SDGsによる環境への配慮およびガソリン代の高騰などにより、電気自動車(EV)への関心が以前にも増して高まっており、政府もEV普及に力を入れています。
その一環として、補助金の増額や申請手続きの簡略化、対象車種の拡充など、さまざまな取り組みを行なっています。
すなわちEVの購入はまさに今がチャンスという状況ですが、実際に使える補助金にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、EV購入時に使える補助金について詳しく解説します。
CEV補助金は、正式名称を「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」といいます。以前は「エコカー補助金」との名称でしたが、対象車両と名称が変更されました。
CEV補助金の概要や申請方法を、詳しく見てみましょう。
CEV補助金の対象車両と補助上限額は、以下のとおりです。
対象車両 | 補助上限額 | 給電機能付き車両の補助上限額 |
---|---|---|
電気自動車(軽自動車以外) | 85万円 | - |
軽電気自動車 | 55万円 | - |
プラグインハイブリッド車 | 55万円 | - |
燃料電池自動車 | 255万円 | - |
超小型モビリティ(トヨタC+pod) | 25万円(個人) 35万円(サービスユース) | 35万円(個人) 45万円(サービスユース) |
電動二輪 | 6万円(一種) 12万円(二種) | - |
クリーンディーゼル | 15万円 ※4月1日以降の登録車は対象外 | - |
ミニカー | 20万円(個人) 30万円(サービスユース) | 30万円(個人) |
なお、EV、PHEV、FCVについて、メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の車両は、算定された補助額に価格係数0.8を乗じた金額が上限となりますので注意しましょう。
令和5年度の補助金交付額は令和4年度に比べて大きな増減はありませんが、クリーンディーゼルは令和6年4月1日以降の登録車両は本補助金の対象から外れますので、こちらも注意してください。
CEV補助金は手厚いため、電気自動車への乗り換えを検討している方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
CEV補助金を申請するのに必要な書類や申請の流れなどを、個人のケースを例に挙げて解説します。
補助金交付申請書(様式)
申請者を確認する書類(「運転免許証」(両面を1枚に複写)「住民票」「印鑑登録証明書」)
申請車両を確認する書類(「自動車検査証」(車検証)「標識交付証明書のいずれかの写し1枚、または電子車検証の場合は「自動車検査証記録事項」の写し)
車両代金の支払いを確認する書類(申請者宛の領収証または、銀行発行の振込証明書)
車名および購入価格の確認書類(申請者が車両購入者となっている注文書、請求書、売買契約書)
下取価格が車両代金の一部に充当されたことの確認書類(下取車がある場合)
車両の仕様確認書類(型式が不明な場合)
補助金の振込先を確認する書類通帳等、口座情報が確認できる書類
このほか、必要に応じ、補助金を受けた車両(取得財産等)の管理のための書類を求められる場合があります。
補助金対象車両を購入もしくはリース後、交付申請をする前に登録もしくは届け出を済ませ、全額支払いを完了させる必要があります。
補助金交付申請書類は、車両1台ごとに添付して提出します。郵送もしくは宅配便での送付のみとなっています。
交付が決定したら、通知書が届きます。補助金を受けた車両は、3年もしくは4年の処分制限期間内の保有が義務付けられています。
令和5年度事業における申請書の受付期間と提出期限は、以下のとおりです。
日付項目 | 内容 |
---|---|
補助対象となる車両の初度登録日 | 令和5年12月1日~令和6年3月31日 令和6年4月1日~別途設定 |
申請書受付期間 | 令和6年3月28日~別途設定 ※令和6年4月時点では、受付期間の期日は定まっていません。ただし予算不足の場合は期間短縮の可能性があります |
申請書提出期限 | 車両の初度登録日から1か月以内 (例外…代金の支払い手続きが完了しなければ、登録日の翌々月の末日まで) |
なお、クレジットで支払う場合は、クレジット会社と申請者との間でクレジット契約が締結完了したときを、支払い手続き完了としています。
国だけでなく、都道府県や市区町村などの地方自治体でもEV補助金制度を実施しています。ここでは、その中から東京都および一部の政令指定都市における補助金制度を紹介します。
執筆現在、令和5年度分が終了している自治体がほとんどです。令和6年度分も実施されるかどうか、各自治体のホームページで確認しておきましょう。
地域 | 制度名 | 補助額 |
---|---|---|
札幌市 | 札幌市ゼロエミッション 自動車購入等補助制度 | 上限50万円 ※令和5年度分は終了 |
さいたま市 | さいたま市電気自動車等普及促進対策補助金 | 電気自動車:上限5万円 燃料電池自動車:50万円 ※令和5年度分は終了 |
東京都 | 燃料電池自動車等の導入促進事業・電気自動車等の普及促進事業 | EV:37.5万円~45万円 PHEV:30万円~45万円 FCV:110万円 |
浜松市 | 浜松市スマートハウス・EV 補助金 | 上限6万円 ※令和6年4月1日まで |
名古屋市 | ゼロエミッション車の購入補助金 | 上限20万円 ※令和5年度分は受付終了 |
岡山市 | 岡山市住宅用スマートエネルギー導入促進補助事業 | EV:10万円~15万円 PHEV:10万円 FCV:50万円 ※令和5年度分は受付終了 |
福岡市 | 福岡市次世代自動車の普及促進(電気自動車等)補助金 | 上限10万円 ※令和5年度分は受付終了 |
上記以外にも、多くの自治体で独自の補助金制度を設けています。お住まいの地域でどのようなEV補助金制度があるのかを調べたいときは、こちらの検索ページをぜひ活用してみてください。
EV補助金を申請する際には、いくつか注意すべき点があります。せっかくEVを購入しても補助金が使えないと自己負担額が大きく変わってくるため、注意点を事前に把握しておくことが重要です。ここでは注意点を5つ紹介します。
交付条件や補助金額は、国・自治体どちらの制度も内容が毎年変わります。特に、2024年度における補助金制度は2月〜3月で廃止された自治体も多いですが、毎年適用条件や上限額などが異なっているため、古い情報のまま手続きしようとすると申請できなくなるおそれもあります。
申請時点での最新状況を確認するには、必ず国や自治体のホームページを閲覧するようにしましょう。
EV補助金は、国と自治体のどちらも、抽選ではなく先着順での受付となっています。
申請書類は、不備がないものから先着順に受け付けるため、書類に不備があると受理されるまでに時間がかかり、受付が遅れる原因となります。
受付期間内であっても、希望者が多い場合には補助金を受け取れない場合もありますので、早めに手続きしましょう。
EV補助金は予算の上限額が決められており、申請期間中であっても上限に達した時点で受付が終了することがあります。期間中に提出したからといって、必ず補助金が受け取れるとは限らないため注意しましょう。
多くの自治体で、残りの予算や受付終了予定日などを、ホームページに随時掲載しています。確実に補助金の交付を受けるには、ホームページを確認することと、申請期間に合わせて車の購入計画を立てることも重要です。
EV補助金は、新車の購入のみを対象としているため、新古車を含む中古車は補助対象にはなりません。中古EV車の購入を検討している人は注意しましょう。
EV車の購入費用を抑えたい人は、環境性能割を使って非課税で中古EV車を購入する手段があります。環境性能割は、燃費がいい車ほど税金が安くなる制度であり、EV車は非課税です。購入時に検討してみるのも、ひとつの手段です。
補助金の交付を受けて購入したEV車は、処分制限期間(購入後3年ないし4年の定められた期間)内の保有が義務付けられています。万が一、この期間内に処分してしまうと、交付を受けた補助金の全額もしくは一部を返納しなくてはなりません。処分後に、車の補助金をすべて返納するまでは、新たに購入する車に対して補助金の交付は受けられません。届け出をせずに車を処分した場合は、補助金の全額返納を求められることもあります。
補助金の返納額は、車両の売却額によって算定されます。納付期限までに返納しないと、延滞金がかかることもあるため、必ず期限内に返納するようにしましょう。
EVは、発売当初より性能が向上し、全国に充電設備も増えてきています。国、東京都のみならず地方自治体の補助金制度も充実してきたことから、EVの購入を検討するのに最適なタイミングを迎えているのではないでしょうか。
本記事で紹介したように、EV補助金は予算が決められており、予算に達すると補助金が利用できなくなります。購入時点で利用できる補助金を最大限に活用し、お得にEVを購入しましょう。