事業再構築補助金の申請を検討しているものの、自分で公募要領を読み準備する時間がないという人は多いでしょう。そのようなときに活用したいのが事業再構築補助金の申請代行業者です。申請代行業者に依頼すれば、申請に必要な準備をサポートしてくれます。しかし、代理申請など違法となるケースもあるため、どのような業務を依頼できるのかを把握しておくことが大切です。
この記事では、事業再構築補助金の申請代行業者のサポート内容や、よい業者の選び方などについて解説します。事業再構築補助金の概要についても解説するため、申請を検討している人は参考にしてください。
まず、事業再構築補助金の第12回公募を参考に概要や流れなどを解説します。
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響が長期化するなか、経済社会の変化に対応するために中小企業の事業再構築を支援する補助金のことです。中小企業のほかに、中堅企業や個人事業主、企業組合などを対象としています。
事業再構築補助金の第12回公募の類型、対象、補助金上限、補助率は以下の通りです。
類型 | 対象 | 補助金上限 | 補助率 |
---|---|---|---|
成⻑分野進出枠(通常類型) | ポストコロナ社会に対応した事業再構築へ取り組む中小企業 | 6,000万円 | 中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
成⻑分野進出枠(GX進出類型) | ポストコロナに対応したグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者 | 1億円 | 中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
コロナ回復加速化枠(最低賃⾦類型) | コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者 | 1,500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
事業再構築補助金の概要は以下の記事で詳しく解説しています。
参考:事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説
事業再構築補助金を初めて申請するという人も多いでしょう。そのため、事業再構築補助金申請の流れについて事前に把握しておくことが大切です。
事業再構築補助金の流れは以下の通りです。
イベント | 内容 |
---|---|
1.応募申請 | 事業再構築を行うといった申請要件を満たしたうえで申請する |
2.採択発表 | 事業再構築の内容や妥当性、実現性などを審査したうえで、採択・不採択が決定する |
3.交付決定 | 採択後に事務局において補助金事業の対象経費などの妥当性を確認したうえで、交付決定を行う |
4.補助金事業実施 | 原則として交付決定後に補助金事業を開始する |
5.確定検査 | 補助金事業を終了後、事務局による補助金額の確定検査が完了すると、補助金の対象となる |
事業再構築補助金は、原則として補助金事業の終了後に受け取れます。そのため、補助金事業を実施している期間中は、事業者がすべての経費を立て替えなければなりません。
事業再構築補助金は、申請すれば必ず採択されるわけではなく、不採択になるケースもあります。
事業再構築補助金は、2024年2月時点で第11回公募まで実施されています。事業再構築補助金の公式サイトでは、第5回~第11回公募の応募件数・採択件数が公開されています。それぞれの応募件数・採択件数・採択率の推移は以下の通りです。
公募回 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第5回 | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回 | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回 | 15,132件 | 7,745件 | 51.1% |
第8回 | 12,591件 | 6,456件 | 51.2% |
第9回 | 9,369件 | 4,259件 | 45.4% |
第10回 | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
第11回 | 9,207件 | 2,437件 | 26.4% |
第12回 | 7,664件 | 2031件 | 26.5% |
各公募回の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考:事業再構築補助金の採択結果はいつ?各公募回の採択者数、採択率、重要日付一覧
事業再構築補助金の申請を行う時間がない場合に、申請代行業者に依頼したいと考える人は多いでしょう。しかし、事業再構築補助金の申請代行は、業務内容によっては違法になる可能性があります。
ここでは、事業再構築補助金の申請における代行が違法になるのかを解説します。
事業再構築補助金を受け取るには、まず事業計画書作成や申請手続きなどを行う必要があります。これらは事業再構築補助金を受ける事業者自身が行わなければならず、ほかの人に代行してもらうことはできません。公募要領にも、事業者自身で事業計画書を作成する旨が明記されています。
代理申請が認められた場合は、公募要領に違反しているとみなされ、採択取消や交付決定取消となり、今後の公募申請も受けられなくなる可能性があります。
過去の事業再構築補助金の申請案件において、代理申請が疑われる申請が確認され、公募要領違反として審査対象外となった実例もあるため、注意が必要です。
申請する事業者は、事業計画の作成や実行・成果目標など、自身で責任を持って取り組みましょう。
先述した通り、申請手続きや事業計画書などは、申請する事業者自身で取り組む必要があります。しかし、それに伴う確認・助言であれば代行業者のサポートを受けても違法ではありません。
便宜上「申請代行」と呼ばれていますが、申請代行業者とは経産省認定支援機関などの補助金コンサルタントのことを指します。
認定支援機関とは、国が認定した中小企業の相談先のことで、具体的には金融機関や中小企業診断士、税理士などが含まれます。相談の窓口として、事業計画に関するアドバイスやサポートを受けることができます。
ただし、金融機関では事業計画書を書いてくれなかったり、サポートの業務範囲は認定支援機関によって異なる点に注意しましょう。
事業再構築補助金の申請代行には、一般に、以下の業務を依頼できます。それぞれの業務内容について詳しく解説します。
事業再構築補助金の申請において、最も重要とも言える書類が、事業計画書です。審査では、事業計画書の内容に基づき採択の可否が決まるため、専門家による作成支援を受けられると採択される可能性が高まります。
「事業再構築に向けた事業計画書作成ガイドブック」では、検討が必要な項目として、方針・強み・目標・計画の4つが挙げられています。これらの項目を網羅し、既存事業と新規事業がどのように関連しているか分かりやすく説明することが採択への近道です。ポイントを押さえた作成には、申請代行への依頼が効率的です。
適切な事業計画書を作成し、無事に採択を受けても、すぐに補助金が受け取れるわけではありません。補助金を受け取るには、交付申請を行い補助事業を開始した上で、事業終了後に実績報告書等の提出が求められます。
交付申請と実績報告がないと、採択を受けても補助金が受け取れないため、採択後に必要な書類の作成支援も申請代行業者の業務となっています。
事業再構築補助金の申請に必要な書類は、事業計画書以外にも多数あるため、申請代行の利用により業務負担を軽減できます。不採択となった事業者のうち、およそ10%が書類不備が理由と言われており、提出書類の準備は侮れません。
また、初めて申請する事業者が電子申請システムの使い方に迷ったときにも、申請代行のサポートを受けられます。これらの強力なサポートは、事業者にとって心強い味方となるでしょう。
事業再構築補助金の書類作成を申請代行に依頼することで、事業者はどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
支援を受けるメリットを一言でいうと、補助金の採択率が高くなるということです。何件も実績がある代行事業者には様々なノウハウが蓄積されていますので、採択されやすい事業計画書を効率よく作成できるという強みがあります。
事業再構築補助金の事業計画書の作成実績を豊富に持つ専門家は、どのように記載したら審査員に的確に伝わるか、その構成や文章について精通していることが多いです。審査項目を網羅した事業計画書の作成には、専門家の助言が欠かせません。
手取り足取りの支援が期待できる点もメリットの一つです。忙しい経営者や事業主の方が多いと思いますが、申請のために時間を費やしていては本末転倒です。
代行事業者に依頼することで、調査や資料作成等にかかる時間を大幅に減らすことができます。事業計画書の作成のみならず、色々な資料集めであったり、手続きの内容や電子申請システムの入力方法についても教えてもらえることが多いです。
申請代行を依頼する事業者は、それぞれ専門分野を持っています。採択に向けて、専門分野に沿ったアドバイスを受けられるのも、大きなメリットです。
申請代行を請け負う事業者の多くは経営コンサルタントも兼ねており、採択後の経営相談を依頼できるところもあります。自社の強みは第三者から客観的に見ることで明確になる場合も多く、コンサルタントから指摘を受けることで強みを伸ばせるようになります。
希望する企業には、別料金で補助金採択後の顧問サービスを提供している場合もありますので、企業の経営全体を支援してくれる重要な存在となります。
国や自治体は、事業再構築補助金以外にも数多くの補助金制度を提供しており、目的から申請要件までそれぞれ大きく異なります。申請代行を請け負っている事業者は、補助金制度全般に精通していることも多く、事業再構築補助金以外の補助金に関するアドバイスも受けられます。
企業の中には、補助金パートナーとして個別の専門事業者と継続で連携しているところも増えており、補助金全般のサポートを受けながら事業を進められます。
事業再構築補助金の申請代行の業務について解説してきましたが、申請代行を依頼すると費用はどのぐらいかかるのでしょうか?ここでは、申請代行の費用の仕組みについて解説します。
報酬体系は、着手金と、採択時の成功報酬の2つに分かれている代行事業者が多いです。報酬のメインの部分が採択時の成功報酬である会社は、採択が決定するまで寄り添ってくれることが期待できます。
裏を返せば、採択されないと無給で働くことになりますので、採択率に自信があるとも考えられます。成功報酬である分、採択された場合は少し高めの設定である会社もありますが、自身で公募要領の理解から書類の準備まで取り組むとかなり骨の折れる作業になりますので、必要経費だという考え方はあります。
申請代行の費用は、サービス範囲や内容により異なりますが、相場は着手金が2万円から30万円程度、成功報酬は補助金申請額の8%から25%程度です。採択されなければ、成功報酬は発生しません。
申請する補助金が高額になるほど、申請代行を利用する費用対効果が高まります。反対に、下限額を設定している代行事業者を使う場合は、申請額が少ないと費用対効果が見合わなくなる可能性もありますので、注意が必要です。
申請代行業者の提供するサービスや実績はそれぞれ異なるため、選定の際にはいくつかのポイントを押さえることが大切です。
ここでは、事業再構築補助金の申請代行業者を選ぶ際のポイントを解説します。
最も重要なポイントは、事業再構築補助金に関する申請実績が豊富であるかという点です。補助金制度の概要や必要書類・申請方法などは、制度によって大きく異なり、普段顧問でお世話になっている先生であったとしても事業再構築補助金の申請実績が豊富であるとは限りません。
代行事業者に問い合わせる際には、事業再構築補助金の申請実績を必ず確認しましょう。
代行事業者ごとに強みとなる専門分野が異なります。専門分野については特に強いアドバイスを受けられます。採択に向けてアピールしたいポイントがあれば、それぞれの専門分野に精通している事業者を選びましょう。
事業再構築補助金の申請相談や手続きのサポートを依頼する場合は、事前にサポート内容を確認しておきましょう。
特に初めて事業再構築補助金を申請する場合は、サポート内容が充実している代行業者を選びましょう。具体的には、以下のようなサポートを提供しているかを確認することが大切です。
事業計画書作成を事細かにサポートしてくれるか
提出する書類を確認してくれるか
申請だけでなく入金までサポートしてもらえるか
不採択となった場合のサポートはあるか
申請代行業者を選ぶ際は、担当者との相性や信頼感も確認しましょう。自分の考えを汲み取ってくれるか、わかりやすく説明してくれているかなどが確認のポイントです。
多くの代行業者では、無料相談を実施しているため、依頼する前に担当者と話してみて相性を確認するとよいでしょう。
事業再構築補助金とは、中小企業や中堅企業などを対象とした事業再構築を支援するための補助金です。事業再構築補助金の申請は煩雑であるため、認定支援機関をはじめとした申請代行業者によるアドバイスやサポートが認められています。ただし、申請自体を代行するのは違反であるため、事業者自身が行わなければなりません。
申請代行業者に依頼することで、採択される可能性が高まる、事業に集中できるなどのメリットがあります。申請代行業者を選ぶ際は、実績とともにサポート内容が充実しているかを確認しましょう。
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