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飲食店がテイクアウト・デリバリーで活用できる補助金|対象経費・制度・注意点を解説

補助金
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更新:2026/06/19

飲食店を取り巻く経営環境は、近年大きく変化しています。

原材料費や人件費の上昇、人手不足、来店客数の変動などにより、店内飲食だけに依存しない売上づくりが重要になっています。

その中で注目されているのが、テイクアウト・デリバリー・食品EC・キッチンカーなど、店舗外で売上をつくる取り組みです。

一方で、テイクアウトやデリバリーを始めるには、注文システムの導入、厨房設備の整備、包装資材の準備、メニュー開発、広告宣伝など、一定の初期費用がかかります。

そこで活用を検討したいのが、国や自治体の補助金です。

テイクアウト・デリバリーそのものを直接支援する制度は限られますが、販路開拓、業務効率化、省力化、新事業展開といった目的であれば、飲食店でも活用できる補助金があります。

この記事では、飲食店がテイクアウト・デリバリー事業を始める、または拡大する際に活用を検討できる補助金について、対象経費や制度の選び方をわかりやすく解説します。

目次
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テイクアウト・デリバリー対応が飲食店にもたらす効果

テイクアウト・デリバリーは、単に持ち帰り商品を販売するだけの取り組みではありません。

店舗に新たな売上を増やし、既存顧客との接点を広げ、新たな顧客層にアプローチできる有効な手段です。

たとえば、これまで夜営業が中心だった居酒屋がランチ弁当を販売したり、地域密着型の飲食店が近隣企業向けにまとめ注文を受けたりすることで、新たな売上源を確保できます。

また、冷凍食品や惣菜を商品化し、ECサイトで販売することで、商圏を店舗周辺から全国へ広げることも可能です。

テイクアウト・デリバリー事業の主なメリット

テイクアウト・デリバリーを導入するメリットは、以下のとおりです。

メリット

内容

新規売上の確保

店内飲食に加えて、持ち帰り・配達・EC販売など複数の売上源を持てる

新規顧客の獲得

店舗に来店しない層にも商品を届けられる

リピーターの増加

弁当・惣菜・冷凍食品など、日常的に利用される商品を展開しやすい

客席数に依存しにくい

店舗の席数に限られず、売上を伸ばせる可能性がある

ブランド認知の向上

パッケージやSNS投稿を通じて店舗の認知拡大につながる

業務効率化につながる

事前注文や事前決済により、電話対応や会計業務を減らせる

特に、人手不足が続く飲食業界では、単に売上を増やすだけでなく、少ない人数でも運営しやすい仕組みを整えることが重要です。

そのため、テイクアウト・デリバリー事業では、注文管理システム、POSレジ、モバイルオーダー、セルフレジなどの導入もあわせて検討するとよいでしょう。

テイクアウト・デリバリーで対象となりやすい費用

補助金を活用する際は、どの費用が補助対象になるのかを事前に確認することが大切です。

制度によって対象経費は異なりますが、テイクアウト・デリバリー関連では、以下のような費用が対象になりやすい傾向があります。

費用区分

対象となりやすい内容

広告宣伝費

チラシ、ショップカード、メニュー表、Web広告、SNS広告、写真撮影

Web関連費

ホームページ制作、注文ページ制作、ECサイト構築、予約フォーム作成

システム費

モバイルオーダー、POSレジ、在庫管理、受発注管理、顧客管理システム

機械装置・設備費

真空包装機、急速冷凍機、厨房機器、券売機、セルフレジ

外注費

メニュー開発、パッケージデザイン、ブランディング、販促物制作

店舗改装費

テイクアウト窓口の設置、受け渡しスペース整備、厨房動線の改善

車両改装費

キッチンカー改装、移動販売に必要な設備設置

一方で、食材費、通常の人件費、家賃、既存設備の単なる買い替え、汎用性の高い消耗品のみの購入などは、補助対象外となることが多いため注意が必要です。

また、補助金は原則として、交付決定後に発注・契約・支払いを行った経費が対象です。すでに購入済みの設備や、申請前に契約した費用は対象外となる可能性があります。

テイクアウト・デリバリーに活用できる主な補助金

飲食店がテイクアウト・デリバリー事業で活用を検討しやすい補助金には、以下のような制度があります。

それぞれ目的や対象経費が異なるため、自社の取り組みが「販路開拓」「デジタル化」「省力化」「新事業展開」のどれに当たるのかを整理したうえで選ぶことが重要です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際に活用しやすい補助金です。

飲食店の場合、テイクアウトメニューのPR、チラシ作成、Webサイト制作、新商品開発、簡易的な設備導入などに活用できる可能性があります。

項目

内容

主な要件

小規模事業者が、商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、販路開拓等に取り組むこと

最大補助金額

通常枠50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円の上乗せがあり、最大250万円

補助率

原則2/3。赤字事業者が賃金引上げ特例を活用する場合は3/4

対象経費

機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費など

小規模事業者持続化補助金は、比較的小規模な投資に向いている制度です。制度概要資料では、補助率2/3、通常枠の補助上限50万円に加え、インボイス特例・賃金引上げ特例による上乗せが示されています。

テイクアウト・デリバリーでは、次のような取り組みと相性があります。

  • テイクアウトメニューを周知するためのチラシ、メニュー表、ショップカード、SNS広告の作成

  • テイクアウト専用ページ、予約フォーム、注文フォームなどのWebページ整備

  • 弁当、惣菜、冷凍食品、ギフト商品などの新商品開発

  • 受け渡しスペース、テイクアウト窓口、厨房動線の改善など、店舗の一部改修

個人経営の飲食店や、従業員数の少ない店舗では、まず検討しやすい補助金といえます。

参考:小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説

デジタル化・AI導入補助金

デジタル化・AI導入補助金は、飲食店がITツールやクラウドサービスを導入し、業務効率化や生産性向上を図る際に活用できる補助金です。

旧IT導入補助金にあたる制度で、POSレジ、モバイルオーダー、予約管理、在庫管理、顧客管理などと相性があります。

項目

内容

主な要件

中小企業・小規模事業者等が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入し、労働生産性の向上に取り組むこと

最大補助金額

通常枠で最大450万円

補助率

原則1/2以内。一定の要件を満たす場合は2/3以内

対象経費

ソフトウェア購入費、クラウド利用料、機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ、導入コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポートなど

通常枠では、ITツールのプロセス数に応じて補助額が設定されており、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下とされています。

テイクアウト・デリバリーでは、以下のような活用が考えられます。

  • モバイルオーダーを導入し、事前注文・事前決済に対応する

  • POSレジと連携し、店内売上、テイクアウト売上、デリバリー売上を一元管理する

  • 在庫管理システムを導入し、食材ロスの削減や原価管理の効率化を図る

  • 顧客管理システムを活用し、リピーター向けのクーポン配信やLINE連携を行う

  • ECサイトと連携し、冷凍食品、惣菜、ギフト商品のオンライン販売を行う

「電話注文が多く、対応に時間がかかっている」「注文・会計・在庫管理を効率化したい」という飲食店に向いています。

参考:デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とは?補助額や申請方法、スケジュール、注意点などを解説

中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等が、設備導入やシステム構築によって省力化・生産性向上を図るための補助金です。

飲食店では、券売機、セルフレジ、配膳ロボット、厨房機器、注文管理システムなどが検討対象になります。

項目

内容

主な要件

人手不足に悩む中小企業等が、省力化や生産性向上につながる設備導入・システム構築を行うこと

最大補助金額

従業員規模に応じて最大8,000万円(賃上げ特例適用時は最大1億円)

補助率

1,500万円以下の部分:中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3

1,500万円超の部分:補助率が逓減

対象経費

個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築に関する経費

一般型では、オーダーメイド性のある多様な設備やシステムを導入でき、従業員規模に応じて最大8,000万円(賃上げ特例適用時は最大1億円)の補助が受けられる点が特徴です。

テイクアウト・デリバリーでは、以下のような活用が考えられます。

  • 券売機やセルフレジを導入し、注文・会計対応を省人化する

  • 注文管理システムを導入し、店内・テイクアウト・デリバリー注文を一元管理する

  • 厨房設備を導入し、仕込み、調理、包装作業を効率化する

  • 受発注システムを導入し、食材発注や在庫確認を自動化する

  • 配膳ロボットなどを導入し、店内業務を効率化してテイクアウト対応の人員を確保する

テイクアウト・デリバリーを拡大したいものの、人手が足りないという店舗では、省力化の観点から検討しやすい制度です。

参考:中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?カタログ注文型との違いや活用例・申請手順も解説

中小企業新事業進出補助金

中小企業新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金です。

単に既存メニューをテイクアウト対応にするだけではなく、デリバリー専門ブランド、キッチンカー、冷凍食品販売、食品EC、セントラルキッチンなど、本格的な新事業として展開する場合に検討しやすい制度です。

項目

内容

主な要件

既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出であること。付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最低賃金水準要件、ワークライフバランス要件などを満たす必要あり

最大補助金額

従業員規模に応じて最大7,000万円。賃上げ特例を活用する場合は最大9,000万円

補助率

原則1/2。地域別最低賃金引上げ特例を活用する場合は2/3

対象経費

機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費など

この制度では、既存の飲食店営業の延長ではなく、「新たな市場に向けた事業展開」として整理できるかが重要になります。

テイクアウト・デリバリーでは、次のような活用が考えられます。

  • 既存店舗とは別ブランドでデリバリー専門事業を展開する

  • 店舗メニューを冷凍食品や惣菜として商品化し、EC販売へ進出する

  • キッチンカーを導入し、店舗型から移動販売へ展開する

  • セントラルキッチンを整備し、複数拠点や外販向けの製造体制を構築する地域名物や自社商品を活かした食品EC事業を始める

投資規模が大きく、事業計画の作り込みも必要になるため、小規模なテイクアウト導入よりも、本格的な事業転換・新規事業展開に向いています。

参考:中小企業新事業進出補助金とは?対象者や補助額、対象経費、申請スケジュールを解説

自治体で活用を検討できる補助金の例

国の補助金だけでなく、自治体が独自に実施している補助金もあります。

自治体補助金は、地域や時期によって公募状況が大きく変わるため、必ず最新情報を確認する必要があります。

ここでは、飲食店のテイクアウト・デリバリー、キッチンカー、設備投資、IT導入などと関連しやすい自治体補助金の例を紹介します。

東京都:創業助成事業

東京都の「創業助成事業」は、都内で創業を予定している方や、創業後5年未満の中小企業者等を対象に、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。

飲食店の場合、新たにテイクアウト・デリバリー対応の店舗を開業する場合や、キッチンカー、食品販売、惣菜販売などの新たな飲食事業を立ち上げる際に活用を検討できます。

項目

内容

主な要件

都内で創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者等で、一定の申請要件を満たすこと

最大補助金額

400万円

補助率

助成対象経費の2/3以内

対象経費

賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費など

東京都中小企業振興公社の情報では、助成限度額は上限400万円、助成率は助成対象経費の2/3以内とされています。また、対象経費には、賃借料、広告費、器具備品購入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費などが含まれます。

テイクアウト・デリバリーでは、次のような活用が考えられます。

  • テイクアウト対応の飲食店を新たに開業する

  • キッチンカー事業を立ち上げ、移動販売に取り組む

  • テイクアウト・デリバリー向けの広告宣伝を行う

  • 調理器具や備品を導入し、販売体制を整備する

  • 市場調査や専門家相談を行い、新規事業の計画を作成する

ただし、創業助成事業は、既存の飲食店が単にテイクアウトを追加するだけではなく、創業予定者や創業後5年未満の事業者が対象となる点に注意が必要です。

そのため、既存店舗の小規模な販路開拓であれば小規模事業者持続化補助金、創業・新規開業・新ブランド立ち上げであれば東京都の創業助成事業、というように使い分けるとよいでしょう。

参考:創業助成金とは?対象者、要件から手続き、メリット、デメリットまで解説

兵庫県姫路市:創業者応援補助金

兵庫県姫路市の「創業者応援補助金」は、市内で創業する方を対象に、新たな店舗等の設置や広告宣伝を支援する補助金です。

飲食店を新たに開業する場合や、テイクアウト対応の店舗づくり、開業時の広告宣伝を行う場合に活用を検討できます。

項目

内容

主な要件

姫路市内で創業し、新たな店舗等の設置や広告宣伝を行うこと

最大補助金額

店舗等設置支援事業は30万円、広告宣伝支援事業は15万円

補助率

1/2以内

対象経費

内装設備工事費、広告宣伝費、ホームページ制作、SNS運用代行、Web広告など

テイクアウト・デリバリーでは、以下のような活用が考えられます。

  • テイクアウト対応の受け渡しスペースや厨房動線を整備する

  • チラシ、ポスター、ショップカードなどの広告物を作成する

  • ホームページ制作、SNS運用、Web広告などで集客を行う

  • 新店舗やテイクアウトメニューの認知拡大を図る

創業時は、店舗整備や広告宣伝など初期費用がかさみやすいため、開業と同時にテイクアウト・デリバリーを展開したい事業者にとって参考になる制度です。

公式:令和8年度 姫路市創業者応援補助金

栃木県:地域課題解決型創業支援補助金

栃木県の「地域課題解決型創業支援補助金」は、県内で地域課題の解決に資する事業を新たに始める方を対象に、創業に必要な経費の一部を補助する制度です。

飲食店の場合、地域住民向けのテイクアウト・デリバリー事業、買い物弱者や高齢者向けの配食サービス、地域食材を活用した惣菜・弁当販売、キッチンカーによる移動販売などで活用を検討できる可能性があります。

項目

内容

主な要件

栃木県内で、地域課題の解決に資する社会的事業を創業すること

最大補助金額

200万円

補助率

補助対象経費の1/2以内

対象経費

人件費、店舗等借入費、設備費・借料、知的財産権等関連経費、謝金・旅費、広報費、外注費、委託費など

この制度は、単なる飲食店の開業というよりも、「地域課題の解決」と結びつけて事業計画を作ることが重要です。

テイクアウト・デリバリーでは、次のような活用が考えられます。

  • 地域住民向けに弁当・惣菜のテイクアウト販売を始める

  • 高齢者や買い物に不便を感じる方に向けた配食サービスを展開する

  • 地元農産物や地域食材を活用した新商品を開発する

  • キッチンカーや移動販売により、地域内の販売機会を広げる

  • チラシ、Webサイト、SNS広告などを活用して新規顧客を獲得する

たとえば、高齢者世帯への食事提供、地域食材の販路拡大、商店街や地域イベントでの移動販売、地元住民の利便性向上などの観点を盛り込むことで、テイクアウト・デリバリー事業との相性を示しやすくなります。

公式:令和8年度 地域課題解決型創業支援補助金

テイクアウト・デリバリーで使える補助金の選び方

テイクアウト・デリバリー事業で補助金を活用する場合、まず重要なのは「何を導入するか」ではなく、「その取り組みで何を実現したいのか」を整理することです。

同じ飲食店のテイクアウト対応でも、チラシを作って集客したいのか、モバイルオーダーを導入して注文対応を効率化したいのか、厨房設備を導入して調理時間を短縮したいのか、キッチンカーや冷凍食品販売など新しい事業に挑戦したいのかによって、検討すべき補助金は変わります。

ここでは、取り組み内容ごとに、どの補助金を検討しやすいのかを解説します。

まずはテイクアウト・デリバリーを小さく始めたい場合

まずは既存店舗でテイクアウトやデリバリーを小さく始めたい場合は、小規模事業者持続化補助金が候補になります。

たとえば、テイクアウトメニューの開発、チラシやメニュー表の作成、SNS広告、ホームページ内のテイクアウトページ制作、簡易的な受け渡しスペースの整備などです。

既存の店舗を活かしながら、新しい販路をつくる取り組みであれば、販路開拓の一環として整理しやすくなります。

特に、個人経営の飲食店や小規模店舗では、最初に検討しやすい補助金です。

注文受付や会計を効率化したい場合

電話注文や紙の伝票管理、会計対応に時間がかかっている場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補になります。

たとえば、モバイルオーダー、POSレジ、予約管理システム、在庫管理システム、顧客管理システムなどの導入です。

テイクアウト・デリバリーでは、注文数が増えるほど、注文ミスや会計処理、売上管理の負担が大きくなります。

そのため、単にWebページを作るだけでなく、注文・決済・売上管理まで効率化したい場合は、ITツール導入として整理するとよいでしょう。

人手不足を解消しながら対応力を上げたい場合

人手不足により、店内営業とテイクアウト対応を両立するのが難しい場合は、中小企業省力化投資補助金が候補になります。

たとえば、券売機、セルフレジ、注文管理システム、厨房設備、調理補助機器、包装作業を効率化する設備などです。

テイクアウト・デリバリーでは、注文受付、調理、包装、会計、受け渡しなど、通常営業とは別の作業が発生します。

そのため、スタッフの作業時間を減らし、少人数でも対応できる体制を整える投資であれば、省力化の観点から検討しやすくなります。

新しい事業として本格的に展開したい場合

キッチンカー、冷凍食品販売、食品EC、デリバリー専門ブランドなど、既存店舗とは異なる形で新たな事業を始めたい場合は、中小企業新事業進出補助金が候補になります。

たとえば、店舗メニューを冷凍食品として商品化し、ECサイトで全国販売する場合や、キッチンカーで新しい商圏に進出する場合などです。

この場合は、単なるテイクアウト対応ではなく、既存事業とは異なる新たな市場・顧客層・販売方法に挑戦する計画として整理することが重要です。

投資額が大きくなる場合や、建物・設備・システム・広告宣伝をまとめて整備したい場合に検討しやすい補助金です。

創業や新店舗開業とあわせて取り組みたい場合

これから飲食店を開業する場合や、新店舗・新ブランドを立ち上げる場合は、自治体の創業支援系補助金も候補になります。

たとえば、東京都の創業助成事業や、各自治体の創業者向け補助金では、店舗整備、広告宣伝、備品購入、専門家相談などが対象になる場合があります。

開業時からテイクアウトやデリバリーを前提にした店舗設計を行う場合や、キッチンカー・惣菜販売・配食サービスなどを始める場合は、自治体補助金もあわせて確認するとよいでしょう。

ただし、自治体補助金は地域ごとに公募期間や対象経費が大きく異なるため、必ず最新の募集状況を確認する必要があります。

迷った場合は「目的」で整理する

どの補助金が合うか迷った場合は、次のように目的で整理するとわかりやすくなります。

  • 売上を増やしたい・販路を広げたい場合 小規模事業者持続化補助金

  • 注文や会計をデジタル化したい場合 デジタル化・AI導入補助金

  • 人手不足を解消したい場合 中小企業省力化投資補助金

  • 新しい事業として大きく展開したい場合 中小企業新事業進出補助金

  • 創業や新店舗開業とあわせて整備したい場合 自治体の創業支援系補助金

補助金を選ぶ際は、「何を買うか」だけで判断するのではなく、「その投資によって売上拡大・業務効率化・省力化・新事業展開のどれを実現するのか」を明確にすることが大切です。

たとえば、同じホームページ制作でも、テイクアウト商品の販促が目的であれば小規模事業者持続化補助金、注文・決済・顧客管理まで行うシステム導入が目的であればデジタル化・AI導入補助金が候補になります。

このように、目的から逆算して補助金を選ぶことで、自社に合った制度を見つけやすくなります。

補助金申請で注意すべきポイント

補助金は、申請すれば必ず受け取れるものではありません。

審査があり、採択された場合でも、ルールに沿って事業を実施し、実績報告を行う必要があります。

ここでは、補助金申請で特に注意したいポイントを解説します。

補助金は原則として後払い

補助金は、採択された時点ですぐに入金されるものではありません。

一般的には、採択後に交付決定を受け、事業を実施し、実績報告を行った後に補助金が支払われます。 そのため、設備費や広告費などは、まず事業者側で支払う必要があります。

テイクアウト・デリバリー事業で設備導入や店舗改装を行う場合は、自己資金や融資も含めて資金計画を立てておくことが重要です。

交付決定前の契約・発注・支払いに注意する

補助金では、交付決定前に契約・発注・支払いをした経費は対象外となることが多くあります。

たとえば、補助金の採択前に厨房設備を購入したり、ホームページ制作を発注したりすると、その費用が補助対象として認められない可能性があります。

補助金を活用する予定がある場合は、いつ契約してよいのか、いつ支払いをしてよいのかを、必ず公募要領で確認しましょう。

制度ごとに対象経費が異なる

補助金は、制度ごとに対象となる経費が異なります。

たとえば、小規模事業者持続化補助金は販路開拓に関する経費と相性が良く、デジタル化・AI導入補助金はITツールの導入に向いています。 一方で、中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消や作業効率化につながる設備導入と相性があります。

同じ「テイクアウト対応」でも、広告宣伝なのか、注文システムなのか、厨房設備なのかによって、適した制度は変わります。

書類不備や記載漏れに注意する

補助金申請では、申請書、事業計画書、見積書、決算書、履歴事項全部証明書、納税証明書など、さまざまな書類が必要になります。

書類に不備があると、審査に進めなかったり、採択後の手続きに時間がかかったりする可能性があります。

特に、見積書の宛名、金額、経費区分、支払い方法、事業計画との整合性は確認されやすいポイントです。 申請前に、必要書類をチェックリスト化しておくと安心です。

実績報告まで見据えて準備する

補助金は、採択されて終わりではありません。

事業完了後には、実績報告として、領収書、請求書、振込明細、成果物の写真、導入した設備の写真などを提出する必要があります。

たとえば、テイクアウト用の注文システムを導入した場合は、契約書や請求書だけでなく、実際に導入された画面や運用状況を示す資料が求められることもあります。

補助金を活用する際は、申請時点から実績報告までを見据えて、証憑書類を整理しておくことが重要です。

採択されやすい事業計画の考え方

テイクアウト・デリバリー関連の補助金申請では、単に「持ち帰り販売を始めたい」と書くだけでは弱い場合があります。

採択を目指すには、現状の課題、取り組み内容、ターゲット、売上見込み、業務効率化の効果などを具体的に整理することが大切です。

現状の課題を明確にする

まずは、自社が抱えている課題を明確にしましょう。

たとえば、店内飲食だけでは売上が安定しない、人手不足で新たな注文対応が難しい、電話注文や紙伝票の管理が煩雑になっている、といった課題が考えられます。

補助金申請では、「なぜその取り組みが必要なのか」を説明する必要があります。 そのため、現在の売上構成、客数の変動、人員体制、業務上の課題などを整理しておくことが重要です。

取り組み内容を具体的に書く

次に、補助金を使って何に取り組むのかを具体的に書きます。

たとえば、テイクアウトメニューを開発する、モバイルオーダーを導入する、厨房設備を整備する、SNS広告を実施する、受け渡しスペースを改装する、といった内容です。

このとき、「設備を買う」「広告を出す」だけでなく、それによってどのように売上拡大や業務効率化につながるのかまで説明することが大切です。

ターゲット顧客を明確にする

テイクアウト・デリバリー事業では、誰に販売するのかを明確にすることも重要です。

たとえば、近隣住民、オフィスワーカー、子育て世帯、高齢者、観光客など、想定する顧客層によって、メニュー内容や販促方法は変わります。

ターゲットを明確にすることで、事業計画に説得力が出ます。 「近隣の会社員向けにランチ弁当を販売する」「子育て世帯向けに夕食用の惣菜を販売する」「観光客向けに冷凍土産商品を開発する」など、具体的な利用シーンまで示すとよいでしょう。

差別化ポイントを整理する

補助金申請では、自社ならではの強みや差別化ポイントを示すことも大切です。

たとえば、地元食材を活用したメニュー、健康志向の商品、時短ニーズに対応した惣菜、ギフト対応の冷凍食品、地域限定の商品などが考えられます。

単に「テイクアウトを始める」だけでは、他店との差別化が見えにくくなります。 自社の強みを活かし、なぜ顧客に選ばれるのかを説明できるようにしましょう。

売上見込みや効果を数値で示す

事業計画では、売上見込みや効果をできるだけ数値で示すことが重要です。

たとえば、月間販売数、想定客単価、リピート率、既存売上への上乗せ効果などを整理します。

「月に300食の弁当販売を目指す」「客単価1,000円で月30万円の追加売上を見込む」「モバイルオーダー導入により電話対応時間を1日1時間削減する」といったように、具体的な数字があると計画の実現性を伝えやすくなります。

地域への効果を盛り込む

飲食店のテイクアウト・デリバリー事業では、地域への効果も重要なアピールポイントになります。

たとえば、地域食材の活用、雇用維持、買い物弱者支援、観光消費の拡大、商店街の活性化などが考えられます。

特に自治体補助金や創業支援系の補助金では、地域課題の解決や地域経済への貢献が評価される場合があります。

「地元農産物を使った弁当を販売する」「高齢者向けの配食サービスを行う」「観光客向けの土産商品を開発する」といった形で、地域とのつながりを示すと、事業計画に厚みが出ます。

まとめ

テイクアウト・デリバリー事業は、飲食店にとって新たな売上をつくる有効な取り組みです。

店内飲食だけに依存せず、持ち帰り、配達、食品EC、キッチンカーなどに展開することで、既存顧客との接点を増やし、新たな顧客層にもアプローチしやすくなります。

一方で、テイクアウト・デリバリーを始めるには、メニュー開発、広告宣伝、注文システム、厨房設備、包装対応、店舗改装など、一定の初期費用がかかります。

そのため、補助金を活用することで、自己負担を抑えながら事業展開を進められる可能性があります。

小規模な販促やWeb整備であれば小規模事業者持続化補助金、注文管理やPOSレジなどのIT導入であればデジタル化・AI導入補助金、人手不足対策や設備導入であれば中小企業省力化投資補助金、大きな業態転換や新規事業であれば中小企業新事業進出補助金が候補になります。

また、国の補助金だけでなく、自治体が実施する創業支援や設備投資補助金を活用できる場合もあります。自治体補助金の中には、店舗改装、広告宣伝、設備導入、キッチンカー、ITツール導入などを対象としている制度もあるため、事業所所在地の制度を確認してみるとよいでしょう。

一方で、補助金は制度ごとに対象経費や申請条件が異なります。単なる設備更新や既存事業の延長では対象になりにくい場合もあり、事業計画や導入効果を明確にすることが重要です。

「テイクアウトやデリバリーを始めたい」 「注文受付や会計業務を効率化したい」 「厨房設備を導入して、少人数でも対応できる体制を整えたい」 「キッチンカーや冷凍食品販売など、新しい事業に挑戦したい」 「自社で使える補助金があるか知りたい」

このような飲食店の事業者さまは、補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

補助金コネクトでは、飲食店のテイクアウト・デリバリー、設備投資、IT導入、販路開拓に活用できる補助金のご相談も承っております。

自社の取り組みが補助対象になるか確認したい方は、お気軽にご相談ください。

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