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事業売却とは?目的、売却価格の算出方法、メリット、デメリットを詳しく解説

経営財務
M&A・事業承継
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更新:2024/02/04

自身の事業を売却し、まとまった資金を得たいとお考えの経営者の方は多いのではないでしょうか?そんなときに有効なのが事業売却です。

事業売却とは、会社や個人事業主が行っている事業の一部を切り取り第三者に売却する行為のことです。売却するのは当該事業に係る資産や負債だけでなく、商品、ブランド、販路、事業部門で働く従業員も対象となります。

本記事では事業売却を取り上げ、その目的、売却価格の算出方法、メリットやデメリットなどを詳しく解説します。

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事業売却とは

事業売却とは、会社や個人が運営する事業の一部、または全部を取り出して売却することを指します。事業部門を他社または個人に譲ることから事業譲渡ともいいます。

例えば飲食事業としてAとBという異なる商品を取り扱っている会社があるとします。この会社が不採算のB部門を事業売却で他社に譲渡すれば、以降、買い手は自社事業に加えてBの部門を運営することになり、売り手はAという商品のみで会社運営していくことになります。

事業売却の目的

事業売却の目的は主に2つあります。それは経営の効率化と事業の再建です。

経営の効率化

会社が赤字の事業部門を抱えていた場合、赤字部門を他社に売却することで会社全体としての利益率を高められます。

また事業売却によって余剰となった経営資源(機械設備や人員等)を主軸となる事業部門に集中投下することで、会社全体としての成長率を高めることもできます。

事業の再建

経営者に後継者がおらず、問題を放置すれば廃業の可能性が高い場合、主軸となる事業を第三者に売却できれば経営権が移行して廃業を避けられます。

さらに後継者が事業を引き継げば、事業部門で働いていた社員の雇用も守れて取引先も温存でき更なる事業の成長も期待できます。

事業売却と会社売却の違い

事業売却とよく比較されるのが、会社売却です。事業売却と株式売却の違いは売却の対象が異なる点です。

会社売却の場合、売却対象が会社の株式となります。会社売却では、他社(含む個人)が当該会社の株式を100%取得すれば、会社自体を所有できます。

一方事業売却の場合、対象は会社の事業そのものとなります。事業の売却を受けても、それはあくまで対象事業に係る権利義務を引継いだに過ぎず、当該会社自体を所有したことにはなりません。

したがって事業売却では、手続きとして当事者間で事業売却契約を締結しただけでは不十分で、法的に有効とするためには、株主総会の特別決議など、会社法上、必要とされる手続きを事業売却の効力発生の前日までに行っておく必要があります。

事業売却の取引価格の相場と算出方法

取引価格の相場

事業売却で事業を譲渡する際、取引価格を算出することは容易ではありません。

売り手買い手双方の思惑も異なりますし、事業規模や財務状況、熟練社員の有無や販路の有無等の条件で事業の価値が大きく変わってくるからです。

したがって実務上、上場していない中小企業などが事業売却する場合、当該事業の取引価格の相場は、簡便法として年買法を利用して計算することが多いです。

年買法の一般式は以下の通りです。

年買法による事業価値 = 時価純資産 + 営業利益 × ○年分

純資産額はその事業に係る資産額から負債額を控除して算出します。また算式の「○年分」の年数は3~5年程度で計算されることが多いです。

年買法は、M&A取引の実務上、簡便な価値算定方法として使用されることがよくあります。ただし年買法は以下の章で述べる3つの価値算定方法と比べて、必ずしも理論的な方法ではありません。あくまで当事者双方が交渉前に取引相場を把握するために活用する簡便法として理解しておくことが肝心です。

取引価格の算出方法

事業売却は相対取引であり、年買法で算出した相場を参考にはするものの、最終的には売り手買い手の交渉によって決定されます。したがって、より精度の高い価値の算出を行う必要があります。

一般的に当該事業の価値算定方法には主に以下の3つの方法があります。

  • 類似会社比較法(マルチプル法)

  • DCF法

  • 時価純資産法

類似会社比較法(マルチプル法)

類似会社比較法とは、自社に類似した上場企業の株価の相場をもとに事業価値を算定する方法です。

類似した上場企業の売上高、営業利益、純資産、EBITDAなどの財務数字に一定の倍率(マルチプル)を乗じて、その事業の価値算定をします(実際には詳細な算定式がありますがここでは割愛します)。

DCF法

DCFはディスカウント・キャッシュフローの略で、その事業で将来獲得できると見込まれるキャッシュフローの総額を現在割引価値に引き直して事業価値を算定する方法です。

「対象事業の将来価値をどう見るか」という評価程度により事業価値が大きく変動します。

そのためいかに合理的な計画が策定できるかが評価の重要ポイントになります。

時価純資産法

時価純資産法とは、その事業が有する資産の時価から負債の時価を控除して事業価値を算定する方法です。

時価をどう算定するかという技術的な問題はありますが、比較的簡単な算定方法なので小規模な事業売却の場合の評価に活用されやすく、当該事業が赤字でマルチプル法やDCF法が使えない場合、この算定方法が使われることもあります。

上記3つの算定法はいずれかを選択するのではなく、会社の置かれている状況によって、単独もしくはミックスして臨機応変に使うのが適切な活用方法です。

事業売却のメリット

事業売却において、売り手及び買い手、双方から見たメリットは以下の通りです。

売り手のメリット

売却資金が得られる

売却資金は他の用途にも使えます。例えば運転資金に充てられるほか、負債の返済、新規事業への投資もできます。

主力事業に集中でき経営が安定する

赤字事業など、不採算部門を事業売却できれば、分散していた人材・設備等を主力事業に集中できるので経営の安定化が図れます。

売却後も会社や従業員が残せる

事業売却は会社ごと売却することでないので、売却部門を除き会社は残せます。

さらに売却した事業部門で働いていた社員も、本人が希望すればそのまま会社に残せるので、配置替え等でそのまま会社で雇用可能です。

買い手のメリット

買収対象の事業範囲を指定できる

事業売却の場合、会社売却のように会社ごと買うのでなく、買い手が欲しい部分だけ指定して買い取れます。

その結果、投資額を抑制できたり、買収監査(デューデリジェンス)の費用を少なく抑えられることもあります。

買収のリスクを減らせる

会社によっては、表面化していない税務や法務リスクなど様々なリスクを抱えています。会社売却の場合、それらのリスクをそのまま引き受けることになります。

しかし事業売却なら欲しい事業部門だけ指定して買収するため、監査の範囲を限定でき、事業売却に伴うリスクの移転も最小化できます。

「のれん」で節税できる

「のれん」とは、会社や事業が有する目に見えない「利益を生み出す源泉」のことで、具体的にはブランド、熟練社員、販路や取引先などのことをいいます(会計上「のれん」は営業権と呼ばれています)。のれんの資産価値は、実務上、買収価額と売却対象企業の純資産との差額で計算されます。

買い手はのれんを資産に計上できるため、20年以内の期間において、定額法その他の合理的な方法で規則的に償却が可能となり、節税につながります。

参考:企業会計基準21号「企業結合に関する会計基準」/のれんの会計処理

事業売却のデメリット

事業売却において、売り手及び買い手、双方から見たデメリットは以下の通りです。

売り手のデメリット

手続きに時間と手間がかかる

会社売却なら株式譲渡で経営権が移行すれば、それで基本的な手続きは済みます。

しかし事業売却の場合、譲渡契約だけで手続きは完了せず、その事業が持っている全ての契約を個別に再契約する手続きが必要です。

売却対象の事業に資産や債務に関する契約があれば、関係者とそれぞれ再契約が必要ですし、売却事業に係る従業員や取引先がいてそれを引き継ぐなら、やはり個別に説明や承諾などの手続きが必要になります。

事業売却では手続きが非常に複雑になってしまうのです。

事業ごとに財務諸表の作成が必要

事業売却の場合、買い手は当該事業の買収価格を算定する必要があります。

買い手が事業の買収価格を算定するためには、その事業部門の個別の財務諸表が必要なので、売り手は事業部ごとに分けた財務諸表を作成しなければならず、余分な手間がかかることになります。

売却益に税金がかかる

事業売却で売り手に売却益が生じた場合、それに対して法人税(個人の場合は譲渡所得税)が課されます。

合併、株式移転等の組織再編では譲渡損益の繰延が認められ税金は課されませんが、事業売却は税制適格要件を満たさないため、売却益に税金が課税されてしまうのです。

買い手のデメリット

買収の手続きに手間と時間がかかる

これは売り手のデメリットと同じですが、買い手側でも売り手側の資産や負債を個別に移動する手続きが発生するので、会社売却に比べて手間や時間を必要とします。

取引に消費税がかかる

株式譲渡の場合は会社を丸ごと買うので消費税の支払は発生しません。

一方事業売却の場合、売り手から買い手へ移動させる資産に消費税の課税対象資産が含まれていれば、買い手側に消費税の支払義務が生じます。

消費税の分だけ買い手の買収金額が増えてしまうのです。

事業売却時の注意点

事業売却する際の注意点は主に以下の2つです。

取引の妥協点を事前に大まかに決めておく

取引においては、売り手買い手とも、事前に取引価格や諸条件を大まかに決めて交渉に臨みましょう。

双方に妥協点がなく売却額(買収額)に大きな開きがあると、事業売却は成立しません。

その点、事前に大まかな妥協点を決めておくと、交渉相手が様々な条件を持って交渉に揺さぶりをかけてきても、条件が妥協点の一定範囲に収まっていれば、双方が譲り合うことで互いが妥協しやすくなります。

契約締結の最後まで冷静に交渉する

事業売却では契約締結の最後まで冷静に交渉することが重要です。

事業売却においては、当初の意思決定から交渉を経て契約締結まで一定の期間がかかります。

その間、特に交渉時は価格や条件をめぐって双方が感情的になりがちです。

しかし感情的になってしまえば、相手の出した条件を冷静に判断できず、最悪の場合、対立からせっかく得た商談の機会を失ってしまうこともあります。

もし感情的になってしまった場合は一旦冷静になり、条件を持ち帰って「どの部分は譲れて、どこは絶対譲れないのか」を客観的に判断し、再交渉に望む姿勢と努力が必要です。

そうすればやがて交渉点が絞られ、契約締結の可能性が高まってきます。

まとめ

会社や個人事業主が事業売却を行う際の目的、売却価格の算出方法、メリット及びデメリットを詳しく解説しました。

年買法など簡単な価格算出方法をご紹介しましたので、興味のある方は一度算出した上で、メリット、デメリットを踏まえ取り組んでみてください。

また事業売却を行う際、最も難しいのはその事業を欲する買い手を探すことです。

実際に事業売却を成約させるためには様々な分野の専門家のサポートも必要でしょう。

事業売却を成功に導くため、本記事を参考に、ぜひ理想的な交渉相手を見つけて下さい。

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