設備投資等にかかる経費を補助してくれる補助金ですが、パソコンなど電子機器の購入費用も補助対象になるのであれば申請したいとお考えの方も多いのではないでしょうか?
補助金の内容は時代に合わせて対象経費が変更になっており、PC購入なども対象になるケースもあります。
ビジネスにインターネットの活用が当たり前になった今、さらにPC購入に活用できる補助金が増えてくる可能性は高いでしょう。
申請においては、公募要件を正しく理解した上で進める必要があり、どんな補助金でも使える訳でない点は、注意が必要です。
そこで今回は、IT技術の導入を促進するためにできたIT導入補助金をテーマにパソコン購入の可否や補助対象となる要件について紹介します。
パソコン購入費用が補助されるその他の制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
IT導入補助金2022から、デジタル化基盤導入類型においてはPC・タブレット等のハードウェアにかかる購入費用も補助対象になりました。
これまではレンタル費用のみであったのでかなり手厚い補助になったと言えます。
ITツールを活用するために必要なものが対象であり、キーボードやマウスなど本体と切り離せるものは補助対象外となります。
また、PC・タブレット以外には、プリンターやスキャナー及びその他の複合機器においても補助の対象となります。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者に対してITツールの導入を促進するためにできた補助金です。
IT技術の必要性が上がっている中、補助の対象も次第に増えており用途も広がっています。
これまでにあった通常枠(A・B類型)に加え、令和元年度補正予算にてセキュリティ対策推進枠、令和3年度にデジタル化基盤導入・複数社連携IT導入類型も追加されました。
補助の対象となるのは、中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等)が該当します。
法人であれば資本金と従業員数のどちらかが定められた範囲内である必要があり、対象となる範囲も業種ごとに違いがあります。
最も補助のハードルが高い製造・建設・運輸業では、「資本金3億円以下」、「従業員(常勤)300人以下」いずれかの範囲を満たす必要があります。
IT導入補助金の申請枠には通常枠、セキュリティ推進対策枠、デジタル化基盤導入枠があります。
通常枠は、補助の規模に合わせてA・B類型に分かれ、中小企業・個人事業主のITツール導入に活用できる基本的な申請枠です。
セキュリティ推進対策枠は、サイバー攻撃に関わるリスクを抑える目的でITツールの活用を支援するために利用できます。
デジタル化基盤導入枠は、令和5年10月からスタートするインボイス制度に備えて企業間取引のデジタル化を支援するための制度です。
次に補助金額と補助率について紹介します。
通常枠、セキュリティ推進対策枠、デジタル化基盤導入枠でそれぞれ違いがあるので、分けて紹介します。
通常枠の補助金額と補助率について紹介します。
A類型とB類型にコースが分かれていますので、それぞれ確認してください。
種類 | A類型 | B類型 |
---|---|---|
補助額 | 30万~150万円未満 | 150万~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
次に、セキュリティ推進対策枠の補助金額と補助率を紹介します。
補助額は、小規模なものから対象となることが特徴です。
種類 | セキュリティ推進対策枠 |
---|---|
補助額 | 5万円~100万円 |
補助率 | 1/2以内 |
最後に、デジタル基盤導入枠の補助金額と補助率を紹介します。
こちらは、補助額に対する内訳ごとに補助率が変わるので算出が複雑になることが特徴です。
種類 | デジタル化基盤導入類型 |
---|---|
補助額 | 5万円~350万円 |
補助率 | 5万円~50万円以下部分:3/4以内 50万円超~350万円部分:2/3以内 |
ここでは、それぞれの申請枠における補助対象となるITツールを紹介します。
対象外のツールを購入すると原則として補助が出ることはないため、事前によくチェックすることが大切です。
申請枠 | 補助の対象となるITツール |
---|---|
通常枠 | 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。 (ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費) |
デジタル化基盤導入類型 | 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス (サービス利用料 ※最大2年分) |
デジタル化基盤導入類型 | 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト (ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費) (PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器、レジ・券売機等のハードウェア購入費) |
IT補助金の対象となる事業は、IT導入支援事業者による支援のもと共同で行う必要があります。
よって、補助金の申請にはIT導入支援事業者の支援がなくてはいけません。
なお、IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールのみが、IT導入補助金の補助対象となるので注意しましょう。
最後に、IT補助金以外でパソコン購入費用が補助される制度について紹介します。
機器の購入には、必ずしもIT導入補助金で申請しなければいけない理由はありません。
補助金でのPC購入を検討している方はぜひ自分が利用できるものを探してみてください。
テレワークの促進を目的とした助成金であり、東京都をはじめ複数の自治体が取り入れています。
対象者は各自治体で事業を営む中小企業や個人事業主であり、自治体によって対象範囲が異なります。
ハードウェアのみではなく、ソフトと合わせた購入が要件になる場合やレンタル費用は対象外など自治体によって違いがあるので注意しましょう。
中小企業のデジタル化を目指し、自治体ごとに取り組む補助金です。
対象者は各自治体の中小企業、個人事業主であり、デジタル化によって生産性向上が見込めることが要件になります。
ハードウェア単体の購入は補助対象外のケースが多いです。
テレワークの促進を目的とした補助金であり、自治体によっては助成金の制度もあります。
対象者は、自治体内で事業を営む中小企業、個人事業主です。
基本的にテレワークに必要なハードウェア、周辺機器の購入が補助の要件になります。
京都府で実施されている多様な働き方推進事業費補助金は、テレワークコースの利用でパソコン購入費まで補助の対象となります。
対象者は、京都府内に事務所があり、さらに子育て環境日本一に向けた職場作り行動宣言を行う者とされています。
PCのハードウェアも補助の対象内ですが、中古品や自作パソコンは対象外となっているので注意が必要です。
新型コロナウィルスの影響により売上が減少している中小企業や個人事業主がデジタル化に取り組むことを支援するための制度です。
静岡県浜松市が率先して取り組んでおり、市内に事務所や店舗工場を持つ事業者が対象となります。
また、売上の前年比が10%以上減少していることも要件となるので注意しましょう。
売上アップや生産性向上のためにキャッシュレスやテレワークなどのデジタル化に取り組むことがPC購入の要件となります。
東京都内で取り組まれている開業率の向上を目的とした支援です。都内での創業を計画している個人又は創業から5年未満の中小企業などが対象者となります。
こちらはPCハードウェア単体での購入も助成の対象となります。
東京都内でテレワーク定着・促進に取り組む中堅・中小企業が助成の対象となります。
従業員(常勤)が999人以下の企業が要件となっており、広い範囲で助成を受けられる特徴があります。
PCハードウェアも助成金で購入できますが、価格が10万円未満に限られるので注意が必要です
今回は、IT導入補助金をテーマにパソコン購入の可否や補助対象となる要件について紹介しました。
デジタル化が進むこれからの社会を考えるとパソコンの購入も対象となる補助金や助成金は増えてくると考えられます。
補助金や助成金は、銀行からの融資と違い返済義務がないメリットがあるので、中小企業や個人事業主を営む方には、ぜひ利用をおすすめします。
また、最後に紹介したようにIT補助金以外にもパソコンの購入を支援するための制度はたくさんあります。
一度審査に落ちても諦めず、自分が利用できる制度を探してみましょう。
まずは、自分が事業を営む地域で利用できる制度について確認するところから始めてみてください。