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AI導入に使える補助金・融資制度5選!申請方法や金額、メリット、導入事例を紹介

融資
補助金
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更新:2025/01/20

AI技術の導入は、企業の業務効率化や生産性向上に大きなメリットをもたらしますが、その一方で、導入コストがネックになることも少なくありません。そんな企業にとって、補助金や融資制度を活用することで、AI導入のハードルを下げることができます。

本記事では、AI導入に使える補助金・融資制度5選を詳しく解説し、申請方法や補助金額、そしてそれぞれのメリットについて紹介します。また、実際にこれらの制度を利用して成功した導入事例も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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補助金が使えるAIツール

AIツール導入を検討している企業にとって、補助金制度の活用は導入コストを抑える有効な手段です。ここでは、補助金で賄える具体的なAIツールをいくつか紹介します。

業務効率化

  • RPA(Robotic Process Automation)ツール

    • 定型的な事務作業を自動化し、業務効率を大幅に向上させます。

    • IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:BUILDYNOTE、Forwarder-PRO、ナビ搭載業務自動化RPA、など

  • AI-OCR(Optical Character Recognition)ツール

    • 手書きや印刷された書類の文字を自動認識し、データ化します。

    • 入力作業の効率化や、データ分析の基盤構築に役立ちます。

    • IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:SmartRead、FormOCR、など

  • AI搭載スケジュール調整ツール

    • 複数の参加者の予定を考慮し、会議やアポイントメントの最適な日時を自動で提案します。

    • スケジュール調整の手間を削減し、業務効率化に貢献します。

    • IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:OL NEXT、など

生産性向上

  • 需要予測ツール

    • 過去の販売データなどを分析し、需要を予測することで在庫管理や生産計画の最適化に貢献します。

    • IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金の対象となる場合があります。

    • 例:B-Luck AI需要予測型自動発注、など

  • AI搭載品質検査システム

    • 製品画像などをAIが解析し、不良品を自動検出します。

    • 検査の精度向上や、人手不足解消に役立ちます。

    • ものづくり補助金、事業再構築補助金の対象となる場合があります。

    • 例:QC&SPC システム、EX-TREND武蔵、SiteBox、など

  • AI搭載チャットボット

    • 顧客からの問い合わせに自動応答し、顧客満足度向上や業務効率化に貢献します。

    • IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:HRBrain AIチャットボット、チャットボットサービス「Ki-CHATTEN」、汎用AIチャットボットCB3、など

新規事業開発・マーケティング

  • SNS分析ツール

    • 顧客の声を分析し、マーケティング戦略の改善に活用できます。

    • IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:SNS広告分析ツール(株式会社カカワリネット)、マルチSNS相談プラットフォーム 「つながる相談」、など

  • AI搭載MA(マーケティングオートメーション)ツール

    • 顧客情報の一元管理、顧客セグメント分け、メール配信自動化など、マーケティング業務全般を効率化します。

    • IT導入補助金、事業再構築補助金の対象となる場合があります。

    • 例:Sales Force Assistant、HubSpotのMAツール「Marketing Hub」、など

その他

  • AI搭載会計ソフト

    • 経理業務の自動化や、経営分析に活用できます。

    • IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:マネーフォワードクラウド、freee会計、など

  • AI搭載翻訳ツール

    • 高精度な翻訳を提供し、海外とのコミュニケーションを円滑にします。

    • IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金の対象となる場合があります。

    • 例:AI自動翻訳 T-4OO、など

これらの例以外にも、様々なAIツールが補助金の対象となります。導入を検討されている方は、ぜひ各補助金制度の公募要領や、専門家への相談を通じて、最適なツールを見つけてください。

次の章から、AIツール導入や開発に使える具体的な補助金や融資をご紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。AI導入に関わるソフトウェアやハードウェア、導入コンサルティング費用などが補助対象となります。

項目

詳細

概要

中小企業・小規模事業者等のITツール導入を支援

対象者

中小企業・小規模事業者等

補助上限額

5万円~450万円

補助率

1/2~4/5以内

対象経費

ソフトウェア費、ハードウェア費、導入関連費、など

IT導入補助金の詳細については、IT導入補助金とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説をご覧ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上のための設備投資を行う際の経費の一部を補助する制度です。AIを活用した生産設備やシステムの導入などが補助対象となります。

項目

詳細

概要

中小企業・小規模事業者等の生産性向上のための設備投資を支援

対象者

中小企業・小規模事業者等

補助上限額

750万円~8,000万円

補助率

1/2~2/3以内

対象経費

機械装置費、システム開発費、技術導入費、など

ものづくり補助金の詳細については、ものづくり補助金とは?対象者や申請要件、補助額、申請方法をわかりやすく解説をご覧ください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新分野展開、事業転換、業種転換、事業再編など、事業構造の転換に挑戦する企業を支援する制度です。AIを活用した新規事業の立ち上げや既存事業の転換などが補助対象となります。

項目

詳細

概要

中小企業等の事業構造転換を支援

対象者

中小企業等

補助上限額

1,500万円~1.5億円

補助率

1/2~2/3以内

対象経費

建物費、機械装置費、設備費、システム開発費、広告宣伝費、など

事業再構築補助金の詳細については、事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓等の取組を行う際の経費の一部を補助する制度です。AIを活用した業務効率化や販路開拓などが補助対象となります。

項目

詳細

概要

小規模事業者の販路開拓等を支援

対象者

小規模事業者

補助上限額

50万円~200万円

補助率

2/3以内

対象経費

広告宣伝費、展示会出展費、機械装置費、システム開発費など

小規模事業者持続化補助金の詳細については、小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説をご覧ください。

AI活用融資

項目

詳細

貸付対象

AI設備を導入し生産性の向上を図る中小企業(専門家の助言を受けていることが条件)

貸付内容

AIを活用した設備資金および運転資金(土地は除外)

貸付限度額

中小企業事業:7億2,000万円、国民生活事業:7,200万円

貸付利率

基準利率0.65%

貸付期間

設備資金:20年以内、運転資金:7年以内

備考

運転資金にはクラウド利用、AI導入のための人材教育資金も含まれる

AI活用融資は、中小企業がAI(人工知能)を導入・活用し、生産性向上を目指す際に必要な資金を支援する融資制度です。日本政策金融公庫が提供しており、AI導入による業務効率化や新たなビジネス展開を後押しします。

参考:商業・サービス競争力強化連携支援事業(新連携支援事業)

AI導入で補助金を活用するメリット

ここでは、AI導入に補助金を活用することで得られる主なメリットについて詳しく説明します。

コスト削減になる

AI導入にかかる初期費用は、企業にとって大きな負担となる場合がありますが、補助金を活用することでそのコストを大幅に削減することが可能です。特に、国や地方自治体が提供する補助金は、AIに関連する設備投資やソフトウェア導入、運転資金の一部を補助してくれるため、自己資金の負担が軽減されます。たとえば、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」を利用すれば、AIを活用した新しい生産設備やITシステムの導入費用を2/3~3/4まで補助してもらうことができ、結果的に導入コストの削減につながります。

コスト削減は企業の資金繰りを安定させるだけでなく、余剰資金を他の成長戦略や人材教育に回すことが可能になります。これにより、企業は無理なく新しい技術を導入し、次の成長段階に進むことができるのです。

生産性が向上する

AI導入の最大のメリットのひとつは、生産性の向上です。AIは、従来の手作業や人力では不可能だったデータ処理や分析、予測を短時間で実行し、業務の効率化を図ることができます。

さらに、AIが導入されることで、データに基づいた意思決定が迅速に行えるようになり、業務フロー全体のスピードアップが期待されます。補助金を活用してAIを導入すれば、資金負担を抑えながら生産性向上の恩恵を受けることができ、長期的な経営改善にもつながります。

事業の競争力が高まる

AI技術を導入することで、企業の競争力を高めることができます。AIは、データをもとに市場のトレンドや消費者のニーズを予測することができるため、他社に先んじて適切なビジネス戦略を打ち出すことが可能です。

補助金を活用してAIを導入することで、通常は高額なシステムや技術に手が届かない企業でも、先進的なテクノロジーを活用して競争力を強化できます。競争が激化する市場において、AI導入を通じて技術力を高めることは、企業の生き残りや成長のために欠かせない戦略です。

技術力が向上する

AIの導入は、企業の技術力向上に大きく貢献します。特に中小企業や個人事業主にとって、AI技術はこれまでのビジネスモデルを大きく変革する力を持っています。AIは単なるツールではなく、業務フローの改善や新たなビジネスの可能性を生み出す技術です。AIを導入することで、従業員のスキルも自然と向上し、新しい技術に対応できる人材が育成されます。

補助金を活用することで、AI導入時に必要な人材教育や技術指導にも資金を充てることが可能です。たとえば、業務改善助成金を利用すれば、AI導入に関連する人材育成に対する費用も補助されるため、従業員の技術力向上にも役立ちます。AI導入を補助金でサポートすることで、企業全体の技術水準を引き上げることができるでしょう。

AI導入で補助金を活用する注意点

AI導入にあたって補助金を活用することは、費用の負担を軽減し、企業の成長を後押しするための有効な手段です。しかしながら、補助金を利用する際にはいくつかの注意点があります。ここでは、補助金を活用してAI導入を進める際に注意すべき主な点について詳しく解説します。

必ず採択されるとは限らない

補助金の申請は、審査のプロセスを経て採択されるかどうかが決まるため、必ずしも全ての申請が通るわけではありません。特に、AI導入に関する補助金は、国や地方自治体が提供するものの中でも人気が高く、応募が殺到することが予想されます。そのため、申請数が多い場合、予算が限られているために多くの企業が不採択となる可能性があります。

例えば、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」のような競争率の高い補助金は、申請書の内容や事業計画の具体性、AI技術の導入による効果がどの程度見込まれるかといったポイントが厳しく評価されます。事業計画が不明確であったり、AI導入による生産性向上や事業拡大の見込みが低いと判断されれば、補助金が採択されないこともあります。

そのため、申請時にはAI導入による効果やメリットをしっかりと説明し、審査基準を満たす事業計画を立てることが重要です。採択される確率を高めるためには、専門家に相談したり、申請代行業者を活用するなど、事前の準備を十分に行うことが望ましいです。また、採択されなかった場合に備えて、他の資金調達方法や補助金申請の再チャレンジも視野に入れておくと安心です。

準備や申請手続きに手間と時間がかかる

補助金の申請には多くの手間と時間がかかることを忘れてはなりません。AI導入に関連する補助金を申請する際には、事業計画書や財務資料、導入するAIシステムの詳細など、数多くの書類を準備する必要があります。これらの書類は、AI導入の目的や具体的な活用方法、期待される効果などを明確に示すものでなければなりません。

特に「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などの高額補助金では、事業計画書の作成や具体的なAI導入のステップを詳細に説明することが求められます。さらに、事業が持続的に成長するための計画が具体的に示されていることが採択の条件となるため、審査基準を満たすために多くの時間をかけて準備を進める必要があります。

また、補助金によっては専門的な知識が必要な場合もあり、申請を自社で行うことが難しいケースもあります。そうした場合には、申請代行業者やコンサルタントに依頼することも一つの方法ですが、その分コストがかかることも念頭に置いておく必要があります。

手続きにかかる時間や手間を軽減するためには、事前に申請に必要な書類や準備するべき情報をリストアップし、計画的に進めることが重要です。また、申請の締め切りがあるため、スケジュール管理をしっかり行い、余裕を持って準備を進めることが必要です。

入金までに立て替え払いが必要

補助金を活用する際にもう一つの大きな注意点は、実際に補助金が入金されるまでに立て替え払いが必要になる場合があることです。補助金は、通常、申請が承認され、設備の導入や支出が完了した後に支給されるため、導入時にかかる費用は一時的に企業が負担する必要があります。このため、補助金が支給されるまでの間、設備投資やAI導入に必要な資金を自社で用意するか、融資などで資金を確保しておかなければなりません。

特に大規模な設備投資を伴うAI導入の場合、数百万円から数千万円の費用が発生することがあり、立て替え払いの負担が大きくなる可能性があります。このため、事前にキャッシュフローをしっかりと管理し、補助金が入金されるまでの資金繰りを計画的に行うことが重要です。

また、補助金が支給されるまでの期間は、申請から実際の支給まで数ヶ月以上かかることもあります。事業のスムーズな進行を確保するためには、補助金の入金までの期間を見越して、資金調達や設備導入のスケジュールを組むことが必要です。このような立て替え払いのリスクを理解した上で、補助金を活用する際には十分な資金計画を立てることが求められます。

企業がAIツールを導入するメリット

AIツールの導入は、企業の効率化や競争力向上に大きく貢献する重要な手段です。AI技術は、データ処理能力を高め、業務フローを自動化することで、企業の生産性向上や新たな価値創出に寄与します。本節では、AIツールを導入することで得られる主なメリットについて解説します。人手不足の解消、業務の標準化、顧客体験のパーソナライズ化、新商品・サービスの創出という視点から、AIの導入が企業にとってどのように役立つのか詳しく見ていきましょう。

人手不足の解消

現代のビジネス環境では、多くの企業が人手不足という課題に直面しています。特に製造業やサービス業など、一定の労働力を必要とする業界では、人材の確保が困難な状況が続いています。AIツールの導入は、この人手不足を解消する強力な手段となり得ます。

AIは、定型的で反復的な作業を自動化し、人間が担っていた業務の一部を代替することができます。例えば、製造現場ではロボティクスや機械学習を活用して生産ラインを自動化することで、人手による作業を大幅に削減することが可能です。サービス業においても、AIチャットボットを導入することで、カスタマーサポート業務の自動化を図り、従業員の負担を軽減できます。

また、AIは人間が行うには煩雑で時間のかかるデータ処理や分析も迅速に行うことができるため、これまで多くの時間を費やしていた業務を効率化することができます。結果として、企業は限られたリソースをより重要な業務や創造的なプロジェクトに集中させることができ、人手不足の問題を解消しながらもビジネスを円滑に進めることができるのです。

業務の標準化

AIツールを導入することで、企業の業務の標準化が促進されます。業務の標準化とは、業務プロセスを一貫した形で実行できるようにすることを意味し、これにより品質のばらつきや人的ミスを減らすことが可能となります。

AIは、複雑な業務プロセスを分解し、それを最適化することで、どの従業員が業務を担当しても同じ結果を得られるようにします。例えば、品質管理にAIを活用することで、製品の検査や不良品の検出を自動化し、人間の目視による判断ミスを防ぎます。これにより、製品の品質が均一化され、顧客満足度の向上に寄与します。

また、AIを活用することで、データに基づいた意思決定が可能になり、従業員の経験やスキルに依存せずに業務を遂行することができます。これにより、ベテラン社員が退職しても業務が滞ることなく、新人でもすぐに高いレベルの仕事をこなせる環境を整えることができます。業務の標準化は、企業の生産性向上と持続可能な成長に大きく貢献します。

顧客体験のパーソナライズ化

AIツールを導入することにより、企業は顧客体験のパーソナライズ化を実現することができます。現代の消費者は、単なる商品やサービスの提供だけではなく、個々のニーズに合わせたカスタマイズされた体験を求めています。AIは、この顧客の期待に応えるための強力なツールです。

AIは、大量の顧客データをリアルタイムで分析し、それぞれの顧客に最適な提案やサービスを提供することが可能です。例えば、ECサイトではAIが顧客の過去の購入履歴や閲覧履歴を分析し、次に購入する可能性が高い商品を個別にレコメンドするシステムを導入できます。これにより、顧客一人ひとりに合った商品やサービスが提供され、購入率や満足度が向上します。

さらに、AIチャットボットを活用すれば、顧客の問い合わせにも迅速に対応でき、24時間365日体制でサポートを提供することが可能です。これにより、顧客の期待に応え、パーソナライズされた体験を提供することで、競争が激しい市場においても差別化を図ることができます。

新商品・サービスの創出

AIツールは、企業が新商品やサービスを創出する際にも大きな助けとなります。AIは、ビッグデータを活用して市場の動向や顧客の嗜好を分析し、これまでにない革新的なアイデアを提供する力があります。このような新しい洞察に基づいて、企業は従来の枠にとらわれない新商品やサービスの開発に着手することができます。

例えば、AIを使って顧客の声やレビューを分析することで、現行の製品やサービスに対するフィードバックを瞬時に把握し、そのデータを基に改良点を見つけ出します。また、AIは、トレンドの予測や潜在的なニーズの発見にも役立つため、競争が激しい市場で一歩先を行く製品やサービスを提案できるのです。

さらに、AIは新たな技術革新の可能性を広げるツールでもあります。例えば、AIによる自動運転技術や、医療分野における診断補助システムなど、新しい技術領域に進出する企業にとって、AIはその実現を加速させるカギとなります。AIを効果的に活用することで、企業は新しい収益源を生み出し、未来の市場を切り開いていくことができるでしょう。

企業がAIを活用するリスク

AI技術は、企業の業務効率化や生産性向上に大きく貢献しますが、その一方で、いくつかのリスクが伴います。AIを導入する際には、適切な管理と対策を講じなければ、企業にとって重大なトラブルや損失を引き起こす可能性があります。本節では、企業がAIを活用する際に直面しうるリスク、特に機密情報の漏えいと間違ったアウトプット(ハルシネーション)について詳しく解説します。

機密情報の漏えい

AIを導入する際の大きなリスクの一つが、機密情報の漏えいです。AIシステムは、大量のデータを処理し、それに基づいて分析や予測を行います。その際、企業の機密情報や顧客データなどの高度に保護すべき情報がAIシステムに入力されることが多くあります。しかし、AIを利用する際に適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃により、これらのデータが流出するリスクがあります。

特に、AIの運用にはクラウド環境を活用するケースが増えており、クラウドサービスのセキュリティ管理が不十分であると、機密情報が第三者に漏洩する危険性が高まります。企業の機密情報や顧客データが流出した場合、信用を失うだけでなく、法的な責任を問われることや、顧客からの損害賠償請求を受ける可能性もあります。また、機密情報が競合企業に渡ってしまった場合、企業の競争力にも大きな影響を与えることがあります。

AIの運用においては、セキュリティ対策が欠かせません。データの暗号化やアクセス権限の管理、ネットワークセキュリティの強化など、AI導入の初期段階から万全のセキュリティ対策を講じることが重要です。特に外部のAIサービスプロバイダーを利用する場合は、セキュリティポリシーを厳格にチェックし、契約時にデータ保護の条項を明確にしておく必要があります。

間違ったアウトプット

AIを活用するもう一つのリスクとして、間違ったアウトプットが挙げられます。AIシステムは大量のデータをもとに学習しており、通常はそのデータに基づいた判断や予測を行います。しかし、AIが不正確なデータを処理したり、十分に学習されていない場合には、現実と異なる、誤ったアウトプットを出すことがあります。このような現象を、AI分野ではハルシネーションと呼びます。

ハルシネーションは特に自然言語処理や生成型AIにおいて問題となり、AIが実際には存在しない情報を「想像」してしまう現象です。例えば、AIがデータを誤って解釈し、事実とは異なる情報を報告したり、顧客に対して不正確な回答を行うケースが発生する可能性があります。こうした誤ったアウトプットがビジネスに与える影響は甚大で、顧客の信頼を損なったり、企業の意思決定を誤らせるリスクがあります。

特に、AIを利用して重要なビジネス戦略や製品開発の意思決定を行う場合、ハルシネーションによって誤った結論に導かれると、企業にとって大きな損失を招く可能性があります。AIの出力をそのまま信頼するのではなく、常に人間が確認するプロセスを設けることで、誤った情報が企業活動に悪影響を与えることを防ぐことが必要です。

また、AIのハルシネーションを防ぐためには、AIシステムに正確で多様なデータを提供し、継続的にモデルを改善していくことが重要です。AIモデルのトレーニングデータが不十分であったり、偏っている場合は、誤ったアウトプットを生成するリスクが高くなります。これを回避するためには、AIモデルの定期的なアップデートや、異なるデータソースからの情報を取り入れるなどの対策が必要です。

補助金を活用したAI導入の事例

企業にとって、AI導入は業務の効率化や生産性の向上を実現する大きなチャンスです。しかし、初期投資の負担が高いため、AI導入のために補助金を活用するケースが増えています。ここでは、補助金を活用してAIを導入し、成功を収めた企業の事例をいくつか紹介します。これらの事例を通じて、補助金を利用することでどのようにAI導入が促進され、どのような成果が得られるのかを具体的に理解することができるでしょう。

カラーミーショップ

ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」は、月間約4,000件の問い合わせに対応するため、約30名のカスタマーサポート部門を抱えていました。しかし、専門的な質問が多く、1件あたりの対応工数が大きいため、業務効率化が課題となっていました。

AIチャットボット導入前の課題

  • 専門的な質問が多く、1件あたりの問い合わせ工数が大きかった

  • 従来の非AI型チャットボットでは、セルフサービスでの解決率が2〜3%と低く、効果が限定的だった

AIチャットボット導入の施策

  • 正答率向上のため、定期的な正誤チェックとナレッジデータの整備・更新を実施

  • 問い合わせの一次受けをすべてAIチャットボットで対応

AIチャットボット導入の効果

  • 有人対応が必要な問い合わせを全体で46.7%に削減

  • 月当たり803時間の問い合わせ工数を削減(割合では21.0%削減)

カラーミーショップは、AIチャットボット導入により、大幅な業務効率化を実現しました。これにより、顧客満足度向上や、従業員のより高度な業務への集中など、さらなるサービス向上に繋げることが期待できます。

参考:【導入事例】カラーミーショップ

はるやま商事株式会社

はるやま商事株式会社は、2,000名以上の従業員を抱えるファッションチェーンを運営する企業です。同社では、コロナ禍で業績が低迷し、離職者が増加する中、従業員エンゲージメントの向上と組織改善を目指し、エンゲージメントサーベイの導入を進めていました。しかし、従来のサーベイ運用においていくつかの課題が明らかとなり、より効果的なソリューションが求められていました。

EX Intelligence導入前の課題

  • コロナ禍で業績が悪化し、離職者が増加

  • 導入していた他社のエンゲージメントサーベイでは、結果が見づらく、読み解きにくかったため、具体的なアクションプランを立てにくかった

  • サーベイ結果の帳票が複雑で、全従業員に理解してもらうのが困難だった

EX Intelligence導入の施策

  • 「EX Intelligence」を導入し、サーベイのカスタマイズや人事評価に役立つデータ分析を実施

  • システムの円滑な利用をサポートするため、個別の勉強会を実施し、特にマネージャークラスからの相談に対応

  • KPI視点でアクションプランを立て、従業員の課題に基づいた具体策を展開

EX Intelligence導入の効果

  • サーベイ結果が読み解きやすくなり、アクションプランを全社的に浸透させることができた

  • 信頼性の高いサーベイ結果が得られ、特にマネージャークラスの従業員の関心が高まった

  • 結果に基づいて具体的なアクションが取られ、組織改善が進展した

はるやま商事株式会社は、EX Intelligenceの導入により、組織のエンゲージメント向上や従業員の課題把握を大幅に改善しました。

参考:はるやま商事株式会社 | 導入事例 | HRBrain

いすゞ自動車株式会社

いすゞ自動車株式会社は、全社員が活用する生成AIとして「ISUZU AI Chat」を2024年3月に導入しました。このAIチャットシステムは、NDIソリューションズのAIチャットボット「CB3」とAzure OpenAI Serviceを組み合わせ、短期間で導入されたものです。Microsoft Teamsに組み込んで活用することで、社員の日常業務の効率化を目指しています。

ISUZU AI Chat導入前の課題

  • コロナ禍に伴い、業務効率化と生産性向上の必要性が高まっていた

  • 生成AIを導入するにあたり、情報漏洩やセキュリティ対策が課題であった

  • チャットベースで使えるシステムを求めていたため、Microsoft Teamsとの連携が重要な要件となった

ISUZU AI Chat導入の施策

  • 2023年7月に予算化され、セキュリティ対策を重視したシステム構築を実施

  • Microsoft Teamsへの組み込みによるシンプルなオペレーションを実現

  • NDIソリューションズの既存ソリューション「CB3」を利用し、短期間での導入を達成

ISUZU AI Chat導入の効果

  • 導入から4ヶ月で、全社員の約7割が「ISUZU AI Chat」を利用

  • 業務効率化やホワイトカラーの生産性向上に寄与し、サマリー作成やデータ収集の業務時間を大幅に削減

  • 生成AIを活用することで、全社員がアイデア出しやドキュメント作成において効果を実感

いすゞ自動車株式会社は、生成AI「ISUZU AI Chat」の導入により、業務効率化や生産性の向上を実現しました。

参考:CB3+Azure OpenAI service 導入事例-いすゞ自動車株式会社様-

まとめ

AI導入には初期コストの負担が伴いますが、補助金や融資制度を活用することで、その負担を大幅に軽減することが可能です。本記事で紹介した5つの制度を参考に、導入計画を練り、実際の業務改善や生産性向上に役立てましょう。

また、実際の導入事例からもわかるように、適切な補助金や融資を活用することで、企業はさらに成長し、競争力を高めることができます。まずは、自社のニーズに合ったAIツールとその導入に利用できる補助金や融資制度を見つけ、企業の経営を向上させましょう。

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この記事の監修者
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代表取締役 岩井康一
野村総合研究所にてプロジェクトマネージャー、ITコンサルタントとして金融機関の大規模ITプロジェクトのリードを多数経験。その後、28歳の時に野村アセットマネジメントのニューヨーク拠点のテクノロジー部門ヘッドとして米国駐在。帰国後、VCからシードファイナンスを受けてフィンテックスタートアップを創業した後、現在は補助金コネクト株式会社の代表として、中小企業から中堅企業の資金調達を幅広く支援。専門は「ファイナンス × テクノロジー」。 大阪大学大学院情報科学研究科(修士)、横浜国立大学理工学府(Ph.D.)。
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