コロナ禍で大きな打撃を受け、経営方針を転換しようとしている中小企業にとって、事業再構築補助金は積極的に活用したい制度です。
しかし、申請しても必ず採択されるとは限りません。2022年6月の第5回公募では、21,035件の応募に対して、採択されたのは9,707件であり、採択率は46.1%となっています。通常枠に限ってみてみると、16,185件中6,441件の採択であり、採択率は39.8%とさらに数値が低いのです。
採択されるには、まず不採択となった理由を知り、改善方法を知ることが重要です。
本記事では、事業再構築補助金が不採択となる理由を掘り下げて検証し、改善方法を考えてみたいと思います。
事業再構築補助金の応募が不採択となる理由のひとつに、もっともアピールすべき事業内容の記載が不十分であることがあげられます。
具体的には、以下に該当すると不採択となる可能性が高まるため、内容を理解しておきましょう。
事業計画書が、公募要項に沿っていないと、不採択となる可能性が高いです。
以下の項目は、公募要項に記載されているため事業計画書にも必ず盛り込む必要があります。
事業再構築の類型
事業再構築補助金の要件および事業再構築要件をクリアしているか
既存事業で取り組んでいた内容
事業再構築によって取り組む内容
Swot分析の有無
新型コロナウイルスによって受けた影響
事業再構築が本当に必要なのか
製品とサービスの提供内容
具体的な投資内容とスケジュール
収益・資金計画の添付の有無
差別化要因が明確になっているか
補助金の申請が不採択とならないためには、事業計画書を上記の流れで作成することが重要です。
企業独自の取り組みが見られず、どの企業でも取り組んでいるようなありきたりな事業であると、再構築とは言えません。採択を受けるには、新鮮味にあふれる計画内容が求められます。
事業再構築補助金の審査において、審査員から注目されるには、競合他社との比較に勝つための計画が必要です。
自社の強みを前面に押し出したうえで、今までの取り組みと事業の再構築を両立させている計画を立てることで、成功する事業であるとアピールできるようになります。
どんなに素晴らしい事業計画書であっても、内容が分かりにくく審査員に伝わらなければ、採択にはいたりません。
専門用語が多かったり、計画内容に無理があったりすると、不採択となるでしょう。
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受け、業態転換などにより事業を再構築する事業者に対して支払われる補助金です。
コロナの影響を受けていない・再構築しなくとも事業を継続できるなど、事業を再構築する必要性や緊急性が認められないと、補助金の趣旨からそれるため、採択にはいたりません。
過去の事業と類似していると、失敗した原因が改善されていないとみなされます。
これまで行なってきた事業とかけ離れていると事業再構築と認められませんが、逆に類似しすぎていても不採択となります。
事業再構築補助金では、関係性のある異業種への挑戦など、今までとは異なる方向性の提示が必要です。
既存の事業と関係性や相乗効果などのシナジーが見られないと、事業再構築補助金の趣旨からそれてしまいます。
例えば、IT事業から飲食店への業態転換を目的として補助金を申請しても、両業界のつながりは低いため、採択される可能性はほぼないと言えます。
補助金の審査項目である事業化点の中にも、「既存事業とのシナジー効果が期待されること等により」と明記されています。シナジー効果がないと、補助金の対象外とみなされるのです。
事業再構築補助金が不採択となる理由の二つ目は、市場分析や計画がしっかり行われていない点があります。
以下に、具体的な理由を紹介しますので、自社の申請内容と照らし合わせてみましょう。
事業再構築補助金の審査項目のひとつとして、「市場ニーズ」という言葉が複数回出てきます。
再構築した事業に対して、消費者のニーズが見込めるのか、見込める根拠として競合の分析を行なっているのかなどを提示することが大切です。
そのためには、市場の規模や予測、ターゲットとする層などを根拠として示しましょう。
申請する際の添付書類の中に、決算書が含まれています。計画通り資金繰りが行えるのか、利益が見込めるのはどの段階なのかなど、緻密な計画が求められます。
実現できる可能性を総合的にチェックして、低いと判断されると採択されないのです。
収益計画は、今までの実績などの事実およびデータに基づいた記載が必要です。自社に有利になるような分析をしていると、根拠に乏しいとみなされます。
根拠に乏しいと、計画に合理性がないとの理由で不採択となります。
公募要項の中で、資金調達や財務状況についての審査項目があると記載されています。資金調達の計画がきちんと立っておらず、めどを付けられないと、採択の可能性が低くなってしまうのです。
事業計画書の策定時点で、いつ・どこで・どのような条件で・いくら借りられるのか、明記しておくようにしましょう。
特に財務的な健全性に欠ける中小企業や個人事業主の方は注意して計画に盛り込むようにしましょう。
事業再構築補助金が不採択となる理由には、上記の理由のほかに申請内容の不備によるものも多く見られます。
審査すら受けられなくなってしまう内容の不備には、どのような要因があるのでしょうか。
申請条件の不足には、主に以下の2つがあります。
事業者の取り組みが、申請要件に該当していない
必要書類がアップロードされてない
前者は、業績不振の理由がコロナではないなどがあげられます。後者は、申請の手順を理解していないために起こってしまう不採択です。
双方の理由による不採択を防ぐには、公募要項をしっかりと読み込むようにしましょう。
事業再構築補助金の申請には、多くの書類が必要です。ひとつでも書類に不備があると、審査が受けられなくなります。
公募要項に書かれている書類が揃っているか、申請前にしっかりと確認しましょう。
事業再構築補助金は、一度不採択になっても、再度申請が可能です。
不採択となった後に、再度の申請により採択を受けるには、以下の取り組みを行ないましょう。
自社の申請内容が、なぜ不採択になったのかは、事務局へ問い合わせると教えてもらえます。問い合わせたのち、担当者からコールバックが入り、口頭で申請内容に対する審査員のコメントを具体的に読み上げてくれます。ただし、コメントの内容に関する質問には答えてもらえません。
採択直後は、多数の問い合わせが入りますので、数日経ってから問い合わせるとスムーズに手続きが進むでしょう。
不採択の理由が分かったら、次回の申請スケジュールを確認しましょう。
公募開始時期・応募締切日・採択発表日などは、事務局ポータルサイトの新着情報および資料などから確認可能です。
事務局への問い合わせにより分かった不採択理由をもとに、具体的にどこを修正したら良いのか、内容を検討します。
修正するときに重要なのは、審査員からのコメントを、自社の計画書の内容に合わせてかみ砕くことです。幅ひろい観点からコメントを分析し、修正を行なっていきましょう。
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えたうえで、事業転換や拡大を狙う企業にとって、大きなチャンスにできます。
採択されるためには、本記事で紹介したようなポイントをしっかりとおさえ事業計画書を作成する必要があります。
しかしながら、自分ではしっかり書いたと思っても、審査官が客観的に見ると説明が不足していたり、意図が十分に伝わらないということは起きてしまいます。
特に再申請をされる方は、事務局から提示された不採択理由をもとに、申請支援をしているコンサルタントに見てもらうなど、第三者を活用してみることをお勧めいたします。
補助金コネクトでも、計画書作成からその他の申請手続きまでワンストップで支援しています。
無料で相談もできますので、次回は採択に持っていきたい!という方は、是非以下よりご連絡ください。