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ものづくり補助金の実績報告とは?概要や手順、注意点について解説

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等を対象とした補助金で、自社の革新的技術・商業・サービスの生産性を向上させるための設備投資に対して、国が補助金による支援を行う制度です。

ものづくり補助金の具体的な補助対象としては、革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資などがあります。

しかしものづくり補助金の入金を受けるには、申込みから審査、採択から補助金支給まで様々なプロセスがあります。審査で採択が決まってからも、交付申請、補助事業の実施、遂行状況報告など、様々な実施要件が待ち構えています。中でも、補助金額を確定する重要な受給手続きである実績報告の手続きに頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで本記事では、ものづくり補助金の実績報告について、その概要や手順、注意点など詳しく解説します。

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ものづくり補助金の実績報告とは

ものづくり補助金の実績報告とは、事業計画に沿って実施した補助事業の完了後、補助事業の具体的内容とその成果を記載した実績報告書を作成して事務局に提出するものです。

併せて、実際に購入した機械装置等に関する費用(支出)の証拠書類を揃えて提出し、補助金交付額の確定準備を行います。

またこれらの資料一式を実績報告資料といいます。

ものづくり補助金の採択後の流れ

ものづくり補助金制度における実績報告の位置づけ確認のため、採択後の流れをここで押さえておきましょう。

下図はものづくり補助金のスキームです。

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出典:ものづくり補助金公募要領16次締切分

ものづくり補助金事務局から採択の通知が届き、補助事業者が交付申請を行い、交付決定がなされると、補助事業期間に入ります。(図③~⑤)

この補助事業期間内に補助事業者は、事業計画に基づく設備投資、購入物品等の納品、検収支払等の事業上必要な手続きを全て完了させる必要があります。

その後に、補助事業の実施結果を記した補助事業実績報告書と必要書類を併せて事務局に提出します。この手続きが実績報告です。

その後、事務局が実績報告書の内容を確認して、確定検査でも問題がない場合、ここで補助金額が確定し、さらに補助事業者が補助金を請求、事務局が振込みすることで補助金の交付手続きが完了します。

このように補助金額に直接影響する手続きが実績報告なのです。

ものづくり補助金の実績報告の提出方法

ものづくり補助金の実績報告の提出方法について、以下のフローチャート図を参考に解説します。

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出典:ものづくり補助金「実績報告資料等作成マニュアル」

実績報告資料は内容が多岐にわたるので、全国事務局への報告手続きを円滑に進めるため、まずは担当の地域事務局にて事前確認を行います。

そこで補助事業者は実績報告資料を作成したら、資料データを電子メールに添付して地域事務局宛送信して確認依頼します。

その後、地域事務局で内容確認を行い、必要があれば補助事業者に修正依頼し、最後に補助事業者宛て確認完了済みの連絡を入れます。

地域事務局による事前確認完了後、補助事業者は全国事務局宛、実績報告をします。その際、実績報告資料の提出はjGrants(※)を利用してデータ入力します。

※jGrants(Jグランツ)とは、経済産業省が2020年4月にリリースした電子申請システムです。それまでの補助金申請の準備に時間と手間が掛っていた問題を解決し、申請手続きをスムーズに行うため導入されました。jGrantsでは、申請手続きが24時間365日できたり、申請可能な補助金を検索できたりします。また申請後もマイページから自社の申請状況が確認可能です。

実績報告資料の構成

実績報告資料の構成について解説します。

ものづくり補助金の実績報告に必要な実績報告資料には、費目共通で作成するものと費目別に作成するものの2区分あり、各様式はものづくり補助金総合サイトの「補助事業の手引き」→「実績報告書関連資料」からダウンロードして利用できます。

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出典:ものづくり補助金「実績報告資料等作成マニュアル」

費目共通

費目共通の各フォルダーに入れる資料(必要データ)は以下の通りです。

フォルダー

必要データ

A-1実績報告書

①実績報告書

②経費明細表

③取得財産等管理台帳

④試作品等(成果)受領書

A-2出納帳

①預金出納帳、現金出納帳

②通帳コピー(表紙含む)

A-3預り金

①預り金元帳

②納付書コピー

費目別

費目別各フォルダーに入れる資料(必要データ)は以下の通りです。

フォルダー

必要データ

経理書類一式(費目別に作成)

①見積依頼書(仕様書)

②見積書

③相見積書

④注文書(契約書)

⑤受注書

⑥納品書

⑦請求書

⑧振込依頼書

その他(費目別に作成)

①費目別支出明細書

②画像データ

③受払簿

実績報告資料の作成手順

実績報告資料(提出書類)の標準的な作成順序及び作成内容は以下の通りです。

手順1)証拠書類の整備(経理書類の整備)

機械装置費などの費目ごとに、管理№をつけて経理書類を整備します(見積依頼書、見積書、相見積書、注文書・契約書、受注書、納品書、請求書、振込依頼書等)。

手順2)金額面の整備

費目別支出明細書の整備

費目ごとの支出一覧表を作成します。

次に経理書類につけた管理No.の順に記載します。

経費明細書の作成(様式6の別紙2を利用)

経費明細表を作成します。その際、表の左側に交付決定額または変更申請額を、右側に実績額を記入します。

その際、費目別支出明細書からの転記ミス、端数切り捨てなどの端数調整ミス、合計行の加算ミスなどが多いので注意して下さい。

手順3)内容面の整備

実績報告書の作成/様式6の別紙1を利用

補助事業の実績内容を記載します。

交付申請時に作成した事業計画に対して、事業期間内に実施した取組内容、スケジュール、発生した課題、成果などを具体的に記載します。

その他必要書類の作成

取得財産等管理台帳、出納帳、通帳コピーなどの帳簿関連書類や各種写真を整備します。(様式第7を利用)

また補助対象とする経費に応じて、預り金元帳、納付書コピー、受払簿、様式第6の別紙3など、各種必要な書類を作成します。

手順4)地域事務局宛、電子メールで実績報告資料を送付

手順5)全国事務局へ報告(J-Grantsへの入力)

地域事務局の確認完了後、J-Grantsに補助対象経費や補助金額などを入力の上、全国事務局へ報告書を提出します。

実績報告書作成時の注意点

実績報告資料を作成する際の注意点は以下の3つです。

実績報告書の作成期限を守る

実績報告書の作成においては、その作成期限を守ることが大事です。

実績報告書の提出期限は、以下のいずれか早い日となります。

  • 補助事業の完了日から起算して30日を経過した日

  • 交付決定通知書記載の補助事業完了期限日(※)

※補助事業完了期限日とは、交付決定日から10ヶ月以内 (ただし、補助金交付候補者の採択発表日から12ヶ月後の日まで)

経理書類の日付に注意する

実績報告資料の作成では、経理書類の日付にも注意を払っておくことが大切です。

経理書類については、見積依頼日~補助事業完了日まで、下図のように日付の整合性がとれていることを確認しておく必要があります。

ただし、契約上、着手金や中間払いなど、先払いが発生している場合は、請求日・支払日が納品日より前でも構いません。

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出典:ものづくり補助金「実績報告資料等作成マニュアル」

写真の撮影時期と画像データの保管に注意する

実績報告資料では、重要な資料のひとつに画像データがあります。実績報告資料の作成では、写真の撮影時期と画像データの保管に注意して下さい。

補助事業実施期間中には、後の実績報告に使用するため、様々な状況の写真(事業実施前後の画像データ等)を撮っておく必要があります。特に機械装置等の納品時などの写真は、後で撮り直すことが難しいので注意して下さい。

また、原材料など量の多いものは、その数量(個数)が分かるように撮影し、機械装置の特別な付属品等がある場合は、それらの写真も必要です。

撮影した写真(画像データ)は、事務局にて別途準備する台紙ファイルに添付の上、実績報告資料として費目別に作成するフォルダーに収録します。

補助事業実施期間中に撮影した各々の写真がどこにあるか、実績報告時にすぐに取り出して活用できるよう、画像データの保管及び場所には十分注意を払って管理しておいて下さい。

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出典:ものづくり補助金「実績報告資料等作成マニュアル」

まとめ

ものづくり補助金の実績報告について、その概要や手順、及び作成上の注意点など詳しく解説しました。

実績報告はものづくり補助金受領への重要な手続きのひとつです。

実績報告の資料作りはその内容が多岐にわたり、少しの気の緩みや不注意が必要書類の漏れにつながり、後に修正のため多大な労力と時間の浪費につながります。

そのようなロスを避けるためにも、実績報告の作業では、補助金申請に精通した専門家のアドバイスや支援も受けて、漏れのない正確な実績報告資料の作成と事務局への報告を行うようにして下さい。

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