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商工組合中央金庫とは?政策金融公庫との違い、メリット、デメリットを解説

政府系の金融機関として知られている日本政策金融公庫とは別に、商工組合中央金庫があります。

商工組合中央金庫は民間の金融機関で融資が受けられない場合などに利用できるため、企業の経営者はどのような機関であるか理解しておいた方が良いでしょう。

本記事では商工組合中央金庫の概要と日本政策金融公庫との違い、メリット・デメリットを紹介します。

商工組合中央金庫を知らない方やこれから利用したいと検討している方はぜひ参考にしてください。

商工中金とは

商工組合中央金庫(以下:商工中金)について知らない方に向けて、ここでは概要と業務内容を紹介します。

商工中金の概要

商工中金は1963年に中小企業への融資を行うことを目的とした政府と民間団体が共同で出資する政府系金融機関です。

資本金の約46%を政府が保有しており、2008年には株式会社へ移行しました。商工中金は政府系の金融機関の中では以下の表の通り2番目に店舗数、従業員数を抱えている大きな金融機関です。

名称

資本金

従業員数

店舗等数

貸付残高

株式会社日本政策金融公庫

11.6兆円

7,436名

154

28.8兆円

株式会社商工組合中央金庫

0.2兆円

3,515名

106

9.6兆円

株式会社日本政策投資銀行

1.0兆円

1,257名

23

14.4兆円

株式会社国際協力銀行

2.0兆円

677名

20

14.8兆円

沖縄振興開発金融公庫

0.2兆円

218名

6

1.0兆円

※令和4年3月末時点(出典:財務省

さらに地方銀行や信用金庫と比べて信用格付けは高い水準を維持しています。日経格付機関ではみずほ銀行や三井住友銀行などと同じAAクラス(上から3番目)の評価です。

さらに設立以降、政府から赤字補填などを受けた実績もないため、信用力が高い金融機関の一つとして認識されています。

商工中金の主な業務

商工中金は主に以下の4つの業務を行っています。

  1. 資金調達

  2. 資金運用

  3. 事業・経営サポート

  4. 海外進出サポート

基本的に民間の大手金融機関と同じ業務ですが、異なる範囲もあります。それぞれの業務内容について紹介していきます。

資金調達

中小企業の「設備資金」や「運転資金」などの融資を行います。さらに手形割引などの短期運転資金などにも対応します。ただし個人などへの融資は行っていません。民間の金融機関と異なり融資対象者が中小企業のみとなるため、住宅ローンやマイカーローンなど金融商品は少ない特徴があります。

資金運用

当座預金や普通預金、定期預金など、民間の金融機関と同じように各種預金を取り扱っています。近年ではインターネットバンキングにも対応しているため、スマホ一台で送金もできます。また個人でも口座開設できます。

事業・経営サポート

経営状況が悪化している中小企業に向けて、資金繰りなどの改善のサポートを行います。売上回収までの資金や複数の金融機関の借入を見直しし、短期継続融資の導入や財務改善支援などに協力してもらえます。

海外進出サポート

ニューヨーク、香港、上海、バンコクにも商工中金は店舗を構えており、海外進出する企業の融資を行ってくれます。さらに各国の政府系の金融機関とのネットワークも強く、税務状況などの情報も踏まえてサポートをしてくれます。

商工中金と日本政策金融公庫の違い

冒頭にもお話しした通り、商工中金と日本政策金融公庫は同じ政府系の金融機関です。双方にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは商工中金と日本政策金融公庫の違いについて紹介します。

取引の対象者

日本政策金融公庫は個人事業主や中小企業などに向けて融資を行います。これから起業する方やフリーランスなどの方も融資の対象者となります。一方で商工中金は実績のある中小企業のみです。特定の団体への加入が必須であり、新規事業立ち上げ時の融資は基本的に行っていません。

保証人制度の有無

融資を受ける際の保証人制度は以下の通りです。

日本政策金融公庫

商工中金

個人:無担保無保証人

法人:無担保・代表者のみ保証

※どちらも条件がそろえば

必要に応じて保証人が必要

日本政策金融公庫では要件を満たせば、保証人は不要となることがあります。ただし法人の場合は融資限度額があるため代表者が保証人となります。個人事業主やフリーランスの場合、事業継承のための融資であれば保証人を負うこともあります。

一方商工中金はケースバイケースで保証人が必要です。融資をするうえで返済ができるか判断し、場合によっては保証協会の保証が求められることがあります。詳しくは両機関に相談してみましょう。

融資の内容

日本政策金融公庫は融資内容によるものの、一般貸付では融資限度額4,800万円(特定設備資金の場合は7,200万円)と上限が定められています。

一方商工中金では上限がなく、顧客のニーズや審査状況で限度額を定めます。もちろん日本政策金融公庫ではさまざま企業を支援する融資が数多くあり、数億円にもなる融資を行うケースもあります。

一概に商工中金の方が多く借入できるというわけではありませんが、限度額が定められていない以上多額の融資を受けられる可能性もあるでしょう。

預金・決済機能

日本政策金融公庫は預金機能がありません。民間の金融機関を指定して、融資が振り込まれ返済していくことになります。

一方商工中金には預金機能や決済機能がついています。融資された金額を把握するだけでなく、毎月の支払いなども確認することが可能です。

資金調達手段

日本政策金融公庫は財政融資借入金や政府保証債、国債など政府から資金調達を行っています。商工中金は構成員や信託預金などから資金調達しているため、政府に依存していない特徴があります。

商工中金のメリット・デメリット

ここでは商工中金を利用するメリット・デメリットを紹介します。

商工中金のメリット

商工中金は民間の銀行やローン会社より金利が低い特徴があります。もちろん金融機関や金融商品によって金利は異なるため一概には言えないものの、毎月の返済額を抑えることができます。

特に近年ではコロナウイルスの影響により業績不振となっている企業も多く、少しでも返済を抑えたい方の助けになります。さらに返済には猶予期間も設けられているため、ある程度資金を貯めてから返済することも可能なメリットがあります。

商工中金のデメリット

商工中金の融資を受けるには以下のいずれかの指定団体に加入している必要があります。

  • 中小企業等協同組合:事業協同組合/事業協同小組合/火災共済協同組合/信用協同組合/協同組合連合会/企業組合

  • 協業組合

  • 商工組合/商工組合連合会

  • 商店街振興組合/商店街振興組合連合会

  • 生活衛生同業組合/生活衛生同業組合連合会/生活衛生同業小組合

  • 酒造組合/酒造組合連合会/酒造組合中央会

  • 酒販組合/酒販組合連合会/酒販組合中央会

  • 内航海運組合/内航海運組合連合会

  • 輸出組合/輸入組合

  • 市街地再開発組合

団体に加入すること自体は難しくありませんが、加入費用や年会費などが発生します。決して高い価格ではないため大きなデメリットではありませんが、民間の金融機関などと異なり商工中金の融資を受けるためには費用が発生すると理解しておきましょう。

さらに商工中金は全国(海外を含めて)106店舗しかありません。1都道府県に2店舗程度なため、店舗まで足を運び手続きするのに時間がかかる点もデメリットの一つとして挙げられます。

まとめ

商工中金は指定団体に加入した中小企業へ融資を行う政府系の金融機関です。

日本政策金融公庫と異なり、個人や起業した事業者への融資は行いません。

しかし、民間の金融機関と比較すると安い金利で借入できることもあります。中小企業で資金調達したい方は、ぜひ一度相談してみてください。

補助金の審査においても資金調達の方法は重要です。専門家に相談し、様々なオプションを検討してみてください。

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