自動車やOA機器など、リース・レンタルできる物は多くあり、購入するのに比べて初期コストを大幅に抑えることができます。しかしながら、「リース」と「レンタル」はものを一定期間借りるという点は同じですが、期間や料金などに違いがあります。
この記事では「リース」と「レンタル」の違いとそれぞれのメリット・デメリットを紹介するので、リースまたはレンタルを検討している方はぜひ参考にして下さい。
はじめに「リース」と「レンタル」の違いを見ていきましょう。
項目 | リース | レンタル |
---|---|---|
契約期間 | 中期契約(数か月または数年) | 短期契約(最短1日) |
所有権 | リース会社 | レンタル会社 |
中途解約 | 原則不可 | 可能 |
保守・修理義務 | 借手 | レンタル会社 |
契約期間完了後 | リース会社へ返却 | レンタル会社へ返却 |
リースとレンタルの主な違いは「契約期間」にあります。リースは数週間から数か月、数年と長期契約であるのに対し、レンタルは日単位、週単位などの短い契約が一般的です。
自動車を例に挙げると、レンタカーは数日程度の契約になるケースが多いですが、営業車などのリースになると、年単位での契約になる場合があります。
このように中期・長期間借りる場合は「リース」短期間は「レンタル」と使い分けることが多いです。
また、リースは契約期間が満了になるまで原則中途解約できません。仮に中途解約する場合は、リース会社と相談し、違約金や解約金などが請求されるケースが多いです。
一方レンタルは中途解約をすることができ、事前に相手方へ申し出ることによって契約を終了することが可能です。ただし、レンタル会社によっては中途解約した場合の清算方法が異なるので注意しましょう。
リースとレンタルの共通点は、対象物の所有権がリース会社、レンタル会社に帰属するという点が挙げられます。そのため、契約期間が満了となった後は対象物をそれぞれの会社に返却する流れになります。
ここではリースの仕組みやメリット・デメリットなど、基本的な概要について紹介します。
リースはユーザーが物を直接購入するのではなく、リース会社が物を購入し、ユーザーに貸し出す仕組みです。
貸し出す代わりにリース会社は、ユーザーからリース料という形で金銭を受け取る契約形態になっています。
リース契約は、「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」に大別されます
リース形態 | 内容 |
---|---|
ファイナンスリース | 貸主が借主の代わりにリースする商品を購入し、借り手に貸す取引のこと |
オペレーティングリース | 借主が金銭を支払って貸主からレンタルする取引のこと |
ファイナンスリースは、物件の購入代金に金利や固定資産税、損害保険料などを上乗せしてリース料を設定します。リース期間で除した額が毎月のリース料として設定されることが多いです。
ファイナンスリースは2種類に分類されます。
所有権移転ファイナンスリース リース期間が終わったら資産が借手のものになる。
所有権移転外ファイナンスリース リース期間が終わっても資産が借手のものにならない。
日本で行われているリース取引の多くが「2.所有権移転外ファイナンスリース」にあたります。
一方オペレーティングリースは、リース期間満了後に対象物に市場価値が残存することが見込まれる場合に利用されます。残存価値を予測したうえで、購入代金や金利などを考慮して利用料金を決めます。
一般的にはオペレーティングリースの方が料金は安くなりますが、各リース会社によって価格設定しているので、一概にどちらが安いとは言い切れません。
リースできる物件はさまざま有り、代表例には以下のような項目が挙げられます。
リースできるもの |
---|
IT機器(パソコン、サーバーなど) 情報関連機器(PC、複写機、ルータなど) オフィス機器(コピー機、複合機など) 産業機械(工作機械、製造設備など) 土木建設機械 輸送用機器(車両、フォークリフトなど) 医療機器(MRI、CTスキャナなど) 商業設備(店舗什器、冷蔵庫など) 理化学機(試験器、測定器、分析器など) 環境・エネルギー設備(太陽光発電装置、蓄電池など) |
コンピュータ、通信機器、輸送設備、産業機械・工作機械、医療設備、商業設備など、あらゆる分野の動産物件が対象となります。
一方で、リース対象外となっている物件もあります。
リースできないもの |
---|
返還、移設が困難な物件 不動産・建物付属設備・構築物など(賃貸人又は賃借人の管理状況により判定) 特定が困難な物件 消耗品 工事費用 |
上記の通り、そもそも返還できないものや、返還するのが困難なものは、リース対象外に設定されているのが一般的です。
建物などの不動産は、ファイナンスリースの対象外となりますが、別途賃貸借契約(建物リース)にて取扱いしている場合もあります。
ここではリースの利用の流れを紹介します。大きく分けて5つのステップに分かれます。
1. リース物件の決定と申込
はじめにリースする会社とリースする物件を決めていきます。物件が決まった後はリースの申し込みを行います。
2.リース契約を締結する
契約書はリース会社によって異なりますが、リース期間やリース料などを決めて記入するほか、契約に違反する条項などが確認し、契約書の締結を行います。
3. リース物件の引渡し
契約の締結が完了した後はリース会社から物件の引渡しを受けます。
その際納入された物件を確認した後、リース会社が発行する物件借受証を受け取るので保管しておきましょう。
4. リースの開始
リース物件を引き受けた後は、実際に使用開始となり、リース料金の支払いも始まります。
5. リース物件の返還・清算
リース期間が満了したら、ユーザーはリース物件を原状回復したうえでリース会社に返還しなければいけません。原状回復費はリース会社から請求されるので、その費用を支払う流れです。
リース契約にはさまざまなメリットがありますが、ここでは代表的なメリットを2つ紹介します。
リース契約の最大のメリットは初期費用を抑えられる点です。物件を直接ユーザーが購入するとなると、所有権が得られる分大きな金額になります。
自動車を一例に挙げると数百万円の車を初期費用0円で乗ることが可能です。自ら購入する必要がないので、初期費用を大幅に抑えられます。
リースは新品の設備導入が可能なメリットがあります。設備は年々老朽化するうえ、期間が経てば新しい機能を備えた設備が開発されます。
数年使用しただけで旧式の扱いとなり、最新設備の方が効率性も良く高い生産性を生み出すことも良くあります。
リースであれば、契約期間が満了したタイミングで新たな設備をリースすることができる特徴があるのです。
一方リースにも2つのデメリットが有るので紹介します。
先ほどもお伝えした通り、リース契約は基本的に中途解約することができません。中途解約する場合は残リース料に相当する金額を違約金として支払うことが多いです。
レンタルであれば返品するだけになるので、コスト面を踏まえると途中解約せず契約期間まで借り続けるのが一般的です。
また、リース契約を始めた後に、新たな設備が開発すれば、契約満了まで使うことができません。リース契約には時間軸においては自由度が低いというデメリットがあります。
リース料はファイナンスリースで決められるのが一般的なため、コストが割高になります。
リース料には、設備の購入価格に加えて、リース会社の利益、金利、固定資産税や保険料などのコストが含まれるため、長い目で見ると直接購入の方が安くなるケースが多いです。
特にリース期間が長くなるほど、総支払額も高額となるので、慎重に検討する必要があります。
参考記事:リース契約の仕組みとは?リースの種類やメリット、契約の流れを解説
続いてはレンタルの仕組みやメリット・デメリットなど、基本的な概要について紹介します。
レンタルは一時的な使用を前提としたもので、レンタル会社が既に保有している物件を、ユーザーに貸し出す仕組みです。レンタル料を取って比較的短い期間だけ貸し出すのが一般的です。
レンタルは途中で解約することができるうえ、違約金や解約金などが発生しないケースが多いです。ユーザーがレンタル会社へ解約の申し出を行い、物件を返却すれば中途解約できるという特徴があります。
レンタルできる物件はさまざま有り、代表例には以下のような項目が挙げられます。
レンタルできるもの |
---|
IT機器(パソコン、サーバーなど) 情報関連機器(PC、複写機、ルータなど) オフィス機器(コピー機、複合機など) 産業機械(工作機械、製造設備など) 土木建設機械 輸送用機器(車両、フォークリフトなど) 医療機器(MRI、CTスキャナなど) 商業設備(店舗什器、冷蔵庫など) 理化学機(試験器、測定器、分析器など) 環境・エネルギー設備(太陽光発電装置、蓄電池など) 生活用品(家具家電・洋服など) 施設(体育館・レンタルスペースなど) レジャー用品(パーティ用品・スポーツ器具など) 娯楽用品(映画・ゲーム・楽器など) |
レンタルできるものはリースできるものに加え、一般家庭でも活用できる家具家電などの生活用品やレジャー用品なども含まれます。
ただし、事業的な目線で比較すると、リースできる物件よりレンタルできる物件の方が少ない傾向にあります。
レンタルの利用の流れは大きく4つのステップに分かれます。ただし、レンタル会社によって手続きの流れは異なるので、ここでは一般的な流れを紹介します。
1. レンタル会社から品を決める
はじめにレンタル会社から品を決めていきます。レンタル会社によって品ぞろえが異なるため、必ずレンタルする品に合わせた会社を選択しましょう。
2. レンタル契約を締結する
次にレンタル会社と契約を締結します。レンタルする期間やレンタル料などが契約書に記載されており、返却方法や契約に関する条項などが記載されているので確認します。一般的にはこのタイミングでレンタル料を支払うことが多いです。
3. 希望する品を受け取る
契約の締結が完了した後は、物件を受け取って利用することができます。レンタル期間は基本的に納品の翌日から開始し終了日までとなります。万が一レンタル品を破損させてしまった場合の損害金については、レンタル会社によって規定が異なるため事前に確認しておきましょう。
4. レンタル期間終了後に返却を行う
レンタル期間が終了したら返却を行います。期間の延長する場合は事前にレンタル会社へ連絡しておきましょう。
ここではレンタルのメリットを3点紹介します。
レンタルは数日などの短期契約が可能です。リースは数か月や数年などの長期契約が多い物件が一般的ですが、レンタルは1日だけ借りることもできます。
「一時的に使いたい」「2・3日だけ使いたい」という時にレンタルを利用すれば、リースよりコストを抑えて利用できるため、「必要なときに必要なだけ借りられる」という自由度が高いというメリットがあります。
レンタルはいつでも途中解約できるのが一般的です。レンタルは単純に物件を借りる契約なので、レンタル期間の短縮や延長に柔軟に対応できます。
ただし、レンタルでも中途解約不可な場合があるので、契約書の確認は大切です。
レンタルは基本的に物件の保守・修繕はレンタル会社が責任をもって行うため、利用者に保守・修繕の義務はありません。そもそも借りる期間も短いので、大きく破損や故障する可能性が低くなるでしょう。
物件に不具合が出た場合、通常の利用範囲内であれば基本的に無償で交換・修理できますが、故意で破損させてしまうと弁償という形が取られるケースもあるので事前に契約内容を確認しておきましょう。
次にレンタルのデメリットを2点紹介します。
レンタルはリースに比べてると借りれる物件の種類は少ない傾向にあります。例えば、オフィス機器などは長期間の契約になるのが一般的であり、レンタルで提供している会社も少ないです。
またレンタル会社が所有する物件自体、選択肢が少なかったり在庫がなかったりなど、利用者の希望が叶わないこともあります。
レンタル料は購入費用やリース料と比べて安価ですが、日割りで考慮すると支払総額が高額になることもあります。
レンタル料は短期間なので、料金は安く設定されていますが、延長を何度も繰り返せば支払額も高額になるデメリットがあります。
長期的な目線であれば、コスト面を含めてリースの方がお得になるでしょう。
本記事ではリースとレンタルの違いについて紹介してきました。
リースは中長期間、レンタルは短期間の契約という時間軸の違いがあります。またリースには保守・修理義務がありますが、レンタルにはありません。
しかし、物件の豊富さはリースに軍配があがり、長期的な目線で見るとレンタルの方が割高になる傾向にあります。
物件を借りる際は、その物件の種類と期間、金額に着目して比較し、ベストな選択を取るようにしましょう。
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