新型コロナウイルスの感染症の影響により、依然として外食産業は大きな影響を受けています。
そこで東京都中小企業振興公社は、デリバリーやテイクアウトを検討中の外食産業の事業者向けに「業態転換等補助金」という補助金制度を設けています。
本記事では業態転換等補助金について対象者や補助額、申請方法をわかりやすく解説していきます。
業態転換等補助金は、執筆現在で第24回が公募中ですので、まだ十分間に合います。
新型コロナウイルスのような感染症がいつ流行するか分からない上に、外食の捉え方は変わり続けています。
この激動の時代に、上手くこちらの制度を活用してみてはいかがでしょうか。
業態転換等補助金とは、都内で飲食業営む中小事業者が、新たにテイクアウトや宅配、移動販売を始める取り組みの初期費用を一部負担してもらえる制度です。
デリバリーを始めようと思っている
テイクアウトも検討している
上記のような方が対象です。
対象者は東京都内で飲食業を営んでいる中小企業や個人事業主も該当します。
なおその場で調理したものを提供できるイートインスペースを既に持っている事務所に限定されています。
そのため、これから店舗を作るという方は対象外となりますので注意しておきましょう。
助成限度額は100万円で、助成率は経費の4/5以内(千円未満切り捨て)となっています。
交付が決定した日から令和5年1月31日(火)までの最長3カ月間の有効期限が設けられています。
もしも11月30日以降で交付が決定して期限まで3ヶ月未満の場合でも、期限過ぎの補助も対応してもらえるので安心です。
その際は、契約書や納品書等を提出し支払いが確認できるように準備をしておきましょう。
以下が助成対象となる経費の一覧です。
すべて対象となる例には文章の頭に「新たに実施するテイクアウトや宅配、移動販売のための」という文脈がついていると考えて差し支えないです。
経費の種類 | 上限額 | 対象となる例 | 対象外となる例 |
---|---|---|---|
印刷物制作費 | 30 万円 | ・チラシ・ポスターの制作 ・印刷費、レイアウト費 | ・試供品、ノベルティ ・セルフコピー費用 |
広告掲載費 | 20 万円 | ・折り込みチラシ、新聞への広告掲載費 ・デザイン費、撮影費 | ・求人、懸賞 ・期間外に掲載しない広告 |
PR映像制作費 | 20 万円 | ・動画制作委託費 | ・事業者自身が自主制作したもの ・未公開のもの |
WEBサイト等制作委託費 | 50 万円 | ・コンテンツ制作委託費 ・予約受付システム搭載費用 ・サーバーレンタル料 | ・運用費、管理費 ・他者管理のサイトや SNSの一部経費 |
看板等の制作費等 | 20 万円 | ・のぼり・看板・POPの制作費、設置費 ・旧看板の撤去費 ・デジタルサイネージの購入 ・リース・レンタル料 | ・申請者以外の事業者名やブランド名が記載されているもの ・セルフコピー ・有料コンテンツ利用料(時事ニュースや映画、音楽) ・期間外に使用するリース・レンタル料 |
車両費 | 20 万円 | ・デリバリーバイク等のリース、レンタル料 (最長3ヶ月間 | ・車両購入費 ・維持手数料(ガソリン代、車検代) ・リース、レンタル関連保険 ・自分の加入保険 |
通信機器・サービス等 | 10 万円(通信機器・サービス購入) 15 万円(タブレット端末等の購入) | ・WiFi、機器本体購入費 ・設置工事費 ・タブレット端末購入費 ・QR コード決済機器の購入費 ・レジプリンター | ・来店客または従業員向けのインターネット通信料 |
梱包・包装資材等 | 15 万円 | 以下の購入費 ・はし等の食器類 ・包み紙 ・手提げ袋 ・おてふき ・ナイロン手袋 ・調理器具 | ・器具の買い替え |
宅配代行サービス等利用 | 最長3ヶ月間 | ・初期登録料 ・月額使用料 ・配送手数料 | ・3ヶ月を超えるもの |
営業許可等取得手数料 | - | ・営業許可取得の経費(既に入手している営業許可書以外) | ・初めて飲食店を開く際に必要となる飲食営業許可 |
店舗等内装工事 | 50 万円 | ・テイクアウト用小窓の設置、ショーウィンドーの設置 ・自費購入の移動販売用車両の制作、改造費 ・車両設置の器具設備費(換気設備、保管設備、洗浄設備等) | ・トイレのリフォーム工事 ・居住地、客席等と混同して行う内装工事 |
デリバリーなどを始めた際の広告や宅配のための車両費など、幅広い経費が対象となっています。
これらの経費は見積書や契約書、領収書、振込控えなどがなければ対象外となるため、必ず補助金申請までは取っておきましょう。
なお、親会社や小会社、グループ会社との取引は対象外ですので念頭に置いておくことをおすすめします。
申請するためには大きく分けて5つの条件を満たしていないといけないので、申請前に確認をしておきましょう。
1.中小企業者である
資本金・出資総額が 5,000 万円以下、または常時使用従業員数が 50 人以下
2.東京都内で飲食事業を営んでいることが以下で確認できる
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で所在地が都内になっている
都税事務所発行の「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」を提出できる、など
3.1期以上の決算を経て、税務署の受付印のある直近1期分の確定申告書が提出できる
※1期に満たない場合は代表者の直近の「源泉徴収票」、個人事業者なら直近の「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」
4.保健所の許可を取得しており、各許可書等の写しが提出できる
5.その他、以下全てに該当する
他制度(補助金等)や第1回の本補助金制度の受けていない
東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていない
過去に助成を受けて、不正等の事故を起こしていない
事業税等の滞納がない
暴力団関係者でない
民事再生法又は会社更生法による申立て中ではない
必要書類をすべて提出できる
上記を満たしていても対象外となる事業内容としては以下の通りです。
風俗関連業
ギャンブル、賭博
連鎖販売取引
ネガティブ・オプション(送り付け商法)
催眠商法
霊感商法
つまり、一定規模以下の適切に営業できる飲食業の事業者が対象になっているといえます。
以下の図のように、各種書類を用意し申請書を提出した後、実際に事業を行って発生した経費を申告、審査完了後に補助金が支払われる流れとなっています。
引用:飲食事業者の業態転換支援事業 | 事業 | 東京都中小企業振興公社 (tokyo-kosha.or.jp)
申請方法は以下の通りです。
申請書を作成(公式サイトからダウンロード)
添付書類を用意(内容は後述)
事務局宛へ郵送
審査後、順次決定
決定後は事業を行い、発生した補助金を申請していきます。
なお補助金は後払い方式になっているので、注意をしておきましょう。
直近の第24回の申請期限は「令和4年7月1日(金)~令和4年10月31日(月)【当日消印有効】」と定められています。
なおこの第24回が最終受付日となりますので、申請を検討している方は忘れないようにしましょう。
主な必要書類は以下の通りです。
交付申請書
履歴事項全部証明書、または開業等届出書の写し
納税証明書
直近1期分の確定申告書の写し(未決算企業は、代表者の直近の源泉徴収票の写し)
食品関係営業等の許可書の写し
申請金額根拠資料の写し
申請書はもちろん、自分が都内で飲食業を営んでいることを証明する必要があります。
もしも書類不備等があれば申請内容は却下されてしまいますので、最終期限ギリギリに提出せずに早めの対処を心がけておきましょう。
書類の提出方法は郵送のみとなっています。
窓口への持参、ファックスや電子申告はできませんので、注意しておきましょう。
送付先は以下の通りです。
〒101-0029 東京都千代田区神田相生町1番地 秋葉原センタープレイスビル15階 公益財団法人東京都中小企業振興公社 業態転換事務局 |
簡易書留などを活用して記録を残すことを忘れないようにしてください。
また書類提出時にはいくつかのポイントを抑えて提出しなければなりません。
申請書は A4用紙に片面で出力(ホッチキス留め不可)し、実印で押印
提出書類は返却不可
申請書類は必ず紙に出力した写しを保管
受付期間最終日の時点で不備があれば非承認
提出者や連絡担当者は、事業者の役員か従業員のみ
ホッチキスで止めずに全てコピーし保存しておくようにしましょう。必要に応じて追加資料の提出が求められることもあるので、余裕を持って手続きすることをおすすめします。
以下は要項に公開されている必要書類の一覧表です。書類の用意忘れがないよう確認しながら、準備を進めておきましょう。
引用:01_youkou.pdf (tokyo-kosha.or.jp)
今回紹介してきた外食産業向けの業態転換等補助金は、テイクアウトや宅配、移動販売など変わりゆく外食へのニーズに幅広く対応するための支援を目的としています。
店舗運営だけではなく、コロナ禍での外食の在り方を見据えて事業を発展させていきたい方はぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
第24回の最終受付は10月31日までなので、まだ十分間に合います。
申請時には前述したチェックシートを確認しつつ、焦らず不備がないように書類を揃えておきましょう。