キャッシュポジションとは、投資や経営において保有している現金の割合や金額を指し、企業の財務状況や資金繰りの安定性を示す指標です。
キャッシュポジションを高く維持することは資金に余裕があることを意味し、イレギュラーな支出や投資機会への対応が容易です。
一方で、キャッシュポジションが悪化すると資金繰りが苦しくなり、経営に大きな支障をきたすことにもなります。
この記事ではキャッシュポジションの概要と資金繰りが悪化する6つの原因、キャッシュポジションを高める方法を紹介するので、ビジネスの資金繰り改善を検討している経営者の方はぜひ参考にしてください。
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キャッシュポジションとは、投資や企業の財務管理において、現金や現金同等物(預金、短期国債など)の保有状況を指します。
▼キャッシュポジションに該当する資産の例
現金
未決済株
外国通貨
国債
社債
投資信託の受益証券 など
資金繰りがうまく行かなければ、最悪の場合、企業は倒産する可能性も高まります。そのような事態を回避するために、企業は資金繰りを健全に保つ必要があり、キャッシュポジションが高い企業であるほど安全な状態であることを意味するのです。
なお、キャッシュポジションは企業の資金繰りの指標だけでなく、投資の世界でも手元に残しておく資金割合(もしくは保有割合)のことを指します。
投資で予測される暴落リスクや資金ショートなどに備えることを目的としていることから、資金繰りに関する指標としても認知されています。
キャッシュポジションを高める理由は、企業の資金繰りを安定させるだけでなく、競争力の向上や企業成長につながるためです。
キャッシュポジションが高いということは資金にも余裕があることを意味するため、金融機関からの信用評価向上が期待できます。
新商品の開発やM&Aなどへ積極的に投資でき、事業拡大や競合他社との市場シェアの確保も可能となるでしょう。
また、緊急を要する支出が発生してもキャッシュポジションが高ければ即座に対応でき、問題が大きくなる前に早期改善することもできます。
このように、キャッシュポジションは企業成長だけでなく保険のような役割もあることから高めておくことが重要とされます。
そんなキャッシュポジションは高めるべきという考えがあるものの、資金繰りが悪化してキャッシュポジションが大きく低下してしまう企業も多いです。ここでは資金繰りが悪化する要因を6つ紹介します。
赤字経営が継続していると資金繰りが悪化することになります。単年など一時的な赤字であれば、翌年や翌々年で資金回収することもできますが、赤字が何年も続くと当然ながら資金が不足する可能性も高まります。
また赤字によって金融機関からの信頼度も低下してしまうことから、資金調達がより困難となるケースも多いです。
一度の赤字で負の連鎖が続いてしまうため、自社の状況を分析したうえで即座に対策が求められます。
商品を仕入れたものの、予定通りに売れずに過剰な在庫が残れば資金繰りが悪化する可能性も高まります。
在庫が多く残ってしまえば、収入よりも仕入れ額の方が大きくなる傾向にあるでしょう。
さらに在庫を管理するための倉庫代や不良商品の廃棄代など、余計な支出の増加も増える可能性が高いです。
定期的に棚卸を行い、過剰な在庫管理は控えた方が良いでしょう。
過剰な設備投資も資金繰りを悪化させる要因にもなりかねません。設備投資には多額の資金がかかる一方で、売り上げ増加を保証するものではないのです。
設備投資には補助金や助成金が使えるものが多い一方で、投資額に対して満額支給されるわけではないため、うまく設備投資ができなければ収入より投資額の方が上回ってしまい、資金繰りが悪化します。
急激な売上増加は一見事業としては良く見えていても、実際は資金繰りが悪化する要因の一つでもあるため注意が必要です。
売上が増えると売掛金が増加し、先行して仕入れも増えることから買掛金が増加します。しかし、売掛金の回収は2〜3ヶ月後など期間が長いケースが多いです。
一方、仕入れ・販管費の支払いは、翌月払いなど売掛金の回収時期よりも短いことがあり、資金繰りが悪化することにもなりかねません。
特に創業したての時や、事業が軌道に乗り始めるタイミングで上記のような事例が生じます。
資金回収と支払いのずれによって利益と資産が一致しなくなる可能性も高いため、急激な売上増加には気を付けましょう。
急激な売上減少は資金繰りが悪化する要因のひとつです。売上が減少すれば、収入が低下するだけでなく、当然ながら在庫を多く抱えることになり保管コストも増えてしまいます。
また借入返済や固定費の支払いなどに間に合わなくなり、最終的には資金が枯渇してしまう可能性も高くなるでしょう。
売上が減少する理由には「競合他社の増加」「物価高によるユーザー需要の低下」「風評被害による利用者離れ」などさまざまあり、即座に問題を見つけて解決しなければいけませ
未回収債権が多くなると、資金繰りが悪化する可能性も高まります。
売掛金の回収が遅く、入金と支払いのタイミングが合わないと資金が不足することにもなりかねません。
いくら売上が多くても、取引先の倒産などが原因で売掛金を回収できなくなるなどの貸倒れが発生すると、いわゆる「黒字倒産」にもつながりかねないため注意が必要です。
売上が増加すること自体は事業として良いことですが、商品やサービスの提供だけして、しっかり資金回収ができないと資金繰りが悪化することにもなりかねないでしょう。
参考:資金繰りとは?会社の資金繰りが悪化する原因や改善方法を解説
資金繰りを悪化させないためには、キャッシュポジションを最低でも月商の1〜2か月分、できれば3か月分まで高めておくことが望ましいと考えられています。
ここでは、キャッシュポジションを高めるための方法を紹介します。
はじめに自社のキャッシュフローを見直しするために資金繰り表を作成します。
資金繰り表とは収入や支出などのお金の動きを把握するための管理表です。お金の流れを把握することで、売上が低い事業の見直しや黒字倒産などを防ぐために用います。
キャッシュポジションを高めるためには、まずは現状分析が必要です。具体的にいつ収入が入り、いつ支出が発生するのかを網羅するだけでなく、問題点の発見をするためにも資金繰り表で確認しましょう。
資金繰り表ができれば、短期的な経営だけでなく、5年10年20年と長期経営として成り立つ事業であるのかを見極めることにも利用することができるのです。
資金繰り表に関しては以下の記事で詳しく紹介しています。
当然ながら利益を上げれば資金が増えるため、キャッシュポジションが高まります。
利益を上げるには「売上の増加」が最も早いですが、その他にも「原価の圧縮」なども利益増加に直結する要素です。
売上ばかりを意識しても、競合他社との価格競争に巻き込まれたりするなど、時間とコストだけが増え、利益は増加しない可能性も高いです。
一方で、商品などの単価を変えず、原価を抑えられればその分利益が増えることになるので、原価圧縮も利益を上げる方法として有効です。
他社状況だけでなく、自社の商品を見つめ直すことでキャッシュポジションを高める要因を見つけることもできるでしょう。
商品原価だけでなく、余剰経費を削減することでキャッシュポジションを高めることになります。
経費は毎年や毎月単位で発生するものであり、削減できれば支出額の圧縮になり、その期間が長くなるほど大きな削減額になります。
経費にはさまざまありますが、削減例を挙げると以下のような方法があります。
▼経費削減の例
外注を活かすことで人件費を削減できる
設備を購入するのでなくリースに切り替えることで設備費用を削減する
複数の金融機関からの借り入れを1本化にすることで、金利を抑えて返済額を圧縮する
金融機関から借入すれば、短期的にキャッシュポジションを高めることが可能です。もちろん借入には利息が発生するので、無理に金融機関からの借り入れをする必要はありません。
金融機関からの借り入れを利用すれば資金に余裕が生まれますが、多額の借り入れをすると返済額が高額となり、さらに資金効率を悪化させることにもなりかねません。
また、金融機関の融資には必ず審査が行われます。事業が赤字の状態が長く続いていると審査が否認される可能性も高まるため、キャッシュポジションを高めてから申し込みするのをおすすめします。
その他にもキャッシュポジションを高める方法はさまざまあります。
▼キャッシュポジションを高める方法の例
国や地方自治体からの補助金・助成制度を活用する
株主や投資家から出資を受ける
クラウドファンディングで資金を募る
ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらう
資金調達の方法にはさまざまあります。自分に合った方法を見つけたいという方は、以下の記事で資金調達方法を確認してみましょう。
キャッシュポジションは企業の財務管理において保有している現金の割合や金額を指し、企業の財務状況や資金繰りの安定性を示す指標です。
キャッシュポジションが高ければ事業拡大に用いることができる資金が多かったり、イレギュラーな支出が発生しても対処できるため、企業としての安定を高めることにつながります。
キャッシュポジションを高めるためには、資金繰り表を作成してお金の流れを見える化し、原因を見つける必要があります。その他にも経費や減価を削減したり、補助金や助成金などを活用して資金を集める方法もあります。
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