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シェアオフィスとは?シェアオフィスの機能やメリット、選び方などを解説

経営財務
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更新:2024/02/04

リモートワークやテレワークなど、時間や場所にとらわれない新しい働き方が定着したことで、今まで当たり前に存在していたオフィスの見直しを進める企業も増えています。また、フリーランスや個人事業主の方にとって、仕事を効率良く進めるための大きなポイントのひとつが、仕事場所の確保です。

これらの課題をクリアする施設として、シェアオフィスが注目を集めています。この記事では、シェアオフィスについて解説するとともに、シェアオフィスを選ぶコツや注意点などをご紹介します。

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目次
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シェアオフィスとは

シェアオフィスとは、シェアードオフィス(Shared-Office)に由来した言葉です。ひとつのスペースやオフィス家具・OA機器などを、複数の企業や個人が共同で使用するものです。

状況や気分に合わせて、利用者が自由に使えるよう、個室・ブース・パーテーションで区切ったスペース・オープンスペースなど、シェアオフィスごとで多彩なフロア構成がなされています。基本的に専用スペースは設けられておらず、好きな場所を選べるフリーアドレス形式が採用されています。

シェアオフィスでは、企業や職種・業種の垣根を超え、さまざまな人たちが同じ場所で仕事をしており、新たな人脈を築きやすい環境が特徴です。日本では、1980年代の初めに始まったレンタルオフィス事業が、シェアオフィスの元になったとの説があります。

シェアオフィスの需要が増えている理由

シェアオフィスの概念が広まったのは、2005年頃のアメリカが始まりと言われています。日本でも、シェアオフィスが一般的に使われる以前から、弁護士や税理士などの士業が共同事務所を開設するケースは度々見られていました。

シェアオフィスの需要が増えたのは、近年の働き方改革やIT技術の進歩などが理由です。2016年に働き方改革が提唱されたタイミングで、官民あげてテレワークが推進されるようになり、そのひとつとしてシェアオフィスに注目が集まりました。IT技術の進歩により、オフィス以外の場所でも仕事が可能となり、認知度が一気に高まったのです。

そこに、新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、オフィスのあり方が問われるようになりました。テレワークでも可能な作業であれば、オフィススペースの縮小により経費節減ができ、従業員も働く場所の選択肢を増やすことができます。

フレキシブルな働き方を求める人材が増えている現代で、シェアオフィスの存在は自社の将来を左右すると言っても過言ではないでしょう。

賃貸オフィスとの違い

賃貸オフィスは、賃貸物件のオーナーと企業側が一定期間の賃貸契約を結びます。契約のタイミングで、家賃の半年から1年分程度の保証金を支払うため、初期費用が高くなります。物件によっては内装工事が必要となるほか、机・椅子・什器などのオフィス用品も揃えなくてはならず、物件の契約から業務の稼働まで数か月かかってしまうのです。

一方シェアオフィスは、運営会社と利用契約を結び、月額料金もしくは時間料金を支払います。使いたいタイミングのみお金を払って利用できるため、賃貸オフィスよりもコストを抑えられます。オフィス用品や備品はシェアオフィス内に準備されており、契約から即日もしくは数日で利用できるところがほとんどです。

レンタルオフィスとの違い

レンタルオフィスは、個室のオフィスをレンタルで利用し、自分専用のオフィススペースを確保できるタイプです。シェアオフィスはフリーアドレス制となり、自分専用のスペースが持てない点が、双方の大きな違いです。スペースを確保できることで、シェアオフィスよりも価格は高めとなっています。

業種の中には、税理士や宅地建物取引業などのように、開業の許認可に自分専用スペースの確保が条件となるものもあります。このため、これらの業種での開業には、レンタルオフィスの利用が適しています。

コワーキングスペースとの違い

コワーキングスペースは、利用者同士の交流に重点を置いたオフィスです。コワーキングは「協働」を意味しており、異なる企業や業種の人たちが共に働ける場所として提供されています。

コワーキングスペースとシェアオフィスは、どちらも同じスペースを複数の企業や個人が共有して使いますが、シェアオフィスでは利用者同士の交流はほとんどありません。

多くのコワーキングスペースでは、「ドロップイン」という一時利用制度を設けており、利用したい時だけその都度料金を支払います。

シェアオフィスの機能

シェアオフィスが持つ主な機能には、以下の4つがあります。

  • 来客の対応

  • 仕事スペースを提供

  • 住所の利用

  • 電話代行や郵便物の受け取り

それぞれの機能について、さらに詳しく見ていきましょう。

来客の対応

多くのシェアオフィスには、来客や打ち合わせが可能な会議室やミーティングルームを設置しています。これらの部屋の利用料は、シェアオフィスの利用料金に含まれており、部屋の予約が可能であればすぐに利用できます。

仕事スペースを提供

シェアオフィスでは、仕事をするためのスペースに加え、仕事に必要なOA機器や電子機器も全て揃っています。追加で準備する機器はなく、契約後すぐに業務が始められます。

住所の利用

個人事業主やフリーランスでの利用では、相手に住所を教えなくとも、シェアオフィスの住所を業務上の住所として利用可能です。また、シェアオフィスの住所は法人登記の住所として認められており、法人化の手続きにも有利です。

電話代行や郵便物の受け取り

取引先などからかかってくる電話を、シェアオフィスの運営会社が代行で受信したり、シェアオフィスの住所宛に送られてくる郵便物を受け取ったりできるサービスもあります。事業の立ち上げ直後や、業務に集中したい場合にとても便利です。

シェアオフィスのメリット

シェアオフィスを持つ主なメリットは、以下の7つです。

  • コスト削減

  • 快適なワークスペースの確保

  • 法人登記可能

  • 立地の良い場所にオフィスが持てる

  • コミュニケーションを取れる

  • 解約しやすい

  • 会議室が利用できる

それぞれのメリットについて、理解を深めましょう。

コスト削減

「賃貸オフィスとの違い」の項でも触れたように、賃貸オフィスの契約には敷金や保証金のほか、オフィス用品の購入などに多額の費用が必要です。一方、シェアオフィスはこれらの費用は不要であり、入会金や初月賃料を支払うだけですぐにオフィス機能を使えます。

毎月の賃料も、賃貸オフィスに比べシェアオフィスは大幅に安く、立地によっては賃貸オフィスの5分の1程度で利用できるところもあります。これらの点から、賃貸オフィスを利用するよりも、シェアオフィスは大幅なコスト削減が可能です。

快適なワークスペースの確保

仕事をする場所として提供されるシェアオフィスは、仕事に集中できる環境が整っています。安全性が高くスピードも安定したWi-fiサービスの提供や、オンライン会議用の防音室のほか、専門スタッフによる定期清掃も行われています。コーヒーやお茶などが飲み放題となっているシェアオフィスも多く、快適な環境でスムーズに仕事が進むでしょう。

法人登記可能

シェアオフィスの中には、法人登記に必要な所在地として、シェアオフィスの住所を登記できるところもあります。ビジネス拠点として知られる住所を登記することで、企業の信頼性を高められるほか、法人登記による節税対策にも有効です。

法人登記を予定している場合は、シェアオフィスの契約前に登記の可否を必ず確認しましょう。

立地の良い場所にオフィスが持てる

シェアオフィスの多くは、立地が良い場所に所在地を定めています。駅の近くやビジネス街など、利便性や知名度が高い場所にオフィスを持つと、通勤や営業が便利になるだけでなく、その場所にオフィスを構えられるほどの地位や実績があると認められるのです。

企業のブランド力を強め、業績を伸ばしたいと考えている企業には、立地の良いシェアオフィスの利用は有効な手段と言えます。

コミュニケーションを取れる

シェアオフィスで仕事をする共有スペースは、利用者同士でのコミュニケーションの場となっており、情報交換や人脈形成の場として広く活用できます。共有スペースでのコミュニケーションや勉強会などが、新たなビジネスチャンスとなることも珍しくありません。

できるだけ多くの利用者とコミュニケーションを取りたい場合は、交流会を多く開催しているシェアオフィスを契約すると良いでしょう。

解約しやすい

年単位で賃貸契約を結ぶ賃貸オフィスとは異なり、シェアオフィスは1か月単位で契約できる場合が多いです。人員に合わせたオフィスの規模拡大や縮小など、オフィスの運営方法を見直す手段として、シェアオフィスを選択肢に含めるのも得策です。

解約時に必要な手続きや書類の提出期日などは、シェアオフィスの運営会社ごとに定められていますので、契約を結ぶ時点で必ず確認しておきましょう。

会議室が利用できる

シェアオフィスの多くでは、時間単位で会議室のみの利用が可能です。ミーティングや商談などの他に、集中して仕事をしたい・いつもの場所と気分を変えて仕事のアイデアを出したいなど、幅広い場面で会議室が活用されています。

会議室の利用は、契約プランによって条件が異なる場合もありますので、運営会社の規約に従って利用しましょう。

シェアオフィスの注意点

シェアオフィスはメリットが多い反面、注意点も存在します。シェアオフィスの主な注意点は以下の通りです。

  • 充分なセキュリティかどうか確認する

  • 快適な回線速度かどうか確認する

  • 雑音や騒音を確認する

注意点の内容をしっかりと理解し、シェアオフィスを有効活用しましょう。

充分なセキュリティかどうか確認する

シェアオフィスは、出入りする人が決まっている自宅やオフィスとは異なり、不特定多数の人が出入りするスペースです。セキュリティ面の確認はしっかり行わないといけません。特に、一時利用制度を設けているシェアオフィスでは、出入りの監視をどのように行っているか、きちんとチェックする必要があります。

また、インターネット環境のセキュリティについても注意が必要です。セキュリティ体制が十分でないと、無線LANのセキュリティレベルが低いことがあり、情報漏洩の被害に遭ったりウイルスに感染したりするリスクも高まります。もちろん、パソコン画面を開いたまま席を離れることも厳禁です。

多くの人が常に出入りしていることを忘れずに、シェアオフィス内でのセキュリティには十分気をつけましょう。

快適な回線速度かどうか確認する

シェアオフィスを快適に利用できるかは、インターネット回線の速度にも大きく影響されます。ビジネスユースで、大容量のデータをやり取りしたりファイル共有を行ったりする場合、50〜100Mbpsの安定した通信速度を確保したいところです。ただ、利用状況次第で速度が遅くなる可能性もあります。

雑音や騒音を確認する

多くの人が共有スペースを使って仕事をすることから、シェアオフィスは話し声や電話での会話・足音や物音などが気になるでしょう。人の出入りや移動も多く、集中力が削がれるケースも考えられます。

できるだけ静かな環境で仕事をしたい場合、比較的落ち着いたタイミングを見つけるために、時間や曜日を変えて複数回足を運んでみましょう。

シェアオフィスが向いている人

シェアオフィスが向いているかどうかは、業種や職業によります。シェアオフィスが向いているのは、たとえば以下の職業です。

  • コンサルタント

  • ECサイト・ネットショップ運営者

  • ライター・映像制作者・デザイナー

  • Webエンジニア

それぞれの業種が、どのようにシェアオフィスを活用できるか見ていきましょう。

コンサルタント

コンサルタントは企業のクライアントに適切な助言や支援を行う職業です。リモートでのコンサルティングが可能なケースも増えているほか、客先へ出向いて業務をこなすことも多く、コンサルタントがオフィスを構える必要性が少なくなっています。

シェアオフィスの中は、電話対応や秘書業務のサービスを提供しているところもあり、オフィスを構えるのと同じ機能を使うことができます。セキュリティレベルや遮音性が高いシェアオフィスであれば、守秘義務を扱うコンサルタントも安心して利用できます。

ECサイト・ネットショップ運営者

ネットショップの開設には、Webサイト上に販売者の住所や電話番号の掲載が必要です。ただ、個人情報やプライバシーの観点から、自宅の住所を掲載することに抵抗感を覚える方も多いでしょう。賃貸オフィスの契約という手段もありますが、ネットショップ運営のために契約するのはランニングコストが高くなってしまいます。

シェアオフィスは、自宅の住所をサイト上に掲載する必要がなく、法人登記が可能なオフィスも多いことから、安心して利用できます。顧客からの電話を受ける必要がある場合は、電話代行サービスを使うのもおすすめです。

ライター・映像制作者・デザイナー

個人での作業が多いライター・映像制作者・デザイナーも、長時間集中して取り組めるシェアオフィスを利用するケースが増えています。クライアントとの打合せだけでなく、クリエイティブな仕事をするために場所を変えるなど、複数拠点を持つメリットもあるでしょう。

また、シェアオフィスでは人と関わったり会話したりするチャンスや、ビジネスにつながる出会いが期待できます。

Webエンジニア

仕事の場所を選ばない職業で、かつ人脈で仕事を広げていく特徴があるという意味では、Webエンジニアもシェアオフィスの活用がおすすめです。ちょっとした会話から業務契約などに発展するケースも珍しくありません。

高速インターネットを完備しているシェアオフィスも多く、業務効率が高まるワークスペースが確保できます。

シェアオフィスが向いていない業種

一方でシェアオフィスが向いていない業種もあります。たとえば以下の業種です。

  • 小売業

  • 製造業

  • 倉庫業

これらの業種は、なぜシェアオフィスに向かないのでしょうか。

小売業

対面形式で消費者に販売業務を行う小売業は、在庫を確保するスペースが必要であるほか、不特定多数の出入りが発生することでセキュリティ面でも懸念されるため、シェアオフィスでの業務に向いていません。ただし、前述したECサイトや、小売業で事務作業を行うバックオフィスとしての活用は可能です。

製造業

大型の機械が必要となる製造業も、シェアオフィスには向いていません。小売業と同様、事務作業のためのバックオフィスであれば、製造業でもシェアオフィスの利用を検討するのも良いでしょう。

倉庫業

バックヤードに、荷物を保管する大きな占有スペースが必要な倉庫業も、シェアオフィスには向きません。個室タイプのシェアオフィスであっても、収納スペースはごく限られており、倉庫としての利用は難しいでしょう。

シェアオフィスを選ぶ時のコツ

利用目的に合ったシェアオフィスを選ぶには、以下のポイントを確認することが重要です。

  • 設備や備品の充実度を確認

  • 料金体系を確認

  • オプションサービスを確認

  • 個室空間を確認

それぞれの確認ポイントについて、詳しく解説します。

設備や備品の充実度を確認

仕事に必要な設備や備品の充実度は、仕事の効率に直結するため、契約前に必ず確認が必要です。商談を行う機会が多ければ、立地や商談スペースの有無を確認しましょう。頻繁な会議を行う業種であれば、会議室にプロジェクターや電話会議システムなどの設備があると便利です。

シェアオフィスは、利用者の希望で変更できる箇所が少ないため、既に設備や備品・サービスなどが整っているシェアオフィスを選びましょう。

料金体系を確認

シェアオフィスによって、料金体系も大きく異なります。利用料金は数千円から数万円と幅があり、利用する頻度や時間に合わせて定額制・時間制などのプランも検討が必要です。

オフィスの固定費を抑えるために安いシェアオフィスを選んだとしても、書類などの保管場所を別に設けると、移動の交通費や保管場所の利用料金もかかってしまいます。オフィス業務を鑑みたうえで、料金をシミュレーションしながら選ぶと良いでしょう。

オプションサービスを確認

オプションサービスの内容も、シェアオフィスによって大きく異なります。オプションサービスの一例には、以下のものがあります。

  • 法人登記

  • 使用可能な共有オフィス機器の種類

  • 電話受付・転送

  • 郵便物受け取り・転送

  • 社名表示

  • ラウンジの利用

シェアオフィスを利用する際は、希望するオプションサービスに対応しているかを確認しておきましょう。

個室空間を確認

シェアオフィスは、個室とコワーキングスペースの両方を備えたタイプと、コワーキングスペースのみを設けたタイプの2種類が主流です。契約当初はコワーキングスペースのみで業務が可能であっても、事業を進めるうちに個室が必要となる可能性もあります。

将来個室や会議室が必要となる可能性があれば、個室空間の確認は必須です。個室は、完全個室や間仕切り個室があるため、業務に必要なタイプの個室が利用できるか、事前に確認しましょう。

まとめ

シェアオフィスの市場は、近年急速に拡大しています。働き方の変化により、今後さらにシェアオフィスの利用度が高まることも考えられます。

シェアオフィスを利用する際には、自社の業種や業務内容とシェアオフィスの性質が合っているかをきちんと見極め、条件を満たす物件や料金プランを慎重に検討していきましょう。

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