本記事をご覧になっている方は事業再構築補助金に採択され、実際に補助金を交付申請するフェーズである方が多いと思います。
採択が決まると一安心しがちですが、実は交付申請には差し戻し対応などがあり四苦八苦している人も多いのです。
そこで本記事では、事業再構築補助金の交付申請についてわかりやすく紹介していきます。
必要書類と申請方法まとめていますので、なるべく差し戻し回数を減らしてスムーズに申請したい方はぜひご活用ください。
事業再構築補助金の交付申請について、基礎知識をおさらいしていきましょう。
採択後の流れは主に以下のようになっています。
採択公表と通知
交付申請
補助事業実施
実績報告
精算払請求
事業化状況報告
採択されてすぐ交付されるわけではなく交付申請を行い、補助事業を行って再度請求するという数段階もの手順が必要となります。
今回は採択が公表された次に行う交付申請手順を解説していきます。
なお、事業再構築補助金については以下の記事で詳しく解説していますので、必要に応じご参照ください。
事業再構築補助金とは?申請枠から補助額、対象者、対象経費まで詳しく解説
交付申請は採択後に行う手続きのことです。補助金交付候補者は、交付申請を行い、経費等の内容を事務局で補助対象経費として適切なものであるかどうかの精査を行ってもらいます。
注意しなければいけない点として、採択時には事業計画を提出しますが、この計画に記載されている金額が全て実際に交付されるわけではありません。
「この事業にはこれぐらいの資金がかかる」と計画書で記載していた経費を事務局と事業者がやりとりしながら本当に適切であるかが判断されるのです。
この交付申請が完了すれば、改めて交付額が決定します。
申請内容で交付額が減額する可能性もあるので、かなり重要な手続きといえるでしょう。
交付申請の方法は電子申告がメインとなります。
補助金申請時に活用した電子システム「Jグランツ」を使って進めていきます。
必要項目を入力すれば完了するので、申告の流れ自体はシンプルといえるでしょう。詳しい方法は「事業者マニュアル 交付申請」をご確認ください。
申請を行う際に必要になる書類は主に以下の通りです。
必要書類 | 法人 | 個人 |
---|---|---|
交付申請書別紙1 | ◯ | ◯ |
見積書・見積依頼書 業者選定理由書 | ◯ | ◯ |
建物費、機械装置・システム構築費の書類 | ◯ | ◯ |
履歴事項全部証明書 | ◯ | ― |
直近の決算書 | ◯ | ― |
2期分の確定申告書(第1表) | ― | ◯ |
青色申告書 / 白色申告書 | ― | ◯ |
交付申請書別紙2 | 該当事業者のみ | 該当事業者のみ |
海外渡航計画書 | 該当事業者のみ | 該当事業者のみ |
事前着手承認のお知らせメール | 該当事業者のみ | 該当事業者のみ |
補助対象経費により取得(改修)する建物に係る宣誓・同意書 | 該当事業者のみ | 該当事業者のみ |
法人と個人で提出書類が変わってきますので注意してください。
交付申請書別紙は、申請書のようなものです。
応募時に提出した事業計画書の経費割合や実施場所の変更点や、確定事項を記載します。
採択結果が記載されているJグランツの画面からExcelファイルをダウンロードしてきましょう。
経費の妥当性を証明する書類です。
見積書や見積依頼書以外に、設計図書やパンフレットが求められるケースもあるので注意しておきましょう。
計上している全経費のものをまとめて提出するので、最も骨が折れる作業となります。
その他にも以下のようなケースでは、それぞれ別途書類が必要です。
1契約が50万円(税抜)以上 → 必ず2社以上の「相見積書」
中古品を購入する場合 → 製造年月日や性能が同程度で3社以上の「相見積書」
相見積もりを提出できない → 業者を選んだ理由を記載する「業者選定理由書」
専門家の旅費を計上している → スケジュールや移動方法を記載した「工程表」
見積書はそれぞれの業者から、業者選定理由書は事務局のサイトからそれぞれダウンロードして取得していきましょう。
法人のみ提出する書類です。
3ヶ月以内に法務局から取得したものが必要になるので注意しておきましょう。
応募時に必要書類として提出していればこちらの提出は不要です。
直近の確定した決算書が必要となります。ただしこちらも応募時に提出していれば不要になります。しかし、もし決算期を跨いでいる場合は提出しなければなりません。
2期分の確定申告書は個人事業主が提出しなければならない書類です。
第1表と記載されている書類を提出しますが、こちらも応募時に提出していれば提出しなくても問題ありません。
青色申告書、もしくは白色申告書の以下の該当ページを提出します。
青色申告書:損益計算書の記載があるページ
白色申告書:収支内訳書の記載があるページ
こちらも既に提出済みであれば不要となりますが、 申請から交付申請までの間に確定申告を行った場合は、最新の書類が必要になります。
経費区分の「建物費」「機械装置・システム構築費」で計上した際、必要になる書類です。
こちらは経費に関するものですが、ほぼ全員が計上することになる経費区分となりますので、注意しておきましょう。
以下が提出書類です。
建物費:設計書(改修は見取り図)
機械装置・システム構築費:パンフレット、レート表(外国から輸入した場合)
こちらは技術導入費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費を計上する際に必要となる書類です。
Excelファイルを事務局サイトからダウンロードし、発注先の業務内容を記載することになるので注意しておきましょう。
海外旅費の経費を計上した方は、海外渡航計画書<参考様式12>を事務局サイトからダウンロードして提出します。
申請時より前の経費を対象にできる「事前着手承認制度」を事務局から承認を受けた方が対象です。
事前着手の承認を受けている事業者は、事前着手承認通知の受信日時が確認できるメールデータ、または作成日が確認できる通知文書を提出しましょう。
建物費を計上している人のみ同意書が必要になります。
交付申請書別紙1をダウンロードした際についてくるので、こちらの同意書を探して記載しておきましょう。
第3回以前に応募した事業者は、別途事務局側からメールが来て案内されるのでメールに従って提出していきます。
交付申請の注意点やよくあるミスを確認しておきましょう。
交付申請から決定までに要する期間の目安は、約1ヵ月程度です。
書類を全部集めて申請するまでに約1週間程度、その後2週間程度で事務局からの連絡があり、都度修正対応をしていく流れとなっています。もちろん期間は目安となっていますので、修正対応が多くなければなるほど期間が延びていきます。
不慣れな場合、3~5回程度は差し戻されることを覚悟しておきましょう。
ただ差し戻し時は修正書類だけの提出になりますので、最初の書類作成にかかる時間よりかは短めとなります。
多い方では7回にも及ぶほど骨の折れる作業となりますので、なるべく採択決定後はすぐ交付申請をしておきましょう。
よくあるミスとして、必要書類が揃っていないケースが挙げられます。
特に忘れやすいのが相見積書の添付ミスです。
1契約50万円以上の経費を計上しているのに相見積書がない、もしくは相見積書が提出できない理由書が添付されていないなどで差し戻しとなります。
見積書は数が多くなりますので、慎重に確認していきましょう。
相見積書を提出する際には、項目が同じものでなければなりません。
特に内容は同じでも「品目」が異なるだけで、同じ条件で取得していないとして差し戻されるため注意しておきましょう。
要件を満たさない見積書を提出しているケースもミスになります。
例えば事業者名ではなく子会社に送られたものであったり、有効期限が切れていたりすると問答無用で差し戻しです。
さらに機械機器やシステムを外国から輸入することもあるでしょう。
こちらはレート表が必要なのは前述した通りですが、提出時には日本語へ翻訳した見積書を提出しなければなりません。
この記事では、事業再構築補助金の交付申請と必要書類について解説しました。
事業再構築補助金の交付申請は書類を正しく準備し申請しなければならず、かなり骨が折れる作業となっています。
もちろん自分でやることも可能ですが、学習が必要な上、それを行ったところで直接事業のプラスになるわけではありません。社内の担当者に依頼することも可能ですが、初めての手続きでは困難が予想され、現業に影響が出てしまうおそれもあります。
申請後の手続きについても、申請代行業者への依頼を強くおすすめします。補助金コネクトでもご相談を承っておりますので、以下よりお問い合わせください。