不動産や会社設立時の登記は法務局で行うのが一般的でしたが、「登記ねっと」というサービスにより、今ではオンラインからでも可能となっています。
法務局は役所などの行政機関と比べて数が少ないため、遠方の方は特にオンラインでの申請が便利でしょう。
また、オンライン申請は窓口での手続きと比較して費用が安いというメリットもあります。
今回は、そんな便利な登記申請サービス「登記ねっと」について手続きの仕方や使い方など基礎的なポイントを紹介します。
事業者や地主の方など登記の機会が多い方で、毎回窓口で申請しているという方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
まず最初に、登記ねっととはどのようなサービスなのかを紹介します。
様々な行政手続きがオンライン化される今、登記ねっとにおいても日々多くの方がアクセスし、登記関連の手続きに利用しています。
登記ねっとは愛称で、正式には「登記・供託オンライン申請システム」と言います。
平成23年から法務省によって運営されており、登記や供託などに関する申請・請求をインターネットやLGWAN(行政専用として限定的に利用されているネットワーク)、政府共通ネットワークから行うことができます。
登記ねっとにより、法務局などの窓口に行く必要はなくなり、自宅をはじめどこにいてもインターネット上で申請、請求や電子公文書を取得することが可能になります。
登記ねっとを使う一番のメリットは、オンライン上からどこでも登記に関わる申請、請求ができることです。
窓口に行く必要がないため、平日忙しい方やお年寄りにとっても便利なサービスと言えます。
法務局が自宅から離れているなど、なかなか法務局に行けない方には、特に便利なサービスでしょう。
オンラインの場合、手続きによっては窓口で行うより手数料等が安くなる点もメリットです。
法務局までの交通費を考えると、費用面でのメリットは大きいと言えるでしょう。
登記ねっとのデメリットは、インターネット上からの申請になるため、人によっては手続きが分かりにくいことです。
法務局であれば職員がいて、不明点をすぐに教えてくれますが、登記ねっとの場合は手取り足取り教えてくれる職員はいません。
電話などで問い合わせることもできますが、込み合う時期にはなかなかつながらないなどの課題もあります。
インターネットを使った手続きにどうしても抵抗がある方は、窓口の申請が良い場合もあります。
初めての手続きや複雑な相談は窓口で、簡単な請求は登記ねっとを使うなど、うまく使い分けるのがおすすめです。
登記ねっとで申請、請求できる手続きは以下の7つです。
不動産登記手続
商業・法人登記手続
動産譲渡登記手続
債権譲渡登記手続
成年後見登記手続
供託手続
電子公証手続
登記の中で圧倒的に多いのは不動産や法人になりますが、そういった基本的な登記関連の手続きは、登記ねっとで対応できます。
登記ねっとで申請、請求を行う際、「かんたん証明書請求」を使う方法と「申請用総合ソフト」を使う方法の2通りの方法があります。
ここでは、それぞれの利用方法について解説します。
それぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身に合った方を利用するとよいでしょう。
かんたん証明書請求は、PCの設定が不要であるため、Webブラウザから利用できる点がメリットです。
例えば、「履歴事項全部証明書」を交付請求する手続きなどは、一度はじめにユーザー登録しておけばWebブラウザからの申請が可能です。
デメリットとしては、電子署名が付与できないため、申請や請求が、登記ねっとで対応できる一部の手続きに限定されることです。
よって、特定の申請のみしか利用しない方に適した方法でしょう。
また、申請自体はオンラインから可能ですが、請求した書類の受け取りは、郵送や窓口になるので注意が必要です。
証明書の種類によっては法務局の窓口よりも安い場合があります。
申請用総合ソフトは、登記申請を手続きするためのインストール型のソフトウェアです。
このソフトにより、申請書の作成や電子署名の付与、送信など登記ねっとてできる全ての手続きを行うことができます。
デメリットとしては、ソフトがWindowsにしか対応していないことと、入力する内容や操作が複雑で登記の知識がない人にとっては利用するハードルが高いことです。
よって、登記の知識がある司法書士など、専門家が使用するケースが多い方法でもあります。利用する際に、不安や疑問がある場合は、実際の申請は出来ませんが、体験版ソフトがあるので試してみるのもよいでしょう。
最後に、登記ねっとを利用する際にかかる料金を紹介します。
かんたん証明書請求への登録や申請用総合ソフトのインストールは無料で行うことができますので、費用はかかりません。
ただし、申請する手続きによって、登記の手数料や登録免許税がかかりますので、登記に関わる費用については、その都度個別に確認しましょう。
登記に関わる申請や請求に関する費用については以下、法務省のウェブサイト内にオンラインで申請した場合の費用も記載されています。
ページをご覧になるとわかりますが、窓口よりオンラインの方が手数料が安い場合があります。
不動産事業者や士業関係の事業者など、登記関係の申請を行う機会が多い方は、オンラインにすることで費用が安くなるためおすすめです。
今回は、オンライン上の登記申請サービス「登記ねっと」について紹介しました。
登記に関する業務は、専門に行われている一部の方を除き、日常生活で行う機会が少ないだけに行政手続きの中でもオンライン化がなかなか進みにくい面があります。
しかしながら、不動産事業や士業、地主の方など、登記申請に関わる機会が多い事業者の方にとって、登記ねっとは費用や時間の面でメリットが大きい仕組みです。
普段は法務局での手続きが慣れているという方も、今回の内容を参考に是非登記ねっとの利用を検討してみてください。