住宅のリフォームにはまとまった資金が必要となりますが、一定条件を満たしたリフォームには補助金や助成金が活用できます。また、減税制度を利用すると、住宅にかかる税金を抑えることも可能です。しかし、リフォームに関する制度は内容が変更となるものが多いうえに複雑であるため、分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2022年度における住宅リフォームの補助金・助成金・減税制度について分かりやすくまとめて解説します。加えて、リフォーム業者を選ぶときのポイントも解説しますので、これからリフォーム工事を検討している方はぜひ参考にしてください。
2022年度に住宅リフォームを施工する際に利用できる補助金・助成金は、次のとおりです。
制度名 | 概要 | 補助金・助成金上限額 |
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既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 以下のリフォームに対して補助金が支給される ・性能の高い建材を使った断熱改修 ・断熱改修と同時に行う、蓄電設備などの導入および改修 | ・戸建住宅…120万円 ・集合住宅…15万円 |
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業 | 二酸化炭素の排出削減や省エネにつながるリフォームを行う住宅に対して、補助金が交付される | 最大100万円 |
こどもみらい住宅支援事業 | 高い省エネ性能を有する住宅の新規取得(子育て・若者夫婦世帯)もしくは改修(世帯を問わない)に対して、補助金が交付される | 最大100万円 |
次世代省エネ建材の実証支援事業(令和4年度) | 外張り断熱・内張り断熱・窓断熱のうち、いずれかの改修を行った場合に、補助金が交付される | 最大400万円 |
高齢者住宅改修費用助成制度(介護・バリアフリーリフォーム補助金) | 要介護者が自宅で生活するための設備を取り付けるのに、介護保険を活用し国から補助金が交付される | 18万円 |
それぞれの制度について、さらに詳しく解説します。
全国にある既存住宅で、高性能建材を用いて(省エネ効果15%以上)が見込める改修を行った際に、国から補助金が交付されます。トータル断熱と居間だけ断熱に区別されており、戸建住宅と集合住宅で補助対象者も下記の通り異なります。
戸建て住宅の適用条件 | ・申請者が本人 ・申請時に申請者自身が所有している住宅であること ・これから住宅を取得してリフォームする |
集合住宅の適用条件 | ・集合住宅の所有者または管理組合 ・全戸リフォームすること |
戸建住宅の場合、申請者が常時居住する住宅であることやこれから居住する予定の住宅であることが条件です。一方集合住宅の場合は全戸改修であることなどが条件です。その細かな条件が設定されているため、申請時には条件をリフォーム会社へ確認しておくことをおすすめします。
ZEH(ゼッチ)とは、断熱性能の向上と太陽光発電などの活用により、住宅の年間エネルギー消費量が概ねゼロ以下となる住宅をさします。さらに災害に強いうえ、ヒートショック対策にもなるとも言われています。ZEHに関する住宅の補助金は以下の表の通りです。
ZEH以上の性能住宅であるZEH+にしたリフォームに関する補助 | 100万円 |
ZEHまたはZEH+の住宅に蓄電池などの条件をクリアした設備を設置した場合 | 蓄電池1Kwhあたり2万円(上限20万円) |
中古住宅の断熱リフォーム工事を行った場合 | 上限120万円 |
子育て支援に加え、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出をゼロとする)を目指すために、若者夫婦世帯などが省エネ性能を持つ住宅の新築・改修に対して以下の表の通り、補助金が交付されます。
新築住宅の種類 | 補助金上限額 |
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ZEH住宅 | 100万円 |
高い断熱性を有する住宅 | 80万円 |
一定条件の省エネ住宅 | 60万円(2022年6月30日までに契約した者) |
世帯の条件 | 住宅の条件 | 補助金上限額 |
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子育て世帯または若者夫婦 | 既存住宅の購入 | 60万円 |
〃 | 既に住宅を保有している | 45万円 |
上記以外 | 安心R住宅 | 45万円 |
〃 | 既に住宅を保有している | 30万円 |
安心R住宅とは特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度を利用し、安心R住宅調査報告書が発行された住宅のことを指します。リフォームの場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯でなくとも申請可能です。申請に際して、断熱性能の向上および住宅設備設置等の省エネ改修が必須とされているため詳しくはリフォーム会社へ確認しましょう。
断熱材などの、工期の短縮につながる建材の利用に対する補助金制度です。改修方法は、外張り・内張り・窓の3区分から選ぶことができ、それぞれ補助金上限額は以下の表の通りです。
区分 | 上限補助金額 |
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外張り断熱 | 最大400万円 |
内張り断熱 | 戸建ての上限は200万円 集合住宅の上限は125万円 |
窓断熱 | 最大150万円(外窓と任意製品を併用して改修する場合は200万円) |
省エネリフォーム促進が目的であるため、対象は既存住宅です。
介護保険制度のひとつです。要介護者もしくは要支援者が、自宅をバリアフリー化するために工事を施工する際に、介護保険から補助金が支給されます。上限は20万円ですが、最低1割が自己負担となるため、9割分の18万円が補助額の最高額となります。対象となる工事は、以下の6つが該当します。
手すりの取り付け
段差の解消
床材の変更
便器の取り替え
扉の取り替え
その他上記の改修に付帯して必要となる改修
上限額に達するまでは、数回に分けた利用も可能です。ただし。要介護認定が3段階以上上がった・もしくは転居した場合は、再度利用できます。
住宅のリフォームでは、補助金・助成金が利用できるだけでなく、条件によって減税措置が受けられる場合もあります。ここでは、減税制度を6つ紹介します。
住宅ローンを借り入れて家を購入・増改築をした人に対し、金利負担の軽減を目的とした制度です。住宅ローン残高のうち0.7%をかけた金額が所得税から控除されます。例えば3,000万円の住宅ローンが残っている場合21万円を所得税から差し引くことが可能ということです。住宅ローン控除が適用できる期間が13年間です。ただし、既存住宅の場合は原則10年であるため間違えないように注意してください。更に2,000万円以下の年収の方のみ対象です。
この制度は、新築住宅だけでなく中古住宅を購入した場合も適用対象です。また、100万円以上かかったリフォームに対しても適用されます。ただし、リフォーム減税との重複利用はできません。
住宅の基礎部分の補強工事をはじめとして、現行の耐震基準に適合させるための工事を施工した場合に、工事完了年の所得税から最大25万円が控除されます。さらに耐震リフォームに加えて増改築工事を行った場合は最大62.5万円の控除も適用できます。対象となる住宅は旧耐震(1981年5月31日以前に建築された居住用住宅)で新耐震基準を満たしていない住宅となります。
住宅にあるすべての窓の改修工事や、床・天井・壁の断熱工事を施工し、所定の省エネ基準を満たした場合、工事完了年の所得税から控除されます。
減税額は工事費の10%
減税されるのは250万円まで
太陽光発電を設置すると350万円まで減税できる
対象となる工事は建物全体・窓・床・天井・壁のリフォーム工事で、一つでも改修工事を行えば適用できます。ただし省エネ性能を平成28年相当基準以上にすることや断熱等性能等級を一段階以上挙げる必要性などもあるため、リフォーム会社へ確認しながら申請しましょう。
住宅に、バリアフリー改修工事を施工した人に対して、工事完了年の所得税が控除されます。住宅ローンを利用していなくとも、適用可能です。
適用要件は、50歳以上・要介護または要支援認定などの定めがあり、適用対象工事も通路の拡張や階段の設置、浴室や便所の改良などと決まっています。補助金の交付を受けている場合は、補助金を控除した金額で判定されます。
祖父母・父母・子の三世代が同居するためのリフォームを支援する制度です。リフォーム後に、玄関・キッチン・浴室・トイレのうち2つ以上が複数となることが要件です。リフォーム後、居住を始めた年の所得税が最大250万円控除されます。適用条件は以下の通りです。
その者が所有しかつ主として居住の用に供する家屋であること
住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
床面積が登記簿表示上で50㎡以上あること
店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
合計所得金額が3,000万円以下であること
なお住宅ローン減税との併用はできないため注意してください。
住宅の耐久性を高めるリフォームを行ない、次の世代へ継承できる住宅を形成するための制度です。住宅の種別やリフォームの種類によって、所得税の控除額が異なります。
耐震または省エネ+耐久性向上の場合・・・62.5万円まで
耐震+省エネ+耐久性向上の場合・・・75万円まで
さらに太陽光発電を設置した場合は上記の控除後に5万円が追加されます。
またリフォーム工事をした翌年分の固定資産税が延べ床面積120㎡分までが3分の2に減額されるメリットもあります。(1年間のみ適用)
住宅リフォームを検討するときには、工事を依頼する業者の選び方を知っておかなくてはいけません。補助金によっては、施工業者が事業者として登録する必要があります。着工前の登録・申請が基本であるため、手続きをしっかりと案内してくれるか確認しましょう。
次の点を見極めて選ぶようにしましょう。
業者がこれまでに施工してきた工事実績を見ると、業者が得意とするリフォームを把握できます。リフォーム会社によっては住宅の屋根や外壁を専門にする会社もあれば、住宅全体の改修工事を得意としている会社もあります。自分が希望するリフォームができるかを確かめるのにおすすめです。またできるだけ実績が多い業者が経験とノウハウをもっているため、補助金などにも詳しい特徴があるでしょう。
またリフォーム依頼時の対応も、大きな判断材料となります。親身になって相談にのってくれる・希望に沿ったリフォームプランを提案してくれるなど、顧客の立場に立った対応をしてもらえる会社は、信頼できる会社と言えるでしょう。
優良なリフォーム会社は、工事に必要な資格を持っています。リフォームの請負金額が500万円未満であれば、水道・ガス・電気以外の資格は必要ありません。ただ、資格を持っていた方が、専門的なアドバイスが受けられるほか、技術面でも安心できます。建設業許可・施工管理技士などの資格があるかを確認しましょう。
住宅リフォームの際に利用できる補助金や助成金は、リフォームの内容によって大きく異なります。年度によって制度が変わることもあるため、該当年度の制度を確かめておかなくてはいけません。
適切に補助金制度を活用し、理想のリフォームを実現するには、リフォーム業者の選定が大きなカギを握ります。見積もり金額だけにとらわれずに、見積もりの内容や対応などで慎重に選ぶようにしましょう。