1月1日から12月31日までの所得を元に所得税や住民税を税務署へ申告する「確定申告」には、様々な書類が必要です。
通常、会社員は年末調整があるので申告の必要はありませんが、個人事業主や控除を適用させたい会社員は申告の必要があります。
そこで今回は確定申告の必要書類を、個人事業主の青色申告・白色申告、会社員の医療費控除・住宅ローン控除、年金受給者に分けて紹介していきます。
提出方法も紹介していますのでご自身で確定申告を行う予定の方は、それぞれのケースに当てはめながら確認していただければと思います。
確定申告に必要なものをまとめた表は以下の通りです。
項目 | 書類名 |
---|---|
確定申告書 | ・確定申告書A(簡易版) ・確定申告書B |
本人確認書類 | ・マイナンバーカードの表面と裏面の写し ・もしくは以下をそれぞれ1つずつ用意 ・通知カードや住民票などの写し ・運転免許証、健康保険証、パスポートなどの写し |
所得金額が分かるもの | ・青色申告決算書、もしくは収支内訳書 ・源泉徴収票 |
各種控除証明書 | ・医療費控除の明細書、など |
銀行口座がわかるもの(還付がある場合) | ・キャッシュカードや通帳の写し |
2021年4月1日以降は、税制改正の影響により印鑑は必要ありません。
確定申告書にはAとBがありますが、個人事業主は事業所得を得ていますので簡易版のAではなくBを選ぶようにしましょう。
本人確認書類はマイナンバーカード両面の写しが必要です。持っていない方は、マイナンバーが確認できる書類の写しと、身分証をそれぞれ1つずつ添付しましょう。なお電子申告を行う方は、e-Taxの登録時に本人確認書類を提出していますので、改めて準備する必要はありません。
また売上を記載した決算書を用意します。
源泉徴収票に関して、2019年4月1日以降添付義務はないので、申告時に提出する必要はありません。ただ作成時には源泉徴収票の正確な数値が必要なので、用意しておくのをおすすめします。
医療費控除や住宅ローン控除を受けたい方は各種控除書類を用意し、還付金がある方は、還付金を受け取る銀行の口座番号や名義人がわかる書類の準備が必要です。
では必要書類を、青色申告と白色申告に分けて紹介していきます。
これらの違いは主に以下の通りです。
青色申告:申告は複雑、届出必要、最大65万円の特別控除あり
白色申告:申告はシンプル、届出不要、特別控除なし
ご自身がどちらで申告するか、確認した上でご覧ください。
青色申告の場合に必要な書類は以下の通りです。
確定申告書B
青色申告決算書(損益計算書や貸借対照表)
これらに加えて本人確認書類、必要に応じて医療費控除の明細書や通帳の写しを添付することになります。
第1表と第2表の計2枚で構成される確定申告書Bには、事業所得の売上や控除金額、所得税などを記載するようになっています。
青色申告決算書は事業所得の詳細な内容を記載する書類です。
損益計算書1枚とその内訳2枚、賃借対照表の1枚の計4枚で構成されているので確認しておきましょう。
青色申告決算書は複数種類がありますが「一般用様式」を使用します。
年間の売上、原価、経費、準備金を詳細に記載していきます。
前述したように、白色申告は税務署へ青色申告を届け出ていない方が適用される申告方法となります。
必要書類は以下の通りです。
確定申告書B
収支内訳書
青色申告同様に確定申告書Bを用いて、売上の詳細などを記載する書類として収支内訳書が必要となります。
収支内訳書は全体の収入、経費額を記載する書類1枚と明細を記載する書類1枚の計2枚で構成されるので確認しておきましょう。
売上や原価、経費を記載していきますが、青色申告決算書よりもかなりシンプルに記載できるようになっています。
会社員の方は基本的に会社側が年末調整を行うため、確定申告の必要はありません。
しかし以下のような方は、申告が必要となるので注意しておきましょう。
住宅ローン控除、医療費控除を受けたい
ふるさと納税をした
住宅ローンを利用して、マイホームを購入や増改築した際に適用できる「住宅借入金等特別控除」のことです。
「住宅ローン減税」とも呼ばれ、利用を検討される方も多いのではないでしょうか。
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所得税や住民税が節税されるというメリットがありますが、控除を受けたい場合は1年目のみ確定申告が必須という手間がかかります。
必要書類は以下の通りです。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
登記事項証明書
売買契約書、工事請負契約書の写し
2年目以降は年末調整されるので確定申告の必要はありません。
支払った医療費が一定額を超えた場合、その分住民税や所得税を節税できる制度です。
基準額は、以下のどちらか低い方が適用されます。
10万円
所得金額が合計200万円未満の場合、所得金額の5%
必要書類は以下の通りです。
医療費控除の明細書
領収書(提出不要)
領収書自体は提出しなくて良いものの、領収書の金額を用いて明細書を作成するため、忘れずに領収書も準備しておきましょう。
節税対策として人気である「ふるさと納税」を行った方も、以下の条件を満たせば申告対象となります。
ふるさと納税を行った自治体が5つ以上
自治体から送られてくる受領書が必要になりますので、注意をしておきましょう。
もし5つ未満であれば「ワンストップ特例制度」を適用でき、確定申告を行わずとも寄付金控除を受けられます。
年金受給者で以下の「確定申告不要制度」の適用条件に該当しなかった方は、確定申告を行わなければなりません。
公的年金等の収入金額の合計が400万円以下
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
つまり年金額などが400万円よりも多い、もしくは配当や労働よる所得が20万円よりも多い方は必須となります。
必要書類は以下の通りです。
本人確認書類
源泉徴収票
控除に関する書類(医療費控除・住宅ローン控除など)
また所得税の還付を受けたい方や株式での損失繰越を行いたい方も対象です。
申告対象かどうか判断できない方は、税務署が公開しているフローチャートも確認して判断してみてはいかがでしょうか。
では確定申告書の提出方法を紹介していきます。
提出期間は基本的に翌2月16日から3月15日となっているので、注意しておきましょう。
管轄の税務署出向いて窓口で提出する方法です。
必要書類を全て揃え、税務署の空いている平日8時30分~17時までに職員へ手渡しします。
確定申告シーズンは土日の臨時開庁日が設けられますが、かなりの混雑が予想されます。
時間に余裕を持って提出するようにしましょう。
書類をまとめて、管轄の税務署へ郵送する方法も可能です。
提出日は郵便物に押された消印日となりますので、税務署への書類到着日が3月15日を超えても消印が期間内であれば受け取ってもらえます。
もし不安な方は、簡易書留や特定記録郵便を活用して消印日を確認しておくと良いでしょう。
青色申告で65万円の特別控除を受けたい場合は、e-Taxを使った電子申告を選ぶことになります。
事前に税務署でIDを発行してもらい、e-Tax へアクセスして書類をアップデートして申告を進めていきましょう。
e-Taxは火曜日から金曜日は24時間、土日祝日と月曜日は朝8時30分から24時まで利用可能です。
締切日当日の夜は特に回線が混雑するため、サーバーダウンのリスクもあります。
間に合わないと延滞税なども加算されますので、早めに申告を済ませておくことをおすすめします。
e-Taxでの電子申告を選べば、以下の書類の添付を省略することができます。
雑損控除の証明書
医療費通知(医療費のお知らせ)
社会保険料控除、生命保険料、地震保険料の証明書
小規模企業共済等掛金控除の証明書
寄附金控除の証明書
勤労学生控除の証明書
住宅借入金年末残高証明書(適用2年目以降)
書類内容を入力すれば問題ありません。
ただしこれらの書類は5年間の保管期間があるので、原本は大切に保管しておきましょう。
確定申告関連の書類には、以下のように保管期間が設けられています。
青色申告
帳簿・決算関係書類:7年間
取引関係書類:7年間
その他:5年間
白色申告
帳簿:7年間
法定帳簿以外の帳簿(任意帳簿):5年間
請求書、納品書、領収証:5年間
不安な方は「基本的に全て7年間は保管」と考えておくと良いでしょう。
確定申告の必要書類は、主に以下の5つが挙げられます。
申告書
本人確認書類
売上が分かる書類
控除書類
銀行口座のわかる書類
毎年、翌2月16日から3月15日までが申告期間となっていますので、なるべく早めに書類準備に取りかかりましょう。
もし申告など不安な場合は、税務署の確定申告相談会に参加したり、税理士に依頼したりする方法も視野に入れておくと安心です。