補助金の申請時には事業計画書の提出が求められます。しかし、本業が多忙な方は「あまり時間をかけられない」「効率的に作成したい」とお悩みのことでしょう。
そこで、本記事ではChatGPTを活用して事業計画書を作成する方法や、効率よく仕上げるための具体的なプロンプトを紹介します。
ChatGPTの限界や注意点にも触れながら、補助金申請を成功させるために必要なポイントを解説しますので、計画書を時短で作成したい方は是非最後までお読みください。
はじめに補助金申請における事業計画書とはどのような書類なのか、また作成方法についてご紹介します。
補助金申請における事業計画書は、申請者がどのような目的で補助金を活用し、どのような成果を上げる見込みなのかを示す書類です。補助金の審査においては、最も重要な書類となります。
事業計画書の内容は補助金の種類によって異なりますが、大まかな内容としては「資金計画の明確化」「事業の実現性」「他社との競争戦略」などを記載します。
これらの要素を基に、政府や自治体などがその事業計画書を基に審査するので、計画が不十分と判断されると採択される可能性が低くなります。
事業計画書の質が補助金申請の成功を左右するため、十分な準備と戦略的な構成が求められる書類でもあります。
事業計画書には、補助金の公募要領の指示に沿った必要事項を記載します。一般的な事業計画書と補助金における事業計画書は、似て非なるものです。
実際には、自身で公募要領を読み込んで作成する方法の他に、補助金の専門家に相談しながら作成する方法もあります。
当然ながら、専門家に相談した方が採択率が高まる事業計画書を作成できますが、その分報酬などが発生してしまいます。
そこで活用したいのが「ChatGPT」です。AIを活用することで効率的に事業計画書を作成できます。具体的な方法は、次の章から詳しく解説していきます。
ChatGPTで事業計画書を作成する際は「プロンプト」が重要です。ここではプロンプトの概要と注意点について紹介します。
なお、そもそもChatGPTのことをあまり知らないという方は、以下の記事を参考にしてください。
参考:チャットGPTとは?仕組みや料金、使い方から活用事例を解説
プロンプトとは、ChatGPTに指示を与えるための具体的な入力文のことです。プロンプトを工夫することで、より適切な事業計画書の作成をサポートしてもらうことができます。
例えば事業計画書の中に市場分析の内容を記載したい場合、「〇〇業界の市場動向と成長率について詳細な分析をしてください。」「競合企業の強みと弱みを比較した一覧を作成してください。」などとプロンプトすれば、そのデータをまとめた分析を即座に表示してくれます。
ChatGPTの応答に対して繰り返しプロンプトで指示を与えることで、出力内容をブラッシュアップしていくことが可能です。
プロンプトを入力する際は以下の3点を意識しておくことが大切です。
具体的な指示をする
用途を明確にする
形式や制約を指示する
プロンプトの内容が抽象的であると、回答も抽象的になってしまうので、具体的な指示や求める答えの明確度が重要です。
例えば「〇〇業界の市場分析をして」とプロンプトするより「2020年〜2025年の〇〇業界の成長予測を分析して」と入力した方が具体的な結果が返ってきます。
さらに「簡潔にまとめて」より「詳細にまとめて・専門的な視点でまとめて」など用途を明確にすることで、求める回答も変わってきます。
また、「箇条書きにして」「500文字以内にまとめて」など、形式や制約を指示することも、分かりやすい回答を得るためのテクニックとなります。
上記の注意点を踏まえた汎用的なプロンプトをご紹介します。是非ご自身のプロンプトとしてコピー&ペーストしてお使いください。
プロンプトテンプレート |
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あなたは優秀な経営コンサルタントです。...(1) ユーザーは補助金申請のための事業計画書を作成しています。...(2) ユーザーの会社情報を渡しますので、以下の指示に従い、読みやすい文章を作成してください。
#作成する文章の内容 ...(3) - 〇〇業界におけるターゲット顧客層の特徴と購買行動について詳しく説明してください
#ユーザーの情報 ...(4) - 業種:〇〇業 - 従業員数:〇〇名 - 年商:〇〇万円 - 主な事業内容:〇〇 - 補助金で取り組む新規事業内容:〇〇 - 自社の強み:〇〇 - 自社の弱み:〇〇 - 3年間の経営目標:〇〇
#その他要件 ...(5) - 文章は「だ・である調」を用いること - 抽象的な表現は避け、できる限り具体的に記載すること |
<解説>
プロンプトに立場を与えることで精度が向上します。プロンプト作成時の「おまじない」としてご理解ください
目的を明確に記載します。同じ事業計画書でも、用途の違いにより出力や体裁が変わってくる可能性があります
具体的な出力内容を記載します。「#」や「-」は、マークダウン記法と呼び、プロンプトが指示を構造的に理解しやすくするためのお作法ですので覚えておくとよいです
推論のための情報を与えます。できる限り具体的に、かつ十分な情報を与えることを意識してみてください
その他要件があれば箇条書きで記載します。出力結果をもとに追加指示を与えることもできますが、最初にまとめておくと効率よく作業を進められます
プロンプトが意図しない結果を返してくる場合、上記のいずれかの情報が不足している可能性があります。
結果がイマイチだなと感じたら、上記の5つをチェックリストとして活用してみてください。
事業計画書は、さまざまなデータを用いて作成する必要があります。
ChatGPTを活用すればよりスムーズにデータ収集でき、事業計画書の作成に役立ちますが、当然プロンプトの内容も大切です。
ここでは、事業計画書の作成時に活用できるChatGPTプロンプト例を紹介します。
自社の事業の業界についての全体像と自社の立ち位置、競合他社を分析しつつ、市場規模や成長率、トレンドなどを分析するのに役立ちます。
▼業界と市場状況の分析ChatGPTプロンプト例
業界の市場規模と動向を分析する |
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・〇〇業界の市場規模と成長率について、最新の統計データをまとめてください ・〇〇業界の過去5年間の動向と今後の成長予測を簡潔にまとめてください ・現在の〇〇業界のトレンドと、今後の市場変化の要因について分析してください |
市場のターゲット層とニーズを特定する |
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・〇〇業界におけるターゲット顧客層の特徴と購買行動について詳しく説明してください ・市場のターゲット層とニーズのデータを分析してください |
競合環境・業界構造を把握する |
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・〇〇業界における主要企業の市場シェアと競争環境を分析してください。 ・〇〇業界で成功している企業のビジネスモデルと戦略の特徴をまとめてください ・〇〇業界の競争要因をリストアップし、それぞれの影響度を説明してください |
自社の製品・サービスについて、競合他社との比較を行い差別化できている点をまとめます。市場における自社の位置づけや製品の強み、弱みを整理するのに役立ちます。
▼製品・サービス情報の比較ChatGPTプロンプト例
競合製品・サービスとの比較分析 |
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・〇〇業界の主要企業の製品・サービスを比較し、それぞれの強みと弱みを整理してください ・自社製品〇〇と競合製品〇〇の機能・価格・市場評価を比較してください ・自社の〇〇サービスが競合と比べて差別化できるポイントをリストアップしてください |
市場ニーズとターゲット分析 |
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・ターゲット市場における〇〇製品の需要と、競合との差別化戦略を考えてください ・〇〇業界の顧客が求める製品・サービスの特徴をリスト化してください |
事業計画書には自社の企業戦略や目標を記載します。ビジョンや戦略、長期目標などを明確にします。
▼自社の企業戦略や目標ChatGPTプロンプト例
企業のミッション・ビジョンの整理 |
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・当社の〇〇業界におけるミッションとビジョンを、わかりやすく説明してください ・長期的な企業成長戦略を、市場環境を踏まえて整理してください |
目標設定と達成計画 |
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・当社の5年間の売上目標を設定し、達成するためのステップを考えてください。 ・事業拡大のための短期・中期・長期の目標を整理し、それぞれの達成方法を提案してください |
組織の規模、構造や体制、役職とその役割などを事業計画書に記載します。
▼組織の規模・構造や体制ChatGPTプロンプト例
組織の規模と構造の分析 |
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・現在の当社の組織規模(社員数・部門構成)を簡潔に説明してください ・事業拡大に伴い、組織の適切な規模や必要な人員配置を提案してください |
人材戦略と採用方針の策定 |
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・当社の人材戦略を明確にし、どのようなスキルや経験を持つ人材が必要かを整理してください ・経営層と各部門間のコミュニケーションを円滑にするための体制を構築してください |
新製品やサービスの開発をする際の補助金申請では、その事業に関する斬新なアイデアが求められます。新製品などを開発する上で、市場ニーズや競合他社の商品などを分析する必要があります。
▼新製品/サービスの開発アイデアChatGPTプロンプト例
市場ニーズと差別化 |
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・〇〇業界における消費者の最新ニーズとトレンドを分析してください ・〇〇業界の主要企業が提供していない新しい製品・サービスのアイデアを考えてください ・顧客満足度を向上させるための斬新なサービスの仕組みを考えてください |
既存の技術・トレンドを活用する |
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・最新のAI技術を活用して、〇〇業界で革新を生むサービスのアイデアを考えてください ・サステナビリティを意識した、環境に優しい〇〇製品の開発アイデアを考えてください |
財務状況(売上高、利益、負債等)は事業の健全性を示す重要な要素であり、分析して財務計画を組み立てる必要があります。
▼財務に関する情報ChatGPTプロンプト例
財務指標の分析 |
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・事業の健全性を評価するための主要な財務指標(ROE、ROA、利益率)を分析してください ・〇〇企業の財務状態を、主要な財務指標を用いて比較してください ・キャッシュフローの健全性を判断するためのポイントを整理してください |
主な顧客層、顧客ニーズ、顧客満足度などを分析し、ターゲット層やリピーターなどを明確にします。
▼顧客情報ChatGPTプロンプト例
顧客ターゲットの特定 |
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・当社の〇〇製品に適したターゲット顧客層を特定し、年齢・性別・ライフスタイル別に整理してください ・〇〇業界における主要な顧客層と、それぞれの購買行動の違いを分析してください |
顧客データを活用したマーケティング戦略 |
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・顧客情報を活用し、〇〇製品の販売促進につながるマーケティング戦略を提案してください ・過去の購買データをもとに、パーソナライズされた広告配信の戦略を考えてください |
商品/サービスごとの売上/利益の試算は事業計画を策定するうえで欠かせない要素です。
将来の売上予測やコスト計算などを行い、遂行する事業が適切であるかを判断します。
▼商品/サービスごとの売上/利益の試算ChatGPTプロンプト例
商品・サービスの売上予測を試算する |
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・〇〇商品の販売価格と予想販売数をもとに、年間売上を試算してください ・〇〇サービスの市場規模と想定シェアを考慮した、売上予測モデルを作成してください |
利益率の計算とコスト分析 |
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・〇〇商品の原価率を考慮し、利益率を計算してください ・コスト削減の影響を加味した、利益最大化のシミュレーションを作成してください |
投資計画を立てる際には、資金の使い方、リスク管理、収益予測を明確にする必要があります。また資金調達には補助金などの他に金融機関の融資、クラウドファンディングなどもあるので、適切な方法を選択する必要があります。
▼投資計画と資金調達ChatGPTプロンプト例
投資計画の立案 |
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・事業を成長させるための投資戦略を、短期・中期・長期の観点から考えてください ・〇〇事業の拡大に向けた投資計画を作成し、初期費用・運用コスト・予想収益を整理してください |
資金調達方法の選定 |
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・〇〇事業の資金調達方法(銀行融資・クラウドファンディング・ベンチャーキャピタル)のメリット・デメリットを比較してください ・資金調達の選択肢をリストアップし、それぞれの適用条件や成功事例を整理してください |
事業を遂行し、明確な目標達成をするためのスケジュールを作成します。
▼目標達成のためのスケジュール作成ChatGPTプロンプト例
目標の明確化とタスクの作成 |
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・〇〇の目標を達成するためのステップを細かく分解し、実行可能なタスクリストを作成してください ・目標達成に必要な具体的なアクションをリストアップし、優先順位をつけて整理してください |
短期・中期・長期の計画を設計する |
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・〇〇プロジェクトの進行を短期・中期・長期のスケジュールに分けて計画してください ・〇〇を1年間で達成するためのロードマップを作成し、各月ごとの目標を設定してください |
目標達成のためのスケジュールが定まった後は、具体的な戦略や対策を検討します。
▼事業目標・計画の達成に向けた対策ChatGPTプロンプト例
実行戦略の策定と対策 |
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・目標達成のために必要なアクションをリスト化し、それぞれの優先順位を設定してください ・目標達成を阻害する可能性のあるリスクをリストアップし、それぞれの対応策を考えてください ・予期せぬ障害に対応するためのバックアッププランを作成してください |
事業遂行には何かしら潜在的な課題やリスクを洗い出しておく必要があります。
▼課題・リスクChatGPTプロンプト例
事業の潜在的な課題・リスク分析 |
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・〇〇業界における主要な課題をリスト化し、それぞれの影響を分析してください ・〇〇業界の市場変動によるリスクを特定し、それに対応する戦略を考えてください ・財務面での最大のリスクは何かを分析し、キャッシュフローの安定化策を考えてください |
自社事業をPRしていくための強みと、改善すべき弱み(課題)を把握して改善する戦略が必要です。
▼自社の強み・弱みChatGPTプロンプト例
自社の強みと弱み |
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・当社の主要な強みを整理し、市場での競争優位性を明確にしてください ・事業運営における当社の課題や改善すべきポイントをリストアップしてください |
ChatGPTを使うと事業計画書を効率的に作成できますが、情報漏洩の可能性があるなどの危険が伴います。ここでは活用時の注意点を紹介するので確認しておきましょう。
ChatGPTを含む生成AIは、最新の補助金制度や市場データをリアルタイムで学習しているわけではないため注意が必要です。古い情報や誤った解釈で回答する可能性もあるため、鵜呑みしないようにしましょう。
必ずAIの回答だけで判断するのではなく、政府機関や公式サイトなどの最新情報をチェックし、照らし合わせることが大切です。
AIであっても事実とは異なる情報を生成する場合もあるので注意しなければいけません。
特に法律や医療、金融などの分野では誤った判断が大きなミスにつながる可能性も高いため、自身で判断できない内容については必ず専門家のアドバイスをもらうようにしましょう。
AIは既存のデータをもとに文章を生成しますが、必ずしも明確な根拠があるわけではありません。事実と推測が混同することもあるので、必ず根拠は自身で調べるなどして裏どりする必要があります。
ChatGPTを含む生成AIは学習データにバイアスがかかる可能性があります。これは、膨大なデータを学習する際、そのデータに偏りがある場合に生じるものです。
つまり、特定の文化や価値観、立場に偏る可能性や、社会的な偏見も学習すると、偏った回答をしてしまうことがあるので注意が必要です。
非公開の社外秘情報や個人情報などの機密情報を、ChatGPTなどの生成AIのプロンプトに入力してしまうと、AIの学習に利用されるなどして機密情報が漏洩してしまう可能性があります。
ChatGPTの規約やプライバシーポリシーを把握したうえで、社内情報の学習をしないようChatGPTの有料版を用いたりするなどの対策を行う必要があります。
生成AIは悪用される危険性があります。偽ニュースや詐欺メッセージを作成したり、フィッシングやハッキングなど、個人や企業へのセキュリティが脅かされる危険性があります。
過去には香港の多国籍企業の財務担当者が、AIで合成された同僚の姿を悪用したビデオ通話に騙され、約38億円を送金する事件が発生しました。
(参考:Finance worker pays out $25 million after video call with deepfake ‘chief financial officer’ | CNN)
このように生成AIを悪用する人も多いため、危険性が高いことは理解しておく必要があります。
ChatGPTはその利便性の高さから依存性が高いです。事業計画書をはじめ、さまざまな書類の内容を数秒で考えてしまえるため、ラクに作業を進められます。
しかし、何度もお伝えしておりますが、ChatGPTの回答は確実なものではなく、曖昧な情報には必ず裏付けや監修を行うべきです。その点を忘れてしまうと、事業計画にも大きなミスが生じたり、逆に評価を落としてしまったりする可能性もあります。
このようにChatGPTにはさまざまな危険やリスクが伴うため、ChatGPTだけで事業計画書を作成しても、正しい情報が収集されない可能性も高いです。
そのため、ここでは事業計画書を作成する際のコツを紹介します。
最終的な文章作成をChatGPTのみに任せるのは危険なのでやめましょう。先程もお伝えしたとおり、ChatGPTを含む生成AIは誤った情報で回答する場合があります。
特に事業計画書の作成では、最終的な確認や計画の調整は人間の判断が不可欠です。あくまで補助的なツールとして活用するのが、現段階でベストと言えるでしょう。
ChatGPTで事業計画書を作成しても、最新の情報や申請要件に付け加えるのは人間です。最新の制度情報を常に学習しているわけではないうえ、補助金の申請要件は公募ごとに変わります。
必要に応じて情報や要件を自身で確認しないと、そもそも審査にまで進まない可能性もあるでしょう。
補助金の申請要件は複雑なので、生成AIを使おうとする人も多いですが、必ず専門家などのリーガルチェックを受けることをおすすめします。
事業計画書を作成する際は、専門家に相談することをお勧めします。
補助金の申請や金融機関の融資などの資金調達では、要件の理解や適切な事業計画書の作成が求められるため、専門家のアドバイスを受けることで採択率が格段に上がります。
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事業計画書は補助金の採択率を左右する重要な書類であり、資金計画の明確化や事業の実現性を示すことが求められます。
ChatGPTを補助ツールとして使用することで、市場分析や競合比較などのデータ収集が迅速に行えますが、最終的な調整や専門的なチェックは人間が行うべきでしょう。
優秀なChatGPTであっても、最新情報の不足やバイアス、情報漏洩のリスクがあるため専門家に相談しながら事業計画書の作成をすることをおすすめします。
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