設備投資等にかかる経費を補助してくれる補助金ですが、パソコンなど電子機器の購入費用も補助対象になるのであれば申請したいとお考えの方も多いのではないでしょうか?
補助金の内容は時代に合わせて対象経費が変更になっており、PC購入なども対象になるケースもあります。
ビジネスにインターネットの活用が当たり前になった今、さらにPC購入に活用できる補助金が増えてくる可能性は高いでしょう。
申請においては、公募要件を正しく理解した上で進める必要があり、どんな補助金でも使える訳でない点は、注意が必要です。
そこで今回は、IT技術の導入を促進するためにできたIT導入補助金をテーマにパソコン購入の可否や補助対象となる要件について紹介します。
パソコン購入費用が補助されるその他の制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
IT導入補助金はデジタル化基盤導入類型においてはPC・タブレット等のハードウェアにかかる購入費用も補助対象です。以前はレンタル費用のみであったのでかなり手厚い補助になったと言えます。
ITツールを活用するために必要なものが対象であり、キーボードやマウスなど本体と切り離せるものは補助対象外となります。
また、PC・タブレット以外には、プリンターやスキャナー及びその他の複合機器においても補助の対象となります。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者に対してITツールの導入を促進するためにできた補助金です。IT技術の必要性が上がっている中、補助の対象も次第に増えており用途も広がっています。
補助の対象となるのは、中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等)が該当します。
法人であれば資本金と従業員数のどちらかが定められた範囲内である必要があり、対象となる範囲も業種ごとに違いがあります。
最も補助のハードルが高い製造・建設・運輸業では、「資本金3億円以下」、「従業員(常勤)300人以下」いずれかの範囲を満たす必要があります。
2025年のIT導入補助金は、 以下の種類が用意されています。
種類 | 概要 |
|---|---|
通常枠 | 事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムを導入する中小企業・個人事業主のITツール導入に活用できる。 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃によるリスクや生産性の低下を低減する |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトに特化し労働生産性の向上をサポートする。 |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業を支援する。 |
複数社連携IT導入枠 | 業務上つながりのある「サプライチェーン」や、特定の商圏で事業を営む「商業集積地」に属する複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取り組みを支援する。 |
IT導入補助金の補助率と補助額は、以下のとおり種類によって異なります。
複数社連携IT導入枠以外
種類 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
通常枠 | 1プロセス以上:5万円~150万円未満 4プロセス以上:150万円~450万円以下 ※プロセスとは「会計」「供給」といったIT導入補助金で定義された業務区分のことを指します | 1/2以内~2/3以内 |
セキュリティ対策推進枠 | 5万円~150万円 | 1/2以内 ・小規模事業者:2/3以内 |
インボイス枠 | インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト ・350万円以下
PC・ハードウェアなど ・PC・タブレット等:10万円以下 ・レジ・券売機等:20万円以下 | 50万円以下部分 ・中小企業:3/4以内 ・小規模事業者:4/5以内 50万円超〜350万円以下部分 ・2/3以内
|
複数社連携IT導入枠
複数社連携IT導入枠の補助額は、導入するITツールによって細かく分かれているため、しっかり確認しておきましょう。

ここでは、それぞれの申請枠における補助対象となるITツールを紹介します。
対象外のツールを購入すると原則として補助が出ることはないため、事前によくチェックすることが大切です。
申請枠 | 補助の対象となるITツール |
|---|---|
通常枠 | 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。 (ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費) |
デジタル化基盤導入類型 | 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス (サービス利用料 ※最大2年分) |
デジタル化基盤導入類型 | 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト (ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費) (PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器、レジ・券売機等のハードウェア購入費) |
IT補助金の対象となる事業は、IT導入支援事業者による支援のもと共同で行う必要があります。
よって、補助金の申請にはIT導入支援事業者の支援がなくてはいけません。
なお、IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールのみが、IT導入補助金の補助対象となるので注意しましょう。
最後に、IT補助金以外でパソコン購入費用が補助される制度について紹介します。
機器の購入には、必ずしもIT導入補助金で申請しなければいけない理由はありません。
補助金でのPC購入を検討している方はぜひ自分が利用できるものを探してみてください。
テレワークの促進を目的とした助成金であり、東京都をはじめ複数の自治体が取り入れています。
対象者は各自治体で事業を営む中小企業や個人事業主であり、自治体によって対象範囲が異なります。
ハードウェアのみではなく、ソフトと合わせた購入が要件になる場合やレンタル費用は対象外など自治体によって違いがあるので注意しましょう。
中小企業のデジタル化を目指し、自治体ごとに取り組む補助金です。
対象者は各自治体の中小企業、個人事業主であり、デジタル化によって生産性向上が見込めることが要件になります。
ハードウェア単体の購入は補助対象外のケースが多いです。
テレワークの促進を目的とした補助金であり、自治体によっては助成金の制度もあります。
対象者は、自治体内で事業を営む中小企業、個人事業主です。
基本的にテレワークに必要なハードウェア、周辺機器の購入が補助の要件になります。
京都府で実施されている多様な働き方推進事業費補助金は、テレワークコースの利用でパソコン購入費まで補助の対象となります。
対象者は、京都府内に事務所があり、さらに子育て環境日本一に向けた職場作り行動宣言を行う者とされています。
PCのハードウェアも補助の対象内ですが、中古品や自作パソコンは対象外となっているので注意が必要です。
新型コロナウィルスの影響により売上が減少している中小企業や個人事業主がデジタル化に取り組むことを支援するための制度です。
静岡県浜松市が率先して取り組んでおり、市内に事務所や店舗工場を持つ事業者が対象となります。
また、売上の前年比が10%以上減少していることも要件となるので注意しましょう。
売上アップや生産性向上のためにキャッシュレスやテレワークなどのデジタル化に取り組むことがPC購入の要件となります。
東京都内で取り組まれている開業率の向上を目的とした支援です。都内での創業を計画している個人又は創業から5年未満の中小企業などが対象者となります。
こちらはPCハードウェア単体での購入も助成の対象となります。
東京都内でテレワーク定着・促進に取り組む中堅・中小企業が助成の対象となります。
従業員(常勤)が999人以下の企業が要件となっており、広い範囲で助成を受けられる特徴があります。
PCハードウェアも助成金で購入できますが、価格が10万円未満に限られるので注意が必要です
今回は、IT導入補助金をテーマにパソコン購入の可否や補助対象となる要件について紹介しました。
デジタル化が進むこれからの社会を考えるとパソコンの購入も対象となる補助金や助成金は増えてくると考えられます。
補助金や助成金は、銀行からの融資と違い返済義務がないメリットがあるので、中小企業や個人事業主を営む方には、ぜひ利用をおすすめします。
また、最後に紹介したようにIT補助金以外にもパソコンの購入を支援するための制度はたくさんあります。
一度審査に落ちても諦めず、自分が利用できる制度を探してみましょう。
まずは、自分が事業を営む地域で利用できる制度について確認するところから始めてみてください。