フランチャイズは、自分でお店を開きたいと考えた際に、運営ノウハウやブランドを借りることで短期間で開業することができる、人気の経営スタイルです。
一方で、フランチャイズに加盟する場合に事業再構築補助金が活用できるのかどうか、気になっている事業主の方もいらっしゃるでしょう。実は、事業再構築補助金はフランチャイズでも十分活用でき、これまで多くの採択事例があります。
本記事では、フランチャイズビジネスに事業再構築補助金を活用するために知っておきたい、対象経費や採択事例、注意点を解説します。
事業再構築補助金は、フランチャイズビジネスに活用できる補助金制度です。フランチャイズで事業再構築補助金を受け取るには、その他一般の事業と同様に、事業再構築補助金の対象要件を満たす必要があります。
補助対象者は、以下に該当する中小企業もしくは中堅企業となっています。
業種 | 要件 |
---|---|
製造業・その他 | 資本金3億円以下の会社もしくは従業員数300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金1億円以下の会社もしくは従業員数100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金5千万円以下の会社もしくは従業員数50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金5千万円以下の会社もしくは従業員数100人以下の会社及び個人 |
上記中小企業の範囲に含まれない会社のうち、資本金が10億円未満である会社
以下2点を両方満たす必要があります。
経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けている
補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3~5%以上増加させる(もしくは従業員1人当たり付加価値額を年率平均3~5%以上を増加させる)
上記要件に加え、申請枠ごとに定められた要件を満たす必要があります。
事業再構築補助金において補助対象となる経費区分は、以下の通りです。
建物費
機械装置・システム構築費
技術導入費
専門家経費
運搬費
クラウドサービス利用費
外注費
知的財産権等関連経費
広告宣伝・販売促進費
研修費
廃棄費(産業構造転換枠への申請において、既存事業を廃止する場合のみ)
上記に該当し、補助事業のために使う経費であれば、補助対象経費として認められます。
例えば、フランチャイズに必要な経費で発生する可能性があるのは、研修費です。研修費のうち、事業遂行に必要な教育訓練や講座受講にかかる経費が補助対象となります。それ以外の交通費や滞在費などは補助対象外ですので注意しましょう。
フランチャイズにかかる経費のうち、加盟金や不動産購入費などは、事業再構築補助金の経費としての申請ができません。全ての経費が認められるわけではないので、補助対象経費区分に含まれるかどうかしっかりと判断しながら、手続きを進めることが大切です。
フランチャイズの大きなメリットは、フランチャイズ店がこれまで積み重ねて来たノウハウを活用し、コストを抑えて短期間で店舗を立ち上げられる点にあります。これにより、未経験でも事業が失敗するリスクを抑え、早い段階で収益化を目指せるようになります。
また、本部のブランドが活用できることから、消費者の認知の点においても有利に事業展開を進めることが可能です。本部の定期的なサポートにより、事業開始後もスムーズに経営を行うことができます。
広告・宣伝活動においても、フランチャイズチェーンのネットワークを活かし、販売活動に専念できます。個人で事業を行う場合、利益はすべて自社のものになりますが、これら全てを自社で構築していく必要があります。
実際の事業再構築補助金の採択事例のうち、フランチャイズに関連する事例にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な事例を見てみましょう。
布団洗いに特化したコインランドリー・洗濯代行を取り扱うフランチャイズに加入し、新規に店舗をオープンした事例が、補助金の採択を受けています。通常のコインランドリーは無人であるところが多いですが、こちらのコインランドリーでは日中にスタッフを常駐させ、さらに付加価値をつけるために布団の宅配洗濯(布団の回収→洗濯→配達)にも取り組んでいます。
もともとフランチャイズの居酒屋を経営していたものの、新型コロナの影響で夜間の売上減少が経営に大きく響きました。そこで、フランチャイズ店の運営ノウハウ・スピード提供・居酒屋ならではの活気ある接客を生かし、家系ラーメンフランチャイズ店へ事業転換をした事例があります。
飲食店ではフランチャイズを活用した事業再構築補助金の採択事例が多数報告されています。
セルフエステ開業を目指す事業者とパートナー提携を行っている会社が、事業再構築補助金を活用して、ウィズコロナの時代に向けたセルフエステFCの展開を始めました。エステの開業や新規事業を検討している加盟店に対して、開業支援を行っています。
佐賀県のある飲食店は、セミパーソナル型フィットネスクラブの展開に活用するため、事業再構築補助金の採択を受けました。飲食店とフィットネスクラブの組み合わせが、とても斬新だと言えるでしょう。
佐賀県のある会社は、既存事業として木製キットハウス「おやじの隠れ家」を扱っていました。これを、全国の工務店に向けてフランチャイズ事業として展開し、販路開拓を強化すると同時に、材木販売の売上アップにつなげるため、事業再構築補助金の採択を受けた事例があります。
事業再構築補助金を活用してフランチャイズ事業を始めようとする時には、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、注意点を2つ解説しますので、しっかりと理解しておきましょう。
フランチャイズ事業を始めるのにかかる経費の全てが、事業再構築補助金の対象経費となるわけではありません。対象経費は「補助対象となる経費」に記載された経費区分に該当するもののみです。
フランチャイズ契約を締結する時に、加盟者から本部に対して加盟料を支払う必要があります。フランチャイズによって異なるものの、加盟料は100万円単位の金額になることが多く、加盟する時点で大きな負担となります。加盟料が事業再構築補助金の対象経費となると、資金繰りの面で安心すると考える事業者もいるでしょう。
しかし、フランチャイズの加盟料は、事業再構築補助金の経費には含まれていません。公募要項では対象外経費も定められており、その中にフランチャイズ加盟料が記載されているためです。事業計画書の策定段階で、加盟料を盛り込まないよう注意しましょう。
事業再構築補助金は、誰もが受けられる補助金制度ではありません。事業再構築補助金の採択率は30~50%程度となっており、数ある事業者の中から採択を勝ち取る必要があります。
補助金がもらえることを前提でフランチャイズを計画すると、採択されなかった時に計画を白紙にせざるを得ない場合もあります。このため、補助金前提で計画を立てることはとてもリスクが高いです。
開業に必要な経費を洗い出し、補助金が採択されなかった時にどのような手段で資金を調達するのか、前もって想定しておくことが重要です。
事業再構築補助金でフランチャイズを始めるのであれば、公募要項をきちんと確認し、該当事業の対象経費を把握することが第一歩です。事業再構築補助金は、フランチャイズの設備投資や改装費などに利用でき、事業者にとって大きな助けになるでしょう。
フランチャイズについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
フランチャイズとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
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