事業承継やM&Aで使える事業承継・引継ぎ補助金は、概ね3ヶ月に1回程度の公募スケジュールで運営されています。
直近では第9回公募の受付が終了いたしましたが、第10回・11回に備えて事前に申請の流れや必要書類を確認しておくと良いでしょう。
この記事では事業承継・引継ぎ補助金の申請スケジュールと申請の流れ、必要書類について紹介します。
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継やM&Aなどを契機として新しい取り組みを行う中小企業を支援する制度です。
補助金の交付を受けられる対象者は、経営革新や経営資源の引き継ぎをする中小企業者や再チャレンジするために廃業する中小企業者・小規模事業者(個人事業主を含む)です。
新しい商品の開発やサービスの提供を行いたい、M&Aの成約に向けて取組を進めている、既存事業を廃業して新しい事業にチャレンジしたいといった方が対象となります。
補助対象事業は3つの申請枠に分かれています。
申請枠 | 内容 |
---|---|
経営革新枠 | 事業承継やM&Aを契機に経営革新に挑戦する中小企業・小規模事業者者 |
専門家活用枠 | M&Aにより経営資源を他者から引き継ぐ、あるいは他者に引き継ぐ予定の中小企業・小規模事業者 |
廃業・再チャレンジ枠 | 事業承継およびM&Aにより廃業し、新たな事業にチャレンジをする中小企業・小規模事業者 |
申請枠によって支援の対象が異なるため、対象経費もそれぞれ異なっています。具体的には、以下のとおりです。
経営革新枠 | 専門家活用枠 | 廃業・再チャレンジ枠 |
---|---|---|
店舗等借入費 設備費 原材料費 産業財産権等関連経費 謝金 旅費 マーケティング調査費 広報費 会場借料費 外注費 委託費 廃業支援費 在庫廃棄費 解体費 原状回復費 リースの解約費 移転・移設費用 | 謝⾦ 旅費 外注費 委託費 システム利用証 保険料 廃業支援費 在庫廃棄費 解体費 原状回復費 | 廃業支援費 在庫廃棄費 解体費 原状回復費 リースの解約費 移転・移設費用 |
各経費の内訳や、対象外となる項目については以下の記事で詳しく解説していますので、より詳しく確認したい方はご覧ください。
事業承継・引継ぎ補助金の対象経費とは?申請枠ごとの補助対象経費、対象外経費を徹底解説
補助率・補助上限額は3つの申請枠によって異なります。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
経営革新枠 | 600万 (一定の賃上げを行う場合は800万円) | 1/2~2/3 |
専門家活用枠 | 600万円 (M&A未成約の場合は300万円) | 1/2~2/3 |
廃業・再チャレンジ枠 | 150万円 | 1/2~2/3 |
その他、事業承継・引継ぎ補助金の制度の詳細については、以下の記事もご参照ください。
事業承継・引継ぎ補助金とは?制度概要や対象者、補助額、申請方法などを解説
事業承継・引継ぎ補助金の申請スケジュールは、執筆時点における第9回公募は以下のとおり進んでいます。
イベント | 日程 |
---|---|
申請受付期間 | 2024年4月1日(月)~2024年4月30日(火)17:00まで |
交付決定日 | 6月上旬(予定) |
事業実施期間 | 交付決定日~2024年11月22日(金) |
実績報告期間 | ~2024年11月25日(月) |
補助金交付手続き | 2024年12月中旬以降(予定) |
次回は第10回となりますが、第9回の実績から、申請受付期間は1ヶ月ほどしかないと予想されます。
開始時期を見逃さないよう、事業承継・引継ぎ補助金の公式ホームページを確認しておきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金の申請手続きの流れは以下の通りです。
利用する枠と対象要件を確認する
認定経営革新等支援機関へ相談する
gBizIDプライムアカウントの取得
jGrantsでの交付申請
交付決定通知
補助対象事業の実施・実績報告
補助金交付を受ける
一つずつ紹介します。
「経営革新枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」のうち、どれに該当するか確認します。
ご自身が事業を譲る側なのか、譲り受ける側なのか、事業承継やM&A完了後にどのような事業を想定しているのか、等によって、適切な申請枠が異なってきます。ご自身で判断するのが難しい場合は、専門家に相談するようにしましょう。
枠が決まった後は、対象要件や対象経費を確認し、補助金の申請ができるかをチェックします。
なお「廃業・再チャレンジ枠」は「経営革新枠」や「専門家活用枠」と併用できますので、要件を満たしている場合は併用を検討してみるのも良いでしょう。
廃業後の再チャレンジ事業を行う場合には、事業承継・引継ぎ補助金を申請する場合は認定経営革新等支援機関へ相談し、確認書を交付してもらう必要があります。
補助金コネクトでもご紹介が可能ですので、必要の方はお知らせください。
事業承継・引継ぎ補助金の申請は「jGrants(Jグランツ)」という電子申請システムで申請します。
その際、gBizIDプライムのアカウントを取得しなければいけません。アカウントの取得は「gビズID | Home 」から行えます。
なお、アカウントを申請する際は、以下の書類等が必要です。
印鑑証明書または印鑑登録証明書(発行日から3か月以内のもの)
代表者の実印を押印した申請書
代表者のメールアドレスと電話番号(SMSが受診できるもの)
アカウントの発行には2〜3週間ほどのかかるので、早めに申請しておきましょう。
アカウントを取得後は、「jGrants」から交付申請を行います。申請方法は「事業承継・引継ぎ補助金 電子申請マニュアル」で確認できます。申請が完了したら審査が行われます。
審査がクリアしたら、交付決定通知が届きます。審査の結果に関して、交付申請者全員に対し、事務局からjGrantsを通じて、交付・不交付の通知を行います。
もし申請を取り下げる場合は、交付決定通知から10日以内に手続きしなければいけません。
交付が決定した後は、適宜補助対象事業の実施・実績報告を行います。採択されただけでは補助金を受け取ることができないため注意しましょう。
規定された状況報告と実績報告を行い、補助金の申請を行います。実績報告などに使用する書類は「事業承継・引継ぎ補助金 」からダウンロードが可能です。
なお、補助金の交付については、補助対象事業の完了後、原則として、15日以内に実績報告書等を提出します。
正しく補助金交付申請を行わないと、減額や補助金自体が受け取れなくなるため注意してください。
実績報告が完了し、事務局が検査を行うと補助金が交付されます。
事務局の方で実施した事業内容の検査と経費内容などの確認、補助金の額を確定したのちに、精算払いする流れとなります。
事業承継・引継ぎ補助金の必要書類は、申請時と実績報告時に2パターンあります。
<申請時に必要な書類>
履歴事項全部証明書(法人の場合)
閉鎖事項全部証明書(法人の場合)
住民票(個人事業主の場合)
直近3期分の確定申告書B(個人事業主の場合)
認定経営革新等支援機関による確認書
加点事由に該当する書類
<実績報告時に必要な書類>
実績報告書
事業実施概要報告書
補助対象経費総括表
経費区分別内訳書
検査チェックシート
経費区分別証拠書類一覧
経費区分別の証拠書類
上記に加えて、加点材料となる書類や追加書類を提出すると補助率の軽減につながる書類も多数あります。
どのようなケースで必要になるかは、各事業者によって異なるため、補助金申請代行業者などの専門家に相談しながら申請することをおすすめします。
この記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請スケジュール、申請の流れ、および必要書類をご紹介しました。
執筆時点で第9回公募の受付は終了しているものの、近いうちに第10回の公募が開始されることが想定されます。
受付期間は通常1ヶ月ほどしかないため、事前に申請の流れを理解し、準備しておきましょう。特にgBizIDプライムアカウントは準備に時間がかかりますので、お持ちでない方は今すぐ手続きするようにしましょう。
申請では、必要書類を揃えて提出する必要があります。書類不備で不採択になってしまうケースも往々にしてありますので、専門家と一緒にチェックすることをおすすめいたします。
補助金コネクトでは、事業承継・引継ぎ補助金の申請サポートとして、申請できる枠や対象経費、必要書類の確認などを行っております。
これから始める事業の準備で忙しい方や、補助金の申請をしたいが要件に該当しているかわからないという方も、ぜひ一度ご相談ください。