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特定創業支援等事業とは?対象者や証明書の交付条件を解説

特定創業支援等事業の証明書を取得できると、創業時に多くの優遇を受けることができます。創業時は資金繰りなどで苦労することもありますが、本制度を利用すると、融資や補助金などの資金面が安定しやすくなります。

この記事では特定創業支援等事業の概要と、証明書を発行する6つのメリット、特定創業支援等事業の制度利用の流れについて紹介します。

特定創業支援等事業とは

特定創業支援等事業とは、これから会社を創業する方、もしくは創業して間もない方に対して、国から認定を受けた自治体が支援する事業のことです。

支援者は金融機関や商工会議所、NPO法人などさまざまです。東京都千代田区を一例に挙げると、公益財団法人や金融機関などが支援事業者となっていることがわかります。

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参考:市区町村別の認定創業支援等事業計画(千代田区)

支援を受けるには、一定期間(1か月以上)のセミナーや個別相談を受講する必要があり、完了すると「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」が交付されます。

この証明書にはさまざまなメリットがあるため、後ほど詳しく紹介します。

対象者

特定創業支援事業の制度の対象となる方は以下の項目に該当する方です。

  • 事業を営んでいない個人で創業予定の方

  • 創業して5年未満の創業者

5年には個人事業主としての期間や他の法人での代表者期間なども含みますので注意しましょう。

証明書交付のメリット

特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書が発行されると、以下の優遇を受けることができます。

  • 登録免除税が軽減される

  • 日本政策金融公庫の新創業融資を受けやすい

  • 日本政策金融公庫の新規開業資金融資の利率が低い

  • 創業関連保証を前倒しで利用可能

  • 自治体の中小企業融資制度での優遇

  • 自治体の助成金や補助金への申請可能

どのようなメリットがあるのか、一つずつ確認していきましょう。

登録免除税が軽減される

証明書があると、登録免許税が軽減されます。登録免許税とは、会社の設立を公表するために行う登記の際、国に支払わなければならない税金で、法務局へ納付します。

登録免許税は株式会社や合同会社、資本金によって納付額が異なりますが、決して安い税金ではありません。通常、以下の費用がかかります。

項目

株式会社

合同会社

登録免許税

「150,000円」または「資本金額 × 0.7%」のどちらか高い額を納税

「60,000円」または「資本金額 × 0.7%」のどちらか高い額を納税

どの程度軽減されるかは自治体によって異なりますが、特定創業支援事業の証明書があると、半額になるケースが多いです。

日本政策金融公庫の新創業融資を受けやすい

特定創業支援事業の証明書がある方は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」で必要な自己資金を満たしたものとみなされるため、自己資金がない方でも融資が融資が受けやすくなります。

新創業融資制度とはこれから起業する方を対象とした日本政策金融機関の融資制度の一つで、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)までの融資を受けられます。

新創業融資制度を利用するためには、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。その点を考慮すると、起業時は極力自己資金のねん出を控えたいと考える方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

新創業融資制度について詳しく知りたい方は「新創業融資制度とは?メリット、デメリット、審査のポイントを解説」もご確認ください。

日本政策金融公庫の新規開業資金融資の利率が低い

日本政策金融公庫の「新規開業資金融資」の利率が低くなるメリットがあります。通常基準利率での借入となりますが、特定創業支援事業の証明書がある方は、東京都の場合は0.4%優遇されます。利率が下がると毎月の返済額を抑えることができます。

創業関連保証を前倒しで利用可能

個人による創業や新たに法人を設立しておこなう事業に必要な資金を調達する際に利用可能な無担保、第三者保証人なしの創業関連保証を前倒しすることができます。

創業関連保証枠を利用した創業融資に事業開始前に申し込む場合、通常は事業開始2ヶ月前から申込みができます。

しかし特定創業支援事業の証明書がある方は6か月前から前倒しで申込できるメリットがあります。

自治体の中小企業融資制度での優遇

特定創業支援事業の証明書がある方は、各自治体の中小企業融資制度でも優遇を受けることができます。優遇内容は各自治体によって異なりますが、利率の低下や融資枠の増加などさまざまです。

創業当初は軌道に乗るまで資金繰りに苦労することも考えられます。少しでも経営が安定するためにも、特定創業支援事業の証明書を活用するメリットは大きいです。

自治体の助成金や補助金への申請可能

特定創業支援事業の証明書があれば、自治体によって助成金や補助金の申請が可能となる場合があります。

最もおすすめは、小規模事業者持続化補助金で、証明書を取得していることで創業枠への申請が可能となり、補助上限額が50万円から200万円で増額されます。全国どこでも申請可能です。

自治体の取り組みとしては、岐阜県高山市では、特定創業支援事業の証明書を所有している創業者に対し、創業時に係る初期経費を対象として補助金を交付しています。

千葉県では、「千葉市創業支援補助金として上限30万円まで」「ちば創業応援助成金として50万円」などの補助金・助成金があります。

もちろん全自治体が対象というわけではありません。

事前に自治体へ確認し、どのような特定創業支援事業の証明書があればどのような補助金や助成金が受けられるのかを確認しておくと、より有効活用することができます。

特定創業支援等事業の制度利用の流れ

特定創業支援事業の制度を利用するためには、どのような流れで手続きするのか疑問に思う方もいらっしゃいます。全体的な流れは以下の通りです。

  • 創業セミナー等の受講申し込み

  • 創業支援を受ける

  • 創業計画書の作成

  • 証明書の申請

  • 証明書を使用して各種優遇制度を利用

スムーズに手続きを進めるためにも、一つずつ確認していきましょう。

創業セミナー等の受講申し込み

はじめに、自治体の特定創業支援等事業を行っている事業者に連絡し、創業セミナーの受講申込を行います。

多くの自治体で、ホームページなどからは申込ができないようとなっており、一度電話問い合わせをしたり、窓口で予約をしたりしなければいけません。(自治体によって異なります。)

また定員数を設けていることも多いため、場合によっては受けられないこともあるため、早めに申込しましょう。

創業支援を受ける

受講の申し込みが完了した後は、一定期間のセミナーや個別面談を受けます。受講内容は各自治体によって異なりますが、「経営、財務、人材育成、販路開拓」の4分野が中心です。

また受講回数は4回〜5回前後となり、おおよそ1か月ほどとなります。参考までに東京都渋谷区で創業セミナーを受けた場合のスケジュールをご紹介します。

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参考:渋谷区 特定創業支援等事業 創業セミナー@オンライン 基本編

創業計画書の作成

創業セミナーの受講が完了した後は、創業計画書を作成します。創業計画書は、事業内容や創業する動機、資金計画、取引先などを記載しますが、相談員や専門家(中小企業診断士、税理士等)などに相談して作成しましょう。

ただし、自治体によっては創業計画書の作成が不要な場合もあります。とはいえ、日本政策金融公庫などの融資を利用する際、必須となるため、作成しておくようにしましょう。

<創業計画書の記入例>

洋風居酒屋

美容業

中古自動車販売業

ソフトウェア開発業

参考:各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫 

証明書の申請

支援事業を修了したら、自治体に認定特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書の発行を申請します。

証明書は、特定創業支援等を受けた日(終了日)から5年間以内に申請されたものなど、期限を定めている自治体も多いです。申請は窓口などの他にオンラインでも手続きが可能です。

また申請時には以下の必要書類を用意しておきましょう。

  • 交付申請書

  • 創業計画書

  • 商工会が発行する特定創業支援事業の「修了証」

  • 税務署へ提出した開業届の写し(創業後5年未満の個人の場合)

  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の写し(創業後5年未満の法人)

必要書類は自治体によって異なります。自治体のホームページなどで確認するか、問い合わせしてから用意しましょう。証明書発行には申請書受領後、5営業日や10営業日など自治体によって発行日数が異なるため注意してください。

証明書を使用して各種優遇制度を利用

証明書を取得したら、必要に応じて証明書を利用した優遇制度を利用することができます。登録免許税の軽減などの場合は、原本を法務局に一度提出し、後ほど還付を受けます。

創業関連保証や日本政策金融公庫などの融資を利用する場合は、写しで構いません。そのため、複数枚コピーしておくと優遇制度の申請がスムーズになります。

まとめ

特定創業支援等事業は、一定期間のセミナーなどを受講を行うと証明書が発行され、登録免許税の優遇や日本政策金融公庫などの金利待遇を受けることができる制度です。

創業当初は事業が軌道に乗るまで資金繰りが困難です。そんな創業者を支援してくれる制度であるため、これから起業を検討している人は自治体のホームページを確認して利用してみましょう。

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