エンジェル投資家とは創業間もないスタートアップ等に出資を行う個人投資家のことですが、近年マッチングサービスの普及により、従来と比較して小さい金額で出資を行う一般投資家も増えています。
起業家としては出資を得るチャンスが増えているともいえます。
本記事では、マッチングサービスのサイトを6つ取り上げ紹介するとともに、利用上のメリット・デメリット、注意点など詳しく解説します。
投資をしたいエンジェル投資家と出資を受けたい起業家をつなげるマッチングサービスはたくさんあります。
その中から、本記事では6つのマッチングサービスをご紹介します。
1つめはFounderです。
日本最大級を謳っているマッチングサイトで、サイト上で自己のPRや事業計画等を登録して、それに関心を持ったエンジェル投資家からメッセージを受け取り、話し合いをして合意に至れば資金調達できる仕組みです。
サービスサイト:Founder/日本最大級の経営者&投資家マッチングサイト
なおFounderの詳細は以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
Founder(ファウンダー株式会社)の評判!メリットや注意点、資金調達のコツも解説
2つめはANGEL PORTです。
ANGEL PORTの大きな特徴は、エンジェル投資家のボートフォリオやインタビュー記事を公開している点です。
起業家は興味のあるエンジェル投資家のボートフォリオ等にアクセスして閲覧、彼らの知識や経験に興味を覚えたら、ANGEL PORTを通してエンジェル投資家にコンタクトを取ることができます。
サービスサイト:ANGEL PORT/ユニコーンをめざす企業家とエンジェル投資家をつなぐコミュニティ
3つめはBatonzです。
Batonzは無料で利用できる成約数No1のM&A・事業承継支援のマッチングサービスです。
そのBatonzが2019年10月にローンチしたのがBatonz Ventures(バトンズベンチャーズ)で、将来性あるベンチャーと積極投資姿勢の投資家とのマッチングをめざしています。
エンジェル投資家よりも積極的に投資を行う企業等が出資先になりますが、出資を受ける起業家サイドも安定的なエクイティ調達が可能になり、事業シナジーによる更なる成長も見込めます。
サービスサイト:Batonz/本気のM&AならBatonz(バトンズ)
バトンズベンチャーズ:Batonz /Batonz Venturesをローンチしました。
4つめはStartupListです。
StartupListは投資家と起業家がお互いの情報を検索できるマッチングサービスで、興味のある投資家にはコンタクトを送ることでマッチングの機会が得られます。
起業家が「投資家検索」から検索すると、投資レンジや評価基準、過去の経歴情報等から起業家にとって最適な投資家に迅速にコンタクトを送ることが可能です。
サービスサイト:StartupList/全ての起業家に資金調達の選択肢を
5つめは資金調達ナビです。
資金調達ナビは資金調達を成功に導くための情報サイトです。
正確にいえばエンジェル投資家等とのマッチングサービスではありませんが、資金調達ナビを通じて資金調達手段に関する知識を得たり、資金調達に係る各種資料(事業計画書等)の作り方も学べたりします。
サービスサイト:資金調達ナビ/資金調達手段を探せる・学べる・専門家を頼れる「資金調達ナビ」
6つめはエンジェルファンドです。
エンジェルファンドは無料で利用できるエンジェル投資に特化したマッチングサービスで、投資家は会員登録なしで公式サイトから起業家の事業内容を閲覧できます。
逆に投資家は出資額の範囲を提示して出資を受けたい起業家から打診を受けることも可能です。
もちろんビジネスの詳細を知るためには、正式な会員登録が必要であり、起業家・投資家や事業の情報が外部に漏れる心配はないので、安心して利用できます。
サービスサイト:エンジェルファンド(Angel Fund)/起業家とエンジェル投資家のマッチングサイト
会社を設立して間もないスタートアップがエンジェル投資家から投資をしてもらう資金調達方法をエンジェル投資といいます。
若手起業家はビジネスの開始に当り十分な資産や経験を持っていないので、多くの場合資金調達に苦労します。
なぜなら一般的な資金調達先である銀行は、融資に際し過去の実績を重視して資金を貸すので経営実績の少ないスタートアップ等には審査が厳しいからです。
その点、エンジェル投資は、個人投資家たちが将来性を感じられる会社や事業に投資をするので、過去の実績に関係なく出資が得られるチャンスがあります。
エンジェル投資家とは、起業して間もないスタートアップやベンチャーに投資をする個人投資家のことをいいます。
エンジェル投資家の多くは起業で成功し個人資産を成した起業家や自己資金が豊富な経営者で、投資と引き換えに会社が発行した株式の一部を手に入れます。
彼らが投資を行う理由の多くが、投資した企業が成長して将来株式上場(IPO)したときやM&Aの際に株式を売却して大きな利益を得ることにあります。
この点はまさにVCやCVCと同じです。
ただしエンジェル投資家の投資額(出資額)は、100万円~数千万円までと本格的な投資主体であるVCやCVCと比べて少ない傾向があります。
エンジェル投資家は成功した起業家や経営者が多いので、その会社や事業に将来性を感じるなら、自己判断で迅速に投資を行います。
一方出資を受ける若手起業家は、投資の引き換えに所有する株の一部を渡せばいいので、大きなリスクを背負わず資金調達でき、エンジェル投資に魅力を感じがちです。
しかし出資を受ける際、起業家は経営リスクについても十分知識をつけた上で適切な額の投資を受けないと後で後悔することになります。
なぜならエンジェル投資家は投資と引き換えに株式の一部を手にするので、保有割合によっては企業が成長していく過程で会社や経営者に対して経営に関する様々な干渉をしてくることがあるからです。
その干渉が会社にとって適切であれば良いのですが、過度になった場合、経営者として自由に経営できなくなる恐れがあり、逆に成長を止めてしまうリスクもあります。
経営者は資本政策に関して十分知識を得た上で、適切な範囲の出資を受けるようにしましょう。
資金調達でエンジェル投資家を探す際、マッチングサービスを利用すると様々なメリットがあります。
以下の3つがその主なメリットです。
マッチングサービスを利用すると、経営実績の少ないスタートアップでも手軽にエンジェル投資家と繋がれます。
無名で信用度が低いスタートアップが信用や実績を重視する銀行等と繋がれることはまれですが、エンジェル投資家は事業内容に将来性や成長性を感じたら出資をしてくれるので、その投資家と手軽に巡り会えるマッチングサービスの利用は魅力的です。
またマッチングサービスでは、出資目的の投資家の検索以外に、経営のアドバイスや人脈作りを積極的に行う投資家も探せるので、人脈や実績の乏しい起業家にとってさらに利用価値があります。
マッチングサービスでは、出資を受けたい企業が事前に希望の条件を提示した上で、条件にマッチしたエンジェル投資家と面談できるのもメリットです。
事前に自社に関する詳細を記載した資料を個人投資家に確認してもらって面談できるので、効率的に投資話が進めるのも魅力的ですし、何より圧倒的な手軽さと柔軟さで複数の個人投資家と面談できます。
もちろん面談の機会が増えれば出資を受けられる成功率も上がってきます。
マッチングサービスでは、事前に出資を受けたい自社の事業内容や沿革をプロフィールとして登録するので、取扱いしている製品・サービスの宣伝効果が期待できます。
エンジェル投資家は、自分の関心ある業種やテーマには常にアンテナを張っているので、起業家の事業が面白いと認められれば投資も受けられるし、出資に至らずとも興味や関心を持ってもらえればそれだけで知名度の向上に繋がります。
大きな広告宣伝費を使わず、投資家に自社のビジネスに関心を持ってもらえるのもマッチングサービスの良い点です。
一方マッチングサービスの利用にもデメリットはあります。
以下の2つがその主なデメリットです。
スタートアップ等がエンジェル投資家と繋がる方法には、マッチングサービス以外に、ピッチと呼ばれる短いプレゼンテーションの機会やイベントの参加、知人の紹介等があります。
スタートアップの経営者にすでに人脈や一定の経営実績があれば、マッチングサービスを利用しなくても他の方法で投資を受けることは可能です。
しかしマッチングサービスは、人脈や実績が乏しく、あるいはゼロからスタートする経営者が利用する傾向が強く、その分、成約までに時間がかかるほか、成約率も低い傾向があります。
エンジェル投資家自体、実際のビジネス経験を豊富に持っている方が多く、投資を通じて若手起業家にアドバイスをしたいと考えている人も多くいます。
若手起業家にとっても経験豊富な投資家からアドバイスをもらえることはメリットも多く魅力的です。
しかしいくらアドバイスを受けられるからといって、所有する株式を渡し過ぎてしまうと不当に経営権まで握られてしまい、過度に干渉されることから自分らしい経営ができなくなってしまうリスクもあります。
特に相手をよく知らないうちは必要以上の出資は受けないよう注意しましょう。
マッチングサービスの注意点は以下の2つです。
マッチングサービスでは、運営会社の信用度を確認したり、サポート体制を十分チェックしたりする姿勢が大切です。
運営会社の信用度に関しては、特に管理体制や登録基準を厳しく設けているか確認しましょう。
誰でも簡単に登録できるようなマッチングサービスだと、自社情報を漏洩させられたり悪用されたりするリスクがあります。
また運営会社のサポート体制も要チェックです。
マッチングサービス会社ごとにサポート体制は大きく異なっています。
起業家とエンジェル投資家のマッチングに細かい点まで配慮して成功率を上げようとするサービスサイトから、単に出会いから交渉・成約まで当事者に丸投げするサイトまで多々あります。
自社にとってどのマッチングサービスが使いやすいか、サポート比較をした上で適切な運営会社を選びましょう。
エンジェル投資家を謳った投資家の中にはダークエンジェルと呼ばれる悪質な個人投資家もいます。
マッチングサービスによっては、審査基準の甘さや情報の非対称性を利用してダークエンジェルが紛れ込んでいるリスクがあるので利用するスタートアップ等は要注意です。
ダークエンジェルの目的は、投資をする振りをしてスタートアップの事業アイデアを盗んだり経営権を奪ったりすることにあります。
ビジネス経験の乏しい若手起業家は特に投資リテラシーが低いので、多少コストがかかっても信頼度が高く情報開示が適切なマッチングサービスを利用するようにしましょう。
エンジェル投資家を探す方法としては、マッチングサービス以外に以下の3つがあります。
知り合いで信頼できる投資家や経営者がいれば、その方を通じて他のエンジェル投資家を直接紹介してもらう方法があります。
信頼できる方の紹介なら、相手も変な人を紹介できないので、結果的に信用度の高いエンジェル投資家に出会える確率も上がります。
ただし投資を受ける側としても全て相手を信頼するのは危険なので、自らも投資家を見極めるリテラシーを高める努力は必要です。
ビジネスコンテストに参加することもエンジェル投資家と出会える良い機会です。
エンジェル投資家自身も新しい投資の機会を常に探っているので、スタートアップやベンチャーが集まるビジネスコンテストに、審査員やスピーチの登壇者として参加している人も多くいます。
ビジネスコンテストの出場の機会を通じて自社の製品・サービスをアピールできれば、参加しているエンジェル投資家の中に興味を覚えて出資を申し出てくれる方も出てくる可能性があります。
SNSのコミュニケーションツール、たとえばFacebookやX(旧Twitter)等を通じて直接エンジェル投資家にDMを送り、アポイントメントの機会を得る方法もあります。
ただしエンジェル投資家自体、特に有名な方であればあるほど、常に起業家からの資金援助のDMを受けているため、無視されて返信をもらえないことも多いでしょう。
まずは自分の側も存在感を高めるため、自分の業績や熱意をしっかりプロフィールに記載するなどして、エンジェル投資家に注目してもらう努力が必要です。
出資を受けたい起業家がエンジェル投資家と効率的に出会える場としてのマッチングサービスについて詳しく解説しました。
マッチングサービスの普及で、以前と比べても、創業間もない起業家でもまだ見ぬエンジェル投資家と出会える確率は格段に上がっています。
無料対応のマッチングサービスも含め、利用コストの安いサービスサイトもあるので、エンジェル投資家からの出資を実現したい方は、ぜひ一度マッチングサービスを活用して下さい。
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