ものづくり補助金補助金の申請を検討する際「本当にこの事業が採択されるのか」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではものづくり補助金の採択事例や採択率、採択されるためのポイントなどをわかりやすく解説していきます。
ものづくり補助金の申請を検討していて、採択されやすい申請を行いたい方はぜひご活用ください。
ものづくり補助金とは中小企業庁が新商品や新サービスの開発、生産性向上を図るための設備投資を支援する目的で設けられた制度です。
補助額は最大750万円~3,000万円となっており、新規事業を始める事業者をかなり広範囲にサポートしてくれるメリットがあります。
さらに対象者は、ものづくりを行う製造業だけではありません。
建設業、旅行業、サービス業、小売業、旅館業、医療業など様々な業種が対象となります。
主な申請額は以下の3つです。
一般型
最もスタンダードな枠であり「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」のどちらかの目的の達成に必要な設備やシステム投資が支援されます。
グローバル展開型
海外事業の拡大と強化をする支援枠で、国際的な競争力が求められます。海外への直接投資や市場開拓、インバウンド市場開拓等が該当します。
ビジネスモデル構築型
中小企業の支援を行う企業に事業者への支援を目的とした新生枠です。中小企業が民間サービスとして継続的に30社以上の中小企業のビジネスモデル構築事業計画の策定を支援する事業者が対象となります。
では早速、ものづくり補助金で実際に採択された事例を見ていきましょう。以下、申請枠別および業種別に紹介します。
一般型の採択事例は以下の通りです。
ロボット導入によるボトルネック工程の生産性向上と技能伝承
出汁のECサイト用新商品開発とEC販売でプロの味をご家庭へ!
新設備導入による調整の効率化と少量多品種への対応可能な設備へのグレードアップ
歯科用CTの導入による難治性根管治療及びインプラント治療の対応
入浴介助着と手袋を一体溶着!絶対濡れない介護用ビニールエプロンの開発
丹波牛ローストビーフの生産性と保存技術の向上に挑戦
おせち料理の製造時に発生した端材を有効利用した惣菜の開発
面板加工機導入による打ち抜き型の高機能化
仕事WEBマッチングシステムの制作
地域建設業におけるDX化推進による生産性・事業持続性向上計画
革新性があり、設備投資で生産性向上するような事例が採択されています。
グローバル展開型の採択事例は以下の通りです。
グローバル展開に於ける美味しさが長持ちする鰻蒲焼商品の実現
高度な設計技術を生かした高精度金型製造による販路開拓戦略
国産牛肉の二次加工品の越境B to B及び国内B to B事業
販売高30倍を実現させるミャンマー流通事業のDX化
疑似インターネット環境をアフリカに提供するシステム開発
タイ子会社と連携し顧客満足度向上に向けた生産体制構築の取組み
オンライン寄せ書きブックサービス「スゴヨセ」の海外進出戦略
電気自動車のブレーキディスク部品の品質向上及び生産性の効率化
羽毛ふとんの小ロット(個対応)・短納期生産による新事業展
産業振興と低炭素交通に貢献する電動三輪車の試作製造
一般性でも重視されていた革新性等に加え、海外展開に関する実現可能性の高い内容が採択されています。
ビジネスモデル構築型の採択事例は以下の通りです。
住居用賃貸不動産業務支援プラットホーム
GXを地域創生の原動力とする共創型「再エネ地産地消」形成事業
バトンゾーン伴奏支援による研究開発成果を活用したイノベーションエコシステム事業
メタバースと越境ECを活用した歌舞伎座と共に日本の賑わいを創出する老舗企業のDX化および海外展開事業
中小企業のドローン事業拡大を実現する革新的な「マルチドローンビジネスプラットフォーム事業」支援プログラム
士業行政書士のデジタルプラットフォーム提供による付加価値向上
意志ある中小企業のStartup化 インキュベート事業「SYNUPS」で実現する事務DX・有識者講義によるマインドDX
地域資源の活用による中小企業経営革新イノベーション・エコシステム構築プログラ
へルスケアDXを推進する中小企業のためのビジネスモデル構築支援事業
「デザイン経営」による九州の食を中心とした地場産業革命
支援する中小企業の生産性が本当に向上するかどうか、という観点で評価されています。
ここからはものづくり補助金の業種別の採択事例をご紹介します。
最初にものづくり補助金の建設業の採択事例をご紹介します。
3Dスキャナ型三次元測定機の導入
ロボット芝刈り機導入
地中埋設管内閉塞の迅速解消システム開発
付着モルタルリサイクルシステムの製作・販売
アスベスト含有仕上げ塗材の除去処理用機械導入
選定残材の再資源化
情報通信技術を使った「ICT土工」の導入
高品質な木材を安定的に供給するための製造環境の構築
間伐木材を活用した小断面木材のブロック連結複合梁の試作開発
社寺建築における木材加工セントラルシステム導入による生産性向上
i-con導入による施工管理の効率化と生産プロセスの改革
GPS位置情報とAR(拡張現実)を活用した建設工事検収用写真デジタル化システムの開発
鉄骨建設一貫加工・施工体制の強化
破砕設備の導入による新商品開発及びコンクリートリサイクル事業
中小型建造物の為の高強度かつ環境・デザイン性の高い鋼板屋根材の開発事業
ものづくり補助金の製造業の採択事例は以下のとおりです。
角形鋼管の孔開、切断加工の内製化
旋盤工程の高度化
付着モルタルリサイクルシステムの製作販売
大型溶接ロボットシステムの導入
ハニカム構造の積層段ボールを活用した防音壁の開発・試作・量産準備
構造用鉄骨の加工精度の向上及び工程上の段取り改善による生産性の向上
「樹脂素材ハーフ蒸着」技術の高度化
サッシの金型レス生産ラインの構築
ダム・発電所における電気ケーブル可視化・最適化システムの開発と導入
押出成型機を利用した多品種立体造形物の生産プロセス確立
レーザー加工の内製化
大型溶接ロボット導入
灯油を代替燃料とする建設業向けガスバーナーの量産技術確立と低価格化の実現
丸パイプ鉄骨加工における溶接技術の高度化
最新鋭バリ取り機導入
ものづくり補助金の運輸業の採択事例は以下のとおりです。
水都大阪のシンボルアート火を噴く龍(ラッキードラゴン)の試作開発
ITを活用した24時間利用可能な内陸コンテナターミナル建設事業
農作物別に温度管理が可能な大型冷凍庫の導入
外壁工事の端材(産廃)を再利用した新「外壁コ-ナ-」の作製技術開発
ロボットの導入による荷役作業の軽減
タブレットを活用した運行管理
車いすを多数運送できる貸切バス導入
ものづくり補助金の飲食業の採択事例は以下のとおりです。
サードウェーブコーヒー焙煎機導入
看板商品の急速冷凍設備導入
「冷凍手打式そば」の開発事業
ブラックバス料理の商品化
そば殻由来の燃料「バイオコークス」の開発販売
最新鋭うどん製麺機導入
多言語対応のうどん体験会予約システム
新たな氷温熟成解凍システムの構築
加圧蒸気焼成機導入によるご当地スイーツギフトの開発
新たなジェラートメニューの開発
焼豚足製造装置増強による業容拡大
新機械導入による急速冷凍おにぎりの増産体制構築
冷凍麺の熟成技術開発
味を落とさない レトルト食品開発
新社屋における商品物流の効率化
ものづくり補助金の小売業の採択事例は以下のとおりです。
調剤薬局のシステム構築と医療体制崩壊を防ぐシステム構築
新たな車体プリント事業の創出
マーキング製造技術確立による自社オリジナル商品の製造・販売!
最新発泡スチロール減容機導入
「環境低負荷・高安全・低臭」な給油所の実現
専用POSの導入によるプロ向け建築用金物販売
地元産米粉を使用したアレルギー対策食品の試作開発
地域資源の木を活用した純国産精油の生産体制の確立
安価で長時間装着も快適な人工乳房開発
「日常生活でのきこえ」を重視した補聴器調整技術の確立
車両管理の自動化によるサービス向上
額縁製作の能率向上
自動包装機の導入による生産革新
視野狭窄の人に役立つ眼鏡型広角視野鏡の開発
多店舗展開を見据えた「自動精米店舗」の開発
ものづくり補助金の観光業の採択事例は以下のとおりです。
土産用菓子の需要増加対応に向けた高機能な菓子製造機械の導入
新しい土産生産のための技術導入
検品作業の無人化
双方向骨伝導音声ガイドシステムの試作開発
ITを活用した外国人宿泊客おもてなし
デジタルアートミュージアムの展開
ものづくり補助金の情報処理サービス業の採択事例は以下のとおりです。
「業務効率化支援システム」の試作品作成計画
来店客増加支援システムの試作開発
診察参加型臨床実習評価システムの試作開発
現地調査の効率化に寄与する地理情報クラウドサービス
四肢が不自由な重度身体障害者向けパソコン操作システムの試作品開発
デイサービス送迎配車支援システムの開発
ものづくり補助金のサービス業の採択事例は以下のとおりです。
地域密着型企業向け次世代型ポイントカードシステムの試作開発
商品開発とスポーツ用品の価値向上
炭酸システム導入による革新的理容サービスの事業化
ペット葬儀サービス
本記事でご紹介したもののほか、ものづくり補助金公式ページの成果事例検索結果 (monodukuri-hojo.jp)では、過去の採択事例が公開され、地域や業種、キーワードなどで検索できるようになっています。更に多くの事例が必要であればご参照ください。
採択される事業には客観的な理由やポイントがありますので、確実に抑えていきましょう。
制度の目的に沿った事業であることが求められます。
事業の事業計画を設定する上で、3~5年計画で以下を達成する事業計画が評価されます。
付加価値(営業利益 + 人件費 + 減価償却費) + 3%以上/年
技術面では以下のポイントが重視されます。
革新的
課題や目標達成基準は明確
課題解決方法が明確、妥当、優位性あり
実施できる技術的能力が備わっている
本当に革新的なのか、妥当かどうかが重視されます。
事業化面では以下の内容が重視評価されます。
社内外の体制や財務状況から事業遂行できると期待可能
対象ユーザー、マーケット、市場規模が明確
事業成果は価格・性能面で優位性や収益性があり、事業化方法やスケジュールが妥当
投入資金に対する売上や規模などの費用対効果が高い
実施する上で体制が整っているか、実施してどれくらい利益があるかが確認されます。
有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者に対して、「成長性加点」という項目で加点されます。
これは経営革新に取り組む中小企業の作成した計画が、都道府県知事などからの承認を受けていれば満たせます。
「政策加点」という項目で、創業・第2創業後間もない事業者(5年以内)は加点されます。
他にも、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて応募締切日時点で「パートナーシップ構築宣言」を公表していれば、加点対象です。
その他にも加点ポイントは複数設けられていますので、申請前には必ず要項を確認するようにしましょう。
不採択にも理由がありますので、事前にチェックするようにしましょう。
事業内容が補助金の目的に合っていないと不採択になってしまいます。
単なる老朽化した機器の入れ替えなどを行って事業を進める、などの内容は対象外ですので、新規事業や生産性向上を目的とした内容であるかを確認しておきましょう。
財務状況に合わない投資は不採択です。
体制が整っておらず実現可能性が低い場合や、適正性が低いと判断される場合の申請は「適していない」と判断されてしまいます。
前述したように、実現可能性があるかどうかも重要な評価項目となるので、自社の強みと社内体制を確認した上で申請するようにしましょう。
申請要件を満たすようにしましょう。
例えば、中小企業向けの支援なのに従業員数が規定以上であると要件を満たしていないと判断されてしまいます。
申請要件同様、審査項目も満たしていないと不採択です。
その事業に革新性があるかどうか、課題を実施することで期待できる利益は一定以上か、などが評価されます。
これらを満たす事業計画を策定するようにしましょう。
書類不備も問答無用で不採択です。
必要書類もいくつか用意しなければならないので、添付忘れがないように前もって準備を進めておくことをおすすめします。
必要書類に関して、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
ものづくり補助金申請の必要書類は?事業計画書や採択されるためのポイントを解説
ものづくり補助金では事業の革新性や妥当性などが認められれば、約6割近くもの申請者が採択されているという特徴があります。
事業内容の魅力が十分に伝わった上で加点項目を満たしていれば、業種関係なく十分採択される可能性は高いといえるでしょう。
魅力を適切に伝えるために、自分で行わずに専門家からのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
どのような項目を重視すべきか、などを相談しながら申請していくことをおすすめします。