中小企業や個人事業主の方は、「ものづくり補助金」を利用できれば、大きな設備資金を確保できます。しかし正しい申請ができないと認可されない可能性も高いため、申請支援を外部に委託する方もいらっしゃいます。
そもそも、補助金の申請は代行できるものなのでしょうか。この記事ではものづくり補助金の概要と申請代行の可否について解説します。
合わせて申請支援を受ける際のサポート内容、メリット、費用相場について解説しますので、補助金申請に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも、ものづくり補助金とはどのような制度なのでしょうか。ここでは概要と対象者、補助金額について紹介します。
※この記事は、18次公募(終了)の情報をもとに解説しています。新たに公募が行われる際には、都度最新の公募要領を確認ください。
ものづくり補助金とは、生産性向上を目的として中小企業等が行う、新製品・新サービスの開発、生産プロセスの向上などに必要な設備投資等を支援する補助金のことです。
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が正式名称であり、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が制度化し、全国中小企業団体中央会が運営・管理を行っております。
ものづくり補助金には「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の3つの申請枠があり、採択率や要件、補助金額などが異なります。
ものづくりと聞くと製造業をイメージされる方も多いですが、本補助金は業種に関係なく、生産性の向上につながる設備導入やソフトウェア開発などが対象となります。また個人事業主などの応募も可能です。
次の項ではものづくり補助金の対象者について詳しく紹介します。
ものづくり補助金の対象者は、以下の4つのいずれかに該当している企業、個人などです。
中小企業・個人事業主
組合や法人関連の中小企業者
一部の特定事業者
特定非営利活動法人
一つずつ確認しておきましょう。
以下の項目に該当する中小企業や個人事業主は対象となります。
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
製造業・建設業・運輸業・旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (旅館業・ソフトウェア業・情報処理サービス業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車・航空機用タイヤ及びチューブ製造業・工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
「組合や法人関連の中小企業者」は、中小企業等経営強化法第2条第1項に規定されている事業者のことです。
組織形態 | 条件がある場合、その内容 |
---|---|
企業組合 | ー |
協業組合 | ー |
事業協同組合・事業協同小組合・協同組合連合会 | ー |
商工組合・商工組合連合会 | ー |
商店街振興組合・商店街振興組合連合会 | ー |
水産加工業協同組合・水産加工業協同組合連合会 | ー |
生活衛生同業組合・生活衛生同業小組合・生活衛生同業組合連合会 | 構成員2/3以上が5000万円以下の資本金・出資金、又は常時50人以下の従業員を使用 |
酒造組合・酒造組合連合会・酒造組合中央会・酒販組合・酒販組合連合会・酒販組合中央会 | 酒類製造業者:構成員2/3以上が3億円以下の資本金・出資金、又は常時300人以下の従業員を使用 酒販組合・酒販組合連合会・酒販組合中央会:構成員2/3以上が5,000万円以下の資本金・出資金、又は常時50人以下の従業員を使用 |
内航海運組合・内航海運組合連合会 | 内航海運事業を営む者:構成員2/3以上が3億円以下の資本金・出資金、又は常時300人以下の従業員を使用 |
技術研究組合 | 直接又は間接の構成員の3分の2以上が組合関連以外の中小企業者に該当するもの、企業組合、協業組合であるもの |
以下の要件に該当する事業者は特定事業者に該当し、対象者となります。
資本金・出資の総額が10億円未満、常勤従業員数が下表以下の中小企業等経営強化法に規定されている事業者
製造業・建設業・運輸業:500人
卸売業:400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く):300人
その他の業種(上記以外):500人
生活衛生同業組合・生活衛生同業小組合・生活衛生同業組合連合会:2/3以上が常時300人以下の従業員を使用する者
酒造組合・酒造組合連合会・酒造組合中央会・酒販組合連合会・酒販組合中央会:2/3以上が常時500人以下の従業員を使用する者
内航海運組合、内航海運組合連合会:2/3以上が常時500人以下の従業員を使用する者
技術研究組合:構成員の2/3以上が規定の事業者
特定非営利活動法人とは、下記の項目を満たす非営利活動法人を指します。
広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること
従業員数が300人以下であること
法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条第1項に規定される34事業)を行う特定非営利活動法人であること
認定特定非営利活動法人ではないこと
交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けていること
ものづくり補助金の補助金額と補助率は以下の表の通りです。
申請枠 | 要件 | 補助上限 | 補助率 |
---|---|---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | 省力化への投資 | 750万円~8,000万円 | 1/2 ※小規模・再生事業者2/3 ※1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) | 製品・サービスの高付加価値化 | 750万円~1,250万円 | 1/2 ※小規模・再生事業者2/3 ※新型コロナ加速化特例2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX)) | DXやGXに資するもの | 1,000万円~2,500万円 | 2/3 |
グローバル枠 | 海外事業の拡大・強化に資するもの | 3,000万円 | 1/2 ※小規模2/3 |
各申請枠の概要は以下のとおりです。
申請枠 | 概要 |
---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | 中小企業や個人事業主の人手不足の解消に向けてデジタル技術等を活用した専用設備の導入を目的とした枠 |
製品・サービス高付加価値化枠 | サービス高付加価値化枠は革新的な製品・サービス開発の取り組みや今後成長が見込まれる分野であるDX・GXなど、必要な設備・システム投資等を支援するために創設された枠 |
グローバル枠 | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するために作られた枠 |
ものづくり補助金の対象経費は以下の図をご覧ください。機械やシステムに関する設備投資が基本となりますが、新商品開発のための費用、特許などの知財関連の費用なども対象になります。
以下は申請枠別の具体的な活用イメージの一例です。
申請枠 | 活用イメージ |
---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | 人手不足解消のため、AIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを開発・導入し、部品組立工程を完全自動化 |
製品・サービス高付加価値化枠 | <通常類型> 最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発 <成長分野進出類型> AIやセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発 |
グローバル枠 | 海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展 |
なお、ものづくり補助金の各申請枠ついては以下の記事で詳しく解説しています。
ものづくり補助金とは?省力化(オーダーメイド)枠などの申請枠や補助額、対象者、申請方法を公募要領をもとに解説
ものづくり補助金の申請をサポートしてくれる業者もありますが、申請代行を依頼できるのか気になる方もいらっしゃることでしょう。ここではその疑問を解決します。
ものづくり補助金の申請は、事業者が主体的に申請をしなければならず、丸投げはできません。
また、申請にはGビズIDプライムのアカウントを利用しますが、そのGビズIDアカウントの利用規約には、下記の記載があります。
<GビズIDアカウントの管理義務> 第9条 利用者は、自己に発行され、又は自己の権限に基づき発行したGビズIDアカウント(GビズIDメンバーを含みます。)のID及びパスワード並びにGビズIDアプリのインストールされた端末情報(以下「アカウント情報」という。)を自己の責任で管理し、他人にこれを開示し、又は利用させてはならないものとします。
このため、補助金申請を代行業者などの第三者に依頼することはできません。
一方で、申請支援者に相談すれば、資料作成や助言のサポートを受けられます。「ものづくり補助金の要件を満たすか」「いつ頃申請できるか」などの相談からでも問題ありません。
申請条件などをクリアできるかどうか確認した上で、申請サポートを依頼するのがおすすめです。実際にどのようなサポートを行ってくれるのか、次の項で紹介します。
サポート範囲は業者によりますが、ものづくり補助金を申請支援者に依頼した場合、一般には以下のようなサポートを受けることができます。
事業計画書および添付資料の作成支援
補助金採択後に必要な書類作成のサポート
制度に関するQA、その他
申請支援を依頼する前に、それぞれ受けられる支援内容について申請支援者に確認しておきましょう。
ものづくり補助金の申請に必要な資料の作成サポートを行ってくれます。申請時には「事業計画書」「賃金引上げ計画の誓約書」「決算書等」「従業員数の確認資料」「労働者名簿」が必要です。
特に事業計画書に記載する書類として、以下の資料が必要となります。自分ですべて作成しようとすると手間暇がかかるだけでなく、審査のポイントともなる事業の実現性や将来性を高めるための深い検討が必要となります。そのため、専門家の支援を受けることをおすすめします。
項目 | 内容 |
---|---|
補助事業の具体的取組内容 | ・今回の補助事業の目的と手段について ・補助金が必要な理由 ・課題解決のための工程について ・取得予定の機械設備や材料などの品番・メーカーなどを明記し、補助事業における目標と解決法について、など |
将来の展望 | ・補助事業を行うことで、企業にもたらす効果について ・補助事業の将来の市場成長とターゲットやニーズの把握等の市場調査結果について ・競合他社と比較した場合の差別化ポイントや優位性について、など |
会社全体の事業計画 | ・会社全体の事業計画(表)で3~5年の収益計画を作成する ・事業計画で付加価値額・給与支給総額等の算出と算出根拠を説明、など |
ものづくり補助金を申請したことがない方にとっては、上記の書類をどのように作成すればよいかわからない方も多いでしょう。
しかし、数多くの申請サポートを行ってきた申請支援者に依頼すれば、作成の補助を行ってくれるため、スムーズに書類を用意できるメリットがあります。
ものづくり補助金の申請が通った後でも必要書類の提出が求められますが、申請支援を依頼しておけば、追加資料の作成サポートを行い、入金まで支援してもらえることもあります。
たとえば「補助金交付決定日から約4カ月以内に遂行状況報告書」を提出したり、「交付決定通知書記載の補助事業完了期限日までに実績報告書」を提出したりする必要があります。
申請支援では、期日に合わせたスケジュール管理と、書類作成の補助なども行ってくれるため、忘れることなく書類提出が可能となります。
申請支援者は、数多くの補助金申請を行ってきた経験とノウハウを持ち合わせています。制度に関する質問に答えてもらったり、ものづくり補助金以外にも適用される補助金がないかを調べてもらったりすることも可能です。使える補助金があれば、追加で申請をサポートしてもらうこともでき、資金調達が行いやすくなります。
申請支援を依頼するメリットは、何と言っても補助金申請の採択率が高まることでしょう。
もちろん自身で書類を作成して申請することも可能ですが、申請支援者は数多くの申請サポートを行ってきたため、申請時のポイントや注意点も網羅しており、採択率も高まります。
補助金申請はどのような書類を提出するのかがポイントです。対象者であるからといって100%給付できるわけではないことから、申請支援者を利用される方も多いです。
ものづくり補助金を申請支援者に依頼する際、気になるのは「料金」。どれくらいが相場なのかをここで紹介します。
申請支援の費用には、着手金と成功報酬があります。着手金は、申請支援者と契約した時点で支払う費用です。成功報酬は、補助金の交付が確定した時に支払います。2回に分けて支払うのが一般的ですが、どれくらいの金額なのでしょうか。次の項で詳しく紹介します。
申請支援費用の相場は、採択額の15%前後が一般的です。補助金額が1,000万円の場合、150万円の費用がかかるということになります。中には20%以上の費用がかかる業者もいるため、費用に見合った支援をしてもらえるのか、事前に確認しておきましょう。
補助金コネクトの例として、着手金10万円(税抜)+成功報酬10〜15%(税抜)をベースにしています。詳細は対象の補助金制度により異なりますが、たとえば1,000万円の補助金が採択された場合、成功報酬はその10%の100万円~となります。
申請支援者を選ぶ際は、料金だけに注視して選んではいけません。安いからという理由で選ぶのではなく、以下の3つの点に注意する必要があります。
採択実績を確認する
サポート内容が充実しているか
信頼できる担当者であるか見極める
料金の安さより、採択される確率が重要です。そのため、一つずつ確認しておきましょう。
依頼する申請支援者の採択実績を確認しましょう。実績が掲載されておらず、料金が安い業者は、採択された経験も少ない可能性があります。必ず実績は「支援者のホームページ」や「中小企業庁 認定経営革新等支援機関検索システム」などで確認しておきましょう。
なお補助金コネクトでは、応募者全体の採択率が40%程度の中、9割前後の高い採択率を獲得している実績がございます。まずは無料でご相談を承っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
ものづくり補助金の申請相談や手続きのサポートを依頼する場合は、事前にどの範囲までサポートをしてくれるのか確認しておきましょう。
申請支援者によってサポート対象範囲が異なるうえ、提出する必要書類によっては追加費用が発生する場合もあります。そのため、以下のようなサポートも含まれているかを確認しておきましょう。
事業計画書の作成や必要書類の作成を事細かにサポートしてくれるか
追加書類が求められたとき対応してくれるのか
申請から採択、入金まで支援してくれるのか
万が一不採択となった場合の対応や代替案を紹介してくれるのか
当然ながら、申請支援の担当者が信頼できる専門家であるのかを見極めなければいけません。会社の経営状況や財務状況など、重要書類を見てもらって書類を作成するため、担当者との信頼関係が大切です。
実績が豊富である専門家はある程度信頼できると判断できそうですが、意思疎通がし辛い、質問に答えてくれない、といった方の場合、申請準備がスムーズに進まないリスクがあります。そのため、面談した時に、しっかり話が通じる担当者で、経験も豊富なのかを確認しておきましょう。
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主の方が利用できる設備資金の補助金です。こまかな条件や対象者が定められておりますが、一般的にはどの企業でも申請できます。
しかし、申請したからといって100%採択されるわけではありません。採択率を上げるため、また事務作業の軽減のため、申請代行業者へ相談することをおすすめします。
申請は事業主が主体となって行いますが、申請支援者に相談することで安心材料になったり、その他補助金以外にもメリットが受けられたりします。申請支援者を選ぶ際は、実績とともにサポート内容が充実しているかを確認してから相談しましょう。
補助金コネクトでもご相談を承っておりますので、詳細情報をご希望の方はぜひ一度お問い合わせください。