小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や経営力強化をめざす小規模事業者にとって、事業成長の大きなチャンスです。しかし、申請時に最も多く寄せられる悩みは「計画書の書き方が分からない!」というもの。公募要領の言葉が難しかったり、ネットに載っているサンプルが古かったり、何から手を付ければ良いのか戸惑う方も多いでしょう。
本記事では、実際の採択事例や公式ガイドラインの要点を踏まえ、「経営計画書」「補助事業計画書」の具体的な書き方と、審査に通過しやすくなるためのコツを徹底解説します。自社の事業成長と資金調達のきっかけに、ぜひお役立てください。
小規模事業者持続化補助金は、経済産業省および中小企業庁が推進する中小企業・小規模事業者向けの販路開拓・生産性向上支援制度です。主に、販路拡大を目的とする設備投資や広告宣伝、IT導入などにかかった経費の一部を補助してくれる点が特徴で、返済不要の「資金調達」として広く活用されています。
参考:小規模事業者持続化補助金とは?対象者や補助額、申請方法、スケジュールを解説
この補助金の主なメリットは、最大で250万円までの補助金を受けられることです。通常枠の補助率は2/3ですが、特定枠によっては3/4になるケースもあります。個人事業主や家族経営、店舗型ビジネスからECサイト構築まで幅広く対応しています。加えて、補助対象となる経費の範囲も幅広く、設備・チラシ制作・ウェブサイト開設・スタッフ教育など多岐にわたります。
販路開拓や新サービスPRのチラシ・HP制作
機械装置や新商品開発への投資
Webマーケティング/デジタルツールの導入
新メニュー開発、POP・看板の更新 など
申請事業者は、商工会議所・商工会の支援を受けながら申請が可能で、書き方や内容確認サポートも受けられます。ただし、事業内容についての踏み込んだ内容は相談できないケースが多いため注意しましょう。
補助金の対象となる「小規模事業者」とは、以下の従業員数要件を満たす法人または個人事業主です。
業種 | 従業員要件 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
また申請枠や特例の有無によって下記の違いがあるため、自社に合った枠を選ぶこともポイントです。
申請枠 | 条件・特徴 | 補助上限額 |
---|---|---|
通常枠 | 一般の販路開拓・生産性向上 | 50万円 |
インボイス特例 | 2021年9月30日以降に新たに適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者 | 50万円上乗せ |
賃金引上げ特定 | 補助事業実施期間に地域最低賃金+50円以上とした事業者 | 150万円上乗せ |
特例は併用可能のため、最大で250万円の補助額となります。詳細要件については、商工会議所や最新の公募要領最新版を必ずご確認ください。
補助金は申請すれば必ず採択されるわけではなく、毎回一定の倍率が発生します。例えば直近の採択率は50%台~70%台などで推移しました。審査員が重視する申請書・計画書の完成度が明暗を分けます。
審査基準(審査の観点)は主に以下です。
経営状況の分析が妥当・明確か
目標達成へ向けたプラン・戦略に実現性・一貫性があるか
補助事業が個性的・創意工夫があるか、小規模事業ならではの強みが活かされているか
IT活用・デジタル化の視点が加味されているか
経費積算が透明・明瞭か(設備投資や広告費の内訳・見積根拠など)
ポイントは「読み手である審査員が、書面から事業者の顔・本気度・将来像まで具体的にイメージできること」です。数字・事実・根拠(売上推移や顧客調査データ、競合比較)を盛り込むと説得力が高まります。
近年では計画書作成のノウハウも徐々に蓄積・公開されはじめ、採択難易度が上がってきています。公募要領の要件を満たしさえすれば良いというわけではなく、計画書の完成度は限りなく高めておくのが無難です。以下によくある落とし穴とその対策をまとめました。
ボリュームが少なく説明不十分(→最低ボリュームを満たすだけでは不十分です。8ページ上限までしっかり記述しましょう)
抽象的で具体性・根拠が弱い(→SNSを活用するのであればどのSNSか・現在のフォロワー数・目標のフォロワー数・インプレッション数・投稿頻度など具体的に記載します。定性的な情報、例えばエピソードや顧客の声なども、より具体的であることが望ましいです)
経営課題と補助事業のストーリーが繋がっていない(→ストーリーに一貫性がないというのもよくある落とし穴です。計画書上は現状整理→課題定義→解決策→具体事業という順番に記載しますが、具体事業がゴールになるように逆算して記載していくことが重要です)
写真や図が不足している(→いくら文章が洗練されていても、読み手がその業界のエキスパートとは限りません。素人にもわかる絵や図などを適切に挿入しましょう。店舗の場合は店舗の外観、商品の写真などを添付するとイメージが湧きやすく理解されやすくなります)
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経営計画書(様式2)は、①企業概要、②顧客ニーズと市場の動向、③自社や自社が提供する商品・サービスの強み、④経営方針・目標と今後のプラン、の4パートで構成されます。
まず「何を」「誰に」「どうやって」提供しているか、会社(店舗)の特徴が誰にでも伝わるよう平易な言葉でまとめます。どんな小さな強みも「写真」「表」「地図」など視覚的な資料とともに示すと効果的です。
設立年・経営理念・従業員数・代表者や後継者の経歴
営業時間や立地情報・店舗写真
利益や売上の構成(商品別売上表、直近3年の推移グラフ等)
たとえば、商品については以下の表のような形でまとめると、事業の実態がよく伝わります。
商品名 | 年間売上 | 利益構成比 |
---|---|---|
A商品 | 500万円 | 40% |
Bサービス | 200万円 | 30% |
他(C、Dなど) | 150万円 | 30% |
ここでは「誰がどんなニーズを持っているのか」「市場はどう変化しているか」を具体的に記載します。顧客アンケートや来店データ、地域の人口推移グラフ、競合情報など信頼できるデータも活用します。
顧客層(年齢層・男女比・地理的特性)
売れ筋商品やサービス
主要な競合他社、業界の市場動向(例:商圏内に同業者が新規出店し売上にどう影響したか)
例: 「地域の高齢化進展に伴い、既存顧客のシニア層比率が増加。お客様アンケートでは“椅子席がないため高齢者や女性グループの再訪率に影響”との声が多数。」
差別化ポイントは競合他社との比較を交え、「なぜうちでなければならないのか?」を言語化します。
地域密着(例:漁港から毎朝仕入れる鮮魚が強み)
第三者評価(雑誌掲載、メディア取材、Googleレビュー引用など)
商品やサービス固有の優位性(特許・職人技・独自レシピ 他)
<例:自社と大手チェーン比較表>
項目 | 当店 | 大手チェーン |
---|---|---|
鮮度 | ◎ | ○ |
価格 | ○ | ◎ |
家族席の有無 | ◎ | × |
写真などをつけるとより効果的です。
上述の分析を「これから何に挑戦するのか」に結びつけて仕上げます。単に“思い”だけでなく、数字(売上・来客数・単価など)を交えた目標や将来像、具体的な施策(例:デリバリー開始、新メニュー開発、販促活動スケジュール提示)を書きます。
例文: 「2025年までに年間売上10%増を達成するべく、シニア層・女性向けニーズへ応える新席設置、デリバリーサービス導入を推進。全家庭向けビラ配布を実施。」
補助事業計画書は、「補助金を何に活かすか?」「それが事業全体にどんな効果を生み出すか?」を説明する最重要パートです。
タイトルは30文字以内で「何をどうする補助事業」かが一目で分かるように記載します。「新商品〇〇の開発・販売促進」「高齢者対応のテーブル導入による需要創出」など、目的・内容が簡潔に伝わる言葉選びが重要です。
補助事業計画における最も重要な部分です。数値等を用いてとにかく具体的に記載します。またそれぞれの施策における期待効果、その根拠も明文化します。
新規顧客層をどう取り込むか(例:チラシ配布、HPリニューアル、ECサイト新設)
既存設備・サービスとの差別化や今回新しく導入する創意工夫
取り組みスケジュールや実施体制(表やフロー図も効果的)
競合他社との差・今までとの違い
例文:「新たな商品〇〇の開発に伴い、地域のイベント出展、ターゲット層へDM配布を計画。全社で新サービスPR研修も並行」
業務効率化や生産性向上のためのITツール導入やスタッフ研修など、該当する場合はストーリーに組み込むとプラス評価になります。任意項目ですが、できる限り記載したほうが良いでしょう。
記載内容の例:労務管理ソフトで業務自動化、配膳効率化や在庫管理システムの導入等。
数値目標(売上・客数・利益率UP、原価率改善等)を明示し、また“定性的な効果”(地域イメージ向上、取引先拡大、従業員負担軽減など)も添えることが重要です。
何をどれだけ売って、どれだけ売上増を想定しているか?(補助金実施後1年・2年・3年の売上推移表を用意)
取引先や地域への波及効果(例:新商品で取引先店舗も拡大、地元雇用創出 など)
書類不備で不採択になってしまうのは非常にもったいないです。提出前には申請書類が一式揃っているかを改めて確認しましょう。事業計画書類については、誤字脱字等もチェックしましょう。誤字脱字によって直接的に不採択になるリスクは低いですが、読みやすさは審査官の印象に直結します。適当にせず、しっかりと取り組みましょう。
文章量上限(A4 8ページ程度)、写真や図表のバランス
書類一式(経営計画書・事業計画書・経費明細・確定申告書類・見積書類など)を抜け漏れなく揃える
専門用語の使いすぎに注意し、第三者にも分かる説明か再確認
記載内容に一貫性があるか
誤字脱字の有無
小規模事業者持続化補助金の申請はあらゆる機関で支援を行っています。少なくとも、申請のためには商工会議所・商工会を通過する必要がありますが、体裁チェックだけになってしまう場合が多いため、別途記載内容の相談に乗ってもらえるかどうか確認してください。必ずしも会員に加入しなくても利用できますので、興味のある方は相談してみましょう。
より専門的、具体的なアドバイスを受けたい場合は、中小企業診断士などの補助金コンサルタントに相談するのがおすすめです。実績豊富なコンサルタントに相談すれば、採択される計画書がどういったものか、どこをどう直せば採択率が上がるのか、といった部分についてもサポートしてくれます。
補助金コネクトでも相談をお受けしていますので、以下のフォームよりお問い合わせください。
小規模事業者持続化補助金の計画書・申請書づくりは、単なる“作業”に終わらず、事業成長の“きっかけ”を与えてくれる重要なプロセスです。本記事でご紹介したポイント・事例・オリジナル視点を活かし、ぜひ納得いく計画書を作成してください。
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