ビジネスモデルの変化や技術革新に対応するため、業務で必要な知識やスキルを学ぶリスキリングが注目されています。
企業がリスキリングを行う際には、条件に合わせて国や自治体から補助金が受けられるため、補助金を有効活用したいものです。
本記事では、リスキリングを支援する補助金・助成金をご紹介します。ぜひ活用を検討してみてください。
リスキリングとは、DX時代の人材戦略を目的として、これまでとは違う職務や分野において新しいスキルを習得する取り組みです。ここで言うスキルとは、DXを目的としたデジタルスキルだけでなく、デジタル戦略に求められるマネジメントスキルなども含まれます。
リスキリングの目的は、生産性向上と労働者の賃上げです。諸外国でデジタル化が進む中、日本はまだまだデジタル化が追いついていないのが現状です。リスキリングにより新しいスキルを習得し、生産性を向上させることで効率良い労働が実現でき、結果として賃金アップが実現できます。
リスキリングの先駆者と呼ばれている会社は、アメリカにあるAT&Tです。日本でも、コロナ禍をきっかけにDXを導入する企業が増え、DXスキルの習得に向けてリスキリングが注目されるようになってきたことで、企業における取り組みも少しずつ進んでいます。令和4年10月に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の中でも、リスキリングへの支援を強化する旨が明記されています。
リスキリングは単に仕事に必要な知識を学び直すのではなく、学んだ内容を仕事に活かすことが重要です。このため、リスケリングは企業が主体となって進めるケースがほとんどであり、研修プログラムや教材の準備・資格を取得した社員に対するインセンティブ制度など、リスキリング制度の開始までにさまざまな予算がかかります。
これらの予算を補助し、リスキリングを推進するために、国や自治体で補助金・助成金制度を設けています。特に中小企業では、リスキリングに投資できる十分な資金の確保が難しい場合もあるでしょう。補助金・助成金を有効的に活用し、リスキリング導入を積極的に検討しましょう。
ここからは、リスキリングを支援する補助金・助成金制度を紹介します。
企業等と雇用契約を締結している、正社員・契約社員・パート・アルバイト・派遣社員などに対して、キャリア相談対応・リスキリング提供・転職支援・フォローアップの4事業全てを条件に沿って実施した事業者に対して、補助金が支給される制度です。
補助金制度であるため、採択された事業者のみが補助金を受け取ることができます。さらに、補助事業実施後には実績報告の提出も必要です。補助対象経費および補助率は、以下の通りです。
申請するには、Jグランツの登録が必要です。GビズIDプライムを取得していない事業者の方は、早めに取得しておきましょう。
従業員に対して、知識・技能を習得する訓練を実施した際に、かかった経費や賃金の一部を助成する制度です。助成内容によって、以下の7コースに分かれています。
受給要件や受給金額はコースによって異なるため、詳細は各コースのパンフレットを確認してください。申請は、「雇用関係助成金ポータル」からの電子申請もしくは紙の申請いずれかが選択可能であり、電子申請にはGビズIDが必要です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した労働者に、受講費用の一部を支給する制度です。労働者の主体的なスキルアップを支援し、キャリアアップ・キャリアチェンジを目指すことが目的です。対象となる教育訓練の種類は、以下の3つに分類されます。
対象となる教育講座は、およそ14,000講座にわたります。オンライン受講が可能な講座や、夜間・土日に受講可能な講座もあり、働きながら受講可能です。具体的な講座は、検索システム「教育訓練給付制度」で検索してみてください。
公益財団法人東京しごと財団が実施している、東京都の助成金です。都内にある中小企業等が、従業員に対して行った職業訓練(DXに関するもので、集合またはEラーニングを活用した講座)の実施にかかった経費の一部を助成する制度です。企業におけるDX人材の育成を目的としています。
助成対象となる訓練は、DXに関する専門的な知識やスキルの習得と向上もしくは専門的な資格取得に向けた訓練をさします。この訓練は、原則として以下のいずれかが目標であることが条件です。
業務の効率化・生産性の向上
集客・販路拡大
新製品・新サービスの開発
組織力・営業力の強化
さらに、専門的なDX講座についても、募集要項に記載されています。実施するDX講座が助成金の対象となっているか、必ず事前に確認しましょう。
助成対象経費は、以下に該当するものです。
受講料(単講座またはオーダーメイド講座)
訓練に必要な教科書・教材代
訓練に付随するID登録料・管理料・ヒアリング料
交付額は、助成対象経費の2/3であり、1事業者あたりの上限額は64万円です。上限額に達するまで申請が複数回できる点が、この助成金制度の大きな特徴です。
申請は郵送のみとなっているため、注意しましょう。また、助成金の振込口座は、全銀ネット(全国銀行資金決済ネットワーク)を利用している金融機関の口座のみです。
地方自治体においても、リスキリングに対して補助金制度を設けているところがありますので、いくつかご紹介します。
山形県では、「産業人材リスキリング支援事業費補助金」という制度があります。先述した人材開発支援助成金の対象事業を受講するために必要な宿泊滞在費や交通費(公共交通機関のみ)を補助するものです。補助金を受け取るには、申請書に必要書類を添付し、山形県庁の産業労働部(雇用・産業人材育成課)まで提出します。
また富山県では、「とやま人材リスキリング補助金」という制度があります。これは、人材開発支援助成金の対象外である短期間(訓練時間が10時間未満)の教育訓練を支援する制度です。補助対象経費は、受講料や教材費など訓練の受講に必要な経費および従業員に支払う賃金です。補助金を受け取るには、訓練終了後3か月以内に、申請書兼実績報告書を提出し、富山県庁の商工労働部(労働政策課)まで提出します。
リスキリングは省庁が力を入れている取り組みであり、地方自治体でも様々な観点で補助金・助成金が創設されていますので、是非所在地の地域でも調べてみてください。
リスキリングは、国が主体となって導入を進めている事業であり、補助金・助成金制度は数多く存在します。本記事で紹介した以外にも、自治体で補助金・助成金制度を設けている場合がありますので、問い合わせてみることをおすすめします。
補助金・助成金制度を活用し、従業員のスキルアップに向けて取り組んでいきましょう。