企業が、高性能の業務用空調機器(エアコン)を導入する時に、補助金や助成金を利用できるケースがあります。エアコンに関する補助金や助成金にはどのような制度があるのか、また補助金制度を見つけるにはどのような方法を取ると良いのか、事前に知っておくことで制度を適切に活用できます。
この記事では、エアコンに関する補助金・助成金制度について解説します。
業務用エアコンは、企業や公共施設・飲食店など、多くの人が集まる施設で必要不可欠な設備ですが、購入や取り付けには多額の費用がかかります。国および一部の地方自治体では、省エネ・節電効果・CO₂削減など、環境対策への高い有効性が見込まれるエアコンに対して、補助金・助成金制度を設けています。近年では、感染症対策に有効なエアコンの導入に対する補助金制度もあります。
国が行なっているエアコンの補助金・助成金制度は、国土交通省・環境省・経済産業省などが主体となって実施しているものです。主に事業者向けの支援が目的であり、制度の活用により導入コストを大幅に抑えられます。
地方自治体が制定している補助金制度は、自治体ごとで内容や受給対象者がさまざまです。事業者向けの補助金制度では、国の補助金制度に準拠して行っているものがほとんどです。
個人向けの補助金制度は、福祉や地域振興を目的としているケースが多く、利用に関して条件を設けている制度もあります。多く見られるのは、高齢者世帯に向けたエアコン設置の補助金制度ですが、自治体主導ということもあり、購入先の対象地域を限定していることがほとんどです。
なお、業務用エアコンの導入・入れ替えについては、初期費用0円のリースで行うことも可能です。例えば、ACNは独自の保証プランがあり設置後も安心して利用できます。設置をご検討の方は以下ページもご参照ください。
エアコンに関する補助金制度には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、国・地方自治体で実施されている補助金制度を、いくつかご紹介します。
省エネ・非化石転換補助金は、事業者による省エネ設備への投資や、非化石エネルギーへの転換などを支援する制度です。工場や事業場などで使用する設備を、省エネ性能の高いものへ更新する際に活用できる場合があります。
業務用エアコンについては、設備単位型の対象設備に高効率空調が含まれています。対象となる機器や性能要件を満たせば、既存設備からの更新に補助を受けられる可能性があります。
2026年度は「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金」として公募されており、設備単位型の4次公募は2026年10月5日~10月30日までです。
ただし、すべての業務用エアコンが対象になるわけではありません。指定設備の製品型番や省エネ性能、更新前後の設備の比較など、申請区分に応じた条件を満たす必要があります。また、申請書類の提出方法にも指定があるため、公募要領を確認しましょう。
エアコンの更新を検討している企業は、導入予定の機器が対象設備に該当するか、申請期限までに必要書類を準備できるかを確認することが大切です。
参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」
SHIFT事業は、工場や事業場における温室効果ガスの排出削減を支援する制度です。電化や燃料転換、熱回収などによってCO₂排出量を削減する設備導入や、設備の運用改善などを支援しています。
2026年度も、工場・事業場の脱炭素化に関する支援事業が実施されています。事業区分によっては、空調システムを含む設備の改修などを検討する際に、関連する支援策を確認する価値があります。
ただし、SHIFT事業は、一般的な業務用エアコンの買い替えを幅広く補助する制度ではありません。例えば、省CO₂型システムへの改修支援では、工場・事業場全体で15%以上、または主要なシステム系統で30%以上のCO₂排出削減を目指すなどの要件があります。空調システムの単純な高効率化改修は対象外とされています。
そのため、エアコンを新しい機種に交換するだけの場合は、対象にならない可能性があります。工場や事業場全体で大幅なCO₂削減を計画している企業は、対象事業や申請要件を確認しましょう。
60歳以上の高年齢労働者が安全に働けるよう、暑熱な環境による熱中症予防対策として身体機能の低下を補う装置(機器等の導入・工事の施工等)の導入費用の一部を補助する制度です。
エアコンの設置や更新は、高齢の労働者の健康を守るうえで重要な役割を果たしており、補助金の対象として積極的に取り上げられています。
特に、夏場の熱中症予防や冬季の低体温防止といった観点からも、その効果が高く評価されています。支給される補助金の額は、導入する設備の規模や仕様によって異なりますが、毎年、数十万円から100万円を超える支給が行われるケースもあるのです。
補助金の対象となるエアコンには、地域や使用環境、機器の性能など、複数の基準をクリアする必要があります。
高齢の労働者が作業する場所で使用されること
業務用として継続的に運用される設備であること
エネルギー効率や冷暖房能力といった性能基準を満たしていること
補助金の対象として認定された製品であること など
本補助金は2026年5月20日~11月20日まで公募が開催されています。
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上につながる設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その費用の一部を助成する制度です。
設備投資の内容によっては、業務用エアコンなどの導入が対象になる可能性もあります。ただし、単に古いエアコンを新しい機種へ交換するだけで助成対象になるとは限りません。設備導入によって生産性や労働能率が向上することなど、制度の要件を満たす必要があります。
また、助成を受けるには、設備投資と賃金引き上げの計画を立て、原則として交付決定後に取り組みを実施します。導入を先に進めると対象外になるおそれがあるため、手続きの順序にも注意しましょう。
2026年度の申請受付期間は9月1日から始まっています。申請期限は、事業場の所在地に適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または2026年11月30日のいずれか早い日です。都道府県によってはすでに受付が終了しているため、現在申請できるかを確認してください。
助成上限額や助成率は、賃金の引き上げ額や対象となる労働者数などによって異なります。業務改善助成金については以下の記事で詳しく紹介しています。
参考記事:業務改善助成金とは?上限額や助成率、申請方法を解説
業務用建築物の脱炭素改修に関する支援事業は、既存のオフィスや店舗などを対象に、建物の断熱性能向上や高効率設備の導入を支援するものです。
2026年度は、既存建築物の外皮の高断熱化や高効率空調機器などの導入を支援する事業が予算化されています。空調設備の更新だけでなく、断熱窓や断熱材なども含めて建物全体の省エネ化を進める場合に、関連する制度を確認するとよいでしょう。
ただし、対象となるのは、一定の省エネ性能やCO₂削減効果などの要件を満たす改修です。エアコンだけを単独で交換する工事が対象になるとは限りません。また、予算事業が実施されていても、申請受付中とは限らないため、実際に応募できる公募があるかを確認する必要があります。
建物全体の省エネ改修を検討している企業は、環境省などの公式サイトで2026年度の公募状況や対象経費を確認しましょう。
参考:令和8年度予算「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)」| 環境省
神戸市では、エネルギー価格の高騰に影響を受ける市内事業者を支援するため、省エネ設備更新補助金を実施しています。
対象となる設備には、業務用高効率空調のほか、業務用給湯器、冷凍冷蔵設備、産業用モーター、LED照明などが含まれます。対象要件を満たす設備への更新であれば、エアコンの導入・更新費用について補助を受けられる可能性があります。
補助率は対象経費の2分の1で、補助額は15万円以上50万円以下です。30万円(税抜き)以上の設備投資が必要となります。所定の脱炭素化支援を受けた企業など、条件を満たす場合は上限額が75万円に増額されます。
対象となるのは、神戸市内に事業所を有する中小企業者・中堅企業者などです。新規導入ではなく、既存設備の更新が対象であり、家庭用エアコンは対象になりません。
第3期の申請受付は2026年10月20日から11月13日17時までの予定です。申請を検討している場合は、対象機器や必要書類、交付決定前に設備更新を行わないことなど、募集要領の条件を確認しましょう。
エアコンの補助金制度は、受付期間が短いものも多いです。補助金制度の制定は社会情勢によっても大きく左右されるため、定期的にチェックするのがおすすめです。それぞれの方法について、詳しくご紹介します。
ホームページで、「○○市(事業所の所在地がある市区町村) 補助金」などと検索すると、自治体ごとで実施されている補助金制度の専用ページが検索できます。もしくは、補助金制度をまとめて検索できるサービスを利用しても、補助金制度が調べられます。
インターネットでの検索結果は、過去の実施内容も表示されるため、検索のタイミングによっては補助金の公募が終了している可能性もあります。表示された内容が最新のものであるかを、必ず確認しましょう。
インターネットで検索して補助金制度がヒットしたものの、申請要件に該当するか判断できない場合もあるでしょう。この場合は、直接自治体に問い合わせると疑問が解決できます。
補助金制度の申請に慣れていないと、公募要項の言い回しや表現方法が分かりにくいと感じることもあります。補助金制度の有無だけでなく、申請要件や申請方法など分からない点があれば、その都度問い合わせるようにしましょう。
地域で事業を展開しているエアコン取付業者は、地域の補助金・助成金制度に詳しい場合があります。取り付け業者に相談して情報を入手し、併せて購入や取り付けの依頼なども行うと、スムーズに進められます。
補助金に似た制度として、東京都では、エアコンや冷蔵庫を買い替える際に利用できる「東京ゼロエミポイント」があります。一定の条件を満たすと登録販売店で購入するときにポイント相当額の値引きを受けられます。ゼロエミポイントのように、自治体独自の個人向け制度もありますので、調べてみるのもおすすめです。
参考:東京ゼロエミポイントとは?対象製品・値引き額・申請方法をわかりやすく解説【2026年最新】
今回は、2026年度にエアコンの導入・更新を検討する際に確認したい補助金・助成金制度について紹介しました。業務用エアコンに関する支援制度には、省エネ設備の導入を支援するものや、建物全体の脱炭素化を支援するもの、熱中症対策や生産性向上を目的とするものなどがあります。また、神戸市のように、自治体独自で業務用高効率空調の更新を支援する制度もあります。
ただし、すべての制度でエアコン本体や設置工事が補助対象になるわけではありません。また、制度が継続していても、予算上限に達して受付が終了している場合があります。
補助金を活用する際は、次の点を確認しましょう。
自社や事業所が対象者に該当するか
導入予定のエアコンや工事が補助対象になるか
申請期間内であるか
契約・発注前に必要な手続きを済ませているか
補助金額や助成率、必要書類などの条件を満たしているか
まずは国や自治体の公式サイトで最新の公募情報を確認し、分からない点があれば補助事業の事務局などに問い合わせることが重要です。自社の導入目的や設備の条件に合った制度を選び、計画的に活用しましょう。

