小規模事業者持続化補助金の活用事例と採択ポイントを紹介

中小企業の経営課題を解決する補助金として、小規模事業者持続化補助金が挙げられますが、実際「自社でどう活かせばいいの？」「どんな事例があるの？」と迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、販売促進や新サービス開発、店舗改装からDX推進まで、幅広い業種・経営課題に対応した小規模事業者持続化補助金の活用のヒントをお届けします。

実際の採択事例や採択されるためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上に挑戦する小規模事業者を支援する国の制度です。チラシ作成からDX導入まで幅広い取組みに対応しており、多様な業種で活用できます。ここでは制度の概要や対象経費について解説します。

制度概要と特徴

小規模事業者持続化補助金は、日本全国の小規模事業者が自社の「販路開拓」や「生産性向上」に取り組む際、その経費の一部を国が支援する制度です。

特徴的なのは、チラシ作成やホームページ刷新、店舗改装など多様な用途が対象となり、業種も製造・建設・飲食・小売・サービスなど幅広くカバーしている点です。

また、単なる老朽設備更新ではなく、「経営計画書」を作成して新しい取り組みや成長を目指す施策であることが重視されます。

令和7年度予算では最大250万円まで支援額が拡大されており、中小企業庁や商工会・商工会議所が伴走支援を行っています。申請には審査があり、事業内容の独自性や将来性が問われます。

小規模事業者持続化補助金の詳細は以下の記事も参考にして下さい。

参考：小規模事業者持続化補助金とは？対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説

補助対象経費

小規模事業者持続化補助金は「販路開拓」や「生産性向上」に関わる下記のような経費が対象です。

• チラシ・パンフレット・リーフレット等の広報費

• ホームページやECサイト制作、ウェブ広告などのウェブサイト関連費

• 新商品の試作や設備導入

• 店舗改装や看板設置等の販売促進投資

• 展示会・商談会への出展費用

上記に該当しても対象にならないケースもあります。以下の経費区分別の留意点も参考にしてください。

申請要件

小規模事業者持続化補助金は、業種ごとに定められた下記の従業員数要件に該当すれば申請できます。

加えて、「開業届を出して事業を営んでいること」「商工会・商工会議所の伴走支援を受けること」「経営計画書兼補助事業計画書の提出」など各種要件があります。

申請枠は、一つのみであり、上限50万円の補助金が用意されておりますが、「インボイス特例」「賃金引上げ特例」の特例が用意されています。

申請の流れ

小規模事業者持続化補助金は、申請から採択、補助金の入金までに一定の手続きが必要です。事業計画書や商工会の確認など準備すべき書類も多く、資金繰りに影響するため流れを理解しておくことが大切なので紹介します。

申請フローと準備書類

申請の流れは以下の手順で進めます。

1. 事業計画（経営計画書兼補助事業計画書）作成

2. 商工会議所または商工会の指導・提出（事業支援計画書発行）

3. 申請受付サイトでオンライン申請（GビズIDの取得が必要）

4. 書類審査・採択通知

5. 補助事業スタート → 実績報告書の提出

6. 補助金の交付（後払い、精算方式）

準備する主な書類は以下の通りです。

• 申請書（様式1）、経営計画書（様式2）、補助事業計画書（様式3）

• 商工会議所の事業支援計画書（様式4）

• 各誓約書、申請枠に応じた追加書類

GビズIDの取得～商工会の書類発行などは早め（1か月前〜）が肝心です。

審査・採択から補助金入金まで

審査のポイントは「課題に対して実現可能な計画か」「事業内容が明確か」「目標数値（成果）が現実的か」などが考慮されます。採択されれば、事業実施・経費支払いの後、補助金精算払い（後払い）が原則です。

ただし、事業実施後でないと補助金が入金されない仕組みなので、資金繰りがタイトな場合は、申請前に自己資金の準備が必要な点には注意しましょう。

【業種別】小規模事業者持続化補助金の活用事例

小規模事業者持続化補助金の活用事例を業種別に紹介します。

製造・建設業の活用例

製造業・建設業では以下のような活用方法があります。

• 省力化・多能工をめざす工場の新機械導入（機械装置費）

• ウェアラブルカメラや工程管理システムによる現場のDX化

• 石材加工業の新商品（溶岩プレート等）開発、EC＆展示会出展による販路拡大

• 建設業におけるホームページリニューアル＆オンライン集客

• 建設現場にウェアラブルカメラ導入（遠隔管理で効率化、人員削減＝他業務展開へ。結果として経営効率向上）

• 石材加工業が家庭用新商品開発、ネットストアの活用で新市場開拓に成功

飲食・小売・サービス業の活用例

飲食店、小売・サービス業では、以下のような活用方法があります。

• 可食プリンター導入で写真ケーキサービス→新規客増

• 店舗改装・バリアフリー化・高齢者向け新メニューで市場拡大

• チラシ作成や新聞折込、Web広告、LPサイト制作による販促強化

• 理美容店の移動サービス展開（移動式設備＆パンフ制作）

• 展示会・物産展への出展、英語版ホームページ制作による外国人客開拓

• 老舗飲食店がみそ味焼き鳥を商品化、LP制作×Web広告で新規集客拡大

• 写真館が特大ポスター設置＋パンフ配布で客単価2〜3割増

• 理髪店が高齢者向け出張サービスを開始し新市場創出

IT・DX・新規事業の事例

近年はDX・IT活用も盛んで、以下のような活用事例があります。

• 顧客オンライン化、クラウド予約・決済システム導入

• 自社受注サイト、オンライン商談用設備導入

• SNS広告、SEO強化、Webマーケティング展開

• 運輸業のオンライン荷受システム導入で作業効率化＆新商材獲得

• 情報サービス業のリニューアル＆SNS広告による認知度向上

• 学習塾やカフェによるオンライン教材・遠隔指導の提供

その他具体的な採択事例については以下の記事もご参照ください。

参考：小規模事業者持続化補助金の採択事例は？業種別の事例と採択されるためのポイントを解説

採択率を高めるためのポイントと注意点

小規模事業者持続化補助金は、申請すれば必ず採択されるわけではありません。採択率を高めるには、具体的な経営計画書の作成や対象経費の正確な計上が重要です。ここでは成功のポイントである計画書の作成のコツと注意点を解説します。

経営計画書作成のコツ

経営計画書を作成する際のコツとしては、まず自社の強みや経験、過去の成果を具体的に記載することが重要です。また、市場ニーズや自社の独自性を明確に示すことで、計画書の説得力が増します。

さらに、前年度の事例や統計、同業他社の状況などを交え、現実的な課題と目標数値（売上〇％増、来店数〇名など）を設定しましょう。事業内容ごとに、設備導入・販促・人材育成などの施策に対して、合理的な根拠と成果を数字で示すことも大切です。

ベテランの視点であっても、初めて補助金を申請する方には、まず「商工会に素直に相談すること」と「公募要領をしっかり活用すること」が近道になります。

良い経営計画書の例は、市場データや過去実績、課題解決策を具体的に整理し、数字や根拠を添えて記載しているものです。一方、NG例としては、ワンフレーズだけで根拠や具体例がない記載が挙げられます。

なお、補助金は申請すれば必ず採択されるわけではなく、毎回一定の倍率があります。例えば、直近の採択率は30％台～50％台で推移しており、採択には計画書の内容の充実度が大きく影響します。

小規模事業者持続化補助金の採択ポイントについては以下の記事で詳しく紹介しております。

参考：小規模事業者持続化補助金の計画書・申請書の書き方徹底ガイド｜採択されるポイントと事例を解説

専門家活用もおすすめ

小規模事業者持続化補助金の申請は、自力でも可能ですが、採択率を高めたい場合には専門家の活用が有効です。

特に以下のようなケースでは、中小企業診断士や補助金申請サポートに精通した専門家と連携することで採択率が高まります。

• 初めての申請で書類作成に不安がある場合

• 自社の強みや課題を言語化するのが難しい場合

• 採択率を少しでも上げたい場合

• 経営改善や成長戦略に直結させたい場合

商工会・商工会議所の支援はもちろん無料で受けられますが、より丁寧なアドバイスや書類添削を希望する場合は、外部の専門家に相談するのも一つの選択肢です。特に審査で重視される「独自性」「実現可能性」「将来性」を高めるために、専門家の知見を活用することは大きな強みとなります。

参考：小規模事業者持続化補助金の申請代行は依頼できる？費用相場や注意点を解説

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者を支援する制度で、幅広い業種・用途で活用できます。

補助金は単なる「資金の後押し」ではなく、事業の成長戦略を描くための大きなチャンスです。採択事例や専門家の知見を活かし、自社の課題解決と持続的な成長につなげていきましょう。

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