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個人事業主が事業承継する方法とは?承継の対象、具体的な方法、承継先の探し方から個人版事業承継税の活用方法まで解説

経営財務
M&A・事業承継
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更新:2024/02/04

この記事では、個人事業主の方が事業承継をする方法について解説します。

近年では、個人事業主の方からの事業承継を積極的に推進するために、贈与税・相続税の納税が猶予される個人版事業承継税制が整備されるなど、事業承継に取り組みやすい環境が整っています。

この記事を参考して、ぜひ事業承継について理解を深めていってください。

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個人事業主の事業承継とは

個人事業主が事業を承継する場合、単に事業に関する財産を引き継げばそれで良いということにはなりません。個人事業主の方が事業承継を行う場合には以下のポイントに注意しながらそれぞれの要素について承継する必要があります。

  • 人(経営)の承継

  • 資産の承継

  • 知的資産の承継

以下では、それぞれの要素についてポイントを解説していきます。

人(経営)の承継

個人事業主の方が事業を承継するうえでは、人(経営)の承継が欠かせません。

個人事業主の場合、その多くが親族に事業を承継していることが多いです。そのため、個人事業主においては、早期に「親族内」の後継者を確保することが重要であり、後継者候補が「事業を承継したい」と思えるような経営状態を確保することが不可欠であると考えられます。

後継者育成の手法としては、自社内で経験を積む内部昇格のパターンが多いものの、同業他社での経験を積むパターンも存在します。後継者は、事業のすべての側面について十分に理解している必要がありますので、定期的なトレーニングやミーティングを通じて、後継者のスキルや知識を継続的に向上させなければなりません。

どちらが後継者の育成方法として優れているかは業種によるので、業種等の事情に応じて、適切な経験を積ませることが大切です。

個人事業主の事業は、その所有者の価値観や哲学が色濃く反映されるものです。これらの核心的な価値を後継者にしっかりと伝え、継承させることも重要です。

したがって、事業承継において、後継者との早期・丁寧な調整や対話は必須です。後継者との調整や対話は、スムーズな移行期間を保証するためのステップとして欠かせません。

資産の承継

個人事業主が事業を承継する際、資産の承継は非常に重要なステップです。

まず最初に、事業用資産の全体像を把握することが必要です。所有する資産の中で、どれが事業継続に必要なものか、また、賃借している資産の詳細やその条件も明確にしなければなりません。多くの場合、個人事業主が保有する事業用資産は、経営者個人の所有物であるケースが多いです。

この場合、先代経営者から後継者に対し、株式や事業用資産を贈与・相続により移転する方法が一般に用いられています。

親族内での承継の際、贈与や相続による資産移転は、贈与税や相続税の負担を生じさせます。特に、事業承継直後は後継者の資金力が限られていることが多く、納税のための資金調達に頭を悩ませることになります。

適切な税務対策や税額を最小化するための方法を事前に検討し、専門家との相談を行うことが重要です。

個人事業主における事業承継は、ただの経営権(株式)の移行ではありません。資産を中心とした多様な側面が絡み合い、それぞれの側面に対するきめ細やかな対応が求められます。

特に、税務問題や資金調達の問題は、事業承継の成功を大きく左右する要因となるため、これらの問題に対する十分な対策と計画が不可欠です。

知的資産の承継

知的資産の承継は、個人事業主にとって事業の継続性を保つ上で不可欠な要素です。知的資産は、技術やブランド、ノウハウやビジネスモデルなど、形にはならないが事業の価値を形成する要素のことを指します。

まず、事業に関わる全ての知的資産を明確に洗い出すことが必要です。これには、特許や商標、著作権、ノウハウ、顧客リスト、契約関係などが含まれます。

個人事業主が持っている許認可やライセンスは、そのまま後継者に自動的に移行するわけではありません。必要に応じて、後継者が新たに取得したり、更新したりする必要があるため、早い段階での計画と準備が求められます。

事業の核心となるノウハウや経験を、後継者にきちんと伝えることが重要です。書面にまとめる、実地での研修を行うなど、具体的な方法をとることで、知的資産の承継を効果的に行うことが可能です。

個人事業主の事業承継では、知的資産の正確な承継がその後の事業の成功を大きく左右します。形にならない資産だからこそ、その価値を正しく認識し、適切な手続きや対応を行うことが極めて重要です。専門家や支援機関との緊密な連携を通じて、円滑な知的資産の承継を実現することが求められます。

個人事業主の事業承継の方法

事業承継の方法としては、主に贈与、相続、売却(M&A等)の3つの方法が考えられます。これらの方法にはそれぞれ特徴があり、税制や金銭的な負担、事業の継続性の観点から適切な方法を選択することが必要です。

贈与による事業承継

贈与による事業承継は、事業用資産を無償で後継者に移す方法です。特に、親子や親族間での事業承継の際に多く採用されます。

一方で、贈与を受けた後継者は、その資産の評価額に基づく贈与税の負担が必要となります。

納税資金の確保は後継者の大きな負担となる可能性があるため、計画的な事業承継が求められます。また、資産を有償で低価格で取引する場合、時価との差額が贈与とみなされて税金が発生することもあるため、注意が必要です。

相続による事業承継

個人事業主の死亡時に、相続人が事業用の資産を継承する方法を指します。相続や遺贈の場面で、事業資産を含む全遺産に対して相続税が発生します。

そのため、後継者や相続人が納税資金不足に陥らないようにするための計画が必要です。

さらに、1人だけが事業用資産を相続する場合、他の相続人との間で遺産分割が難しくなることもあります。事前に家族や関係者との認識を合わせたり、法的な制度を利用して対策を練ることが重要です。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、事業用資産を現経営者から他の個人や企業に売却する方法を指します。親族内で後継者が存在しない場合や、事業規模の拡大を図る目的でこの方法が選択されることが多いです。

売却によって得られる利益は所得税の課税対象となり、また、売却を成功させるためには買い手の資金確保や交渉が不可欠です。M&Aの際には、双方の事業戦略の一致や事業文化のマッチングも重要な要素となります。

後継者のいない個人事業主が承継先を探す方法

個人事業主が年齢を重ねると、事業承継を考える場面が訪れます。

特に親族や知人から明確な後継者が見当たらない場合、事業の持続や価値の継承のための適切な承継先を探すことが求められます。

以下は、後継者のいない個人事業主が承継先を探すための代表的な方法です。

M&Aプラットフォームで承継先を探す

M&Aプラットフォームは、企業間の合併・買収を支援する専用のオンラインプラットフォームです。個人事業主が自身の事業を販売する意向を示すことで、買収希望の企業や個人とマッチングが行われます。

多くのプラットフォームには、事業内容、業績、価値評価などの情報を登録・公開することが可能であり、これをもとに適切な買収希望者との接点を持つことができます。

この方法を通じて、自身の事業が持つ価値を適切に評価し、継承してくれる信頼性の高い後継者を見つけることが期待できます。

事業承継・引継ぎ支援センターで承継先を探す

多くの地域には、事業承継をサポートするための「事業承継・引継ぎ支援センター」が存在しています。

これらのセンターは、中小企業や個人事業主が事業の承継・引継ぎを円滑に行うための情報提供やアドバイス、マッチングサポートなどを行っています。

専門家との相談を通じて、事業承継に関する課題や解決策を共有することができ、信頼性の高い後継者とのマッチングの可能性が高まります。

後継者人材バンクに登録する

後継者人材バンクは、事業を継承したいと希望する個人や企業と、後継者を探している事業主とをマッチングさせるための登録制のシステムです。

事業主は、自社の事業内容や希望する後継者の条件を登録し、バンクに登録されている人材とのマッチングを試みることができます。

こうしたシステムを活用することで、事業の継承意向や経営哲学が合致する後継者を効率的に探すことが可能になります。

個人版事業承継税制を活用した事業の承継

個人版事業承継税制とは、日本において、中小企業者や個人事業主が事業を承継する際に発生する贈与税や相続税の負担を軽減するための税制のことを指します。この税制は、中小企業の経営の継続や地域経済の活性化を目的としています。

具体的には以下のような特例措置が設けられています。

税額の軽減

事業承継の際の資産評価の特例や、贈与税・相続税の特例計算方法があります。これにより、税の負担を軽減することが可能になります。

税額の分割・延納

 一定の要件を満たす事業承継の場合、税額を分割して納付することができる制度や、税金の支払いを一時的に延期する制度もあります。これにより、事業承継直後の資金繰りの負担を和らげることができます。

中小企業者等に対する贈与税の非課税措置

一定の要件を満たす中小企業者や個人事業主が事業を親族に無償で承継する際、贈与税が非課税となる特例も設けられています。

これらの措置は、後継者が不足する中で、中小企業や個人事業主の事業承継を円滑に行うための支援策の一部として導入されています。

事業承継に際しては、税務に関する知識だけでなく、専門家や税務署などの相談窓口を活用することで、適切な対応が可能となります。

以下では、個人版事業承継税を活用するメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

個人版事業承継税制のメリット

個人版事業承継税制を利用する場合の代表的なメリットは次のとおりです。

税負担の軽減

上述の特例措置を利用することで、事業承継時の税額が大幅に軽減される場合があります。これにより、事業の継続や発展に必要な資金を確保しやすくなります。

資金繰りの安定

納税の分割や延期により、事業承継直後の資金繰りを安定させることが可能です。これにより、事業の運営を円滑に続けることができます。

事業継続の促進

税制の優遇措置を活用することで、後継者が不足している中小企業や個人事業主でも事業の継続がしやすくなります。

個人版事業承継税制のデメリット

一方、個人版事業承継税制には次のようなデメリットもあるので注意してください。

要件の厳格さ

個人版事業承継税制の適用を受けるためには、一定の要件を満たす必要があり、これらの要件が厳格である場合も多くあります。自分だけでこの要件が適用可能かどうかを判断するのも難しいことから、専門家を頼るなどして適用要件をクリアするための手続きや確認が必要です。

将来の制度変更のリスク

税制は政策や経済状況に応じて変わる可能性がある点にも注意が必要です。今後の制度変更によっては、現在の特例措置が変更されるリスクがあります。

情報が不足している

個人版事業承継税制に関する情報が十分に知られていない場合があり、その結果、適切な対応を取り損ねるリスクがあります。個人のみで個人版事業承継税制の手続きをしようとすると失敗しやすいため、税理士などの専門家に頼らなければなりません。

専門家依存になりやすい

正確な適用や対応のためには税務の専門家や税理士の協力が必要となる場合が多いです。そのため、専門家へのコンサルティング料が発生することも考慮する必要があります。

以上のように、個人版事業承継税制には多くのメリットがある一方で、注意点やデメリットも存在します。適切に活用するためには、事前の情報収集や専門家との相談が重要です。

個人版事業承継税制の対象となる資産

個人版事業承継税制の対象となる資産は原則として特定事業用資産のみです。

この特定事業用資産は以下の条件を満たす資産となります。

該当資産の条件

先代事業者(贈与者や被相続人)が事業に使用していた資産で、贈与や相続等の日の属する年の前年分の事業所得に関する青色申告書の貸借対照表に計上されていたものに限ります。

該当資産の範囲

  • 宅地:最大400㎡まで

  • 建物:床面積が800㎡まで

  • その他の減価償却資産

    • 固定資産税の課税対象とされているもの

    • 自動車税や軽自動車税で、営業用の標準税率が適用されるもの

    • その他特定の資産(一定の貨物運送用や乗用自動車、乳牛や果樹等の生物、特許権等の無形固定資産など)

なお、詳細については、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則及び中小企業庁作成のマニュアルをご確認ください。

個人版事業承継税制の適用を受けるための要件

個人版事業承継税制の適用を受けるための要件は以下の表のとおりです。

要件

条件

事前の計画策定

5年以内の個人事業承継計画の提出

(2019年4月1日から2024年3月31日まで)

適用期限

5年以内の個人事業承継計画の提出

(2019年1月1日から2028年12月31日まで)

対象資産

特定事業用資産

納税猶予割合

100%

承継パターン

原則、先代一人から後継者一人

※一定の場合、同一生計親族等からも可

贈与要件

その事業に係る特定事業用資産のすべてを贈与すること

雇用確保要件

雇用要件なし

経営環境変化に対応した減免等

あり

※後継者が重度障害等の場合は免除

円滑化法認定の有効期限

最初の認定の翌日から2年間

出所:個人版事業承継税制)|国税庁

正確な要件については、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則及び中小企業庁作成のマニュアルを確認してください。

納税猶予を受けるための手続き

個人版事業承継税制を活用して、贈与税や相続税の納税猶予を受けるためには、以下のような手続きが必要です。

  1. 個人事業承継計画(様式第21の3)の提出【提出期限:令和6年3月31日】 ※令和6年3月31日までに個人事業承継計画を提出する場合は、(3)認定申請書との同時提出も可能です。

  2. 贈与の実行・相続の開始

  3. 愛知県へ認定申請​書の提出 ※認定申請には提出期限があります。期限までに申請いただけない場合は納税猶予を受けることができませんので御注意ください。

  4. 税務署へ納税申告・担保の提供

  5. 【申告期限後】税務署へ継続届出書の提出(3年に1回)

なお、詳細については、中小企業庁作成のマニュアルを確認してください。

まとめ

個人事業主の方が事業承継を行う場合、相続や贈与の形態をとることが最も一般的ですが、第三者に承継する場合には、M&Aを活用した承継も行われます。

後継者が親族内や従業員のなかに見つからない場合は、承継先を探さなければなりませんが、M&Aプラットフォーム、事業承継・引き継ぎセンター、後継者人材バンクなど、様々な支援制度があるので積極的に活用しましょう。

個人版事業承継税制を活用すれば、一定期間、相続税や贈与税を猶予することができ、後継者に対する税負担も軽減可能なので、ぜひ積極的に利用してください。

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