いため、開発費用を抑えられる可能性があります。
主なメリットは以下のとおりです。
エンジニアの確保と開発リソースの拡大
国内のIT人材不足への対応
開発コストを抑えられる可能性がある
中長期・大規模な開発体制を構築しやすい
海外エンジニアの専門知識や技術力を活用できる
ラボ型開発などを利用して必要な期間だけチームを確保できる
また、システム開発を伴う新規事業や製品・サービス開発では、事業内容や経費の内容によって補助金を活用できる可能性があります。
ただし、「オフショア開発だから補助対象になる」というわけではありません。補助金は制度ごとに対象となる事業や経費、申請時期などが定められているため、開発内容と公募要領を照らし合わせて判断する必要があります。
オフショア開発では、国内企業への委託と比べてコミュニケーションやプロジェクト管理が難しくなる場合があります。
言語や文化、仕事の進め方などに違いがあるため、国内では通じる曖昧な表現が海外の開発チームには正確に伝わらないこともあります。
また、委託先との距離があるため、問題が発生した際に現場へ直接確認しにくい点も考慮しなければなりません。
主な課題は以下のとおりです。
言語や文化の違いによるコミュニケーションコスト
仕様や認識の齟齬
品質管理・進捗管理の難しさ
時差による連絡の遅れ
セキュリティや情報管理上のリスク
担当エンジニアの離職などによる体制変更
海外情勢や為替変動などのカントリーリスク
特に重要なのが、セキュリティと情報管理です。
顧客情報や個人情報、営業秘密などを海外の開発拠点へ提供する場合は、委託先のセキュリティ対策や情報管理体制を事前に確認しましょう。NDA(秘密保持契約)やアクセス権限、データの保存場所なども含めてルールを明確にしておくことが重要です。
オフショア開発の費用は、開発国だけでなく、エンジニアの職種やスキル、開発内容、契約形態によって変わります。
そのため、「ベトナムなら1人月○万円」と一律に考えるのではなく、プログラマー、シニアエンジニア、ブリッジSE、PMなど、どの人材をどの程度配置するのかを確認する必要があります。
2025年版のオフショア開発白書をもとにした主要6カ国の人月単価は、以下のとおりです。
国名 | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
|---|---|---|---|---|
ベトナム | 40.1万円 | 50.0万円 | 59.0万円 | 71.4万円 |
フィリピン | 37.2万円 | 47.5万円 | 60.5万円 | 63.5万円 |
中国 | 58.3万円 | 71.7万円 | 75.8万円 | 84.6万円 |
インド | 37.5万円 | 45.0万円 | 60.0万円 | 67.5万円 |
ミャンマー | 27.5万円 | 40.0万円 | 40.0万円 | 57.5万円 |
バングラデシュ | 33.8万円 | 52.5万円 | 82.5万円 | 72.5万円 |
※1人月あたりの平均単価。実際の見積もりは案件内容や人材のスキル、契約条件などによって異なります。
表を見ると、プログラマーの平均単価はミャンマー27.5万円から中国58.3万円まで幅があります。一方、ブリッジSEやPMになると国による差が小さくなるケースもあり、単純に「人件費が安い国を選べば開発費も安くなる」とは限りません。
例えば、日本企業とのコミュニケーションを重視するプロジェクトでは、現地エンジニアの人件費だけでなく、日本語対応が可能なブリッジSEやPMの費用も考慮する必要があります。
オフショア開発先は、費用だけでなく、技術力、言語、時差、得意分野、政治・経済情勢などを総合的に比較することが重要です。
国 | 特徴 |
|---|---|
ベトナム | 日本企業向けのオフショア開発拠点として広く利用されています。日本語対応可能な人材を抱える企業も多く、Web・アプリ・業務システムからAI・DXまで幅広い案件に対応しています。 |
フィリピン | 英語力の高さを活かし、英語でのコミュニケーションを前提とした開発に適しています。Web・アプリ開発やラボ型開発などにも利用されています。 |
中国 | 長年にわたってオフショア開発が行われてきた国の一つで、IT人材の層が厚いことが特徴です。一方、人件費の上昇や中国特有の法規制・地政学的リスクなども考慮する必要があります。 |
インド | AI、クラウド、データ分析など高度なIT領域に対応できる人材が多いことが特徴です。英語でのコミュニケーションを前提とするケースが多く、日本との時差も考慮する必要があります。 |
ミャンマー | 比較的低い人月単価が特徴で、日本語対応が可能な人材を抱える企業もあります。一方、政情などのカントリーリスクがあるため、長期案件では情勢を確認することが重要です。 |
バングラデシュ | IT人材の供給力やコスト面が特徴です。英語でのコミュニケーションが可能な人材も多い一方、日本語対応やブリッジSEの確保については事前確認が必要です。 |
なお、オフショア開発先としてどの国を選ぶかは、案件によって適した選択肢が異なります。
例えば、日本語で細かな仕様確認を行う必要がある業務システムと、英語でコミュニケーションしながら開発できるWebサービスでは、適した国や企業が変わる可能性があります。
どの国のどの企業に委託するかはプロジェクトの成功要因を決定づける重要な要素です。ここでは、オフショア開発企業の選び方について、主なポイントを解説します。
オフショア開発企業は、それぞれが専門とする技術領域と案件規模によって個性があります。アプリ開発に強い企業は、iOS/Androidのネイティブ開発やFlutter・React Nativeなどのクロスプラットフォーム実装の経験が豊富で、短期リリースやUI/UX改善を得意としています。
一方、業務系Webシステムや基幹システムの構築を得意とする企業は、PHP・Java・.NETといったサーバーサイド技術やクラウドネイティブ設計に精通し、長期にわたる保守運用までカバーする体制を整えています。近年需要が伸びるDX/AI領域では、要件定義の上流工程からPoC、データ分析、機械学習モデルの実装までワンストップで支援する事例が増えており、自社のニーズに合った事例の有無が選定の重要ポイントとなります。
言語の異なるオフショア開発企業との円滑なコミュニケーションを支えるのは、日本語で要件を正確に把握し、現地チームへ的確に伝達できるブリッジSEの存在です。日本語能力試験N1・N2相当の語学力に加え、日本式プロジェクトマネジメントに通じた経験豊富な人材がプロジェクトに常駐すると、仕様の抜け漏れや認識の齟齬を大幅に減らせます。
また、日本人PM/SEを必ず介在させるハイブリッド体制や、入社時に日本語・日本文化研修を義務付ける企業は、納期遅延や品質トラブルの発生率が低い傾向にあります。定例ミーティングの頻度、チャット・チケット管理ツールの選定、レビュー・テスト体制といったガバナンスが整っているかも確認ポイントです。これらの要素が揃って初めて「低コストでも高品質」を実現できるため、契約前のヒアリングでは現場レベルの運営ルールまで細かく確認しましょう。
オフショア開発の契約形態は大きく請負型、ラボ型、SES型の三つに分類されます。請負型は納品物に対して責任を負うため、スコープが明確な小規模・短納期案件に適しています。ラボ型は一定期間チームを専有できるため、仕様変更が想定される中長期案件や複数プロジェクトを並行させる場合にコストメリットが大きく、要員確保の柔軟性も高いことが特徴です。SES型は日本側常駐の技術者を確保してDX推進を加速させたい企業に向き、社内ノウハウ蓄積にも寄与します。
費用は人月単価だけでなく、管理工数やコミュニケーションコストも含めて比較する必要があり、必ず複数社から見積もりを取得することがおすすめです。さらに、新事業進出補助金や省力化補助金、ものづくり補助金などの公的支援制度を組み合わせれば、導入コストを大幅に圧縮できる可能性があります。ただし、補助対象となる経費区分等の要件を満たす必要があるため、最新の公募要領を確認し、専門家や支援事務局へ早めに相談することが成功への近道です。
参考:オフショア開発で利用できる補助金とは?申請の流れや注意点も解説
オフショア開発の流れは通常の国内IT企業を使うのと大きく変わりません。しかしながら、オフショア企業とはじめて一緒に仕事をする際には想定外のトラブルがつきものです。頻繁に見直しを行ったり、モニタリングを強化しておくと安心です。
システム開発で最も重要な工程は要件定義でしょう。この工程で開発するシステムの大部分が決定し、残りの工程のコストが明らかになりますが、オフショア開発においても同じく最も重要です。
特にオフショア開発の場合は、システムの要件を決定するのと同時に、後の開発プロジェクトの進め方や人員体制についても詳細に確認しておくのがおすすめです。安く作りたいからといって安い企業を選ぶのではなく、ブリッジのサポートがついているかどうかを含め、複数社の提案を比較しておくと安心です。
<要件定義におけるポイント>
開発目的・KPIを明確にする:コスト、売上、生産性、納期などを具体化する
必要な機能を整理する:必須機能と追加機能を区別する
開発国・企業を比較する:費用だけでなく、技術力・実績・体制を確認する
契約形態と開発体制を決める:請負型・ラボ型などから案件に適した方式を選ぶ
仕様書・設計書を具体化する:曖昧な表現を避け、必要に応じて画面や図を用いる
検収基準を決める:どの状態になれば納品・検収とするのかを明確にする
特に、「よしなに」「一般的な仕様で」といった曖昧な指示は避け、双方が同じ完成イメージを共有できる状態をつくることが重要です。
オフショア開発を成功させるためには、案件に合った契約形態を選び、日本側と海外チームの役割分担を明確にする必要があります。
請負型であれば成果物や納期、検収基準などを明確にし、ラボ型であればチーム構成や稼働期間、担当範囲などを事前に決めておきましょう。
また、プロジェクト開始後の連携フローも重要です。
例えば、日本側の担当者が要件や優先順位を整理し、ブリッジSEが海外チームへ伝達する体制を構築すると、直接コミュニケーションする場合より情報を整理しやすくなります。
発注前には、以下の項目を契約書や仕様書などで明確にしておきましょう。
開発範囲
担当者と責任範囲
開発期間・納期
成果物
検収基準
仕様変更時の対応
不具合発生時の対応
知的財産権の帰属
秘密保持・情報管理
セキュリティ対策
保守・運用の範囲
追加費用が発生する条件
このように、開発会社との役割分担とルールを事前に明確にしておくことで、開発途中の認識違いやトラブルを抑えやすくなります。
オフショア開発は、コスト削減・DX推進・人材不足解消の有効な選択肢です。特にベトナム・フィリピンを中心とした信頼できる企業選びが重要です。得意領域・実績・コミュニケーション体制・補助金活用も含め、必ず複数社比較を比較し、自社にとって最高のパートナーを選びましょう。
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BLUE ONION(ブルーオニオン) | 事業再構築補助金の成功事例
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