地域密着型の事業を展開している事業者にとって、信用金庫や信用組合は心強い味方です。信用金庫や信用組合とはどのような組織であり、銀行とはどういった違いがあるのでしょうか。
今回は、信用金庫、信用組合はどういった組織なのか、活用するメリット、デメリットを紹介します。信用金庫、信用組合について深く理解したい事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
信用金庫とは、相互扶助を目的とし、地域の方々が利用者や会員となって地域の繁栄を図る金融機関をさします。「信用金庫法」という法律に基づき運営され、中小企業や個人を主な取引先としており、取引先から預かった資金は地域発展に役立てています。信用金庫では、預金を行うことは誰でも可能ですが、融資を受けられるのは原則として組合員のみとなっています。
信用組合は、信用金庫と同じく協同組織としての役割を果たす金融機関ですが、信用金庫に比べ規模が小さめです。中小企業等協同組合法や、協同組合による金融事業に関する法律(協金法)を根拠として運営されています。預金ができるのも原則として組合員だけとされているなど、信用金庫と比べ業務の範囲も異なっています。
信用金庫・信用組合に共通しているのは、特定地域にある中小企業や個人事業主を、長期的に支援することがミッションである点です。「会員」「組合員」などとの呼び方は、信用金庫・信用組合特有のものです。
信用金庫・信用組合と銀行は、どちらも金融機関に分類されますが、異なる点がいくつかあります。どのように違うのか、3つの点から見てみましょう。
信用金庫・信用組合は、いわば地域密着型の金融機関であり、特定の地域で暮らす方もしくは組合員同士の相互扶助を目的としている非営利法人です。組合員の貯蓄の増強や経済的地位を上げるのに寄与しています。
これに対し、銀行は株式会社組織としての営利法人であり、国民経済の健全な発展を目的としています。取引先に大企業が多いのも特徴です。
対象者も、信用金庫・信用組合と銀行とでは異なっています。
信用金庫・信用組合は、地域に住んでいるかもしくは地域に事業所を持っていることが、組合員になる条件です。事業者の場合の条件も決まっており、信用金庫は従業員300人以下または資本金9億円以下が組合員資格です。信用組合においては、従業員300人以下または資本金3億円以下(特定業種に対しては異なる規定あり)となっています。
銀行は、組合員という概念がなく、顧客になる際の資格は特に定められていません。
設立目的や設立目的や対象者が異なるとはいえ、信用金庫・信用組合と銀行はどちらも金融機関です。このため、業務内容自体に大きな違いはありません。利息や金利を比べてみても、ほとんど変わらないのが実状です。
ただし、信用金庫・信用組合では、地域社会への還元を目的として、銀行に比べ金利優遇をはじめとしたキャンペーンを多く行っています。キャンペーンを上手に利用すると、効率的な資金調達が可能になるでしょう。
信用金庫・信用組合と銀行のどちらを利用すべきなのかは、利用目的によって変わってきます。それぞれのメリットとデメリットを比べ、目的に合った金融機関を利用しましょう。
信用金庫・信用組合の大きなメリットは、高い地域性を持っている点です。地元企業を応援する目的で運営されているため、地元企業の海外進出や事業再生なども支援しています。景気が悪くなっても、運営はそれほど左右されず、社会を支える役割を果たしています。
小規模事業者や個人事業主に対しても、事情により沿った融資が受けられる可能性があります。特に個人事業主は、実績や資金面などから銀行からの資金調達が難しいため、信用金庫・信用組合の利用が便利です。
一方デメリットとしては、対象地域が限られている点や、利用するには会員資格を満たさなければならない点などがあります。また、銀行に比べATMの数が少ないため、使いにくいと感じる人もいるでしょう。融資を受ける際に、金額の上限が銀行よりも低いため、融資希望金額と実際の金額が大きく異なる場合もあります。
銀行のメリットは、なんといっても大きな資金力を持っている点です。特に、全国規模で展開しているメガバンクは、誰でも利用しやすい条件で運営されています。
近年利用者が増えているネット銀行は、窓口に出向かなくてもWeb上で全て手続きが完結し、使いやすさを重視した新たな銀行のスタイルとなっています。人件費を抑えられることで、窓口を構える銀行に比べ預金金利も有利です。
住宅ローンの利用に関しても、銀行の方が有利です。信用金庫・信用組合では、利用可能な対象者が地域住民に限定されるため、転勤などによる異動が発生すると、信用金庫・信用組合では住宅ローンの精算をしなければなりません。そのため、精算をしない方法として、単身赴任を選択したり、銀行の住宅ローンで借り換えたりする方法を検討する必要があります。
銀行のデメリットとしては、高額融資を受けるには高い格付けランクを得なくてはならない点が挙げられます。格付けランクを上げるには、長期間の取引と実績が必要であることに加え、融資審査のハードルも高く、設立や開業後間もない事業主などが融資を受けるのはハードルが高いです。
融資を受ける際には、どのような流れで手続きを進めていけば良いのでしょうか。金融機関ごとに、流れを見ていきましょう。
信用金庫・信用組合で融資を受けるには、最初に事業所の所在地にある信用金庫へ申し込みます。信用金庫から直接融資を受けるプロパー融資など、特殊な融資方法でなければ、信用保証協会を通すのが一般的です。保証協会の審査も必要となることを覚えておきましょう。
申し込み完了後、必要書類を準備します。事業用の融資を受けるには、起業前・起業後で必要書類が異なり、信用金庫によっても変わってくるため、必要書類の詳細については必ず信用金庫まで問い合わせましょう。
書類の提出後審査が行われますが、信用金庫での融資審査は仮審査と本審査の2段階で行われます。仮審査は、申し込み内容や金額のチェックを行い、本審査では返済能力について確認します。信用保証協会の面談が実施されることもあるので、面談の連絡が来たら段取りを取りましょう。
銀行から融資を受ける場合も、基本的な流れは信用金庫・信用組合とほぼ変わりません。必要書類を準備し、面談や審査を受けたのち、融資が実行されます。信用保証協会の審査が終わった後、金融機関が審査します。
信用保証協会は、どの業種でも保証を受けられるのではなく、保証対象外となっている業者もあります。農林水産業などの一次産業および金融保険業などは、原則として利用できません。税金を滞納していて完納が見込まれない場合も、保証を断られるケースが多いです。
銀行からの融資を受ける場合、銀行融資とビジネスローンのどちらを利用すれば良いのか、選択に迷うかもしれません。ビジネスローンは事業資金専用のローン商品で、主に中小企業を対象とした事業性無担保ローンをさします。ビジネスローンは審査から融資まで短期間で手続きができる一方、金利は高くなります。時間に余裕がある時は銀行融資、資金調達を急ぎたい場合はビジネスローン、といった形で、ニーズに合わせて使い分けることが重要です。
信用金庫・信用組合と銀行のどちらで融資を受ける場合でも、初めて融資を受ける場合には不安な点も多いでしょう。第三者機関に相談することで、的確なアドバイスが受けられます。
利用できる第三者機関として、全国にある商工会議所や、国から認められた認定支援機関などがあります。第三者機関への相談には費用がかかる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
信用金庫・信用組合は、小規模事業者が融資を希望する際の良き相談相手として、さまざまなサービスを提供しています。これから事業を始めたい人にとっては、信用金庫の存在が心強いものとなるでしょう。
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