酒米価格の高騰により、日本酒を製造する事業者の原材料費負担が増加しています。仕入価格が上昇しても、販売価格への転嫁が難しく、利益率や資金繰りに影響を受けている酒造事業者も少なくありません。
こうした状況を受け、千葉県では、県内の清酒製造事業者を対象とした「千葉県酒米高騰対策支援事業支援金」を実施しました。
本制度は、令和6年産と令和7年産の酒米購入単価の差額を基に、価格上昇分の2分の1を支援するものです。設備投資を対象とする一般的な補助金とは異なり、酒米の購入実績に応じて支援金が算定されます。
本記事では、千葉県酒米高騰対策支援事業支援金について、対象となる事業者、給付額の計算方法、必要書類、申請方法、注意点を公式情報に基づいて詳しく解説します。
千葉県酒米高騰対策支援事業支援金は、酒米価格の高騰による県内清酒製造事業者の負担を軽減するために設けられた支援制度です。
千葉県は日本酒を含む発酵文化を地域の魅力の一つとして位置付けており、本制度を通じて、県内の日本酒文化を支える酒造事業者の経営を支援しています。
財源には、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」が活用されています。
項目 | 内容 |
|---|---|
制度名 | 千葉県酒米高騰対策支援事業支援金 |
実施主体 | 千葉県 |
対象者 | 千葉県内に主たる事業所を有する中小企業者等の清酒製造事業者 |
支援対象 | 令和6年産と令和7年産の酒米購入単価の上昇分 |
給付額 | 購入単価の上昇額×令和7年産酒米の購入数量×1/2 |
給付上限額 | 一律の上限額の記載なし |
対象となる購入実績 | 令和8年5月31日までに支払完了した令和7年産酒米 |
申請期間 | 2026年6月1日~7月31日 |
申請方法 | 原則電子メール。郵送も可能 |
現在の状況 | 受付終了 |
本制度の特徴は、設備購入や新規事業への投資ではなく、酒米の仕入価格上昇によって生じた負担を支援する点です。
一般的な設備投資補助金では、機械設備やシステムなどの購入費用に対して補助率を掛けて補助金額を算定します。
一方、千葉県酒米高騰対策支援事業支援金では、令和6年産と令和7年産の酒米購入単価を比較し、その上昇額と購入数量から給付額を算定します。
比較項目 | 本支援金 | 一般的な設備投資補助金 |
|---|---|---|
支援目的 | 酒米価格高騰による負担軽減 | 設備投資や生産性向上など |
算定基準 | 酒米の購入単価差と購入数量 | 補助対象経費 |
主な対象 | 対象期間に購入・支払済みの酒米 | 機械設備、システムなど |
主な証拠書類 | 酒米の購入実績・支払記録 | 見積書、契約書、納品書など |
支援割合 | 単価上昇分の1/2 | 制度によって異なる |
そのため、本支援金では、酒米の購入単価、購入数量、支払実績を正確に証明できることが重要です。
本支援金の対象となるのは、千葉県内に主たる事業所を有する中小企業者等で、清酒製造事業を営んでいる事業者です。
ただし、所在地や事業内容だけでなく、パートナーシップ構築宣言などの要件も満たす必要があります。
千葉県が定める対象要件は、次のとおりです。
要件 | 内容 |
|---|---|
所在地 | 千葉県内に主たる事業所を有すること |
企業規模 | 中小企業者等であること |
大企業との関係 | みなし大企業に該当しないこと |
事業内容 | 清酒製造事業者であること |
パートナーシップ構築宣言 | 宣言を行っていること |
公序良俗 | 公の秩序または善良の風俗を害するおそれがないこと |
法令遵守 | 関連する法令および条例等を遵守していること |
これらの要件は、すべて満たす必要があります。
特に注意したいのが、パートナーシップ構築宣言です。
パートナーシップ構築宣言とは、事業者が取引先との適正な取引関係の構築や、サプライチェーン全体での共存共栄に取り組む方針を宣言する制度です。
本支援金では、この宣言を行っていることが対象要件となっており、申請時には宣言書の提出も求められます。
また、清酒製造事業者であることを確認するため、清酒製造免許の写しも必要です。
そのため、日本酒の販売のみを行う事業者など、清酒製造事業者に該当しない場合は対象となりません。
以下に該当する事業者は、本支援金の対象外となります。
対象外となるケース | 内容 |
|---|---|
みなし大企業 | 実質的に大企業の支配を受けている事業者 |
所在地要件を満たさない | 千葉県内に主たる事業所がない場合 |
清酒製造事業者ではない | 制度が対象とする事業内容に該当しない場合 |
宣言要件を満たさない | パートナーシップ構築宣言を行っていない場合 |
暴力団員等 | 暴力団員等に該当する場合 |
暴力団密接関係者 | 暴力団等と密接な関係がある場合 |
法令違反等 | 関係法令や条例等を遵守していない場合 |
中小企業者等に該当していても、みなし大企業は対象外です。
特に、資本金や従業員数だけでなく、大企業との出資関係や役員の兼任状況などによって対象外となる可能性があるため、申請要領に基づいて確認する必要があります。
本支援金の給付額は、令和6年産と令和7年産の酒米購入単価の差額を基に計算します。
具体的には、酒米の産地・銘柄・等級ごとに単価の上昇額を算定し、令和7年産酒米の購入数量を掛けた金額の2分の1が支援対象となります。
給付額の基本計算式は、次のとおりです。
(令和7年産酒米の購入単価-令和6年産酒米の購入単価)×令和7年産酒米の購入数量×1/2
例えば、令和6年産と令和7年産の酒米購入状況が以下の場合を考えます。
項目 | 金額・数量 |
|---|---|
令和6年産酒米の購入単価 | 15,000円/俵 |
令和7年産酒米の購入単価 | 27,000円/俵 |
1俵当たりの上昇額 | 12,000円 |
令和7年産酒米の購入数量 | 300俵 |
支援割合 | 1/2 |
給付額 | 180万円 |
計算式:(27,000円-15,000円)×300俵×1/2=1,800,000円
この場合、給付額は180万円となります。
なお、実際の申請では産地・銘柄・等級ごとに計算し、それぞれの支援額を合計します。
また、申請額計算書では、購入数量は俵単位で小数点第2位以下を切り捨て、支援金額は1円未満を切り捨てて計算します。
酒米の購入総額の半分が支援されるわけではなく、前年産からの単価上昇分を基準とする点に注意してください。
なお、千葉県の公表資料では、事業者ごとの一律の給付上限額・下限額は示されていません。支援金は予算の範囲内で給付されます。
令和6年産酒米を購入していない場合でも、所定の方法で購入単価を確認できれば、給付額を算定することが可能です。
千葉県の申請額計算書の記載例では、令和6年産酒米の購入実績がない場合、購入先に令和6年産酒米の単価を確認する方法が認められています。
その場合は、購入先から令和6年産酒米の税抜単価を証明する書類を取得し、申請書類に添付する必要があります。
状況 | 対応方法 |
|---|---|
令和6年産酒米の購入実績がある | 購入実績から税抜単価を確認 |
令和6年産酒米の購入実績がない | 購入先に当該酒米の単価を確認 |
購入先から単価を確認した場合 | 税抜単価を証明する書類を添付 |
このため、前年産酒米の購入実績がないという理由だけで、直ちに支援対象外となるわけではありません。
ただし、対象となる酒米の産地・銘柄・等級に対応した比較単価を確認し、証明書類を用意する必要があります。
本支援金では、令和7年産酒米のうち、2026年5月31日までに支払いを完了したものが給付額の算定対象となります。
酒米を発注または納品していても、支払いが期限までに完了していない場合は対象となりません。
また、購入単価は酒米本体の税抜金額とし、運搬費や精米費などの付随費用を除いて計算します。
費用項目 | 算定対象 |
|---|---|
酒米本体の税抜代金 | 対象 |
消費税 | 対象外 |
運搬費 | 対象外 |
精米費 | 対象外 |
梱包費 | 対象外 |
請求書に酒米代金と付随費用がまとめて記載されている場合は、酒米本体の購入単価を確認する必要があります。
請求書などから酒米本体の税抜単価を把握できない場合は、購入先に確認し、単価を証明できる書類を取得・添付してください。
また、令和7年産酒米の購入数量や支払状況を証明できない場合、申請額の確認ができなくなるため注意が必要です。
本支援金の申請受付期間は、2026年6月1日から7月31日まででした。
申請方法は原則として電子メールで、電子メールでの提出が困難な場合には郵送も認められていました。
現在は申請受付を終了しているため、新規申請はできません。
項目 | 内容 |
|---|---|
申請開始日 | 2026年6月1日(月) |
申請終了日 | 2026年7月31日(金) |
提出方法 | 原則電子メール |
郵送申請 | 電子メールでの提出が困難な場合に可能 |
郵送期限 | 2026年7月31日の消印有効 |
メールの受信容量 | 1回7.2MBまで |
持参提出 | 受付不可 |
現在の受付状況 | 終了 |
電子メールで申請する場合は、必要書類をスキャンするなどして、指定されたメールアドレスに送付する方法が採用されていました。
千葉県の申請要領では、メールを受信した際に担当者から受信確認の返信を行うこととされています。
また、1回に受信できるファイル容量は7.2MBまでとなっており、容量を超える場合は複数回に分けて送付する必要がありました。
郵送の場合は、2026年7月31日の消印が有効とされていました。
千葉県の公式ページでは、以下の申請書類が案内されています。
申請書類 | 提出条件 |
|---|---|
千葉県酒米高騰対策支援事業支援金申請書(第1号様式) | 必須 |
申請額計算書(第2号様式) | 必須 |
単価計算書(第3号様式) | 条件を満たす証明書類がある場合は省略可能 |
誓約書(第4号様式)・役員等氏名一覧表(別添) | 必須 |
法人事業概況説明書・決算書 | 原則直近2期分 |
履歴事項全部証明書 | 法人のみ・発行後3か月以内 |
清酒製造免許の写し | 必須 |
パートナーシップ構築宣言に係る宣言書 | 必須 |
令和6年産・令和7年産酒米の購入実績が確認できる書類 | 必須。ただし前年産の購入実績がない場合は所定の単価証明が必要 |
振込先口座を確認できる書類 | 必須 |
申請書類のうち、法人事業概況説明書・決算書は原則として直近2期分が必要です。
ただし、創業後2度目の決算期を迎えていない場合は、1期分での提出が認められています。
また、履歴事項全部証明書は法人のみ提出が必要で、申請日時点で発行日から3か月以内のものでなければなりません。
購入実績に関する書類については、請求書や通帳の写しなどから、産地・銘柄・等級ごとの購入単価、購入数量、支払事実を確認できる必要があります。
申請にあたっては、対象要件を確認したうえで、酒米の購入実績と支払状況を整理し、必要書類を提出する流れとなっていました。
手順 | 実施内容 |
|---|---|
1. 対象要件の確認 | 所在地、企業規模、清酒製造免許、パートナーシップ構築宣言などを確認 |
2. 購入実績の整理 | 令和6年産・令和7年産の酒米を産地・銘柄・等級ごとに分類 |
3. 支払状況の確認 | 令和7年産酒米の支払いが2026年5月31日までに完了しているか確認 |
4. 申請額の計算 | 購入単価の差額と購入数量から算定 |
5. 必要書類の準備 | 申請書、計算書、誓約書、購入実績資料などを用意 |
6. 申請書類の提出 | 電子メールまたは郵送で提出 |
7. 審査・確認 | 必要に応じて追加書類の提出や説明に対応 |
8. 支援金の受領 | 給付決定後、指定した申請者名義の口座で入金を確認 |
千葉県の案内では、支援金の支払いは2026年9月以降、順次実施する予定とされていました。
実際の給付時期は審査状況などによって異なる場合があるため、申請済みの事業者は県からの連絡を確認する必要があります。
本支援金では、酒米の購入実績だけでなく、購入単価の算定方法や支払期限、証拠書類の保存についても注意が必要です。
特に、酒米を複数の仕入先から購入している場合や、前年産の購入実績がない場合は、申請書類の整理が重要となります。
令和7年産酒米は、2026年5月31日までに支払いを完了したものが対象です。
そのため、発注日や納品日ではなく、実際に代金を支払った日付を確認する必要があります。
確認項目 | 注意点 |
|---|---|
年産 | 令和7年産酒米であること |
購入数量 | 産地・銘柄・等級ごとの数量を確認 |
購入単価 | 消費税や対象外費用を除いた税抜単価 |
支払日 | 2026年5月31日までに支払完了 |
証拠書類 | 請求書、通帳、購入証明などで確認 |
千葉県酒造組合を通して酒米を購入した場合についても、2026年5月31日までに組合への支払いが完了していることが求められます。
複数の請求をまとめて支払っている場合などは、対象となる酒米の購入代金と支払記録を対応付けておくことが重要です。
単価計算書(第3号様式)は、原則として申請書類に含まれています。
ただし、購入先または千葉県酒造組合から、必要な事項を証明する書類を取得した場合は、提出を省略できます。
証明書類に必要な事項は、以下の3つです。
購入単価
購入数量
支払事実
状況 | 単価計算書の取り扱い |
|---|---|
必要事項を証明する書類がない | 第3号様式の提出が必要 |
購入先から証明書を取得した | 第3号様式を省略可能 |
千葉県酒造組合から証明書を取得した | 第3号様式を省略可能 |
証明内容が不足している | 省略できるか確認が必要 |
単に購入先が発行した請求書を保有しているだけでは、省略要件を満たすとは限りません。
購入単価・購入数量・支払事実の3項目を確認できるかどうかが判断のポイントです。
また、単価計算書を省略する場合でも、申請額計算書など必要な書類は提出しなければなりません。
本支援金では、申請に関係する帳簿および証拠書類を、令和13年度末まで保存する必要があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
保存期限 | 令和13年度末(2032年3月31日) |
保存対象 | 申請に関係する帳簿およびすべての証拠書類 |
電子申請の場合 | 提出したスキャンデータの原本も保存対象 |
申請書類の提出後も、請求書、購入証明書、支払記録、申請額の計算資料などを適切に管理する必要があります。
申請済みの事業者は、担当者の変更などがあっても確認できるよう、関連資料をまとめて保存しておくことが望まれます。
千葉県酒米高騰対策支援事業支援金は、酒米価格の高騰による県内清酒製造事業者の負担を軽減するために実施された支援制度です。
令和6年産と令和7年産の酒米購入単価の差額を基に、令和7年産酒米の購入数量に応じて給付額が算定されます。
制度の重要なポイントは、次のとおりです。
項目 | 要点 |
|---|---|
対象者 | 千葉県内に主たる事業所を有する中小企業者等の清酒製造事業者 |
主な要件 | パートナーシップ構築宣言、法令遵守など |
給付額 | 酒米購入単価の上昇額×購入数量×1/2 |
計算区分 | 産地・銘柄・等級ごと |
対象外費用 | 消費税、運搬費、精米費、梱包費など |
支払期限 | 令和7年産酒米は2026年5月31日までに支払完了 |
申請期間 | 2026年6月1日~7月31日 |
保存期間 | 令和13年度末まで |
現在の状況 | 申請受付終了 |
本制度はすでに申請受付を終了していますが、申請済みの事業者は、購入実績や支払記録などの証拠書類を引き続き保管する必要があります。
また、酒米をはじめとする原材料価格の上昇に備えるためには、仕入価格や購入数量を継続的に把握し、必要に応じて経営改善や設備投資などの支援制度も検討することが重要です。
今後、新たな支援制度が実施される可能性もあるため、千葉県や国の補助金・助成金情報を定期的に確認しておきましょう。
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